2021年04月04日(日) ホークスvsライオンズ3回戦ゲームレビュー

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1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
西武 0 1 1 0 0 2 0 0 0 4 9 0
ソフトバンク 0 0 0 1 0 1 0 0 0 2 9 0

【継投】
平井克典(2勝)〜H佐野泰雄〜H平良海馬〜H宮川哲〜Sギャレット(1S)

【ホームラン】
呉念庭(2号)、渡部健人(1号)

観衆:9,902人、試合時間:3時間42分

抜群の安定感を見せている先発投手陣

ライオンズが本当に強い。栗山巧選手山川穂高選手外崎修汰選手という4〜6番のレギュラー3人を欠いているという状況の中、今日の勝利でチームは5連勝となった。そして見事なスウィープでホークスを蹴散らしてみせた。ライオンズが福岡の地でホークスをスウィープしたのは、17年振りの出来事のようだ。

野球評論家のライオンズの下馬評のほとんどは低いものだった。だが昨年までと異なり、今季はとにかく先発投手陣が安定している。今日2勝目を挙げた平井克典投手然り、ここまで大崩れした先発投手がいないというのが、6勝1敗1分という好成績に繋がっている。

これこそが昨季まで辻発彦監督がずっと 目指してきた野球スタイルだと言える。先制し、投手力でリードを守り抜く野球。監督が目指す野球の型にチームがしっかりとハマっているため、常に良い形で自分たちの野球ができているというのが今季ここまでのライオンズなのではないだろうか。

この調子で先発投手陣が踏ん張り続けてくれれば、シーズンを通してもチームが大崩れすることはないだろう。また、これだけ先発投手陣が安定していると、ファームで調整している他の先発陣も起用しやすくなる。起用しやすくなるというのは、起用すべきタイミングを計りやすいということだ。ある日突然何らかのトラブルによって1軍での先発を告げられるのではなく、例えば1軍のローテーションの谷間などに合わせてファームのローテーションを組めるようになるため、ファームでやっている流れをそのままに1軍での登板日を迎えられるようになる。すると2軍から上がってきたピッチャーも、比較的落ち着いて投げられるケースが増える。

現在1軍は西口文也コーチと豊田清コーチが投手陣を任されているわけだが、このコンビが非常に上手く行っているのだろう。東尾チルドレンとして叩き上げられたこの一流投手ふたりが投手陣を率いることで、投手陣全体にまとまりを感じるようになってきた。つまり投手陣全体が、それぞれの役割において向くべき方向を分かってきた、ということだ。

例えば平良海馬投手にしても、本人としては昨季から先発を志願しているのだが、今季は先発テストが行われることもなく平良投手はリリーフに専念している。このように自我を抑え、自らの役割に専念している選手たちの姿は、東尾監督時代の投手陣と重なって見える。東尾監督時代の投手陣は大人の集団だった。豊田清投手も本来の先発というポジションから守護神を任されたのだが、その経験が今、平良投手に対するコーチングに生かされているのかもしれない。

「ようやくピッチャーをちゃんと育てられるコーチが登場してきた」、これが西口・豊田両コーチに対する筆者の正直な感想だ。

呉念庭選手が呼び込んだ和田毅投手の失投

投手陣がリズム良く試合を作って行ければ、打撃陣もそれに答えてくれる。ここまでは呉念庭選手の活躍が本当に素晴らしい。今日も1打席目で2号ホームランを放ったのだが、筆者は2球目のスウィングを見て、この打席は良い内容の結果が出るはずだと確信した。初球ボールで2球目はファールとなったのだが、本当ならこの2球目を仕留めておきたかった。なぜならほぼ真ん中のストレートだったからだ。だがこれをファールにしてしまう。だがこのファールになったミスショットが、本当に良いフォームになっていたのだ。崩されてのファールではなく、自分自身のスウィングをした上でのファールだった。だからこそ筆者はこの打席は行けると確信した。

普通ならもう甘いボールは来ないだろうな、と思うところなのだが、しかし呉選手の2球目のスウィングが和田毅投手の脳裏にも焼き付いたのだろう。3球目も、2球とほとんど同じような甘いストレートがど真ん中に入ってきた。和田投手も2球目のスウィングを見て「3球目は絶対に甘くできない」と考えたはずだ。少しでも甘く入れば次は絶対に仕留められてしまう、という状況での3球目が、和田投手の制球力を狂わせた。

142kmの甘いストレートを振り抜くと、打球はライトスタンドへと吸い込まれていった。まるでフリーバッティングを見ているかのような完璧なバッティングだった。もし仮に2球目で呉選手が自分のスウィングができていなければ、和田投手の手元が狂うこともなかっただろう。そうすればこの見事なホームランも生まれていなかったはずだ。

呉選手のスウィングは若手選手たちにはもっと見習って欲しい。空振りをした時も、ミスショットをした時も、しっかりと自分のスウィングを貫くことで甘いボールを呼び込めるようになる。呉選手が投手心理を理解していたかどうかは分からないが、しかし和田投手からすると、2球目の呉選手のスウィングを見たことにより3球目の手元も狂ってしまったというのが投手心理だったはずだ。そして呉選手の日々の活躍は、脱線事故という悲しいニュースに包まれている台湾にもきっと勇気を与えてくれるはずだ。

今日はルーキー2人がプロ初ヒットをマーク!

さて、今日は死球で骨折してしまった外崎修汰選手に代わり、ファームで4本塁打を放っていた渡部健人選手が初昇格し、いきなりスタメンに抜擢された。オープン戦では中途半端なバッティングしか見せることができなかった渡部選手だったが、ファームではそこから開き直り、しっかりと振り抜くバッティングを取り戻していたようだ。

初スタメンの結果としては1安打3三振だったわけだが、そのプロ初ヒットがレフトスタンドへのホームランとなった。打ったのはカーブだったと思うのだが、このカーブが曲がり切らずに非常に甘いコースに入ってしまった。これもやはり和田投手の失投だったと言える。和田投手としてはボール1〜2個分ずつ外角へ、そして低めへカーブを落としたかったはずなのだが、ボールが抜け切らなかったのだろう、かなり甘い高さへのカーブになってしまった。だがこの失投をミスショットすることなく豪快にスタンドまで運んだのは、さすがはドラフト1位選手だ。ナイスバッティングだった。

プロ初ヒットと言えば、若林楽人選手にもようやく1本飛び出した。この試合の2盗塁を合わせて盗塁はここまで4つ決めている若林選手だったが、代走から途中出場したこの試合の初打席で飛び出したレフト前ヒットが、若林選手にとっては記念すべき初ヒットとなった。ルーキーとしてオープン戦からずっと頑張っていただけに、早く1本打たせてあげたいと願っていたのだが、ようやくその1本が飛び出してくれて本当によかった。これで若林選手自身、来週からはもっと楽な気持ちで打席に立てるのではないだろうか。

若獅子たちの躍動がチームの危機を救ってくれた

ライオンズはここまで得点が40、失点が20とその差はダブルスコアとなっている。投手陣がしっかりと抑え、打撃陣がそれに応えてくれているという形だ。怪我人が続出していることが本当に気がかりではあるが、しかしその穴を埋めるためにグラウンドに立っている若獅子たちが本当によく躍動している。熱中症のブランドン選手を含めると4選手を欠いているわけだが、その穴を感じさせない若獅子たちの活躍だ。

ライオンズはようやく外国人選手たちも来日を果たし、打者2人は4月中の1軍合流、投手2人は5月中での1軍合流が見込まれている。とにかく外国人選手が5人揃うまでは、若獅子たちの活躍によって戦っていくより他ない。だがこの状況が不安には感じられないほど、若い選手たちがしっかりと内容のある野球を見せてくれている。このような戦い方を続けていければ、このままスタートダッシュを続けることもできるだろうし、もしかしたら外国人選手たちが入り込む余地すらなくなるかもしれない。しかし本当にそうなったとしたら、今年こそは間違いなくメットライフドームで日本シリーズを見られるはずだ。

埼玉西武ライオンズ元1軍コーチ推奨!THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者カズコーチ監修『よくわかる!投球障害予防改善法-徹底解説ビデオ』

THE埼玉西武ライオンズガゼット

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