タグ「辻発彦」が付けられているもの

源田壮亮

2023年は源田壮亮主将をキャプテン職から解放してあげるべきだ

2020年からライオンズのキャンテンを務めているのはご存知源田壮亮主将だ。だが筆者は来季2023年は源田主将をキャプテン職から解放してあげるべきだと考えている。かと言って決して源田主将にキャプテンシーがないということではない。

だが源田主将がチームを1つにまとめられているかと言えば、決してそんなこともないと思う。例えばかつての石毛宏典選手のように力強い言動でチームを牽引することは源田主将にはできない。

石毛選手は年上の選手にも言うべきことは言う選手だった。だが果たして源田主将はどうなのだろうか?年上の山川穂高選手にも言うべきことがあれば言うことができるのだろうか?筆者の印象では、これは少し難しいような気がする。

もちろん源田主将にはキャプテンシーはあると思うが、しかしほとんどまとまっていない現状のチームを1つにまとめるのは、源田主将には荷が重すぎると思う。あまり気を遣いすぎれば成績にも響いてしまうだろう。

それならば来季はキャプテン制を廃止し、一人一人の選手がもっと個々で責任や役割を考えながらプレーしていくようにすべきだ。そしてそれに着いて来られない選手はどんどん篩い落とせば良いと思う。

プロフェッショナルからも尊敬される秋山翔吾選手

秋山翔吾選手が抜けて以来、ライオンズが1つにまとまっているなと感じられたことはない。少なくとも筆者には。ライオンズの他の選手たちも、日本代表として活躍していた秋山選手に言われればしっかりと考えるしかなくなる。秋山選手はメジャー移籍直前の2019年のみでキャプテンを務めたわけだが人柄、野球に対する姿勢、成績のどれをとっても一流だった。

プロ野球選手が憧れる存在の一人、それが秋山翔吾選手だった。しかし山川選手などはどうだろうか。2019年、山川選手と森友哉捕手はコンディション不良を理由に日本代表を辞退した。だがコンディション不良だったにもかかわらず、ガンガン練習をしている姿をSNSに公開していた。

仮に「動けないというほどのコンディション不良」ではなかったにしても、コンディション不良で代表を辞退しているのだから、日本代表が戦っている最中にSNSでそのような元気な姿を見せるのはどうかと思う。そこは治療を受けている姿や、マッサージを受けている姿を見せるべきではなかったろうか。

日本代表の選手たちからすれば、「あれ?山川と森はコンディション不良じゃなかったの?ガンガン練習できてるじゃん!」ということになってしまう。実際ライオンズのチームメイトとして、二人のその行動が理由で代表チームにおいてやや肩身の狭い思いをしたのが秋山翔吾選手だったと伝えられている。

秋山翔吾選手を尊敬するプロ野球選手や野球人は大勢いるが、果たして山川選手や森選手を尊敬するプロ野球選手はどれくらいいるのだろうか?ちょっと気になるところではある。

チームが一つにまとまっていないように見える近年のライオンズ

今のライオンズの選手たちは「自分が活躍すれば勝てる」と考えているように見える選手ばかりだ。山川選手などはまさにそうで、実際に「自分が打てばチームは勝てるはず」という自分本位な言葉を公言している。だが野球というスポーツはそうではない。

メジャーリーガーのような圧倒的な力を持った選手は別としても、日本人選手の場合は打線をしっかりと線として描いていかなければ勝つことは難しい。かつての流線型打線のように。例えば一昔前、ジャイアンツは他球団の四番打者ばかりをFAで集めてきて戦ったわけだが、注ぎ込んだ資金の割には思うように勝つことはできなかった。

今のライオンズも同じ状態だ。個々がそれぞれで勝手に頑張っている状態で、2008年に見られたようなチームの輪がまったく見えてこない。その時当事者だった栗山巧選手中村剛也選手はまさにその差を今感じているのではないだろうか。

主将経験のある栗山選手や松井稼頭央コーチなどは、源田選手を少し気の毒とも思っているかもしれない。これだけバラバラに見えるチームを1つにまとめ上げるのは、石毛宏典選手でも一苦労なはずだ。いや、しかし石毛選手であれば仮に自分が年下であっても中心選手である山川選手らに物申しただろう。

レイムダックを感じた辻発彦監督の言葉

ライオンズはこれで終盤6連敗となり、優勝どころかCS進出にも黄信号が灯っている。だが今のチーム状態では、むしろスッキリと負けてしまった方が来季のためになるのではないだろうか。

辻発彦監督でさえも連敗を喫している中で「明日・明後日勝てば良い」という根拠の乏しいコメントを残している。だがこの連敗の中で、もう明日・明後日勝てばそれで良いという状況ではない。筆者はこの辻監督の言葉を聞いた時、もう辻監督はレイムダック状態なのではないかとさえ感じたほどだ。

一般的な認識では、今季優勝できなければ辻監督は退任し、松井稼頭央新監督誕生という流れになっている。辻監督自身それは十分分かっているはずだ。そんな中で8月末は首位に立っていたのに、9月に入ると一気に転落し、貯金も残すところあと1つとなってしまった。

残り7試合でこの背水からチームを甦らせることは事実上不可能に近い。そして残り7つすべて勝ったとしても、ホークスとバファローズが9月のライオンズのように自滅しない限り、ライオンズが上位に浮上することはできない。もうそのような段階となる残り試合数なのだ。

森祇晶監督以降、東尾修監督、伊原春樹監督、伊東勤監督、渡辺久信監督、田邊徳雄監督、辻発彦監督と続いてきたが、森監督以降でリーグ優勝して日本一になったのは渡辺久信監督だけだった。伊東監督も日本一にはなったが、レギュラーシーズンはリーグ優勝したホークスから4.5ゲーム差の2位だった。

選手時代は日本シリーズでプレーすることに慣れ切っているようにも見えた辻監督だが、今季はもうリーグ優勝の可能性はほとんど残っておらず、日本シリーズに進出するためには3位に浮上して下克上により順位をひっくり返すしか手段はない。

だが2018〜2019年とリーグ連覇を成し遂げながらも、CSではホームグラウンドでありながらホークスに手も足も出ず簡単に敗れ去った過去を思い返すと、下剋上もまた非常に難しいと言わざるを得ない。

今のライオンズに必要なのは若き力よりも涌井秀章

だからこそ今季を中途半端に終えてしまうのではなく、選手たちが「自分たちは弱かった」と実感し、これからの考えや野球に対する姿勢を見直さざるを得ないような終わり方を迎えた方が、来季のプラスになるのではないだろうか。

そしてもしもBクラスならBクラスで今季を終え、レギュラーもポジションも打順も、一度すべて白紙に戻すべきだ。一度チームをしっかりと解体し、更地からまったく別のチームを作っていくくらいの気持ちで取り組まなければ、来季以降も監督が変わったとしても選手たちはダラダラと同じことを続けてしまうだろう。

仮に今季も負けて終えてしまったとしたら、秋季キャンプではすべて横一線からスタートさせるべきだ。それこそかねてより先発転向を希望していた平良海馬投手にも、秋季キャンプの時点からじっくりと先発調整をさせてあげるべきだと思う。

そして筆者には一つ要望がある。涌井秀章投手をライオンズに連れ戻して欲しいのだ。ライオンズには今、絶対的エースの存在がいない。一応髙橋光成投手がエースではあるが、しかしエース対決になるとなかなか勝ち切れない。

ライオンズ時代の涌井秀章投手は、エース対決でも簡単に負けることは絶対にない投手だった。先に点を与えたり、先にマウンドを降りることを絶対に良しとはしない投手だった。

2011年CSファイナルシリーズ第3戦、筆者は涌井投手と杉内俊哉投手の壮絶な投手戦を決して忘れることはないだろう。あの時見せた涌井秀章投手の闘志溢れる姿こそが、偽りのない絶対的エースの姿だった。

渡辺久信GMにはかつての教え子である涌井投手を連れ戻し、涌井投手のエース道をライオンズの若手投手たちに注入してもらいたいのだ。今の涌井投手であればそのようなこともできるし、内海哲也投手がユニフォームを脱いでしまう今季、生きたお手本がライオンズからは姿を消してしまう。

ここで投手陣の成長を止めないためにも百戦錬磨の涌井秀章投手を連れ戻し、マウンドでの立ち姿を見せることによって若き投手陣のさらなる成長を促してもらいたいのだ。

今季イーグルスの優勝の可能性も低くなってきている今、仮にイーグルスが3位以下でシーズンを終えたとすれば石井一久監督兼GMの退任も濃厚となる。そうなれば涌井投手がイーグルスに席を置く理由もかなり薄まり、楽天球団次第ではライオンズ再加入への障害もなくなる。

さらに言えば将来的に松坂大輔氏がライオンズで入閣した際、涌井投手にはその時は指導者として松坂コーチ(もしくは松坂監督)と共にライオンズ投手陣を叩き上げてもらいたいという夢まで筆者は抱いている。

6年間の辻野球は一体どこを目指していたのだろうか?

さて、今日はチームのまとまりについてかなりの文字数を割いたわけだが、筆者が最も尊敬している野球人三原脩監督はこう言っている。「アマは和して勝ち、プロは勝って和す」と。

ライオンズは長年勝てずにいる。つまり2008年を最後に日本一にはなっていない。だからライオンズはが和すことができないのだ。来季こそはしっかりと必要なピースを埋め(特に外国人選手の大砲)、選手個々が考え方を改め、個ではなくチームで戦えるように生まれ変わらなければならない。

調子が良ければ勝つけど、調子が良くなければピタッと勝てなくなるというライオンズの姿はもう見飽きた。調子が悪くてもチームが一丸となって戦い勝っていく大人のチームが見たいのだ。

何もいきなり黄金時代のように毎年日本一になってもらいたいとは思わない。だがせめて3年に1回以上はリーグ優勝し、6年に1回以上は日本一になり、そして優勝できなくても常に優勝争いに加わわれるチームになってもらいたい。だが今のままではそれは無理だろう。

そして何よりも今残念に感じているのは、2017年以降、一度も「辻発彦らしい」野球をライオンズが見せてくれなかったことだ。今季もここまでエラー数は12球団中10位で、ライオンズ内では守備が上手い選手と上手くない選手の差が非常に大きい。辻監督がそこを立て直し、かつては自身が見せた伝説の走塁のような緻密な野球をと期待していたのだが、2017から今季ここまで、どちらかと言えば大味な野球が多かったように思える。

もし辻監督が、せめて黄金時代の半分くらいの厳しさをチームに注入していれば、また違った結果になっていたのかもしれない。

ライオンズはまだ7試合残っているが、この6連敗はファン心理としては引導を渡されたようなもので、首元には秋風さえ感じられるようになったシルバーウィークとなってしまった。

辻発彦

東尾修監督は、野村克也監督のような名将だった

辻発彦監督監督はとても良い監督だと思う。だが名将とは言い難い。これはあくまでも筆者個人の意見でしかないわけだが、筆者が思い描く名将像から辻監督は少し外れてしまうのだ。

もちろん一般的には勝てる監督が名将と呼ばれるわけだが、仮に勝てなかったとしても名将と呼べる監督は大勢いたと思う。例えば日本一にはなれなかったが東尾修監督は名将だったと思うし、平石洋介元楽天監督も名将になり得た監督だった。

筆者が思い描く名将とは、采配や言葉から確かなヴィジョンが見えてくる監督のことで、必ずしも勝てる監督というわけではない。例えば極端な話、名将だったとしても補強が上手くいかなければチームは勝てるようにはならない。例えば渡辺久信監督の時代は補強策が上手くいかず、コーチ側にも選手側にもトラブルが発生し、2009年以降は少しずつチーム内の風通しが悪くなっていた。

ちなみに渡辺久信監督は名将だったと思う。ディフェンスで勝ちに行く野球を目指すというヴィジョンが采配や言葉から見えて来たし、そのヴィジョンに沿った選手育成も徹底していた。例えば先発から守護神に転向させた涌井秀章投手の再生法なども、野手出身監督ではなかなか思い切れなかった名采配だったと思う。

東尾修監督にしても「Hit!Foot!Get!」というスローガンの下、エースを中心として、相手投手の嫌がる攻撃で勝ちに行くというヴィジョンが明確だった。そのためチームがよく1つにまとまっていた。もし東尾監督でなければ、97〜98年のリーグV2もなかったかもしれない。

東尾監督は、野村克也監督のようだった。1995〜2001年の7年間でチームは完成を目前としていた。しかし2001年に3位に甘んじてしまったことにより退任せざるを得なくなってしまう。

だが黄金時代のエースたちがどんどんいなくなっていった投手陣をあっという間に再建し、松井稼頭央選手というスーパースターを育て上げ、中島聡捕手を獲得することで伊東勤捕手を若返らせた采配は、まさに名将と呼ぶに相応しいものだった。

そして東尾監督が完成させたチームを引き継いだのが伊原春樹監督だったわけだが、その完成したチームによって2002年は圧倒的な強さでリーグ優勝を達成する。だが日本シリーズでは、ペナントレースと同じ戦い方に執着したことで巨人相手に4連敗を喫してしまった。

東尾監督が完成させたチームが勇退直後に優勝する姿は、まさに阪神・楽天時代の野村克也監督そのものだ。2002年のライオンズの優勝は、東尾監督にとっては本当に口惜しい物ではなかったろうか。

あちこちで確執を生み続けた伊原春樹監督

さて、東尾監督の後任であった伊原監督は、選手との間に確執の絶えない監督でもあった。デニー友利投手は伊原監督との確執によりトレード志願をしたと言われているし、涌井秀章投手にしても心情を逆撫でされるような言葉を伊原監督から言われ、ライオンズに残る意思もあったにもかかわらず、そのタイミングでライオンズを去ってしまった。

2014年の伊原監督は、渡辺久信監督の辞任を受けての再登板だったわけだが、チーム内で数多くの不協和音を発生させ、チームを空中分解させてしまい、開幕から僅か53試合指揮を執っただけで解任となってしまった。ちなみに伊原監督は鈴木健選手、野村克也監督との間にも確執があった。

渡辺久信GMは、この時のことがしっかりとイメージとして残っていたのだろう。渡辺久信監督が辞任した際、西武球団の当時の鈴木葉留彦球団本部長は次期監督の育成を完全に怠っていた。渡辺久信監督時代の終盤の2軍監督には、将来的に1軍監督になる可能性がまずなかった行沢久隆氏が据えられていた。

次期監督をまったく育成できていなかったことから、西武球団は伊原監督を再招聘するしかなかったというのが実際のところだった。だが鈴木葉留彦本部長のこの登用は完全に失敗に終わる。

間違いなく名将と呼んでいい渡辺久信GM

監督を育成していなかった失敗を反省したのか、その後のライオンズは将来的な1軍監督を見据えて2軍監督を選ぶようになっていく。2013年からの3年間は潮崎哲也2軍監督、そして2016年は横田久則2軍監督を挟み、2017年からはまた2年間潮崎2軍監督となる。潮崎2軍監督は、何度か1軍監督候補として名前が挙がった。

そして2019年からの3年間は、現在の次期監督最有力候補である松井稼頭央2軍監督となり、2022年からは西口文也2軍監督へと継投されていく。

契約更改でも幾度となく選手から反感を買った鈴木葉留彦氏が去り、渡辺久信GMが誕生すると、ライオンズの状況は一気に改善していった。まずフロントと選手間にあった確執がなくなり、主力選手の流出が止まっただけではなく、かつてライオンズを去っていった人たちが引退の場、そして指導者としてライオンズに戻って来てくれるようになった。

監督としては一度しか優勝できなかったが、GMとしての手腕を振り返っていくと、渡辺久信GMは間違いなく名将と呼ぶことができるだろう。そして近い将来、このGMはきっと故根本陸夫のような存在になっていくのだと思う。

今はまだ名将と呼ぶことはできない辻発彦監督

辻監督は選手に近付き過ぎてはいないだろうか。監督というポジションは、必要以上に選手との対話はすべきではないと思う。なぜなら監督と選手が親しくなればなるほど、監督側にその選手に対する情が湧いてしまうからだ。

例えばオークランドアスレチックスのかつてのビリー・ビーンGMは、情が湧いて選手を解雇したり放出したりしにくくならないように、何かを通達する時以外は選手との接触は避けていた。

だが辻監督は練習中などでも選手と談笑していることが多い。ビーンGMほど厳格に行動する必要はないとは思うが、しかし辻監督と選手たちの姿を見ていると、時々学校の先生とその生徒たちという風に見えてしまうことがあるのだ。

果たして辻監督が情に流されていないと言い切ることはできるだろうか。まず、まだオフになったばかりのこのタイミングで来季の4番打者としてもうすでに山川穂高選手を指名しているし、増田達至投手が再び守護神のポジションを目指したいと言った直後に、来季の守護神は平良海馬投手でいくと明言している。

まず、2年以上4番として安定した仕事をしていない打者に対し、この早いタイミングで4番として指名するのはどうかと思う。確かに本塁打王を二度獲得しているが、来季になればもうそれは3年前の話となってしまう。

守護神の指名にしても、確かに平良投手の実績を踏まえれば守護神に据えるのは当然だと思う。だがこれまで素晴らしい実績を残し続けていた増田投手に対し、年も明けないうちから競争させずにセットアッパーだと言い切ってしまうのはやや失礼ではないだろうか。

また、先発志望を持つ平良投手に関しても「2022年は先発はさせない」と言い切った。もちろん「守護神として期待している」という言葉の裏返しではあると思うのだが、しかしその言葉の裏まで読み取れる選手が多いとは思えない。

また、辻監督からは明確なヴィジョンが見えてこない。一体どんな野球を目指し、それに対しどのような戦略を組み立てているのだろうか。辻監督の言葉は希望的観測であることが多い。不振が続く山川選手に対しての言葉も、足首の手術からの退院が傷口からの感染症により大幅に遅れている平良投手に対しての言葉も、監督の期待にまったく応えられずにいる金子侑司選手に対する言葉もだ。

辻監督はもっと緻密な采配や野球を見せてくれると期待していたのだが、ここまでの采配はまるでNo Limit打線の延長線上のようにも見える。打つことによって勝ち、打てなければ勝てないという野球が続いている。

選手たちが調子が良ければ勝てる、という野球をやっているうちはライオンズが再び常勝時代を築き上げることはできないだろう。選手が不調に陥れば、その選手を短期間で復調させる采配を見せなければいけない。

例えば東尾監督が西口文也投手を、渡辺久信監督が涌井秀章投手を短期間で復調させた時のように。だが辻監督は毎年のように山川選手に対し期待をしながらも、2年以上彼を復調させることができていない。

1番打者に関しても、東尾監督があっという間に松井稼頭央選手を育て上げたようにはいかず、秋山翔吾選手が抜けてからは2年も1番打者を固定できずにいる。ただ、1番打者問題に関しては若林楽人選手が解決してくれそうだ。だがそれまでは毎年のように金子侑司選手に期待をしながらも失敗を繰り返している。

もし辻監督が名将と呼べるのであれば、山川選手や金子選手をもっと短期間で再生できていたはずだ。だが辻監督は希望的観測を繰り返すばかりで、未だに二人を再生できずにいる。

さらに言えば、この5年間で絶対的エースも育てられずにいる。メジャーに移籍した菊池雄星投手にしても、上位チーム相手には一切勝てないままだった。

このような観点から、あくまでも現段階での筆者の個人的感想なのだが、辻監督は良い監督だとは思うが、名将ではないと思う。選手とのコミュニケーションの仕方を見る限りでは監督業よりも、監督と選手、監督とコーチの間に立ちパイプ役となるヘッドコーチ職の方が合っているように思える。

おそらく2022年は、辻監督はリーグ優勝をして日本シリーズに進まない限りは勇退となるだろう。仮に圧倒的ゲーム差でリーグ優勝をしたとしても、またもやCSで敗れたならば続投はないはずだ。

2018年にリーグ優勝した際には2年契約となった辻監督だが、その後は1年契約に戻っているのがその一つの表れだと思う。そして辻-馬場コンビに脆弱性が見えたからこそ、渡辺GMは今オフは大胆にメスを入れていった。

着実に進んでいる松井稼頭央次期監督の育成

渡辺久信GMは、松井稼頭央次期監督の育成にはかなり本気で取り掛かっている。まず、将来の1軍監督就任を見据えて引退後すぐに2軍監督に据えているし、2022年に関しては、広岡達朗監督、森祇晶監督、野村克也監督、落合博満監督という名だたる名将に仕えて来た辻発彦監督から帝王学を学ばせるため、辻監督の近くにいることが最も多いヘッドコーチ職に就かせている。さらには松井監督誕生時のヘッドコーチとして、平石洋介打撃コーチの招聘にも成功している。

将来の松井稼頭央監督がどのようなヴィジョンを持ってチーム作りをしていくのかはまだ分からない。だが監督候補がおらず、監督向きではない伊原監督、田邊徳雄監督が誕生した時とは比べ物にならないほど、次期監督の育成が着実に進んできている状況だ。

この流れを考えると、2022年は辻発彦監督は松井稼頭央次期監督に繋いでいくためのさながらセットアッパーということになるのではないだろうか。やはり圧倒的強さで日本一を達成しない限りは、2023年の続投はないように思える。

辻監督自身、来季はセットアッパーであるという自覚を少な必ずお持ちだと思うし、2023年はないという覚悟もあると思う。だがここでレイムダックになってしまうのではなく、そう簡単には松井稼頭央ヘッドコーチに監督の座は禅譲しないという気概を感じさせる、名将としての采配と意地を見せてもらいたい。

そして決して情や希望的観測に流されることなく、辻監督が本当に目指したい野球を来季は見せてもらいたい。だがもしそれが山賊打線の再来であるならば、ライオンズは来季も優勝することはできないだろう。

なぜならば、渡辺久信GMがすでに山賊打線は過去の遺物だと言い切り、それを前提に補強策を進めて来ているからだ。だからこそ辻監督には、かつて自らが仕えて来た名将たちのような緻密な野球を見せてもらいたいし、また山川選手が打てなかったとしても勝てる野球を見せてもらいたいのだ。

このパラダイムシフトさえ可能となれば、2022年の辻ライオンズは圧倒的な強さで日本一を達成できるはずだ。まるで森・広岡ライオンズ、野村スワローズ、落合ドラゴンズのように。

石毛宏典

完全に絶えぬ前に継承していきたい黄金時代のDNA

昭和から平成への変わり目にかけて、西武ライオンズは黄金時代の絶頂にあった。この頃のライオンズは、V9時代のジャイアンツよりも強いのではないかとさえ言われていた。

ライオンズとしてはこの黄金時代のDNAをもっと遺していきたいわけだが、現在ライオンズに在籍している主要ポストにいるレジェンドと言えば渡辺久信GM、編成部の潮崎哲也ディレクター、そして辻発彦監督くらいだろうか。

では他の黄金時代のレジェンドたちはもうライオンズには戻って来ないのだろうか?まずは秋山幸二元ホークス監督だが、彼は辻監督がライオンズに復帰したのと時同じくし、やはりライオンズの監督候補として名前が挙げられていた。だがこの時は秋山監督が実現することはなかった。

工藤公康前ホークス監督に関しては、現役の最後でまたライオンズのユニフォームを着た後、指導者としてライオンズに残っても良さそうな気はした。だがライオンズを1年で戦力外となった後も現役にこだわったことから、再びライオンズを退団するという形で去ったことで、西武球団もさらにもう一度工藤公康投手を指導者として招聘し辛くなったことは確かだと思う。

そして意外と一度も指導者としてライオンズに戻って来ていない人物として、平野謙氏の名前を挙げることができる。守備走塁面や職人技のバントで本当に高いスキルを持っていたのだが、しかし1993年にゴールデングラブ賞を獲得しながらもライオンズを戦力外になった影響なのだろうか、これまで指導者としてライオンズのユニフォームを着ることは一度もなかった。

ライオンズに戻れなくなってしまったレジェンド

また同様に、石毛宏典氏もライオンズへの指導者としての復帰が現実的に検討されたことはこれまで一度もなかった。石毛氏のライオンズ監督就任の話が挙がったのは、ライオンズの監督就任の話を蹴ってホークスに移籍した時だけだった。その後はホークスの2軍監督として(意図があったとは言え)じゃんけんでオーダーを決めたり、フロント批判とも取られる発言がありホークスには戻れなくなってしまった。

その後2002〜2003年にはオリックスの監督を務めたのだが、2003年は僅か20試合で解任されている。この時もやはり石毛監督はオリックスのフロントとの間に確執を生じさせている。このように二度も同じ過ちを繰り返していることから、ライオンズも石毛監督の誕生をリストから消してしまったのだろう。

ライオンズに戻れなくなったという意味では、伊東勤元監督のライオンズへの復帰は、今後限りなく100%に近い99%という確率で「ない」と言い切れる。その理由に関してここで書くわけにはいかないし、その理由を球団内の誰から聞いたのかも書くことはできない。なぜならオフレコだったからだ。

そしてその理由は筆者が知る限りでは、マスコミが報じたことも一度もない。マスコミも知らないのか、もしくは知っているけど忖度して書かなかったのかは分からないが、とにかく筆者もここでその理由を書くわけにはいかないのだ。だが、ある確かな理由から伊東勤元監督が今後ライオンズに復帰することはほとんどありえないというのが事実だ。

そしてやはり清原和博氏もライオンズへの指導者としての復帰は厳しいというのが現実だろう。ファンとしては「いつかは」という思いもあるが、しかしリハビリ中ということを考えればライオンズどころか、プロ野球への復帰自体が現実問題としては難しいだろう。

レジェンドで純粋な日本一を達成したのは渡辺久信監督ただ一人

こうして振り返ってみるとライオンズの黄金時代のレジェンドの中で、指導者として素晴らしい実績を残したのは東尾修監督、伊東勤監督、渡辺久信監督、辻発彦監督ということになる。そしてこの中でリーグ優勝からの日本一を達成しているのは渡辺久信監督ただ一人だ。

渡辺久信GMに関しては、実は今でも監督再登板の噂が絶えることがない。しかし東尾修氏に関しては年齢的には監督再登板は難しいだろう。だが東尾修監督のような人物が、1・2軍を行き来する統括投手コーチなどになってくれれば、ライオンズ投手陣の底上げもスピードアップするはずだ。

そして現職である辻発彦監督に関しては、ライオンズの監督になって以来まだ一度も「辻発彦らしい野球」をしたことがない。リーグ二連覇した時も打ちまくって勝ったという形で、勝つ時は豪快に勝つが、負ける時は手も足も出せない試合が多かった。

だがそろそろ投手陣の整備も進み、打線を線として繋げていける選手も揃って来た。2021年はまさにその過渡期だったと言える。今も昔も打力に頼った野球をするチームは短期決戦に弱い。しかしライオンズが今季あたりからようやく見せ始めて来た脱山賊打線のスタイルが形になり、先発三本柱の中から絶対的エースの存在が誕生して来れば、2022年は短期決戦で勝てるチームになっていけるはずだ。まさに黄金時代のライオンズのように。

筆者が辻発彦監督に感じている一つの物足りなさ

辻監督は本当に素晴らしい指導者だと思う。だが筆者が辻監督に対し物足りなさを感じている点が一つあり、それはチーム全体を同じ方向に向かせることができていない、という点だ。

もちろん優勝、日本一という目標は誰でも持っていると思うし、選手全員がその方向を向いているとは思う。だが大事なのは先に結果を見ることではなく、先にプロセスを大切にすることだ。

黄金時代のライオンズは、4番の清原和博選手でさえも自分を殺してチームバッティングに徹することが非常に多かった。チームの全員が、ONE FOR ALLの精神で個々の役割をしっかりと理解していた。つまりチームが勝つために今自分が何をすべきなのかを、全員が分かっていたのだ。

だが現在のチームはまだそのような大人のチームにはなっていない。山川穂高選手にしても今だに「自分がホームラン王になれば優勝できる」と考えているのだが、これは優勝できるチームの主砲の言葉としては相応しくはない。

主力としてまず考えなければならないのはチームの勝利であり、それを1つずつ積み重ねて優勝することだ。個人タイトルはその副産物であり、個人タイトルありきの勝利ではない。例え山川選手が50本塁打を打ったとしても、得点圏打率が今のように1〜2割台では話にならない。

辻監督は、このように未だ個を優先している選手に考えを改めさせる必要があると筆者は考えている。そういう意味では辻監督が個人的に臨時コーチとして清原和博氏を春季キャンプに招き、山川選手に「四番道」を説いてもらうのも良いのではないだろうか。そうすれば山川選手にとってもそれは大きな財産となり得るし、清原氏にとっても最高のリハビリとなるはずだ。

ここまで、辻監督は選手に優し過ぎたと思う。選手のやりたいようにやらせ過ぎていたと思う。伸び伸び野球と言えば聞こえは良いが、実際としてチームは一枚岩ではなかった。しかし来季はそうではなく、もう少し大人のチームになっていけるように、未だ個を優先する選手たちに、個より先にチームの勝利を重んじる考えができるように導いてあげて欲しい。

筆者が最も尊敬している野球人は三原脩監督だ。三原監督は「アマは和して勝ち、プロは勝って和す」という名言を残している。辻監督の下では二度リーグ優勝をしているわけだが、CSでは二年続けてホークスに手も足も出ずに負けてしまった。つまり辻ライオンズはまだプロとして和していない状態なのだ。

しかしここで辻監督が黄金時代のDNAを注入していくことができれば来季こそは日本一を奪回し、チャンピオンフラッグの下で和したチームはいよいよ新たな黄金時代を築き上げることができるだろう。

20211117.jpg

監督・コーチの育成にも力を入れる渡辺久信GM

松井稼頭央2軍監督が来季2022年は1軍ヘッドコーチを務めることになった。シーズン終了間際の報道ではチームが最下位に転落したことを受け辻発彦監督が退任し、松井稼頭央1軍監督が誕生するのではとも報じられていたが、これはただの空騒ぎで終わった。

スポーツ紙は来季監督に関してチーム内で二転三転していると下世話な報じ方もしていたが、果たしてそうだろうか。確かに報道陣に情報がリークされることによって人事が覆されるケースもあるわけだが、今回のライオンズの監督人事はそうではないと筆者は感じている。

まず第一に渡辺久信GMの考えがあったはずだ。自身は2軍監督を経て2008年に1軍監督に就任したわけだが、あの時1軍ヘッドコーチを経て1軍監督になっていれば、もっと違っていたかもしれない、という思いもあったのではないだろうか。

同じ監督業であっても、1軍監督と2軍監督とでは求められるものがまったく異なる。2軍監督は確かに勝つことも大切だが、それ以上に求められるのは若い選手を育成し、どんどん1軍に送り込むことだ。一方1軍監督はとにかく勝つことが使命となってくる。

もし渡辺GMが2008年、1軍ヘッドコーチや1軍投手コーチなどを経て1軍監督になっていたら、もう少し余裕を持ち、中長期的視野を持って1軍を率いられたのではないだろうか、という思いは0ではなかったと思う。その経験を踏まえ、渡辺GMはまず、松井稼頭央2軍監督を1軍ヘッドコーチとして起用したのではないだろうか。

流れとしてはもちろん、将来的な辻監督の後任は松井稼頭央ヘッドコーチになるのだと思う。この人事に意外性などは必要なく、ライオンズとしては今、松井稼頭央ヘッドコーチを1軍監督として育成している最中なのだと思う。監督・コーチをしっかりと育てていくというのは渡辺GMの方針の一つで、これはチーム力を長期的に維持していくためには非常に重要な要素だ。

渡辺GMが就任する前のライオンズは、特に投手コーチが長年チームを任されるケースが少なかった。そのためになかなか安定した投手陣を形成することができなかったわけだが、渡辺GM就任後はコーチ陣がそれぞれ責任を持ち、腰を据えて指導ができているように見える。これは渡辺GMが成功させたチーム改革の一つだと言える。

監督候補に続々名前が挙がり始めた東尾チルドレン

今季は松坂大輔投手が引退したわけだが、チームとしては当然松坂投手には2軍投手コーチなどのポストで残ってもらいたかったはずだ。

だが松坂投手は家族思いであると言う。長年大変な思いをさせていた家族と過ごすための時間を求めたのかもしれない。しかし長い現役生活を終えたばかりなのだ。まずはゆっくりと休んでもらいたい。

そして1年ほど外から野球を見た後で、コーチとしてライオンズに戻って来てもらいたい。松坂投手自身はコーチという肩書きに拘りは持っていないようだが、しかし将来的にライオンズの監督としてチームを率いるのであれば、コーチ経験は確かなアドバンテージとなる。

今ライオンズには松井稼頭央ヘッドコーチ、西口文也2軍監督、松坂大輔投手という将来の監督候補たちがいる。3人とも東尾修監督の元で野球を学んだ選手たちだ。野村克也監督の人材育成力には及ばないものの、東尾監督の育成力も目を見張るものがある。

そして辻監督はこれまで、あらゆる名将の元で帝王学を吸収してきた監督だ。怪我人の続出や外国人選手の不調という想定以上のものがなければ、今季だって優勝争いに加わっていたはずだ。現にシーズン開幕直後は怪我人が続出するまで、順調に首位争いを繰り広げていた。

そう考えると辻監督の辞任の可能性はあったとしても、解任前提の人事ではなかったと思う。スポーツ紙が来季の監督人事に関して二転三転していると書いたのは、おそらく自分たちが先走って報道した「辻監督辞任・松井新監督誕生」が完全に外れてしまい、それを正当化させようとした悪あがきだったのではないだろうか。

今も昔も報道は事実だけを伝えているわけではない。多くのケースでは他紙を先行しようと予測報道をしている。そしてその報道によって野球人生を狂わされてしまう選手、監督、コーチもいる。そう考えると報道の自由には時々大きな疑問を抱いてしまう。

とにかく来季以降の陣容は固まった。辻監督と松井ヘッドコーチのコンビに加え、松井ヘッドコーチのサポート役にも回ってくれる平石洋介打撃コーチ。そして2軍を率いるのはチーム内でも最も人望がある人物である西口文也2軍監督。

コーチングスタッフを見るだけでも、来季はワクワクするような野球を見せてくれるような予感がする。今季のリーグ優勝はセパ共に前年の最下位チームだったわけだが、一年後にはライオンズが最下位からリーグ優勝を果たし、念願の日本一を奪回しているのだろう。

20210220.jpg

名将森祇晶監督と辻発彦監督の違い

辻発彦監督は果たして名将なのか、と問われたら、筆者は迷わず「名将」だと答えるだろう。それは就任4年間で2回リーグ優勝を果たしたという実績もさることながら、それ以上にチーム全体を同じ方向に向かせることが非常に巧い監督であるからだ。

辻監督は令和の時代に合った名将だと言える。かつてのライオンズの名将森祇晶監督とはまた異なったタイプの名将だ。

ちなみに筆者個人の意見としては、今のライオンズを森監督が率たとしても80〜90年代のような戦績を挙げることは難しいと思う。その理由は、森監督は揃っている駒の使い方が巧みなタイプの監督だったからだ。駒が揃っていれば森監督ほど巧みに野球をする方はいないと思うが、駒が揃っていないと、ベイスターズを率いた2年間のように思い通りの野球ができない試合が多くなる。

一方辻監督は、成熟し切っていないチームに同じ方向を向かせ、締める時は締め、緩める時は緩めるという操縦術が巧みだ。現代の選手たち、そして成熟し切っていない若いチームを率いるには最適の監督だと思う。

大人のチームを率いさせれば森祇晶監督、成熟し切っていないチームならば辻発彦監督が適任だと言えるだろう。

森祇晶監督退任以降のライオンズ監督たちのそれぞれのタイプ

森祇晶監督退任以降、ライオンズの監督を務めたのは東尾修監督(1995〜2001)、伊原春樹監督(2002〜2003、2014)、伊東勤監督(2002〜2007)、渡辺久信監督(2008〜2013)、田邊徳雄監督(2015〜2016)、辻発彦監督(2017〜)と、26年間で計6人の人物が監督を務めている。

この中でタイプ分けをするとすれば、伊東勤監督は同じ捕手出身ということもあり、森祇晶監督と同じタイプの監督だと思う。揃った駒の使い方が巧みなタイプだ。そして東尾監督・渡辺監督・辻監督が同じタイプだと言えるだろう。その時代の選手たちの特徴に合わせた柔軟な采配を執ることができる。

田邊監督に関しては、恐らくは監督をやりたいという希望はなかった監督だったと思う。2014年に伊原監督がシーズン途中で早々に引き下がってしまったために代行監督となり、2015年から2年間正監督として指揮を揮ったわけだが、田邊監督はチームを率いるというよりは、監督の意向を汲みながら選手たちを育成することが得意な方だ。

伊原監督に関しても決して監督タイプの人物とは言えないだろう。三塁ベースコーチとしての実績は申し分なく、2002年に監督として戦ったレギュラーシーズンの戦績にも申し分ない。だが柔軟性がまったくなかった。もし伊原監督に柔軟性があれば、2002年の日本シリーズも4戦4敗という形にはならなかったのではないだろうか。また、FAなどでライオンズを去る選手ももう少し減ったはずだ。ちなみに伊原春樹監督との確執が原因でライオンズを去ったと言われている主力投手が少なくとも2人存在している。

監督就任の準備が整っていた渡辺久信監督と辻発彦監督

東尾監督・渡辺監督・辻監督が同じタイプであると上述したわけだが、ここでも東尾監督・渡辺監督タイプと、辻監督タイプの2つに分類することができるだろう。東尾監督と渡辺監督は投手目線により、相手チームが嫌がる野球を目指していた。東尾監督の場合は「Hit!Foot!Get!」のスローガンの下、俊足走者で塁上を賑わせ、バッテリーの集中力を削いでいくという野球を目指した。

渡辺監督の場合もやはり投手目線で、バッターたちにしっかりと振らせることにより、空振りをしても凡打になっても相手投手に嫌な印象を与える野球を目指していた。

逆に辻監督の場合は、まずは自分たちの野球をしっかりとやる、というスタイルを目指しているように見える。もちろん相手チームを見ることも重要なわけだが、しかしそれ以上に、まずは自分たちができることをしっかりとやっていく、という方向性を選手たちに示している。

さらに辻監督は、森監督のような起用法の巧さもあるし、野村克也監督のような弱者の兵法も心得ているし、落合博満監督のような勝負に徹した選手起用をすることもできる。渡辺監督同様、監督になるための準備をしっかり整えてから就任した数少ない監督だったと言えるだろう。

渡辺監督は引退後は台湾で指導者経験を積み、帰国後はライオンズの2軍投手コーチや2軍監督としてさらに経験を積み、満を辞して2008年に監督就任し、初年度からリーグ制覇と日本一奪回を成し遂げた。

一方辻監督の引退後はヤクルト、横浜、中日でコーチを歴任し、様々な監督たちの様々な野球を目にして来た。中でも現役の最後に野村克也監督の野球を学べたのは大きかったともコメントされている。

ここで一度伊東監督に話を戻すと、もし伊東監督も引退後即監督就任ではなく、もう少しコーチや2軍監督として経験を積んで、監督になる準備をしっかりと整えられていたら、リーグ制覇を成し遂げることもできたかもしれない。

良き兄貴だった渡辺監督と、良き父親辻監督

辻監督と渡辺監督の手法は決して遠くないわけだが、絶対的に違うのは選手たちの目に映る監督像だ。渡辺監督は年齢的にも、どちらかと言えば「選手たちの良き兄貴」という存在だったが、辻監督は「選手たちの良き父親」という印象だ。選手たちと共に喜び涙する渡辺監督に対し、選手たちに美酒を味わわせてあげたいという親心の辻監督。

「良き兄貴」というスタイルがハマると2008年のような快進撃にも繋がるわけだが、一度バランスが崩れてしまうと監督・選手間の信頼関係が崩れやすいという特徴もある。極端な言い方をするとチームが低迷した時に監督が何か言っても、世代の違いがそう遠くない分、選手が「そんなこと分かってる」と反発しやすくなる。

一方「良き父親」の場合は辻監督のように達観し、選手を手のひらで転がす余裕を持つことができる。監督と選手の間にある垣根を決して崩すことのない線引きも明確だ。逆に渡辺監督の場合はこの線引きが甘かったことにより、悪く言うと選手になめられているように見える場面も退任直前にはやや見受けられた。もちろん明確な形でなめられていたわけではないが。

しかし辻監督の場合は、先日「コーチが選手をちゃん付けで呼ぶなんてもってのほか」とコメントしているように、首脳陣と選手の間の線引きをしっかりと行なっている。つまりコーチと選手がお友だち感覚の馴れ合いに甘んじることがなくなるため、両者ともにお互いに厳しい目線を送り合うことができる。

現在渡辺久信監督はライオンズのGMとしてチームビルディングの陣頭指揮を執っているわけだが、しかし仮にまたいつか監督としてユニフォームを着ることがあれば、前回指揮を執っていた時とはまた違った、円熟味を帯びた指揮を揮ってくれることだろう。

森監督の時代とは選手の性質が異なってきている現代

辻監督は与えられた駒を使いこなすだけに限らず、どの監督よりも積極的に選手たちを育成しようとしている。まるでかつての広岡達朗監督のように自ら手本を見せながら選手を指導する姿はとても印象的だ。

森監督や伊東監督のように、自らはそれほど動かない監督もいれば、渡辺監督や辻監督のように積極的に動く監督もいる。しかし現代の選手たちのタイプに合わせるならば、やはり監督・コーチ自らが何らかの手本を示せる状態の方が説得力は増すだろう。

森監督時代の大人の選手たちは、1を言えば10を知るタイプの選手が多かった。教わるよりも、先輩選手たちから技術を盗むことによって腕を磨くタイプの選手たちだ。

しかし現代の選手たちはプロアマ含め、教わることによって腕を磨くというタイプの選手が多い。筆者もプロコーチとしてプロアマのコーチングを行うわけだが、現代の選手は比較的お手本を求める選手が多い。つまり考え方を伝えるという形よりも、単純に動きを見せてあげることによって技術を身につけられる選手が多いのだ。

ただ、これらは良し悪しというわけではなく、ただ単に時代が違うというだけの話だ。現代の選手の特徴をポジティブに捉えるのであれば、教えたことを素直に取り入れてそれを一生懸命練習することができる選手が多い、と言える。そのため指導者と選手の相性が森監督時代よりも重要になっており、指導者はより多い引き出しを用意しておかなければ選手の信頼を得ることはできない。だが一度信頼されれば、現代の選手たちは素直に付いてきてくれる。そのために監督・コーチに求められる勉強量は、80〜90年代までよりも遥かに多い。

その現代の選手たちの特徴にフィットしている、もしくは上手くフィットして行っているのが辻発彦監督だと思う。時代や受け持っている選手たちに合わせたやり方で指揮を執っている。しかも選手に合わせているにも関わらず、選手に媚びることも一切ない。

他球団では未だにスター選手たちに媚びる監督・コーチがいるわけだが、辻監督の場合は今季63歳という年齢もあるのかもしれないが、実績十分の選手に対しても決して媚びることはせず、監督としてチームの勝利に必要なことを明確に求めるというスタイルを貫いている。

2000本安打を目前にした栗山巧選手を、今季中に2000本を打たせるためだけに常時起用するということはしない、と明言したこともそのスタイルを如実に表している。ルーキーだろうとスター選手だろうと、グラウンドに立っている限りは対等だということだ。

そして辻監督のそのような姿を見ると、選手たちも平等にチャンスを与えられるとう希望を持つことができる。その意を汲んだ西口文也投手コーチも、A班・B班すべてのスターターたちに開幕ローテーション入りするチャンスがあると明言し、今季は今まで以上に選手たちの競争意識が強くなっているようにも見える。

辻野球には欠かすことのできない馬場敏史コーチの存在

辻監督のやり方は明快だ。そのためその意図がコーチ陣にも選手にも伝わりやすい。だからこそコーチ陣も監督の意を正確に汲み取り、辻監督が目指す野球をできる状態にしていくための選手育成に集中できている。

ここでもし辻監督の意図がコーチ陣に伝わりにくい状態であれば、監督・コーチ間に溝が生まれてしまい、監督・選手間の溝はさらに深いものになり、チームを一枚岩にすることも事実上不可能になる。そしてそれによってチームを壊してしまったのが伊原監督だったと言えるのではないだろうか。

伊原監督はコーチとしては素晴らしい方だったが、しかし監督タイプの方ではなかったという印象だ。どちらかと言えば参謀・ヘッドコーチとして生かされるタイプの方だったのではないだろうか。

そして辻監督のもう一つの特徴として、ヘッドコーチを上手く選んだという点も挙げられる。ライオンズのヘッドコーチ格は現在馬場敏史コーチが務めるわけだが、馬場コーチは元々ライオンズとは縁もゆかりもない選手だった。辻監督は自らの野球をより深く理解してくれる参謀役として馬場コーチを招聘した。

ヤクルト時代からこのふたりは親しかったようだが、辻・馬場コンビは、どことなくかつての野村克也・橋上秀樹コンビを彷彿させる。辻監督の意図を巧みに下に落としていってくれる馬場コーチの存在も、辻野球を成功させている大きな要因だと言える。

一方の渡辺監督は就任1年目はデーブ大久保コーチという、絶対的に信頼できる存在があったわけだが、しかし2年目以降はその快刀を失い、球団主導で再招聘された黒江透修ヘッドコーチも1年目を限りにチームを去ってしまった。監督就任早々、2年目からすぐこの2人を失ってしまったということが、渡辺監督が二度目の優勝を達成できなかった要因にもなっていたと筆者は考える。

しかしそんな状態でも監督6年間で5回チームをAクラス入りさせ、最も成績が悪い年でも4位に留まったのだから、渡辺監督の手腕は見事だったと言わざるを得ない。

そして渡辺監督が苦しんだこのベンチワークの潤滑性に関し、馬場コーチの存在により成功させているのが辻監督だ。

辻発彦監督が球史に名を残す名将となるために

辻監督のこれまでの采配を見ていて非常に特徴的だと思うのが、リスクマネジメントが入念に行われているという点ではないだろうか。リスクマネジメントが足りていないと、渡辺監督が最も信頼していた快刀を失ってしまった時のようなことも起こりうる。だが辻監督のここまでの4年間を見る限り、ちょこちょこ問題を起こした選手はいたわけだが、チームが空中分解してしまうような出来事は今のところ皆無だ。

信頼するコーチが解任されることもなく、頼りの主力選手が監督やフロントに対する不信感によりチームを去ることもなくなった。これに関しては渡辺久信GMの功績も大きいわけだが、渡辺・辻パイプラインがしっかりと機能しているからだとも言える。

まず大前提として決してチームを壊さないやり方でチームの基礎を固めていく、これは辻監督を名将と呼ぶに事足りる大きな要素だと思う。そしてそれを可能にするための人選や人心操縦法は、まるで孫子を心得ている将のようだ。

辻監督の野球はまだまだ完成には至っていない。一般的に監督が変わった場合、その監督の野球がチームに浸透するまでには最低3年かかると言われている。つまり4年目を終えた辻監督の野球は、今ようやく色濃くライオンズに染み込んできているという段階だ。

そして監督が本当にやりたい野球をやるために重要になってくるのが4〜6年目のシーズンとなり、辻監督としては今季がその5年目となる。辻監督自身、2021〜2022年のシーズンは非常に重要だと考えているはずだ。ここでもし納得ができる野球ができなければ退任という言葉もちらついてくる。渡辺久信監督も自ら目指す野球を実現するのが今は難しいと感じ、2位という比較的好成績を残したにも関わらず、6年を限りに監督としてのユニフォームを脱いでしまった。

ライオンズには今、松井稼頭央次期監督候補の存在がある。だが松井2軍監督が1軍を率いるにはまだまだ時期尚早というのが渡辺GMの見方ではないだろうか。そうなってくるとやはり名将としての要素を兼ね揃えている辻監督には10年近く指揮を執ってもらい、その間に松井2軍監督に経験を積ませ、将来的には1軍で辻監督の横で帝王学を学ばせてから1軍の監督業を任せる、というのが渡辺GMの青写真なのではないだろうか。

上述してきたようなことからも、辻監督は名将と呼ぶに相応しい監督だ。リーグV2を達成しながらもまだ日本シリーズに進出することはできていないが、今後日本シリーズでも工藤公康監督のように勝てるようになれば、名実ともに名将と呼ばれるようになるだろう。

筆者個人としては辻監督は名将に足る器の方だと思っている。だが辻監督が本当に名将と呼ばれるためには、やはり幾度も日本シリーズで勝つという実績が必要だ。真の名将の称号は、日本シリーズで幾度も勝つことによって与えられるものだからだ。

一度勝つだけでは物足りない。2年連続、3年連続で日本シリーズで勝つことにより、辻発彦監督は球史に名を残す名将として数えられるようになると、筆者は今、春季キャンプの映像を楽しみながら未来に夢を馳せているのである。

20210104.png

ホークスにはあってライオンズには足りなかった厳しさ

新年、辻発彦監督がライオンズのコーチ・選手間の仲の良さに釘を刺した。筆者個人としては「ようやく」という感想だったのだが、ライオンズが2018年、2019年と2年連続CSでホークスに敗れ、2020年は優勝も叶わなかった原因はそこにあったと思う。ホークスにはあり、ライオンズには足りなかった現場の厳しさだ。

コーチと選手が仲が良ければそれだけ風通しの良さには繋がる。しかしその仲の良さが、本当に言わなければならないことを言える状態なのかと言えば、実際にはそうではないことが大半だ。

例えば昭和のプロ野球を経験されている名指導者たちは、よくこんなことを言う。「ピッチャーは、相手チームのバッターとは絶対に仲良くするな」「バッターは、相手チームのピッチャーには愛想良くしておけ」と。

理由は単純で、敵同士のピッチャーとバッターが仲良くなければ、ピッチャーはそのバッターに対しては死球も厭わず厳しいコースに投げることができなくなってしまう。その結果配球が甘くなりやすく、対戦打率を低く抑えることができなくなってしまうのだ。

ではチーム内のコーチと選手とではどうなのか。これも同様だと思う。コーチには、選手に嫌われたとしても言わなければならないことが多々ある。選手に気持ちよくプレーさせることと、選手の嫌がることをさせないことは似て非なるものだ。

監督・コーチは、グラウンド外では温情を持って選手やその家族に接するべきだ。しかしグラウンドでは温情は抜きにしなければ、本当にその瞬間に必要な采配を、感情に流されてできなくなることもある。「この選手は普段頑張っているから、ぜひ代えずに使ってやってください」とコーチが感情任せに言っているようではダメだ。もちろんそこに戦術上の根拠があれば話は別だが。

ホークスの工藤公康監督の采配を見ていると、この2〜3年は特に、勝負に徹した厳しい采配を振るうことが多くなった。指導者としての有能さだけではなく、監督に必要な、優勝するための戦略・戦術を貫く厳しさを見せてくれるようになった。この工藤監督の貫き通す力こそが、ホークスを今12球団最強チームへと育て上げたのだと思う。

ライオンズに必要なのは日本一を最優先にできる選手たち

辻監督は就任した過去4年間で2回リーグ優勝を果たしている。この数字だけを見ると名将と呼ぶに相応しいと思うのだが、しかし辻監督自身は、チームに対して大きな物足りなさを感じていたのだろう。

例えば辻監督自身、現役時代は肉離れを起こしていてもレギュラーを奪られまいと試合に出て活躍し続けた。もちろん怪我をしてまで試合に出ろ、ということではなく、それくらいの覚悟を持ってプレーしなければならない、ということだ。辻監督は、そのような覚悟をコーチや選手から感じることができなかったのだろう。

ホークスはソフトバンクグループの資金力によって勝つ力を得ているとも思われているが、現場は王貞治会長を中心にし、常に日本一になるという目標に対し皆が同じ方向を向いているように見える。しかしライオンズの場合はチーム全体が日本一という目標を持っているようには見えないことも多々あった。

個人成績は、チーム成績よりも優先されるべきではない。例えばライオンズ時代の全盛期の清原和博選手は、チームの勝利を最優先にしたが故にタイトルとは無縁の選手だった。無冠の帝王とも揶揄されたこともあったほどだが、しかし清原選手の、個人成績を後回しにしたチームバッティングがなければ、ライオンズは黄金時代を築くことは到底できなかっただろう。

しかし今のライオンズは球速やタイトルにこだわりを見せる選手が多い。山川選手にしてもホームラン王へのこだわりや、将来への三冠王へのこだわりを見せているが、優勝できなければ意味はない。例えば同じホームラン王にしても、日本一になったチームで獲得したホームラン王と、優勝できなかったチームで獲ったホームラン王とではその価値はまるで異なる。

今ライオンズに必要なのは、個人成績よりもチームの日本一を最優先に考えられる選手たちだ。そしてライオンズにとっての優勝とはリーグ優勝のことではない。日本一になるということだ。そのためには現役時代の辻発彦選手や石毛宏典選手のような、厳しさを持った若きチームリーダーの出現が必要なのではないだろうか。

キャプテンは2021年も源田壮亮選手が務めることになっているが、源田選手にはまさに辻選手、石毛選手のように、先輩選手にも物怖じせずに何でも言えるリーダーシップを発揮してもらいたい。年上の選手に気を遣っているようではキャプテンシーなど発揮できない。

強いキャプテンシーが求められる源田壮亮選手

野球はショートやキャプテンが変わるだけでもガラッと変わる。特に守備のフォーメーションは常にショートストッパーを中心に敷かれていく。源田選手はその両方を担っているため責任は重大だ。

特に今季は辻監督自身がチームに厳しさを強く求めた。それにいち早く反応しなければならないのがキャプテンである源田選手だ。源田選手が厳しさへのこだわりをチームに見せていけば、チーム全体もすぐに変わっていける。

去年までのライオンズであれば、渡部健人選手も「良いチーム入ったなぁ」とほのぼのと思えただろう。しかし新人選手たちにそう思われるようなチームの雰囲気はそろそろ卒業してもらいたい。「とんでもないチームに入ってしまった!」と思われるようなチームになっていかなければ、ライオンズはいつまで経ってもパ・リーグ止まりのチームになってしまう。

もちろん個人タイトルは獲れないよりは獲れた方が良い。しかしタイトル以上に優先されるべきなのは日本一という称号だ。ホークスの場合、リーグ優勝と日本一を達成した2020年の打撃部門のタイトルホルダーは、盗塁王を獲得した周東佑京選手だけだ。投手部門では最多勝2人、最多奪三振、最優秀防御率と獲得したタイトルが多いが、打撃部門では盗塁王だけだった。

そう考えるとやはり野球はディフェンス中心で行かなければ勝ち続けることはできない、ということだ。しっかりと守り、攻撃では少ないチャンスをモノにできる戦略と戦術の徹底、この基本こそが日本一になるためにホークスにはあって、ライオンズには足りなかった要素だ。

必要なのは大勢が決まった段階でのホームランではなく、勝利打点が付くホームランやヒットだ。

コーチと選手が仲良しであれば、どんな場面であってもコーチはホームランを喜ぶだろう。しかしそれでは日本一にはなれないということはすでに証明されている。

今必要なのは、打たなければならない場面で打てなかった選手との厳しい確認作業や、打たなければならない場面で送られる、的確かつ徹底されたコーチからの指示だ。そう、まるで2008年にデーブ大久保コーチが打席に向かう選手によく耳打ちをしていたように。

デーブ大久保コーチは体調を崩されるほど睡眠時間を削って勝つための戦略、戦術を練り渡辺久信監督を支えた。しかし今、デーブ大久保コーチほど野球に身を捧げるコーチはいるのだろうか。もしくは伊原春樹コーチのように、スター選手に対しても容赦のない厳しさを見せるコーチはいるのだろうか。

辻監督は現役時代からコーチ時代に渡り、広岡達朗監督、森祇晶監督、野村克也監督、落合博満監督と、日本一になれる名将たちの元で勝てるチームのあり方を見続けてきた。その自身の経験から、今のライオンズのままでは日本一にはなれないということをこの4年間で実感されたのだろう。

勝てるチームには、厳しさを厳しさと感じない成熟した大人の雰囲気がある。しかしその雰囲気は、我々ファンから見ても久しくライオンズからは感じられない。それならば現場を指揮する辻監督からすれば尚更だろう。

今季のライオンズにはコーチ・選手間の仲良しクラブ感はなくし、日本一になれる雰囲気を醸し出すチームへと変貌してもらいたい。他球団から「どうせ勝つのはライオンズだろう」と思われるような雰囲気を醸し出せるチームになってもらいたい。昨年の日本シリーズではホークスがそう思われていた。「どうせ勝つのはホークスだろう」と。今季は、ライオンズにその雰囲気を醸し出してもらいたい。

かつて、他球団の選手がライオンズのユニフォームを見ただけで戦意を失っていた頃のように。