トラブル続出で近年鬼門化しているライオンズの三塁というポジション

ファイターズが受け皿となってくれた山田遥楓選手

佐藤龍世選手

ライオンズの山田遥楓選手と、ファイターズの佐藤龍世選手の交換トレードが発表された。山田選手のファンとしては非常に残念なニュースとなったわけだが、しかし山田選手自身にとってこのトレードはプラスに働くだろうし、山田選手自身も放出は覚悟していたはずだ。もしくは事前に球団からトレード先を探すという通告を受けていたことも考えられる。

バックナンバー:源田壮亮主将は同僚の配偶者からたまらんほどの酷い苦痛を受けていた

9月に多くのライオンズファンを驚かせたわけだが、山田選手と源田壮亮主将の間には簡単には埋められない溝が生じてしまった。もちろん源田選手が山田選手のことを個人的に悪く思っているということはないわけだが、しかし山田選手側からすれば、源田主将にだけではなく、チームメイトにも顔向けできないようなトラブルに巻き込まれてしまった。

山田選手からすれば後ろめたさを感じながらライオンズでプレーし続けるよりは、新天地に活躍の場を求めた方が断然良かったと思う。そのため山田選手からするとこのトレードは、自由契約の可能性さえあった中で、まさに救いの手だったと言える。そして源田主将側からも、山田選手から野球を奪わないで欲しいという強い要望があったため、球団もトレードを画策したという経緯があった。

ファイターズ側からすると少し前にトラブルによって中田翔選手を放出した経緯があったわけだが、今回は他球団でトラブルを起こした選手の受け皿となってくれた。このような持ちつ持たれつという関係を持てたのも、やはりかつてはチームメイトとして同じユニフォームでプレーをしたこともある渡辺久信GMと、稲葉篤紀GMの友好関係があってこそだったのかもしれない。

いずれにせよこのトレードは避けられるものではなかったし、山田選手からすれば受け皿となってくれたファイターズで大いに活躍して恩返しし、ライオンズナインからも「ファイターズに行って良かったな」と激励してもらえるようになって欲しい。そしてエスコンフィールドを縦横無尽に駆け回ってもらいたい。

鬼門化している近年のライオンズのサード

一方の佐藤選手はライオンズへの出戻りとなった。佐藤選手は2019年、ルーキーイヤーに開幕1軍を果たすなど非常に期待されていた選手ではあったがその後の成績は奮わず、翌年には当時ライオンズに在籍していたトラブルメーカーと行動を共にすることで道交法違反で執行猶予2年という判決を受けていた。そしてその1年後にはトレードでファイターズに放出されるという状況にあった。

ファイターズでは新庄剛志監督に期待されていたものの目立った活躍をすることはできず、その状態でライオンズに戻ってくることになってしまった。西武球団としてもこのトレードは不本意と言えば不本意だったはずだ。山田選手のトレード先を探さなければならない状況の中で、一度放出した選手を成績不振のまま再度獲得せざるを得なかったのだから。

過酷な話をするならば、プロ野球というシビアな世界においては、佐藤選手が来月の現役ドラフト要員で獲得されたという可能性も否めない。佐藤選手としても来季は大卒5年目のシーズンとなり、まさに背水となる。ただし佐藤選手にとって幸運なのは、今季ライオンズは三塁手を固定できなかったという点だ。そういう意味では現役ドラフトにかけられる可能性も見据えながらも、この秋は死に物狂いで三塁のポジションを奪いにいく姿を見せれば、松井稼頭央監督も佐藤選手のことを来季の戦力として考えることもあるだろう。

ただし三塁手を固定できなかったとは言え、ブランドン選手、渡部健人選手、呉念庭選手ら三塁を狙っているライバルは多い。ちなみに佐藤選手同様の三塁手といえば上述した山田選手も含め、山村崇嘉選手、そして本職は外野だが三塁も守る長谷川信哉選手も今季、未成年飲酒問題やSNSの不適切利用などでやはりトラブルを起こしており、悲しいかなライオンズのサードは近年鬼門化してしまっている。

西武球団は堤義明オーナーの粉飾決済事件以降、コンプライアンスにどの球団よりも力を入れてきた球団であるはずなのだが、しかしこのように、コンプライアンス意識からは程遠い若手選手によるトラブルが相次いでいる。そのため筆者個人としては、このように最低限の社会的ルールを守れないような選手は容赦なく自由契約や現役ドラフトにより放出すべきだと思っている。

昭和であれば多少のやんちゃも黙認されていたかもしれないが、SNS全盛時代の現代ではそのような昭和の考え方は通用しない。問題を起こした後、人が変わったように必死に野球に打ち込み活躍する選手は別としても、問題を起こす前と同じような姿勢でただ一生懸命練習をしているだけの選手は今後も成績が上がる可能性は低いため、私情を絡ませることなく容赦なく放出すべきだと思う。

例えば上述した佐藤選手などはもう一生車の運転はしないと言っているわけだが、それだけではなく、もっと社会貢献を行うべきだろう。例えばオフの日であれば、ベルーナドーム周辺に住むお年寄りたちを車で病院まで送り迎えするなどの行動をとれば、過去に起こした問題などすぐに忘れてもらえるはずだし、車に同乗者を乗せるという責任の重さもより理解できるはずだ。

そしてそれに関しては山村・長谷川両選手も同様で、ファンからすると本当に心を入れ替えているのかどうかがまったく見えてこない。しかしそれではプロ野球選手という公人としてはいけない。しっかりと心を入れ替えたということがファンにもひしひしと伝わってくるような行動を起こす必要がある。

選手たちの人間教育は球団社長主導で行うべき案件

「一度のミスは許すべき」とは良く言われるが、これに関しては筆者も同意見だ。しかし同時に、ほとんどすべての人は一度も法的ルールを破らずに生涯を全うしていくことも事実だ。だからこそライオンズという公的立場にあるプロ野球チームで問題を起こしてしまった若手たちは、自分の中だけで反省をするのではなく、もっと積極的にボランティアに励むなどの行動により、心を入れ替えたということがファンに伝わるようにしなければならない。

そしてトラブルを起こしてしまいそれがデジタルタトゥーとして永久にインターネット上に残ったとしても、その後善行を重ねていけばその情報がインターネットに溢れるようになり、誰も過去のトラブルになど見向きもしなくなるだろう。プロ野球選手の場合、活躍した分だけチャリティーに貢献するというやり方が一般的だが、しかし上述した選手たちにはまだ実績がないため、やはりボランティとしてでしか社会貢献はできない。

例えば小学校に行って野球教室を開催することも立派なボランティアだ。トラブルを起こしてしまった選手は人一番練習をするだけではなく、同時に人一倍社会貢献していく責任がある。そしてそれを主導するのは西武球団の役目であるため、奥村剛球団社長が率先してそのような行動を促していくべきだ。ちなみにこれは渡辺久信GMの役割ではなく、球団社長主導で行うべき案件だと思う。

元プロ野球選手という肩書きを持つ犯罪者は毎年のように出現している。プロ野球の各球団は在籍中だけではなく、退団後にもそのような問題行動を起こさないようにする教育にももっと力を入れるべきだろう。

例えば選手の誰かがトラブルを起こしてしまった時、被害者の次に大きなショックを受けるのはその選手のことを一生懸命応援してくれていたファンたちだ。ライオンズから出してしまった多くの問題児たちは、そのファンたちを裏切ってしまったということなのだ。

山田選手の件にしても、実際には山田選手自身には過失はなかった。しかしSNSの使い方に関しては夫婦間で見守り合うなどの行動が必要だったことも確かだ。そしてそのような行動も必要だということを指導するのは西武球団の役目だったと思う。今までも「気をつけなさい」という指導はしていたと思うのだが、今後は「こうすればトラブルを回避できる」という具体策ももっと選手に伝えていく必要があるのかもしれない。

そして最後にはなったがファイターズに移籍した山田選手、そしてライオンズに戻ってきた佐藤選手に関しては、ファンたちがトラブルがあったことなどすっかり忘れてしまうような規範的行動によって、彼ら自身のファンだけではなく、プロ野球ファン全体からの信頼も回復できるような活躍を見せてもらいたい。

そうすればきっと移籍先のファンたちにもしっかりと受け入れられ、山田選手はファイターズの一員として、佐藤選手は再びライオンズの一員としてチームの勝利に大きく貢献できる選手へと成長していけるはずだ。そしてそうなれるように、ふたりには本当に頑張って欲しいと筆者は心から思っている。

⚾️ 筆者:Kaz@Twitter

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