打てない山川選手と、マークされても打ち続ける柳田選手との相違点

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山川穂高

柳田悠岐選手から差をつけられるばかりの山川穂高選手

今オフの契約更改でホークス柳田悠岐選手の年俸は1,000万円アップし、推定6億2,000万円となった。そしてこの時の会見で柳田選手が口にしたのは「不甲斐ない成績だった。これが今の実力」という言葉だった。ちなみに柳田選手の今季の成績は打率.300、本塁打28、打点80、得点圏打率.298で、一方山川穂高選手は打率.232、本塁打24、打点66、得点圏打率.172だった。

柳田選手のこの数字が不甲斐ないものとなってしまうのならば、山川選手の数字は一体どう表現したら良いのだろう。確かに年俸の額はまったく違う。柳田選手の6億2,000万円に対し、山川選手の来季年俸は推定1億3,000万円だ。6億という柳田選手の年俸を鑑みれば、確かに今季の成績は不甲斐ないということになってしまうのかもしれない。

だが山川選手が自ら掲げた来季のテーマは12球団ナンバー1の4番打者になることだ。ということはこの柳田選手を上回る必要があるということになる。年俸の額はさておき、打率・本塁打・打点・得点圏打率などすべてで柳田選手を上回れなければ、12球団ナンバー1の4番打者にはなれない。

近年の山川選手のビッグマウスには筆者は少し聞き疲れて来たのだが、志が高いこと自体は良いことだと思う。だがもう少し謙虚な言動を見せた方が良いのでは、と思うこともしばしばあるのが筆者個人の正直な意見だ。

パ・リーグ他球団に攻略法を確立された山川穂高選手

ではなぜ山川選手は近年まったく打てなくなってしまったのか?いや、24本塁打も打っているため「まったく」という表現は相応しくはないわけだが、しかし4番打者としての働きという意味では「まったく」と言えるのではないだろうか。

そしてその答えは数字を見れば明らかだ。2年連続ホームラン王となった打者を、パ・リーグ5球団が放っておくはずがない。山川選手は相手チームのスコアラーに完全に丸裸にされてしまっている状態なのだ。山川選手を打ち取りやすいパターンがパ・リーグ5球団で確立されてしまっている。

その証拠にセ・リーグ6球団それぞれとの対戦打率で、山川選手の今季の通算打率.232を下回ったのはDeNA戦だけだった。残りセ・リーグ5球団の対戦打率はいずれも通算打率を上回っている。

広島戦.364、中日戦.333、巨人戦.273、ヤクルト戦.250、阪神戦.250、DeNA戦.100

一方パ・リーグ5球団それぞれの対戦打率は、日本ハムと楽天戦以外は今季の通算打率を下回っている。

楽天戦.258、日本ハム戦.245、ソフトバンク戦.222、ロッテ戦.206、オリックス戦.203

楽天戦と日本ハム戦だけは今季の通算打率.232を上回っているとは言え、.258と.245という低水準な数字となっており、自信を持って「上回っている」とは言えない程度の数字だ。

対戦数が少ない場合は、基本的に野球というスポーツは圧倒的に打者よりも投手が有利となる。にも関わらず対戦数の少ないセ・リーグ相手では、5球団の対戦打率が通算打率を上回っている。これはつまり、セ・リーグ各球団がまだ山川選手のウィークポイントを見つけられていないことを意味する。

逆にパ・リーグでは山川選手のウィークポイントが洗い出されていて、投手がデータに沿ってしっかりとボールをコントロールできさえすれば、山川選手を抑えることはもはや難しいことではなくなっているのだ。

一方の柳田悠岐選手は今季の通算打率.300に対し、各球団との対戦打率は以下のようになっている。

西武戦.371、ロッテ戦.356、日本ハム戦.284、楽天戦.272、オリックス戦.267

巨人戦、.273、DeNA戦.273、阪神戦.273、中日戦.250、広島戦.200、ヤクルト戦.091

西武戦では.371という圧倒的な対戦打率を残してはいるのだが、この打率を西武投手陣はそれほど気にする必要はない。なぜなら被本塁打は3本で、打点も9に抑えているからだ。この数値は高く評価できると思う。

柳田選手の場合も、パ・リーグ5球団は徹底的にマークしているはずだ。にも関わらず西武・ロッテ戦ではしっかりとヒットを打ち、他の3球団からもそこそこの打率を残せている。つまり徹底的にマークされているのに、柳田選手はその上を行っているということだ。ここが山川選手との最も大きな違いと言えるだろう。

緩急に翻弄されている山川穂高選手

では山川選手は来季はどうすれば良いのか?一般的には改善法としては長所を伸ばすか、弱点を克服するかという二点に絞られるわけだが、長所を伸ばしたところで相手投手が得意ゾーンに投げてくれる可能性は非常に低い。ということは、弱点を克服しなければ打てるようにはならない、ということだ。

来季も相手チームは徹底的に山川選手のウィークポイントを突いてくるはずだ。すると山川選手が打てるボールは、追い込まれる前の失投ということになる。つまり投手がコントロールミスをして、山川選手の得意ゾーンに投げてしまうというケースだ。

ちなみに追い込まれてしまうと、得意ゾーンに来てもミスショットをしたり、追い込まれている分スウィングが弱くなったりしてヒットになる確率は、追い込まれる前よりも大幅に低下してしまう。全盛期のイチロー選手でさえも、追い込まれたあとの打率は2割台だった。

山川選手はとにかく泳がされることが多い。これは体重移動をして打っている打者の最大の弱点で、緩急に非常に弱いのが特徴だ。つまり山川選手を抑えるためには、遅い変化球を見せてから速いボールを投げるか、速いボールを投げてから遅いボールを投げるかをすればいいのだ。

未だにウェイトシフト(体重移動で飛ばす打ち方)で打っている山川選手はスウィング中の頭の移動が非常に大きいため、バッテリーからすると緩急を使いやすい打者ということになる。

言い方を変えると、豊富な球種で緩急を上手く使ってくる先発タイプの投手よりも、少ない球種で力で押して来ようとするリリーフタイプの方が、山川選手にとっては打ちやすいということになる。

現に山川選手が終盤でホームランを連発した際の相手投手は試合終盤のリリーバーばかりで、先発投手は日本ハムのアーリン投手くらいだったと思う。だがこのアーリン投手は山川選手がホームランを打った試合では4回6失点と大不調だった。

こうして見ていくと来季山川選手が打てるようになるためのポイントは、どれだけ逆方向を意識したバッティングができるのか、ということではないだろうか。プロでもアマチュアでも引っ張るばかりの打ち方では緩急に対応することはできない。

近年の山川選手は「緩急さえつけておけば、打たれてもそれほど大怪我することのない打者」という枠に入れられてしまっている。この相手投手からの見られ方を変えるためには、やはりアーリン投手からホームランを打った時のように、しっかりと逆方向を意識して振り抜くということに尽きるのではないだろうか。

例えばかつての中島裕之選手のように反対方向に引っ張ることができる打者というのは、投手からすると緩急を活かしにくくなるため非常に投げにくい。山川選手もそのような姿を数多く見せて相手投手の頭にその残像を残せるようになれば、相手投手も緩い変化球を投げにくくなり、緩急ではなくコースで勝負しようとする場面が増えてくる。

すると山川選手からすればコースさえ絞ってしまえば緩急によってスウィングを崩されることが少なくなり、打率.280前後で30〜35本塁打程度の数字は残していけるのではないだろうか。

だがそれでも残念ながら柳田選手の数字を上回ることはまだできない。しかしいつかは、柳田選手の力が衰える前に、山川選手には是が非でも柳田選手の数字をすべて上回って欲しい、というのが筆者のみならず西武ファンの総意だと思う。

埼玉西武ライオンズ元1軍コーチ推奨!THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者カズコーチ監修『よくわかる!投球障害予防改善法-徹底解説ビデオ』

THE埼玉西武ライオンズガゼット

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