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まだまだFA宣言をしにくい空気が残っているNPB

NBPのドラフトやFA制度はやはり見直すべきだと思う。現在はそれぞれMLBを模倣して作られた制度で運営されているわけだが、選手の考え方もファンの考え方も日米では異なる。特に選手側の考え方は日米では完全に違うと言っていいだろう。

MLBの場合はフランチャイズプレイヤーの存在が非常に稀だ。入団から引退までずっと同じ球団でプレーをする選手はほとんどいない。また、日本選手のように生まれ故郷でプレーをしたいと口にする選手もまずいない。選手たちは常に上昇志向を持ち、より良い条件でプレーできる球団へとFA制度を使ってどんどん転職していく。

そのため主力選手をFAで失ったとしても、その穴埋めをするための選手がFA市場にはまだまだたくさん残っているケースがほとんどだ。しかし一方のNBPはそうではない。FAで主力を流出したとしても、穴埋めをするための要員がFA市場にまったくいないケースがほとんどで、今オフライオンズは森友哉捕手をFA流出してしまったわけだが、しかしFA市場には森捕手の穴埋めをできるレベルの捕手のフリーエージェントはもう残ってはいない。

NPBにFA制度が導入されてからもう30年くらいが経過するわけだが、未だにこのFA市場が活性化されてない。FA権を取得しても行使しない選手も多く、FA宣言後にかつての木村昇吾選手のように行き場を失くすことを恐れて二の足を踏んでいる選手も多い。

NPBのFA制度は一部の選手にとっては権利だと言い切ることができるが、多くの選手にとってはそれほど魅力的ではない制度、状況であるとも言える。NPBでも、もっとスター選手以外でも安心してFA宣言をできる環境作りをしていく必要があるだろう。

そしてどうしても選手が二の足を踏んでしまう状況を作ってしまったのが、西武球団も含めてかつては一部の球団が宣言残留を認めていなかったせいだ。今では宣言残留を認めないと公言する球団はなくなったが、しかし一部ではまだFA宣言をするとフロントの心証が悪くなり、FA宣言後の残留がしにくくなるケースもあるという。

このような状況を12球団を挙げて改善していかなければ、今後もFA権が一部の選手にとってのみの権利となってしまう。どんな選手でも安心してFA宣言できるように、コミッショナーがリーダーシップを発揮しての改革の必要性は、もはや待ったなしだと言える。

地元に帰りたいと言ってライオンズを去った選手たち

さて、ライオンズの話をすると、今後ライオンズはドラフト戦略を根本的に見直すべきだろう。ライオンズはこれまでに生まれ故郷でプレーをしたいという体裁の下でFA移籍していった選手が多数いる。福岡県出身の帆足和幸投手はホークスに、宮城県出身の岸孝之投手はイーグルスに、千葉県出身の涌井秀章投手はマリーンズに、そして大阪府出身の森友哉捕手はバファローズに。このように少なくとも4人の主力選手たちが、優勝や契約条件などよりも地元を優先して移籍していってしまった。

涌井秀章投手の場合は当時の伊原春樹監督が挑発を行わなければライオンズに残留していた可能性も高った。しかしスポーツ紙各紙が取り上げていたように、伊原監督が心ない言葉を涌井投手に浴びせたことにより、涌井投手も体裁的には地元に恩返ししたいという言葉を残しライオンズを去ってしまった。

メジャー移籍であったり、西武球団とは条件が雲泥の差であったり、そのような状況でのFA移籍は仕方ないと思う。アスリートであれば、よりレベルの高いメジャーでプレーをしたいと思うことは自然なことであり、それに関しては球団側もしっかりとバックアップしてあげるべきだとも思う。

だが西武球団の場合、かつては条件面では同等だったり、西武球団の方が良い条件を提示したのにも関わらず主力選手がFA移籍してしまうケースが多かった。これはもちろん当時のフロントの能力が低かったことも影響しているわけだが、しかし地元でプレーをしたいということを理由にされてしまうのは、これはプロ球団としては少し情けない。

蛭間拓哉

ライオンズは今後は、主力になりうる期待度の大きな選手に関しては、埼玉近隣から獲得すべきだと思う。例えば今年のドラフトで1位指名した蛭間拓哉選手などは、渡辺久信GMと同郷であり、かつてはライオンズジュニアでプレーしていたこともあった。入団前からライオンズを第一希望としていたこともあり、このような選手であればFA権を取得しても、地元に帰りたいという理由でFA移籍してしまう心配はない。

これは群馬県出身の髙橋光成投手や、栃木県出身の今井達也投手にも同じことが言える。このような選手の場合はFA権取得時に地元に帰ることを移籍の理由にすることはない。この段階で既にFA流出の理由を一つ消すことができるため、今後ライオンズは埼玉の近隣から主力選手を集める努力が必要になるのではないだろうか。

上述したように、メジャー移籍や条件面においてFA移籍されてしまうのは仕方がないことだ。しかし地元に帰りたいということを理由にFA移籍させてしまうのは、プロ球団としては何としてでも回避したいところだ。

ライオンズをライオンズ愛溢れる選手で溢れさせるための手段

茨城県に関してはまだまだ巨人に憧れている野球関係者が多いという筆者個人の印象なのだが、栃木県や群馬県はライオンズに対し非常にポジティブな野球関係者が増えて来ていると思う。これは選手だけの話ではなく、野球指導者たちもライオンズに対しとてもポジティブなのだ。そんな野球指導者や父母に野球を教わった選手たちも、自然とライオンズに憧れるようになる。

このような環境をもっと強化するためにも、ライオンズは埼玉県はもちろんのこと、栃木・群馬・新潟・茨城など近隣の野球振興にももっと力を入れるべきだ。例えば現在は埼玉県のみとなっているライオンズアカデミーを近隣の県にも拡大し、もっとライオンズと触れ合う場の常設を増やしていくべきだ。

そうすれば近隣県の野球関係者や選手たちのライオンズ愛を培うだけでなく、引退した選手たちの受け皿を増やすこともできる。まさに一石二鳥と言えるのではないだろうか。そしてライオンズアカデミーで育成した選手たちをドラフトで指名していけば、ライオンズはライオンズ愛を持つ選手たちで溢れていくことになる。

そして他球団に入団したライオンズアカデミー出身者たちも、いつかは「地元でプレーをしたい」と言ってFAでライオンズに移籍してくるようにもなるだろう。そしてその時までに、FAにおけるBランク以下の選手でも安心してFA宣言できる環境をNPBには整えていってもらいたい。

そして行く行くはライオンズアカデミーだけではなく、埼玉西武ライオンズの少年野球チーム、中学野球チーム、高校野球チームを作っていけるような制度も必要だと思う。もし西武球団がこのようなチームを持つことができれば、地元企業のバックアップを受けて、セレクションで合格した選手に関してはユニフォームや野球道具の一部は自腹ではなく、無償で提供を受けられるようにもなるはずだ。

野球というスポーツを続けるのは本当にお金がかかる。例えば軟式野球のないアメリカでは、硬式野球のグラブは2万円程度で購入できる。筆者が長年仕事で愛用しているアンダーアーマーの硬式用キャッチャーミットも、アメリカで198ドルで購入したものだ。しかし軟式と硬式が混在している日本では、上質な既製品の軟式野球用のグラブが2万円前後で、硬式用となると5万円前後となり、道具の高さを理由に野球を辞めてしまう子が多いことも無視することができない事実だ。

高校野球にしても日本もそろそろ甲子園一択ではなく、甲子園を目指さない学校外のチームも増やしていくべき時期に来ていると思う。そして西武球団には将来的には現在のレディースチームに加え、率先してそのような下部チームを作ってもらい、ライオンズ愛に溢れた選手をドラフト指名できる機会を増やしていって欲しい。

これがもしかつての松井稼頭央選手のように、より高いレベルを目指してメジャー移籍をしたのであれば「アメリカでも頑張れ!」と、ファンとしても心から応援できるのだが、しかし今回の森友哉捕手のように「地元でプレーしたいからライオンズを去る」と言われてしまうと、ファンとしてはちょっと白けてしまう。「バファローズでも頑張れ!」とも言いにくくなる。

そしてオリックス球団が条件提示してから、予想以上に僅かな期間で移籍が決まってしまったことも、ファンの気持ちを白けさせている。これがもし悩みに悩んで苦しみ抜いた結果バファローズを選んだ、というのならまだしも、これだけ決断が早いとなると、「ライオンズを出る前提のFAだったのだな」とも思えてしまう。

森捕手にはもちろんバファローズでも頑張ってもらいたいとは思うが、しかしライオンズとしては森捕手のすべてのデータを持っている分、来季の投手陣は絶対に森捕手には打たせてはいけないし、野手陣も森捕手のリードを読んでいるかのように、森捕手がマスクを被る時はいつも以上に打り、森捕手にライオンズを去ったことを後悔させなければならない。そしてそれこそが森捕手に対するライオンズからの餞別になると筆者は信じている。

日本ハム球団は近藤健介選手に本気で優勝しにいく姿勢を示せるのか?!

近藤健介

北海道日本ハムファイターズの近藤健介選手が正式にFA宣言をし、明日11月11日にはすべての球団との交渉が解禁される。現時点で近藤選手の獲得を目指しているのは日本ハムも含め、楽天を除くパ・リーグ5球団となっている。

ファイターズの新庄剛志監督は、2022年に関しては当初から優勝は目指さないと宣言していた。しかし2023年に関してはすでに優勝を目指すと公言している。だが戦力補強などを全体的に観察していくと、この秋の時点では来季ファイターズが優勝できる可能性は高いとは言えない。

まず投手陣に関しては今季は10勝の伊藤投手が勝ち頭で、先発ローテーションが整備されているとはお世辞にも言える状況ではない。打撃陣は近藤選手に加え、松本選手も3割をマークしたが、脅威となる長距離砲は不在だった。清宮選手は18本塁打打ったが打率が.219と低く、新庄監督もシーズン終盤にはレギュラーは厳しいという趣旨のコメントを残している。

エスコンフィールドという新球場に移るとは言え、来季もこの新球場の柿落としを祝えるような戦力を有しているとは言えない。日本ハム球団も新球場を作ると決めた時点で、まさかここまで戦力が低下するとは思っていなかったのではないだろうか。

現在のファイターズは、まるでFA流出が止まらなかった頃のライオンズを見ているようだ。チームとしては当然優勝を目指すと口にはするが、それを可能にする戦力補強がまったく上手くいかず、逆に主力のFA流出が相次ぎ、僅かな期間でチーム力は大幅に低下してしまった。

ライオンズファンはその時のライオンズをよく知っているため、もしも近藤選手が移籍を目指したくなったとしてもその心境はよく分かる。ただし当然ではあるが近藤選手にしろ、森友哉捕手にしろ、これは移籍を前提としたFA宣言ではない。

複数年契約でも成績を下げなかった近藤健介選手と、下げてしまった金子侑司選手

渡辺久信GMも松井稼頭央監督も近藤健介選手の獲得を目指すことには非常に前向きだ。そしてそんな中、他球団との交渉解禁を前にしてソフトバンク球団の大型提示額がリークされて来た。4年20億とも、4年30億とも言われているわけだが、4年30億だった場合、年俸は7.5億円となり、これは今季年俸の3倍という破格の金額だ。

しかしいくら何でも近藤選手の成績に対し年俸7.5億円というのは出し過ぎだし、本人からしてもその金額に成績が見合っているとも思わないはずだ。近藤選手は打率と出塁率はリーグトップレベルだが、打点や本塁打数、盗塁数など全体的に見ていくと、その他では特に際立った数字はない。ただし得点圏打率は非常に高いため、安心してクリーンナップを任せられるだけのポテンシャルはある。

一部では森捕手の慰留に失敗しそうだから近藤選手を獲ろうとしているとも言われているが、これも勝手なフェイクニュースに他ならない。渡辺久信GMも全力で森捕手を慰留すると公言しているのだから、少なくとも森捕手が悩みに悩んでしまうような交渉材料がテーブルにはすでに並べられているはずだ。

近藤健介選手に関しては、どうやら複数年契約にこだわりを持っているようだ。だとすれば金額ではソフトバンク球団の4年30億には西武球団は敵わないと思うのだが、しかし常識的な年俸により6年契約などを提示することは可能だ。そして近藤選手の場合、複数年契約は足枷とはならないだろう。

近藤選手は今季でファイターズとの3年契約が終了となったわけだが、複数年契約を結んでいたこの3年間では、今季こそ少し怪我をしてしまったが、成績が目に見えて下降することはなかった。3年間しっかりと安定した数字を残し続けている。

逆に2020年から4年契約を結んでいる金子侑司選手は、複数年契約を結んだ1年目から成績が急降下してしまい、4年間のうちすでに3年間を年俸に見合わない低成績で終えてしまっている。

金子選手のように複数年契約をした途端成績が下がってしまう選手もいれば、近藤選手のように複数年契約を結んでも緊張感を途切らせることなく好成績を残し続ける選手もいる。そのため西武球団も交渉の席では4年と言わず、近藤選手が複数年契約に拘っているのであれば、安心して6年などの長期契約を提示すべきだろう。

そして森友哉捕手に関しても、NPB初の10年契約などを提示しても良いのではないだろうか。森捕手は10年経ってもまだ38歳で、その頃は正捕手じゃないにしてもDHなどでまだまだ打棒を見せつけているはずだ。

1年あたりの年俸額では西武球団はソフトバンク球団には敵わないが、しかし引退する最後まで面倒を見るという姿勢は6年契約、10年契約を提示することによってどこよりも強くアピールすることができる。やはり金額では到底勝てないのだから、西武球団はこのように最後まで面倒を見るという姿勢を示すことで、ソフトバンク球団に太刀打ちしていくしかない。

西武球団は今、他球団よりもFA戦線で優位に立っている

筆者個人としては、今オフはFA戦線においては西武球団は他球団よりも優位に立っていると考えている。まず日本ハム球団に関しては上述の通り戦力が上手く整っておらず、ロッテ球団も2005年以来リーグ優勝からは遠ざかっており、ロッテ球団の場合は失礼ながら、もはや下克上ありきの戦いを目指しているように他球団のファンの目には映っている。

そしてオリックス球団に関しては主砲吉田選手、ソフトバンク球団はエース千賀投手のメジャー移籍が確実な状況となっており、大幅な戦力ダウンは免れない。

一方のライオンズは森捕手の残留が決まれば戦力の流出は今オフは一切なく、投手陣もリーグトップであることから、近藤選手が加入してくれればまさに優勝候補の筆頭に躍り出ることは間違いない。

森捕手も近藤選手もそのような状況の見極めを行なっているはずだ。そしてライオンズナインと懇意にある近藤選手の場合、森捕手と連絡先が繋がっている可能性も高く、ふたりの間で何らかのやり取りがあっても不思議ではない。仮に球団が交渉の解禁前にこれをやってしまうとタンパリングに当たり処罰の対象となるわけだが、選手個人がやり取りする分には問題はない。

これはライオンズにとっては非常に有利な状況だと言える。森捕手は近藤選手が加入するのであればライオンズに残留して優勝を目指す気持ちが強くなるだろうし、近藤選手からすれば森捕手が残留するならばライオンズ入りして常勝チームでプレーしたいという気持ちになるだろう。しかも大事なので繰り返し言っておくが、主力の流出が決定的なオリックスとソフトバンクとは異なり、今オフ、ライオンズの主力の流出はまだないどころか、可能性としても流出しない割合の方が高い。

選手にとってもちろん年俸という金額は重要だ。だがいきなり4年30億という成績に見合わない提示をされるくらいなら、6年以上の年俸変動制契約にした方が選手にも余計なプレッシャーがかからずに済む。そして渡辺久信GMはこれまで幾度もライオンズナインと年俸変動制での複数年契約を結んできた。そのメリットに関しても渡辺久信GMは森捕手にはもちろん、近藤選手にも今後伝えていくはずだ。

FAで出た選手よりも、ライオンズに残った選手の方が活躍している現実

近年の選手は金額よりも、どちらかと言えば契約年数を重視するケースが多い。近藤選手もそうであるようだが、巨人やソフトバンクのような金満球団のFA補強は失敗例が非常に多い。ライオンズからFA移籍した主な選手としては石毛宏典選手、工藤公康投手、清原和博選手、豊田清投手、帆足和幸投手、細川亨捕手、岸孝之投手、片岡易之選手、涌井秀章投手、野上亮磨投手ら大勢いるわけだが、FA移籍後も成績が下がらなかったり、タイトルを獲得したのは工藤投手と涌井投手くらいではないだろうか。ほとんどの選手が移籍先ではライオンズ時代ほど活躍できずにいる。

逆にFA権を獲得してもライオンズでプレーし続けた選手は西口文也投手、潮崎哲也投手、石井貴投手、栗山巧選手中村剛也選手ら、本当に息長くプレーしている選手ばかりだ。そしてここに外崎修汰選手が加わり、さらには森友哉捕手の名前も加わっていくのだろう。

ライオンズを出た選手よりも、ライオンズに残った選手の方が活躍しているし、球団が最後までしっかりと面倒も見てくれているのだから、これもFA交渉の席では他球団よりも有利な交渉材料となるはずだ。

FAとなると悲観的になりがちなライオンズファンではあるが、しかし今オフに関しては事情は違うと思う。西武球団は今、確実にFA戦線で優位に立っている。そのため森友哉捕手の残留はもちろんのこと、同時に近藤健介選手を獲得できる可能性も決して低くはないはずだ。だからこそ筆者は今、ライオンズファンは今までのように悲観する必要はないと考えているのである。

以前西武球団から記事の非公開化を依頼された筆者

山川穂高選手を名指しし改善を求めた松井稼頭央監督のチーム改革

松井稼頭央監督の言葉を聞いていると、近年ライオンズに足りていなかったことがよく見えてくるし、筆者がこの場に書き残してきた、ライオンズに対する数々の厳しい内容の記事も間違っていなかったと確信することができる。やはり近年のライオンズは、CSやペナントレースで負けるべくして負けていたと言って過言ではない。

ところで、各紙スポーツ紙が必要以上にチームや選手に対して厳しい記事を書くことはない。例えば有名どころでいえば日刊スポーツ、SANSPO、スポニチなど多数のスポーツ紙が存在しているわけだが、必要以上に厳しい記事を記事を書いてしまうと球場を出禁にされたり、球団から情報を最速で受け取れなくなる可能性があるため、基本的には球団が提供した情報内からしか記事は書かないし、そこには確実に忖度が存在している。

実は筆者は以前Baseball Times(BT)でライオンズに関するコラムを連載していた際、球団が公式には認めていないある真実について書いたことがあった。しかしそれは今流行りの暴露など悪意ある内容ではなく、当時のライオンズについての真実を冷静な文脈で書き記したもので、ライオンズ愛あるが故の記事であり、その記事は当時他の筆者の連載記事と比較し、桁外れのアクセス数を記録していたようだ。

だが西武球団からその記事に対してNGが入ってしまい、残念ながらその記事は公開間もなくお蔵入りとなってしまった。ただしその記事に書かれていた内容に対して西武球団から否定は入らなかった。

筆者はこのような経験をしているため、真実だからと言ってあまり必要以上書くことには気をつけている。そのため筆者が知る選手に関する情報も、差し障りのないもの以外は公になっていること以外は書かないようにしている。だがプレースタイルに関してはその限りではないと考えているため、特に主砲山川穂高選手に対しては厳しい記事を多数書いてきた。

読者の中には「この筆者は山川選手が嫌いなのかな?」と思われた方もいたかもしれない。だがそうではない。ライオンズの主砲として心から応援しているからこその記事だった。それをよく理解していただきメッセージをくださる読者もいらっしゃったことは書き手冥利に尽きる。

さて、ここまでは何となく言い訳がましく書いてきたわけだが、すべては筆者が多くの記事で山川選手に対し指摘してきたことを、松井稼頭央監督が正式に口にしてくれたことを伝えるための前置きだった。

主砲山川穂高選手にも容赦しない松井稼頭央監督のチーム改革

松井稼頭央監督は山川穂高選手に対し、気を抜くべきではない段階では決して気を抜かないことや、チームプレーを重視することを指摘し続ける旨を宣告した。これはまさに筆者がこのサイト内で山川選手に対し指摘し続けていたことだ。

松井稼頭央監督はそのようなことを山川選手に対しても「しつこく言い続ける」と仰っている。その話題の中で出てきた個人名が山川選手の名だけであることから、松井稼頭央ヘッドコーチが如何に主砲に対して物足りなさを感じていたかがよく分かる。

山川選手はライオンズの主砲で、チームの顔でもある。その山川選手に対し松井稼頭央監督は「走り切る」「最後までやり切る」ことを求めている。つまりこれは、山川選手がこれまでグラウンド上で気を抜いたプレーを度々見せていたということに他ならない。

ライオンズには、とにかく最後までしっかりとプレーし切るという伝統があった。栗山巧選手中村剛也選手まではその伝統が続いていたのだが、世代が山川選手へと移り変わっていくと、いつの間にかその良き伝統が薄れていってしまった。

ライオンズにあった良き伝統を再興させようとしている松井稼頭央監督

栗山巧選手と中村剛也選手はまったく異なる個性を持っている。中村剛也選手に関しては非常にマイペースに見えるし、時として抜いているように見えることもあるのだが、実際にはそうではない。中村選手の場合、その時々で自分がやるべきことと、自分の体に必要なことがしっかりと分かっているのだ。そのためやる時はやるし、やるべきではない時には周囲からはペースが落ちているように見えることもある。つまりこれはオンオフにメリハリがあるということだ。

一方の栗山選手はとにかく練習の虫だ。誰よりも早く練習場に現れ、誰よりも遅くまでバットを振り続けている。本人は否定するが、本当にストイックという言葉がよく似合う選手だ。ユニフォームを着ている限り決して気を抜くことがなく、だからこそマウンドから遠いレフトを守りながらもかつては主将を任されていた。

栗山選手と中村選手はまさに他の選手にとってお手本となる存在であり、松井稼頭央監督は山川選手に対してもそのような姿を見せるよう求めている。そして松井稼頭央監督と一心同体とも言える平石洋介ヘッドコーチも「今までのライオンズとガラッと変えていかないと来季も苦戦する」と仰っている。

秋季練習から秋季キャンプにかけての松井監督・平石コーチの言葉を聞いていると、これまでのライオンズを引き継いでいくのではなく、しばらく勝てていないライオンズを根本から変えようとしていることがよく分かる。

ウォームアップ一つを取っても、全体でのウォームアップでその日初めて体を温めるのではなく、全体でウォームアップする際にはもうしっかりと体が出来上がっていて、ウォームアップの段階からキビキビと動いている姿をファンに見せられるよう、毎日準備しておくことも同時に求めている。

一部では、今季ヘッドコーチを務めていた松井稼頭央監督は、ある程度の指揮を任されていたと囁かれていることもあったが、筆者はそうは思っていなかったし、松井監督や平石コーチもそれを完全に否定している。だがどうやら松井監督と平石コーチは今季1軍ベンチ中で、ライオンズがなぜしばらく勝てていないのかという原因を一年かけて洗い出していたようだ。

そのため監督就任と同時に、松井監督の口からは次々と具体的な改革案が飛び出してくる。山川選手に対する物足りなさや、チームプレーが足りていなかったチーム状況もまさにそうで、松井監督は今、ライオンズがしばらく勝てていなかった原因をしらみ潰しにしていっているように見える。

森友哉捕手の残留に対してもプラスに働くであろう松井稼頭央監督のチーム改革

森友哉捕手に関しても当然そんな松井稼頭央監督の新たなやり方を目の当たりにしているはずだ。近くで山川選手が松井監督に何かを言われている姿も見ているだろう。そして筆者は思うのである、森捕手がそこに来季への手応えを感じているのではないだろうかと。

大阪出身で、かつてオリックスジュニアとしてプレーしていた森捕手が、大阪の球団でプレーする希望を持っていることは周知の事実だ。だが同時に抱えているのもライオンズ愛であり、今森捕手は松井監督のやり方を目の当たりにし、この監督について行けば優勝できると感じて始めているのではないだろうか。

プロ野球選手にとって最も重要なのは、やはり所属球団が優勝できるか否かだ。仮に大阪でのプレーを希望していたとしても、オリックスがかつてのように最下位の常連のままであれば、森捕手もFA移籍先としてオリックスに魅力を感じることはなかっただろう。

だがこの2年のオリックスはリーグ二連覇を達成し、今季は26年振りの日本一も達成している。しかもそのバファローズを率いるのはかつての名捕手中嶋聡監督だ。そのためこのチームが現在森捕手にとって非常に魅力的に映っていることはよく理解できる。

しかしライオンズには森捕手が慕う岡田雅利捕手もいるし、自宅もご近所同士という仲の良い山川穂高選手の存在もある。しかも今オフは以前共に自主トレをしていた佐藤龍世選手もライオンズに出戻った。良きチームメイトに恵まれ、そしてチームは今松井稼頭央監督の下ガラッと変わろうとしている。

森捕手は今、ライオンズが勝てる集団に変わろうとしているのをひしひしと感じているはずだ。これはFA交渉でどんな好条件を提示されるよりも、残留への好材料となるはずだ。

かつて多くの選手がFA移籍先としてジャイアンツを選んだ理由

例えばかつてはFA宣言をする多くの選手が移籍先にジャイアンツを選んでいた。これは単純にジャイアンツというチームが日本一に非常に近い場所にいたからだ。また、ジャイアンツに所属していたという履歴が引退後のバリューとなるため、それを求めてジャイアンツへの移籍を選んだ選手も少なからずいた。

だが高橋由伸監督から第三次原政権にかけての7年間では、リーグ優勝は二度経験しているが、日本一にはなっていない。ジャイアンツが最後に日本一になったのは2012年が最後で、しかもそれ以降でセ・リーグ球団が日本一になれたのも昨季のスワローズのみだ。

一昔前のジャイアンツは頻繁に優勝していたわけだが、今の選手たちの目にジャイアンツは優勝できるチームという風には映っていない。そのため近年のジャイアンツはFA戦線でもあまり奮わないし、FA補強自体も成功率が非常に低くなっている。

このように選手が優勝することを求めているという前提で考えれば、今松井稼頭央監督の下でガラリと変わろうとしているライオンズは、森捕手の目にも非常に魅力的に映っているはずだし、気持ちも少なからず残留に対して傾いているはずだ。

2023年への助走期間だった2022年のライオンズ

そしてそのようなチーム改革も、平石洋介コーチという後ろ盾なくして実現は難しかったと思う。同じPL学園出身で、イーグルスでも同じユニフォームを着ている松井監督と平石コーチは、まさに監督とヘッドコーチという関係としてそれぞれが適任だった。

さらに今季は辻発彦監督の下、松井監督と平石コーチは一年間かけてじっくりとライオンズというチームを見ることができた。現在のライオンズの強みと弱点を内側から見ることができ、これはまさに2023年シーズンへのこれ以上にない準備期間だったと思う。

また、奥村剛球団社長も今季もし優勝していたとしても辻監督は勇退する予定だったという趣旨のコメントもしているため、フロントとしても今季は2023年への準備期間だという認識だったのだろう。もちろん表向きにも実質的にもライオンズは優勝を目指していたわけだが、フロントしては2022年は、分かりやすくなるよう大変失礼な言葉を使うならば、優勝してくれれば儲けものというくらいの意識があったのかもしれない。

そのため補強に関しても決して満足できるような内容ではなかった。外国人選手に関してはエンス投手は10勝を挙げて大きく勝利に貢献してくれたが、打つ方に関しては全滅だった。オグレディ選手に関しても残留の可能性はあるが、仮に残留したとしても今季推定8,000万円という年俸が1億円の大台に乗ることはないだろう。

恐らく今オフはもっとホームランを打てる外国人選手の獲得を目指すはずだ。これは一年ほど前にもこの場で書いたことではあるが、外国人選手にユーティリティー性を求める必要はない。外国人選手はある程度安定感のある守備力さえあればポジションは固定して、打つことにより多くの集中力を使わせるべきだ。

もしくはDHでバッティングだけに専念させるくらいの起用法も必要だと思う。そして理想を言えば平時は栗山選手と中村選手は、年齢的にも代打の切り札として起用していきたいため、外国人選手のためにDHを使い切ってしまっていいと思う。

松井監督と平石コーチがチームを改革し、渡辺久信GMが本当に打てる外国人打者を連れてくることができれば、来季ライオンズが優勝する可能性は非常に高くなるだろう。そして森捕手自身も、自らが残留すればその可能性がより高まることを今実感しているはずだ。

森捕手が残留に向けて気持ちが傾いていくようなチーム改革をしている松井稼頭央監督は、ファンの予想を上回る名将となる可能性が高い。筆者が個人的にここまで新監督に対し期待を膨らませるのは、2007年オフに渡辺久信監督が就任した時以来だ。だから来季はライオンズは優勝するとは言わないが、しかし筆者個人にとっては、来季のライオンズは安定して勝てるチームに生まれ変わることを確信できた秋となった。

FA権は行使の有無ではなく、取得後は自動的にFAとなるべきだ

森友哉捕手がFA宣言

2022年11月1日、森友哉捕手が正式にFA宣言を行った。しかし筆者はこう考えている。シーズン中にFA資格を取得した選手は、日本シリーズ終了後に自動的にフリーエージェントとすべきだと。現行のシステムでは、FA宣言をして他球団を交渉をしようとする選手が一部のファンから冷たい視線を浴びせられるケースが非常に多いからだ。

森捕手も然りで、FA宣言をした途端、インターネット上には悲嘆に暮れるコメントや、森捕手のことを敵視するようなコメントが目立つようになった。残留を願う真のファンのコメント以上に、そのようなラジカルなコメントが目立ってしまうのは非常に残念だし、そのようなコメントをもし当該選手が知ることになれば、残留したいという気持ちが冷めてしまうこともあるだろう。

だからこそFA宣言をするしないという話ではなく、自動的にフリーエージェント状態にすべきだと筆者は考えている。ただし現行システムではそれは現実的ではない。なぜなら国内FAと海外FAでは取得できる年数が異なるため、仮に自動的にフリーエージェントになるようなシステムにしてしまうと、海外FA権の存在意義が薄れてしまうからだ。

だが現時点であっても、実は海外FA権の存在意義は高いとは言えない。なぜなら多くの選手が海外FAを取得する以前に、ポスティングによってメジャー移籍を目指すからだ。そして球団としても何の保証もない海外FA移籍をされるくらいなら、ポスティング申請をして移籍金を得た方が経営面でもプラスになるため、球団側としても海外FA権に関しては申請数としては稀となっている。

それならば海外FA権そのものを撤廃したり、FA権そのものを国内外問わないものとしたり、もしくはFA権を得た選手は1年後、もしくは2年後にポスティング申請を球団が拒否できない形で要求できる権利を新設すれば良いと思う。そしてその権利を待たずにポスティング移籍を希望する場合は、球団が認めれば可能となるルールにすれば、もう少しFA権というものがファンにも好意的に受け取られるようになるのではないだろうか。

入団時に所属先を選ぶことができない選手側からすれば、FA権というのは苦労してようやく取得した職業選択の権利なのだ。それを行使しにくい現状のルールは、筆者個人としては見直すべきだと考えている。

  • NPBの国内FA権は高卒選手は8年、大卒社会人選手は7年
  • NPBの海外FA権は全選手9年
  • MLBのFA権は6年

現代では、多くの選手がいわゆるエゴサと呼ばれる、自分の名前を検索して自分がファンからどう見られているのかを調べる行動を取っている。森友哉選手がそれをしているのかどうかは筆者には分からないが、SNSを使っている森捕手がエゴサをしていても不思議ではないだろう。その時たまたま目に入ったコメントが辛辣なものであれば、移籍への気持ちが高まってしまっても不思議ではない。

ポスティングでのメジャー移籍を目指す吉田正尚選手の西武への影響

バファローズがスワローズを破り26年振りに日本一になったことで、現時点のパ・リーグにおいて、埼玉西武ライオンズが最も日本一から遠ざかっている球団となってしまった。最後に日本一になったのは2008年の渡辺久信監督の初年度であり、これはもう14年も前の話だ。

パ・リーグ6球団という中で、2008年以降3回リーグ優勝を果たしていると考えれば、4.6年に1回リーグ優勝しているペースとなるため、この数字は決して悪くはないと思う。だが日本一ということで見ると、2008年以降では14年に1回というペースとなっており、12球団しかないNPBにおいてこのペースは芳しくはない。

森友哉捕手から見れば、リーグ連覇した時でも、投手力がリーグナンバー1だった今季でも、ライオンズというチームは短期決戦では勝てないという認識を持っていたとしても不思議ではない。これは森友哉捕手の成績云々ということではなく、プロ野球でプレーをする限り、やはり日本一になるというのが最優先の目標となっていくためだ。

メジャーリーガーに関してはその意識が顕著で、移籍先を求める際、最優先事項の1つとなるのがチャンピオンリングを手にできるのかという可能性だ。豊富な選択肢を得られるレベルの選手であれば、優勝の可能性が低い球団への移籍は拒否する権利を契約書に認めているケースも多い。

そう考えるとかつてオリックスジュニアとしてプレーをしていた森友哉捕手とすれば、リーグ連覇を果たして日本一にもなったバファローズは非常に魅力的に映るだろう。ただしそれは今季までの話だ。

バファローズは今オフ、ポスティングによって主砲吉田正尚選手を失う可能性が非常に高くなっている。昨季果たせなかった日本一を今季は果たしたことで、オリックス球団としても吉田選手のポスティング希望を無下にするわけにはいかない。

吉田選手は順調にいけば2023年度中に国内FA権を取得する見込みで、大卒の吉田選手の場合、国内FA権は7年、海外FA権は9年となり、FAによりメジャー移籍できるのは早くても2026年シーズンからとなる。そしてその時吉田選手は33歳となっており、選手としての峠は越していると言わざるを得ない。そうすればメジャーで活躍できる可能性も低くなり、それ以前にピークアウトした日本人選手に対して大金を出すメジャー球団も多くはないだろう。

そのような事情もあり、オリックス球団としても吉田選手にメジャーで活躍してもらうためには、旬である今ポスティングを利用してしまった方が良いし、移籍金からの実入りも良くなるはずだ。そう考えると来季は吉田選手がバファローズにいない可能性が高く、そうなるとバファローズの三連覇の難易度はかなり高くなっていくだろう。

吉田正尚選手の動向を見ている可能性が高い森友哉捕手

なぜ今回の記事ではこれだけ長くバファローズの選手の話をしたかと言えば、森捕手は吉田選手の動向を見ている可能性が高いからだ。もし吉田選手が抜けるとすれば、来季以降はバファローズよりもライオンズの方が優勝に近い存在となり、逆に吉田選手が残留した上で森捕手が加われば、バファローズの三連覇の可能性は非常に高くなる。

もし筆者が森捕手の立場だったとすればやはり日本一を経験したいため、吉田選手が残留するならバファローズ入り、吉田選手がメジャー移籍するならライオンズへの残留という風に考えると思う。

ちなみに他球団も森捕手の獲得調査には前向きにはなっているが、しかしライオンズじゃないのならば関西球団でという意向を持っている森捕手のため、バファローズ以外へのFA移籍の可能性は低いと思われる。

このように考えていくと、森捕手が残留か移籍かを決めるのは、オリックス球団が吉田選手のポスティング移籍を認めるか認めないかの正確な情報が情報解禁を前にして森捕手の耳に入った後になるのではないだろうか。ただしポスティングの場合入札されないというケースもあるわけだが、常識的に考えればその入札の有無が確定するまで森捕手が結論を先延ばしにすることはないだろう。

そして実際に入札されたとしても、入団交渉で話がまとまらないケースもある。その場合は吉田選手はバファローズに残留することになるわけだが、森捕手としてはやはりそこまで待つこともできない。理想を言えば、ライオンズのファン感謝デーまでに結論を出したいというのが本音ではないだろうか。

以前のように球団本部長が交渉を勝手に打ち切らなくなった西武球団

以前も書いた通り、筆者は森友哉捕手のFA移籍の可能性は決して高くはないと予想している。それは今回書いた吉田選手の動向も含めての予想だったわけだが、現段階においてもやはり筆者は、残留の可能性の方が高いと予想している。

バックナンバー:森友哉捕手は現時点で果たして何%の確率でFA移籍しそうなのか?!

もちろん筆者の予想など状況次第ではいとも簡単に吹き飛ばされてしまうわけだが、しかし理屈で考えていくと吉田選手を欠く来季のバファローズよりも、森捕手が残留するライオンズの方が優勝に近い位置にいられるはずだ。

西武球団は現時点の報道においては、最低4年契約以上を森捕手には提示しているようだ。しかしこれは当然だろう。これまで西武球団は、年俸的には森捕手よりも格下である外崎修汰選手ら複数の選手に4年契約を提示してきている。そのため森捕手に4年未満の契約年数を提示する可能性は限りなく0に近い。

森友哉捕手との最低交渉ラインは4年20億以上

そして森友哉捕手はグッズ面でも大きく売り上げに貢献しているため、それを加味すれば4年総額20億円以上の提示だったとしても西武球団としては確実にペイできるはずだ。

さらに言えば今季のライオンズの観客動員数は12球団の底辺付近を推移していたわけだが、来季監督を務めるのは客を呼べる松井稼頭央監督だ。メジャー移籍前の松井稼頭央選手には圧倒的多数の女性ファンがいた。その女性ファンたちも今や母親となり、少年野球に携わっているケースも多い。

そのため松井稼頭央監督になったことで、一時西武ドームから遠ざかっていた子育て世代の女性たちが、再びベルーナドームに子連れて戻ってきてくれる可能性が高い。これは来季以降の観客動員数の回復を予測するための大きな要因だと言える。実際筆者の友人も子どもが小学生になり、来季はかつて応援していた松井稼頭央監督を見に子どもを連れて久しぶりにドームに行きたいと話していた。

そしてベルーナドームには安心して子連れで行ける要素がふんだんに用意されている。そしてその子どもたちが森捕手の快打を目の当たりにすれば、背番号10のレプリカユニフォームを着てベルーナドームを訪れるちびっ子ファンもみるみる増えていくだろう。

そのちびっ子ファンに夢を与えるためにも、西武球団が森捕手に4年総額20億円以上を用意して損をすることは決してないはずだ。そして若さを加味して5年契約であれば25億円程度、もしくは20億+多様なインセンティブということになるのではないだろうか。例えば規定打席に到達して優勝すればボーナス1億円というような形で。

渡辺久信GMには、選手のためにオーナー側に必死に頭を下げてくれる男気がある。そして渡辺久信GMとオーナー側ではすでにすり合わせは行われているはずで、4年20億という数字も、他球団と競うためには最低限の数字だということをオーナーサイドには分かってもらっているはずだ。そのためかつての球団本部長たちのように「これ以上の提示はできないため、これ以上交渉の場を設けることはない」という馬鹿げたことを選手に言って勝手に交渉を打ち切るようなことは、渡辺久信GMであれば絶対にあり得ない。

とにかく森捕手側の西武球団に対する印象は良好であることに間違いはない。だとすれば戦力を冷静に比較した場合、吉田選手が抜けて山本由伸投手も怪我をし始めているバファローズよりも、森捕手が残留したライオンズの方が来季の優勝の可能性が高いと言うことは間違いない。

だからこそ筆者は改めてここで言い切りたい。森友哉捕手はきっとライオンズに残留するはずだと。

FA宣言したら森友哉捕手はオリックスと相思相愛?!

FA宣言したら森友哉捕手はオリックスと相思相愛

今季FA権を取得した外崎修汰選手は早々にライオンズ残留を宣言した。となると渡辺久信GMの残る今オフ最大の仕事は、同じく今季FA権を取得した森友哉捕手との残留交渉ということになる。

外崎選手の場合はFA宣言が解禁される日本シリーズ後に改めてFA宣言しての宣言残留となる見込みだ。そして一方の森捕手もFA宣言そのものは行うことが濃厚であるようだ。FA宣言をした上でライオンズに残留するのか、それとも他球団への移籍を目指すのかは、まだ森捕手の口からは説明されていない。

大阪出身の森捕手は子どもの頃はオリックスジュニアの一員としてプレーをしていた。そして森捕手は関西でのプレーを熱望していると橋上秀樹監督も仰っている。また、もし森捕手がFA宣言した場合はオリックスと巨人が交渉に乗り出す可能性が高いこともすでに報道されている。

森友哉捕手は現時点で果たして何%の確率でFA移籍しそうなのか?!

ここまでの現状だけで見るならば、どうやらオリックスと森捕手が相思相愛であるように見ることもできる。ちなみに森捕手の今季の年俸は2億円を超えているため、資金力に乏しい球団は森捕手の獲得に乗り出すことは難しい。だが資金力という意味では、西武球団もかなり厳しいと言わざるを得ない。近年はコロナの影響もあり、観客動員数は12球団ワーストレベルとなっている。

ちなみにライオンズは今オフは外崎選手と森捕手、来オフには源田壮亮主将山川穂高選手のFAが控えている。果たしてライオンズの資金力でこの4人全員を残留させることができるのかは、現時点では何とも言えない。

だが観客数に制限がなくなってくれば、西武球団としてもある程度のレベルでの交渉は可能になるだろう。とは言えもしマネーゲームになったとしたら、西武球団は金満球団には太刀打ちできない。そのため西武球団が交渉を優位に進めていくためにはプレー環境と、優勝できるチーム作りが鍵となってくる。

オリックスは森友哉捕手にとってはかなり魅力的な球団

森友哉捕手の気持ちになって考えれば、まずオリックスはリーグ二連覇中だし、山本投手や宮城投手といった球界屈指のピッチャーとバッテリーを組むこともできる。これは一人の選手としては確かに魅力的だ。しかもオリックスを率いる中嶋監督は捕手出身で、ライオンズ時代には松坂大輔投手の専任捕手も務めていた。森捕手が捕手としてさらにレベルアップしたいと考えた時、中嶋監督の存在も大きな魅力となるだろう。

そしてオリックスは現在は捕手は併用制を取っており、投手との相性によって捕手を変えている。これは良く言えば相性という言葉を使えるが、悪く言えば正捕手になる決め手に欠いているということにもなる。つまりこのような状況の中へ森捕手が入っていけば、比較的簡単に正捕手の座に就くことができるということだ。

一年前には岡田雅利捕手を慰留していた森友哉捕手

こうして書いていると森友哉捕手がFA移籍する可能性はかなり高いようにも感じられるが、しかしちょうど一年前、森捕手は大阪桐蔭の先輩でもある岡田雅利捕手のライオンズ残留を強く望んでいた。森捕手自らも個人的に慰留したという経緯もあり、自分の相談役として岡田捕手にはライオンズに残って欲しかったようだ。

森捕手自身、岡田捕手を慰留した2021年オフの時点で、2022年は自らがFA権を取得することはすでに知っていた。つまり岡田捕手がFA交渉する一年後には自分もFA交渉する身となることは分かっていたわけで、それを前提に森捕手は岡田捕手を慰留していた。

ライオンズの夜明けを教えてくれた岡田雅利捕手の笑顔

もし森捕手がFA移籍することを強く望んでいたのだとしたら、一年前に岡田捕手を慰留するようなことはしなかったはずだ。一年前には岡田捕手を慰留しながらも今年自らはFA移籍したとしたら、森捕手はあまりに義理堅くないということになってしまう。もしそのようなことをすればファンのみならず、ライオンズナインも敵に回してしまうことになるだろう。

だが流石に森捕手はそこまで不義理な人間ではないと思うし、思いたいという気持ちが強い。そして普通に考えれば、森捕手は当然FAについて岡田捕手にも相談をしているはずだ。そして人柄の良い岡田捕手であれば「好きなようにしたらいい」と言うのではないだろうか。

もし森捕手が岡田捕手からそのような免罪符をもらってしまっていたとしたら、事はかなり厄介になりそうだ。ファンはこのようなやりとりなど知りようもないため、森捕手がFA移籍してしまったとしたら、森捕手は不義理な人間だと考えるファンはかなり多くなるだろう。

ライオンズの理想としては森捕手が常時出場し、そこに二番手三番手として常に岡田捕手と柘植世那捕手がベンチ入りしている状態だと思う。だが今季の岡田捕手は6月に一度1軍出場しただけで、打席に立つことさえなかった。

だがもし岡田捕手が「今季はダメだったけど来季はずっと1軍にいてお前をサポートする」と言えば、森友哉捕手は迷わずライオンズに残留するだろう。岡田捕手の存在は、森捕手にとってはそれくらい大きな存在だと思うし、その存在感はバッテリーコーチ以上であることは間違いない。

だからこそ渡辺久信GMは自ら交渉に当たるだけではなく、岡田捕手の存在も活かしながら森捕手の慰留に努める必要がある。そしてこのようなやり方は『孫子』の定石でもあり、もし渡辺久信GMが目指す故根本陸夫であれば、やはり岡田捕手の存在を活かしながら森捕手を慰留していくはずだ。

森友哉捕手を慰留するために求められる渡辺久信GMの交渉力

交渉上手のGMや編成部の人間は、周りを固めてから本人と交渉するケースが多い。その方が遥かに交渉が上手く進むからだ。例えば結婚をしている選手であれば、選手よりも先に夫人を説得する。例えば臨時ボーナスであったり、住宅手当であったり、何らかの贈り物を活用しながら夫人が残留に対しポジティブに思えるように差し向けていく。

選手は必ず夫人に相談しながらFA移籍に関しては考えていくため、夫人が残留することの方により強いメリットを感じられたならば、選手は夫人の意向に従うケースが多くなる。これはプロ野球では昔から行われている手法であり、三原脩監督、根本陸夫監督、星野仙一監督もこの手を使って交渉を優位に進めていった。

森捕手の場合はまだ未婚であるため、夫人ではなく岡田捕手や実家のご家族がその対象となる。渡辺久信GMほどの手腕があれば、少なくとも岡田捕手とは何らかのやりとりはすでにしていると思われる。例えば森捕手の意向を岡田捕手から窺うというようなことはすでにしているだろう。

それに加えてご実家や、大阪桐蔭の関係者の力を借りていければ、森捕手がFA宣言したとしてもライオンズに残る可能性は非常に高くなるはずだ。渡辺久信GMはGMなのだから、やはりこれくらいの調略めいたことはしていくべきだ。

FA交渉とは、当該選手とのやり取りだけが交渉ではない。当該選手の周辺も巻き込みながら交渉していくことによって、資金力に乏しい球団は初めて交渉を優位に進められるようになる。それが森捕手のようなトップクラスの選手であれば尚更だ。

球界の寝技師とも呼ばれた故根本陸夫は、まさに調略と呼ぶに相応しい手法で次々と有力選手の獲得に成功していった。もし故根本陸夫の存在がなければ、ライオンズに黄金時代がやって来ることもなかっただろう。

渡辺久信GMに求められるのはコンプライアンスをど返しした調略力

現代はコンプライアンスという言葉ばかりが独り歩きしてしまい、故根本陸夫のような調略めいた手法は嫌厭されがちだ。しかし渡辺久信GMが本気で新たな黄金時代を築こうとしているのであれば、ある意味では嫌われ役を買って出るくらいの覚悟が必要だ。

しかしそれでも故根本陸夫のように最後まで面倒をしっかり見ていけば、誰もが渡辺久信GMを慕うようになるだろう。そして「このGMは最後までちゃんと面倒を見てくれる」というイメージを植え付けることができれば、それは渡辺久信GMにとっては他者には真似できない強みとなっていく。

もし森友哉捕手がFA宣言をして他球団が交渉に乗り出して来れば、慰留は非常に難しくなる。だが渡辺久信GMが新人類として現代の寝技師となれれば、森捕手は来季もライオンズのユニフォームを纏ってプレーをしているはずだ。

森捕手が目先の利益だけに走って容易に移籍してしまわないようにするためにも、渡辺久信GMにはあらゆる手を使って残留交渉に挑んでもらいたい。もはや誠意を尽くすだけで選手が球団に残ってくれる時代ではない。選手はより大きな利を求めてFA権を行使していく。

来季ライオンズが日本一を目指すためには、疑いようもなく森友哉捕手の存在が必要だ。その替えの利かない存在を失わないためにも、渡辺久信GMへの筆者の期待値は非常に高い。前任者たちでは絶対に成し遂げられないような残留率を、渡辺久信GMならばきっと成し遂げてくれるはずだ。

森友哉捕手は関西愛が強く、FA移籍の可能性が高いと語る橋上秀樹監督

森友哉捕手は現時点で果たして何%の確率でFA移籍しそうなのか?!

2022年8月20日、森友哉捕手が国内FA権を取得した。今や森捕手は今オフFA市場の目玉とも呼べる存在となっている。果たして森捕手はライオンズに残留するのか、それとも他球団に移籍してしまうのか。

元ライオンズのコーチであり現在は新潟アルビレックスBCの橋上秀樹監督は、森捕手は移籍する可能性が非常い高いと仰っている。その理由として森捕手が関西への愛着が強い点を挙げているのだが、関西となるとオリックスか阪神ということになる。

阪神には大阪桐蔭時代にバッテリーを組んでいた藤浪晋太郎投手がいるわけだが、藤浪投手は今オフはメジャー移籍する可能性が高い。そのため仮に森捕手が阪神に移籍したとしても、藤浪-森バッテリーが復活することはないだろう。

ちなみに阪神球団としては藤浪晋太郎投手に関してはかなり苦労をしている。鳴り物入りで入団した選手であることから、簡単にトレードに出すことはできない。もしそんなことをすれば「阪神は選手を育てずに、活躍しなければすぐ放出する球団」というふうにアマチュア球界からは思われてしまい、そうなるとドラフト戦略が成り立たなくなってしまう。

しかし仮にポスティングでメジャー移籍という形になれば、「よく送り出してくれた!」とポジティブなイメージっを持たれながらも復活に手を焼いた藤浪投手を放出することができる。阪神としてはここまで藤浪投手を育てられずに来たのだから、来季岡田監督が復帰したとしてもそれが大きく変わることはないだろう。

岡田新監督としてはもちろん藤浪投手に残ってもらいたいとは思うのだが、阪神球団としては「飼い殺し」と言われるよりは、ポスティングにかけてある程度の利を得ることを考えるのではないだろうか。

こうして考えると藤浪投手不在のタイガースに、森捕手が移籍することは考えにくいように思う。縦縞のユニフォームを着て甲子園でプレーをするとはどういうことなのか、森捕手はそれを藤浪投手から聞き及んでいるはずだ。慣れない環境があまり得意ではない森捕手の性格を考えると、野次の多い甲子園で活躍し続けるのは難しいように思える。

ではオリックスバファローズはだろうか?まずバファローズには正捕手と呼べる正捕手がいない。いわゆる捕手三人制で、三人共正捕手になりうる決め手に欠けている。出場試合数に関しても今季は三人とも60〜80試合台で、ほとんど同水準だ。

だがこの三人でバランス良くディフェンスをまとめているのは確かであり、バファローズのチーム防御率はライオンズに次ぐリーグ2位の好成績となっている。そう考えるとオリックス球団としても、中嶋監督としても、このバランスを崩したくはないのではないだろうか。この三人を併用しながら、誰か一人が正捕手として伸びて来てくれればと考えながら、上手く育成しているように筆者の目には映っている。

こうして考えると森捕手の性格は甲子園には合わないように見えるし、オリックスに関しては森捕手がFA宣言したとしても積極的に獲得を目指すことはないように思える。

橋上監督は森捕手の関西愛の強さを語っていたが、筆者個人としてはいくら森捕手が関西愛を持っていたとしても、岸孝之投手が東北愛によってイーグルスに移籍したように、森捕手が関西球団に移籍する可能性は非常に低いように思えるのだ。また、セ・リーグの場合はDH出場できないこともネックとなるだろう。

関西圏外では森友哉捕手の獲得を目指す球団はあるのだろうか?

では関西から少し話を広げて、広島カープや中日ドラゴンズまで含めたらどうだろうか?まずカープに関しては友好度が低いと言われる秋山翔吾選手がいるため可能性としてはほとんどないだろう。

一方ドラゴンズに関しては、優勝を狙えたライオンズを出てまでドラゴンズに移籍する理由がない。そのため関西球団はもちろんのこと、広島や名古屋への移籍も考えにくいのではないだろうか。

ではさらに話を広げて11球団を対象にしたらだろうか?ファイターズ、イーグルス、マリーンズ、ホークス、スワローズ、ベイスターズ、そしてジャイアンツ。

まずロッテ球団に関しては森捕手と大型契約を結ぶだけの経営体力はないのではという印象だ。日本ハムに関しては関西から遠いし、単独最下位という現状であるため、森捕手が移籍するメリットは小さい。

ただし新庄剛志監督のキャラクターは森捕手の性格には合いそうだ。そのためエスコンフィールド初年度の目玉として森捕手の獲得を目指す可能性は0ではないだろう。

イーグルスとホークスに関しては手を上げる可能性は高い。イーグルスは来季も石井一久GM兼監督が続投であるため、また西武人材を狙いに来る可能性は高い。そしてホークスに関しては甲斐捕手はいるが、森捕手と併用しながら甲斐捕手がマスクを被る試合では森捕手をDHに回す、という起用法が考えられる。

近年のホークスは毎年のように優勝争いに加わっているが、チームの若返りが必要な時期にあり、イーグルスもあと一皮剥ければ優勝線戦から脱落しない球団になりそうで、そのために森捕手の獲得を目指す可能性はあるだろう。そう考えると森捕手の意向はさておき、森捕手がFA宣言すれば両球団が手を挙げる可能性は高いと思う。

ではスワローズとベイスターズはどうだろうか?連覇を達成したスワローズも一方のベイスターズも、捕手事情はバファローズに似ている。正捕手と呼べる存在はなく、複数の捕手を併用している形だ。

だがヤクルト球団にしてもDeNA球団にしても、全盛期の選手に大枚を叩いた前例がなく、FA獲得となればかなりの資金が必要になってくる森捕手に対しては、おそらくは慎重姿勢を崩さないのではないだろうか。

では残すジャイアンツはどうだろうか?まず紳士であることが求められる球団の空気は、森捕手にはストレスとなるに違いない。そのため森捕手自らが巨人移籍に傾くとすれば、よほどの大型契約を提示された場合だけだろう。ジャイアンツであればどこよりも大きな金額を提示することができるため、力技で森捕手の獲得を目指す可能性はある。

また、今季のジャイアンツはBクラスに沈んでいるため、なりふり構わず良さそうな選手を乱獲しに行く可能性もあるだろう。だが森捕手にはその犠牲になってもらいたくはない。

森捕手がライオンズに残留する可能性は何%なのか?

橋上監督は、森捕手は西武残留よりもFA移籍の可能性が高いと仰っているが、上述したように筆者はそうは考えていない。FA宣言したとしても、宣言残留になる可能性が高いと見ている。

森捕手の今季年俸は推定2億1000万円とされている。するとFAで獲得するためにはマネーゲームが発生した場合、3年10億〜4年16億程度の資金が必要になってくるはずだ。逆に西武に残留した場合は少なからず減俸は免れないだろう。良くても現状維持で、おそらくは年俸変動制の4年契約などが提示されると思われる。

得られる金額ということを考えれば、もちろん西武を出た方が圧倒的に大きな金額を得ることができる。だが森捕手は年俸でごねるタイプではなく、自らの成績に対しより大きなこだわりを持っているはずだ。つまり森捕手としては金額以上に、どの球団がもっとも自分らしくプレーできるのか、ということを主眼にしていくと筆者は考えている。

そう考えると西武球団はこれまで、基本的には森捕手がやりたいようにやらせて来たという実績がある。身だしなみにしても、普段の態度にしても、プレースタイルにしても。森捕手にとって、ライオンズほど自分らしさを出せる球団は他にはないはずだ。

日本代表でのプレーでさえ苦手としている森捕手なのだから、自分をあえて今まで以上に厳しい環境に晒す賭けはしないはずだ。もちろんこれは臆病という意味ではなく、慣れ親しんだチームでこれからも自分のプレーを追求していく方が、森捕手は飛躍できる可能性が高いという意味だ。

橋上監督は森捕手が西武に残留する可能性は低いと仰っているが、筆者は真っ向からその意見に対峙してみたい。筆者は90%の確率で森捕手はライオンズに残留するのではないかと書き記しておきたい。そして残留することがベストであると、森捕手自身も感じているはずだ。

今季はかつての炭谷銀仁朗捕手と同水準だった森友哉捕手のバット

試合数を度返しすれば、森捕手は2016年意向は隔年で打率2割台と3割台を繰り返している。つまり今季は打率.251だったため、来季2023年は3割打つということだ。

だが森捕手としてはFA獲得年にこの成績は痛かった。打率.251、8本塁打、38打点、得点圏打率.275。この数字は西武在籍時、2017年の炭谷銀仁朗捕手の数字と同水準だ。2017年の炭谷捕手は打率.251、5本塁打、30打点、得点圏打率.302というものだった。

打てる捕手と期待されたが結局は打てなかった炭谷捕手と、今季の森捕手の成績がこれほど似通ってしまっているのは交渉の席では痛い材料となる。そもそも炭谷捕手は主に8番を打っての30打点だったわけだが、森捕手は主に3番を打っての 38打点だった。

もし森捕手が物事をシンプルに考えるタイプの選手であれば、今オフは1年契約を結び、来季成績を上げた後に改めて交渉しようとするのではないだろうか。もし仮にFA宣言する意思を持っていたとすれば、権利を行使せずに1年待つというやり方は現状では最も無難だと思う。少なくとも今季の成績で交渉の席に着くよりは、来季成績を上げてからの方が交渉を優位に進めることができる。

このような点も踏まえると、やはり今オフの森捕手はライオンズに残留する可能性が非常に高いと筆者には思えるのだ。だがこれはあくまでも筆者個人の見解であるため、実際に森捕手がどう動くのかは、日本シリーズが終わってからでなければ分からない。

だがいずれにしても渡辺久信GMが簡単には森捕手を手放すことはしないだろう。少なくとも年俸変動制の複数年契約を提示し、西武球団として最大限の誠意を森捕手に見せていくはずだ。

渡辺久信GMになって以来、あれだけFA流出が続いていたライオンズから、FA移籍する選手がほとんどいなくなった。これは何よりも渡辺久信GMの功績だ。これがもし前田康介氏や鈴木葉留彦氏がフロントのトップに居座ったままだったとすれば、今なおFA流出は続いていただろう。

この渡辺久信GMの手腕も、森友哉捕手がライオンズに残留するであろう根拠として、今回のコラムを締めくくりたいと思う。

外崎修汰

チーム防御率が改善しても投打が噛み合わない皮肉

ペナントレースも佳境に突入している中、ライオンズはここに来て5連敗を喫している。8月末には首位に立っていたライオンズだが、今や順位は4位となり、5位マリーンズとの差も2ゲーム差まで差し迫ってきた。

今季ライオンズが勝ち切れていないのはやはり打線が奮わないことが大きな原因となっている。チーム防御率は12球団中2位という素晴らしい数字が出ているが、チーム打率は12球団中最下位となっている。

昨年までの打線は今季よりはましだったが、チーム防御率は悪かった。しかし今季はチーム防御率が改善し、今度は打線が湿り続けるという皮肉な結果になっている。

97〜98年の連覇時の打線はどうだったのか?

やはり大黒柱が安定しないチームは、安定した戦いをすることはできない。絶対的エース、守護神、名捕手、真の四番、リードオフマン。やはりこのあたりがしっかりしてこないチームは不安定な戦いが続く。

例えば2年連続で日本シリーズに進出した最後となっている1997〜1998年のことを思い出してみたい。まず絶対的エースとして西口文也投手の存在があり、1997年は守護神を固定できなかったものの前半戦は石井貴投手、後半は森慎二投手が守護神役を務めた。

そして正捕手には伊東勤捕手という牙城があり、四番には勝負強い繋ぎ役として鈴木健選手が打線を牽引し、マルちゃんことマルティネス選手が2年連続で30本塁打以上打っている。

1997〜1998年の連覇時の打線は、今季と比べると小粒の印象も否めないが、しかし打線としてはしっかりと機能していた。1番松井稼頭央選手、2番大友進選手、3番高木大成選手の俊足トリオは他球団の脅威となり、この3人で塁上を引っ掻き回しながら鈴木健選手とマルちゃんが打点をあげていくというスタイルが確立されていた。

ちなみに1997年の四番打者であった鈴木健選手は19本塁打で94打点を挙げたが、今季ここまでの山川穂高選手は39本塁打で84打点にとどまっている。この数字を見るだけでも、山川選手が勝負どころで打てていないことがよく分かる。

もちろん39本塁打というのは素晴らしい記録であるわけなのだが、しかし筆者個人は、この39本塁打は39本塁打という価値には至っていないと感じている。39本塁打も打てば、四番打者であれば軽く100打点は越えていて欲しいというのが筆者の望むところだ。

打線が線として機能しないシーズンが続く山賊打線

秋山翔吾選手を欠いて以来、ライオンズは1番打者さえ固定できずにいる。今季ライオンズの1番には13人が座っているのだが、1番打者の総合打率は.200少々という非常に寂しいものとなっている。

筆者個人としては、リードオフマンを確立できるまでは1番打者は源田壮亮主将一本で良いと思う。今季は出塁率は.322と安定しているし、条件が整えば盗塁数を伸ばすこともできる。実際ルーキーイヤーからは3年連続で30盗塁以上記録しているし、昨季は盗塁王のタイトルも獲得した。

源田主将を1番に固定した上で、2番打者として若手選手を英才教育したら良いと思う。若き日の栗山巧選手のように。2番という打順は野球を深く学べる打順で、栗山選手も2番を打つことで野球に益々精通していった。

1番片岡易之選手が出塁すると、栗山選手とアイコンタクトをしていつ走るのかを確認し合っていた。このふたりは抜群のコンビネーションでまず1〜2番だけでしっかりと線を描き、その線を3番中島裕之選手・4番ブラゼル選手や中村剛也選手へと繋げていった。前回日本一になった2008年もやはり、このように打線がしっかりと機能していた。

近年山賊打線と呼ばれているライオンズ打線だが、2年連続リーグ優勝をした2018〜2019年であっても、打線の機能性というと、それほど高くはなかったと筆者は見ていた。3番森友哉捕手や4番山川選手がガンガン打てばもちろん点は入るのだが、この二人が調子を落とすとチームの得点力は格段と下がってしまう。そしてその傾向は今なお続いている。

筆者はなぜいつも山川選手に厳しいことばかり書くのか?

山川選手は全打席ホームランを狙っていると公言している。これは本人がハッキリと言っているので間違いはないだろう。だがその姿勢は果たして四番打者として相応しいのだろうか。

例えばエンゼルスの大谷翔平選手とマイク・トラウト選手のコンビは、二人ともホームランは狙わずに打席に立っていると話している。「良いスウィングをすれば自ずとヒットやホームランにつながっていく」という考えで打席に立っている。だからこの二人はフォームが崩れることも少なくと、好不調の波も小さい。

一方の山川選手はホームランが出なくなると打率が急降下していく。これは「ヒットはホームランの打ち損ない」と考えている選手によくある傾向だ。そして森友哉捕手に関してもフォームを崩したスウィングを見せることが多い。

さて、ここでアレックス・カブレラ選手や、ホセ・フェルナンデス選手のことも思い出してみよう。彼らもホームランバッターでたくさんホームランを打ってきたわけだが、彼らの口癖は「ハードスウィング」だった。これは良いフォームでバットをボールに強くぶつけていく、というニュアンスの言葉なのだが、この二人であってもホームラン狙いのバッティングはしていなかったのだ。

山川選手にもそろそろ気がついて欲しい。四番打者はホームラン数が多ければ良いってものじゃないことを。もし山川選手が今後もホームラン狙いのバッティングを続けたいのであれば、四番打者としてではなく、6番や7番でやるべきだろう。そして4番には、チームバッティングをしながらもホームラン数を伸ばせる打者を座らせるべきだ。

ライオンズ打線が打線として機能していないのは、筆者は山川選手の思考に原因があると考えている。もし山川選手が常にホームラン狙いではなく、状況に応じたバッティングができるようになれば、他球団の四番打者たちのようにもっと尊敬される真の四番打者に進化することができるだろう。

筆者の記事を読んでくださる方は「この筆者はいつも山川選手に厳しい」と思っているかもしれない。しかしそれは山川選手が嫌いだからではない。山川選手が四番打者だからだ。もし山川選手が5〜6番を打っているのであれば、筆者も39本塁打を手放しで賞賛していたと思う。

だが山川選手自身4番にこだわりを持っており、実際に4番を打っている。だからこそ筆者は山川選手には自身の調子が悪くてもチームを勝利に導ける真の四番打者になってもらいたいと願っているのだ。

安定感を求められる年齢に差し掛かっている外崎修汰選手

そして腰痛で登録抹消となっていた外崎修汰選手も最短10日間で1軍に戻ってきた。外崎選手も辻発彦監督から期待を寄せられている選手ではあるが、バッティングの安定感というとかなり乏しい。

守備に関しては素晴らしいと思う。源田主将との二遊間でのコンビネーションも抜群だ。あとはバッティング安定感が鍵となるわけだが、筆者は外崎選手こそ2番打者として野球を学ばせたらどうかと思っていた。

だがその外崎選手も今年30歳で、今から育成という話ができる選手ではなくなってしまった。30歳であれば結果だけが求められることになる。

辻監督からは絶大な信頼を得ていたが、しかし将来監督が変われば今の打率ではレギュラーは白紙となってしまうだろう。流石に3年連続で打率2割台前半では、いくら守備力があってもレギュラーと呼ぶのは難しい。

外崎選手にしても30歳になるという年齢で、ここから大幅に飛躍することはあまり期待できない。現状では2019年がキャリアイヤーとなっており、それ以降の成績は下降線を辿り怪我も増えている。

将来チームの組閣が変わりトレード要員にされないためにも、外崎選手は守備だけではなく、バッティングでも安定感を見せなければいけない。もはや「光るものがある」という言葉に甘えてはいられない年齢だ。

とにかく30歳前後の選手に求められるのは安定感であるため、森捕手・山川選手・外崎選手の3人はそこにもう少しこだわりを見せるべきだろう。そうすれば山賊打線ももう少し繋がりを見せるようになり、こんなに頻繁に完封負け(今季ここまで18回)を見せられることも減るのではないだろうか。

山川穂高

筆者はまだ素晴らしい選手だとは思えない山川穂高選手

筆者は西武ファンとしてもちろん山川穂高選手のことは応援している。だが野球の専門家として見た時、筆者は山川選手のことを素晴らしい選手だとは思っていない。いや、もちろん本塁打王に二度も輝いた点に関しては超一流だと思う。だが一人の野球選手として見た場合、筆者は山川選手が本当に素晴らしい選手だとはまだ思えないのだ。

まずはこれは以前にも書いたことなのだが、山川選手はシーズンを通して高い打率を残したことがないにも関わらず、将来的には三冠王を目指すと過去に公言している。だがそれを公言した途端長い不振に陥り、打率に関しては2019年以降低空飛行を続けている。

そして相手チームの素晴らしい投手に関しては「彼はいつメジャーに行くんですか?」というような趣旨の発言を幾度かしているのだ。筆者はこの発言が最も気に入らなかった。もちろん山川選手としては冗談のつもりなのだろうが、ライオンズを代表する選手の発言としてはまったく冗談になっていない。

また、山川選手が本塁打王になった年はライオンズは共にリーグ優勝をしているため、山川選手は「自分が打てばチームは優勝する」という発言も幾度がしている。これに関してももちろんそうなのだろうが、山川選手は本当にチャンスに弱いというのが現実だ。

この記事を書いている日、ライオンズは6−1でまたもやホークスに敗れたわけだが、山川選手は先頭打者としては2安打放ったが得点には結び付かず、走者一塁で迎えた場面では三振に倒れている。

シーズン序盤の山川選手はよく打っていたわけだが、それでも筆者は山川選手の打率は落ちていくだろうと考えていた。その理由は、山川選手は調子が良かったから打てていたという状態だったからだ。

そう言うと誤解を招きそうだが、調子が良い時に打てるのは誰でもそうなのだ。だが四番打者であれば、調子が悪くてもチームを勝利に導くバッティングをしなければならない。重要なのは山川選手がホームランを打てば勝てる、ということではなく、山川選手がホームランを打たなくても勝たなければならない、ということだ。

山川穂高選手と村上宗隆選手を比較

同じホームランバッターとして、今季は東京ヤクルトスワローズの村上宗隆選手が山川選手とは次元の違う活躍を見せている。今季ここまで、村上選手は満塁時に14打数、6安打、4本塁打、21打点、打率.429という四番らしい活躍を見せている。一方の山川選手は満塁時は7打数、0安打、1打点という数字だ。

今季ここまでのトータルの得点圏打率を見ても、村上選手の.369に対し、山川選手は.296となっている。そして怪我を繰り返している山川選手に対し、死球を受けてもホームランを連発する村上選手。三冠王という重みのある言葉を口にした山川選手ということを踏まえると、あまりにも数字が物足りない。

ここまで本塁打39本というのは本当に素晴らしい数字なのだが、39本も打ちながら打点は84に止まっている。とは言えこれはパ・リーグでは現時点においてはトップとなる打点数なのだが、2位の浅村栄斗選手は26本塁打で82打点となっている。さらに村上選手の数字も紹介しておくと、55本塁打の時点で132打点となっている。

筆者は常々言っていることではあるが、ライオンズは早く次の四番打者を育てなければならない。今年31歳になる山川選手の数字が、これから年々さらに飛躍していくことはほぼないはずだ。そう考えるといつまでも山川選手の四番に拘っていては、次期監督に変わった際にチームのリビルディングが上手くいかなくなってしまう。

かと言って村上選手のような打者を誕生させることなどできない。いや、不可能ではないが可能性は限りなく低い。となると昨オフにも書いたわけだが、ライオンズは中距離打者ではなく、長距離砲をアメリカから連れてくるべきだった。しかし新入団した外国人打者たちはいずれも低空飛行を続けている。

ライオンズに必要だったのは中距離打者ではなく、ドミング・マルチネス選手、アレックス・カブレラ選手、スコット・マクレーン選手、エルネスト・メヒア選手のように、高い確率でホームランを打てる外国人選手だったのだ。

ライオンズは今年も変わらず一番打者に苦労しているが、同時に五番打者を固定することもできていない。打線として非常に重要な先頭打者とクリーンナップを固定できずにいるのだから、今季の得点力の低さも不思議ではない。

秋山翔吾選手はなぜライオンズを選ばなかったのか?!

秋山翔吾選手がライオンズではなくカープを選んだのは、山川選手と森友哉捕手の野球に対する姿勢と相容れないことが理由だということは、筆者の周囲にいるライオンズをよく知るスポオーツライターや記者の間ではよく知られていることだった。

その詳細がすでに報じられているかどうかが分からないため、筆者がここで詳しく書くことは避けたいのだが、秋山選手は、山川選手と森捕手と一緒にプレーをするのは避けたいと考えたようだ。

秋山選手はどこに出しても恥ずかしくないくらい、野球に対して真摯に向き合っている真のアスリートであり、尊敬すべき野球選手だと言える。筆者自身、秋山選手の練習風景を彼のライオンズ時代によく見かけたのだが、本当にストイックに練習に取り組んでいた。その姿は栗山巧選手と重なることも多かった。

筆者は山川選手の人柄は実際のところはよく知らない。SNSもフォローしていないし、パ・リーグTVで見られる山川選手のことしか知らない。だが山川選手のことをよく知るライオンズ周辺で仕事をする知人たちと話していると、山川選手のことを一人の野球人としてリスペクトしている者は少ない。

繰り返すが、筆者は山川選手と個人的に話をしたことはない。他のライオンズの選手とは何人もと仕事で話をしたことがあるのだが、山川選手に関しては成績以上のことは本当によく知らない。そのため正確なことを書くことはできないのだが、誰からも尊敬されている選手だという話を耳にしたことはまだない。

一方の森友哉捕手は、これはスポーツ紙にも幾度か書かれていたと思うが、今季ミットを投げつけて怪我をした後、森友哉捕手の野球に対する姿勢が今までとは違うと感じている関係者が多いようだ。野球に対し、今まで以上に真摯に向き合うようになったと口にするスポーツライターの方と少し前にお話をさせてもらった。

なかなか出てこない絶対的エースと真の四番打者

ライオンズは、三番・四番を打っているこのふたりが変わらなければ変わらないだろう。ライオンズは昨季、1979年以来の最下位という屈辱を味わったわけだが、あまりチームとしては変わっていないように感じる。チーム防御率が飛躍的に良くなったことが今の順位の原動力となっているわけだが、もしチーム防御率が平均的な3点台だったとしたら、首位争いに加わることもできなかっただろう。

そして現在のライオンズには絶対的エースと、真の四番の存在がない。この両輪が機能しなければ、チームが優勝することは難しい。だが山川選手の存在を脅かすような選手は一向に出てこないし、出てこないから四番は山川選手一択という状況になっている。

さすがにもう年齢的に、中村剛也選手に四番を任せることは酷だ。五番でさえも酷だと思うのだが、しかし他に打てる打者はいないし、外国人打者もあまり機能していないため、中村選手に任せる他ないという状況だ。

ライオンズはまだまだ優勝を狙えるチームではないと思う。本当に常勝軍団を再建していくためには、まずはエース対決で勝てる絶対的エースと、数字に関わらずチームを勝利に導ける真の四番打者が必要だ。

だが真のエースは涌井秀章投手以来出ておらず、真の四番打者も中村剛也選手の若い頃やカブレラ選手以来出ていない。ただ、カブレラ選手に関しては数字は圧倒的だったが、チームを牽引するタイプの選手ではなかった。

そういう意味では中村選手が現役のうちに次世代の四番打者を育て始めなければならないし、ファームではかつての絶対的エースだった西口文也監督の下で次世代の絶対的エースを育成して欲しい。そしてその候補が現在は怪我がやや多いが、今井達也投手なのではないかと筆者は考えている。ライオンズは少しでも早く今井投手を一本立ちさせなければならない。

真のエースと四番を育成することができれば、ホークス相手にここまで負けが込むこともなくなるだろう。大事な首位攻防3連戦で、まさか3戦全敗するとは思わなかった。だがこれが今のライオンズの実力なのだ。それを認めない限り、ライオンズが生まれ変わることはまだないだろう。

森友哉

森友哉捕手の2番はありか?なしか?

辻発彦監督は2022年の1・2番コンビについて、1番若林楽人選手、2番森友哉捕手という可能性もあるとコメントされていた。だが筆者個人としてはこのオーダーはベストだとは思わない。

確かに単純に考えると、若林選手が出塁して二塁に盗塁し、森捕手のヒット1本で生還すればあっという間に先制点が取れるという理想的展開にもなる。だがこれが文字通り上手く行くことなどそうそうあることではない。

しかしそう言ってしまうと身も蓋もないわけで、それを理由に筆者はこの1・2番コンビはベストではないと言っているわけではない。2番が森友哉捕手じゃなかったとしても、無死二塁で2番のヒットで1点という攻撃は理想的だ。

ではなぜ筆者が2番森友哉捕手がベストではないと言っているかと言うと、森友哉捕手の走者一塁での打率が.437なのに対し、走者二塁の打率が.298と、通算打率の.309を下回っているからなのだ。

森捕手の走者一塁での打率が.437と非常に高いことを考えると、心情的に一塁走者の若林選手を走らせにくくなる。そして若林選手がせっかく盗塁で二塁に行ったとしても、走者が二塁だと森捕手の打率は大きく下がってしまう。これでは戦術とデータがチグハグになってしまい、采配と打線が噛み合わなくなってしまうのだ。

一方森捕手は3番で、二塁に盗塁した若林選手を源田壮亮主将が送りバントで三塁に進めてあげると、森捕手の打率は.308まで上がる。だが悩ましいのが、これが三塁一塁となってしまうと森捕手の打率は.167まで急降下してしまうのだ。ただしこの.167という数字は6打数1安打という少ない打席しかなく、これが仮に6打数2安打だったら打率は.333となっていた。

捕手はただでさえ激務。その上2番を打たせるのは酷すぎる

森捕手はただでさえ捕手として頭を使わなければならない。その上2番打者という最も頭を使わなければならない打順を打たせるのは酷だと思う。捕手業は本当に大変なのだから、バッティングに関しては3番打者としてどっしり構えさせ、落ち着いて打たせてあげた方がタイトルに近付いていけると思う。

攻撃的2番というのはデレク・ジーター選手らの影響から日本でも取り入れられるようになったが、しかしアメリカ野球と日本野球はまったく異質であるため、メジャーリーグの2番最強論をそのまま日本に持ち込むことはできない。

アメリカの野球は一般的には、1〜9番までの全員がスラッガーであり、メジャーリーグの8番打者は、日本では間違いなく4番打者になれてしまう。そのため1番でサッとチャンスを作り、2番でササッとを生還させるという野球も通用することが多い。

だが日本のプロ野球の場合は、クリーンナップを打てる打者がよほど余っていない限り、強打者を2番に置くのはベストではない。つまりいわゆる3番打者を2番に据えてしまうと、クリーンナップが手薄になってしまうし、日本野球の3番打者タイプの打者に2番を打たせても、打線を繋いでいく器用なチームバッティングを求めることは難しい。そして森捕手の場合は若林選手が盗塁したあとの走者二塁だと打率が下がってしまうという特徴がある。

もし仮に辻監督が1番若林選手、2番森捕手という打順を本気で考えているのであれば、これは山賊打線を変形させただけの、打線の繋がりと言うよりは破壊力重視の戦略であると言える。そして若林選手を活かした後の森捕手のデータ的にも、上述のように戦略とマッチしない。

もちろん来季やってくる外国人打者が2人以上クリーンナップで大暴れしてくれるような状況であれば、森捕手を2番に据えても良いとは思う。だが外国人打者は来てみなければ数字を読むことができないため、やはり3番森捕手という打線の核は変えるべきではないと思う。

そして4番の中村剛也選手にしても、打率.280で30本前後のホームランを打てるのであれば、最初から4番で固定してしまった方が良いと思う。

中村選手自身は今は4番には拘っていないし、「自分が4番を打っているようではダメ」だとも言っている。だが現実として今安心して4番を任せられるのは中村剛也選手だ。体が元気であるならば、この3・4番の大阪桐蔭コンビは固定してしまった方が良いのではないだろうか。その方が本人たちもやることが明確化され、気が楽になると思う。

やはり打線は1〜6番はできるだけ固定した方が打線に繋がりが生まれやすい。オーダーが固定されていれば、各打者が前後の打者と上手くコンビネーションを取りやすくなるからだ。

打線を線として繋げていくためには1番若林選手、2番源田主将、3番森捕手、4番中村剛也選手、5番左打ちの助っ人選手という上位打線は固定して、下手に組み換えない方が打線の繋がりも安定的になっていくと思うのだが、しかし一ファンとしては「2番森友哉」というオーダーも見てみたい気もしているのである。

森友哉

チーム防御率の向上しないのは森友哉捕手の責任ではない

あるスポーツ紙が、森友哉捕手が「涙ながらに捕手を辞めたいと懇願した」とする、ある球団関係者の言葉を記事にした。しかしこれを森友哉捕手は真っ向から否定し、来季以降も捕手としてプレーし続けることを明言した。

森捕手自身がわざわざこんなコメントを出さなければならないとは、報道とは一体何なのだろうか。そもそもある球団関係者とは誰なのだろうか。この匿名状態の記事と、一般人がネット上で匿名による他者批判を行うのとでは、何が違うのだろうか。筆者には同じ低レベルさにしか見えない。

球団関係者の言葉、という書き口であればどんな嘘でも書けてしまう。基本的にこのような場合、球団関係者は決して今現在球団に関係している人物ではない。例えば筆者はプロコーチとしてこれまで西武ライオンズ関連のお仕事をたくさんいただいてきたわけだが、球団関係者と自称することはない。ただ単にライオンズとお仕事をさせていただいた、というだけだ。

このようなスポーツ紙が未だに存在しているのも不思議であれば、それを買って読む人間がいるということも筆者には理解し難い。そもそもこのような媒体をスポーツ紙と呼ぶべきなのかも疑わしい。

筆者が個人的に許せないのは、根拠も何もないただの無責任記事により森友哉捕手や、ライオンズの選手たちが傷つけられたということだ。今回の報道による事実は唯一これだけではないだろうか。

ちなみに森友哉捕手はコンバートすべきだと平然と口にする野球解説者たちもいるが、余計なお世話だ。こんなことを軽々しく口にすべきではない。このようなことを平気で言えるのは、センセーショナルなことを言って注目を集めたり、記事へのアクセス数を伸ばしたいだけの三流解説者のみだろう。

確かにこれまで捕手からコンバートすることによって成功を収めてきた選手は大勢いる。ライオンズで言えば高木大成選手、和田一浩選手、貝塚政秀選手、犬伏稔昌選手らがそうだ。しかしこの中で自ら捕手を辞めたいと言ってコンバートした選手はいたのだろうか。

筆者が記憶している限りでは、どの選手も監督主導でコンバートをしていたように思う。捕手としてプロに入ったからには、捕手というポジションにプライドを持っているはずだ。そのプライドを簡単に捨てられるような選手が1軍で結果を残せるはずなどない。

だが森捕手は捕手というポジションにプライドを持っているからこそ、「3番捕手」というポジションでリーグ屈指の打撃成績を残すことができている。

なかなか向上しないチーム防御率を見て、森捕手のリードが悪いからだという者もいるがこれも筋違いだ。渡辺久信GMが就任する前のライオンズは、毎年のようにエースやローテーションピッチャーを失っていた。こんな状況が続いてはチーム防御率を改善することなど不可能だ。

渡辺GMになってからは主戦級投手の流出はなく、逆にライオンズ愛を貫こうとする選手が増えてきた。だがこの成果も1年や2年という短期間で見えてくるものではない。見えてくるのは恐らくは来季以降となるだろう。

そしてこのチーム防御率が改善された時、無責任な一部スポーツ紙は森捕手が名捕手に近付いたと、また薄っぺらな記事を書くのだろう。

フェイクニュースに掻き乱された森友哉捕手

森捕手は、捕手としてはまだまだ完成形ではない。配球、キャッチングなどなど、捕手に関する技術は伊東勤捕手や細川亨捕手にはまだ及ばない。だがまだまだ伸び代があるのが現時点での森捕手であり、来季以降、森捕手は捕手としてさらに進化していくはずだ。

その森捕手を育成するためにも、ライオンズはそろそろ細川亨捕手をコーチとして呼び戻してもいいような気もするのだが、これはまだ先の話になりそうだ。筆者個人としては、試合前練習などでまたズンドコ節を聴けるのを楽しみにしている。

さて、森友哉捕手は強肩と呼べる捕手だと思う。だが今季の盗塁阻止率は.274と低く、リーグ4位というポジションだ。ではなぜ森捕手は肩が強いのに盗塁を刺せないのか?

もちろん投手陣のクイックモーションのレベルも関係してくるわけだが、それを差し引いても.274という数字は低い。その原因はスローイングモーションの大きさにある。

森捕手はどちらかと言えば、大きなモーションで強いボールを投げてしまっている。大きなモーションでも動きそのものは速いため見落とされがちだが、大きなモーションで強いボールを投げても盗塁阻止率を向上させることはできない。

実際にプロ野球選手のPop To Pop(捕手がキャッチングした瞬間から、ボールが二塁ベース上の野手のグラブに収まるまでのタイム)を計測してみると、大きなモーションで上から強く速いボールを投げた時よりも、コンパクトな動きのサイドハンドスローでできるだけ早くリリースした時の方が、Pop To Popは短くなる。

森捕手の盗塁阻止率を向上させるためには投手の協力を求める前に、まずは二塁送球時のモーションをコンパクトにすることが効果的だと思う。これは速く動くことよりも重要な要素だ。

森捕手は一般的なプロ野球選手よりも身長は低い。これを活かすべきだろう。身長が低いということは、キャッチングからサイドハンドスローでのリリースまで持っていくまでのタイムは、背が高い捕手よりも早くなる。ということは、物理的には170cmという同じ身長のホークス甲斐捕手とちゃんと勝負ができるはずなのだ。

だが盗塁阻止率では甲斐捕手の.452と森捕手の.274で、今季は大きく水を開けられている。この差を埋めるためにも森捕手は、送球モーションをもう少しコンパクトにすべきだろう。強肩だけに頼るのではなく、無駄なモーションを省いてPop To Popを短くできれば、.400近くの盗塁阻止率をマークできるはずだ。ちなみに2018年には森捕手は.373という盗塁阻止率をマークしている。

森捕手には、かつて細川亨捕手がマークした.469という盗塁阻止率をいつか越えてもらいたい。森捕手の捕手としての全盛期はまだまだこれからだ。プロ野球選手の全盛期は一般的には27歳からの3〜5年だと言われている。とするならば、森捕手の全盛期は来季から始まるということになる。

これから全盛期を迎えるのに、森捕手が涙ながらに捕手を辞めたいと訴えることなどそもそもあり得ない。勝てずに悔しくて涙を見せたことはあった。辛くて捕手を辞めたいと思ったことだってあっただろう。だが泣きながらコンバートを訴えることなどまず常識的にあり得ないし、本物の球団関係者であれば、選手の涙を売り物にするようなことは絶対にしない。

「球団関係者の話では」と書けば、「情報源は明かせない」と言えば裏が取れているか取れていないのかなど関係ない。好き勝手に書いて「報道の自由」を主張すればそれで終わってしまう。だがこれはただのゴシップであり、まったく報道などではない。

チームが来季の優勝に向けて必死に練習している今、こんなフェイクニュースでチームを掻き乱してもらいたくはない。このようなゴシップ紙に選手を取材させることは避けて欲しい。いや、取材させてもらえないからこそこのようなフェイクニュースを書くということなのだろうか。その辺りは筆者には分からない。

とにかく来季以降、森捕手は12球団屈指の捕手へと進化していくはずだ。来季の森捕手はその進化を以って、これがフェイクニュースだったと改めて証明してくれるはずだ。

森友哉

森友哉捕手が今日、発熱によりキャンプを欠席した。発熱と言っても微熱らしく、皮膚科の診断を受けると傷口から細菌が入ってしまったことが原因のようだ。プロ野球選手のように鍛え抜かれていてもこのようなことは起こってしまうものだ。

ライオンズの春季キャンプの特徴は、12球団のどこよりも実戦開始が遅いということだ。他球団はすでに対外試合を組んでいるところも多いわけだが、ライオンズに関しては今日2月16日になってようやく紅白戦を行ったという段階だ。

これは南郷という、近くに他球団のキャンプ地がないということも影響しているわけだが、しかし言い換えればライオンズはどこよりも多く練習しているということにもなる。

紅白戦が始まるという段階で起こってしまった森捕手の小さなトラブルであるわけだが、タイミングが今で本当に良かったと思う。もしライオンズがすでに対外試合を組んでいたら、もう少し難しい状況になっていただろう。

だがまだ紅白戦ということで、レフトには球団スタッフの國場翼バッティングピッチャーが入り、試合は6イニング制の変則で行われた。そしてここでは今季覚醒が期待される今井達也投手が非常に良いピッチングを見せてくれたようだ。

捕手層が決して厚くはないライオンズ

さて、話を森捕手に戻すと、シーズン中であってもこのような事態が起こらないとも限らない。例えば森捕手がシーズン中に体調を崩したり、怪我をしてしまうこともあるだろう。そんな時他の捕手がどれだけこの穴を貪欲に狙っていくことができるかだ。

ライオンズの捕手層は決して厚くはないし、経験豊富なベテラン捕手が縁の下で控えているわけでもない。もちろん柘植世那捕手のように将来が期待されている若手捕手もいるわけだが、森捕手をベンチに追いやれるほどの存在感はまだない。

だが今このように森捕手にトラブルが発生した時、二番手以降の捕手たちはいつも以上にレギュラーを奪取するために気持ちを燃やしていかなければならない。もちろん普段から燃えていなければならないわけだが、しかしこのように森捕手にトラブルが起こった時は尚更燃えていかなければならない。

現状、森捕手のレギュラーの座を脅かす存在の捕手はライオンズにはいない。すると森捕手も無意識のうちにどこか安心してしまうようになり、成長速度が鈍ってしまうことだってありうるかもしれない。だが下からの突き上げが激しければ、森捕手自身の、さらに成長していかなければならないという自覚も強くなる。

黄金時代のライオンズは伊東勤捕手を育て上げるために、次から次へと捕手を補強して行った。この補強により伊東捕手の心に火が灯り、誰よりも厳しい練習を続け、球界を代表する名捕手へと成長して行った。

森捕手にもそうなって欲しい。物凄く打つけど捕手としてはNo.1ではない、ではなくて、打撃タイトルも獲り、捕手としても名捕手と呼ばれる選手へと進化して行ってもらいたい。

若手捕手は森捕手をコンバートさせるくらいの執念を見せろ!

そして森捕手が進化すれば、二番手以降もさらなる進化を目指さなければならない。このような状況を作っていくためにも、森捕手がダウンした今、他の捕手陣は目の色を変えて正捕手の座を狙っていく必要がある。それこそ森捕手をコンバートに追いやるような貪欲さや執念を見せてもらいたい。

現状、森捕手はまだまだ名捕手と呼べるレベルには至っていない。もちろんそうなっていく可能性は高いわけだが、しかし森捕手自身今季はまだ26歳になるシーズンだ。打撃では上回れなかったとしても、捕手としての能力ならばまだまだ森捕手と対等に競争できるレベルの捕手は何人かいるはずだ。その筆頭が柘植捕手だと言えるだろう。

ただし現時点では柘植捕手はB班にいるため、A班でと考えると牧野翔矢捕手、駒月仁人捕手、中熊大智捕手の3人ということになる。この3人はまだまだ戦いの中では影が薄い選手たちであるため、森捕手がダウンした今がまさにアピール時だ。

もちろん今回の発熱では、森捕手はすぐにキャンプに戻ってくるだろう。だがたった数日だったとしても、A班にいる他の3捕手にとったら大きなチャンスだ。存在感抜群の森捕手が不在の間にどんどんアピールをしていき、森捕手がのんびり休んでいられない状況にしていって欲しい。

とは言え森捕手はまずはしっかりと完治させることを最優先にして欲しいわけだが、森捕手の体調が良くなりキャンプに戻った時、森捕手が簡単に存在感を取り戻せないような状況を他の3捕手が作れていたなら、それが森捕手が今回発熱したことによる最高の結果であるとは言えないだろうか。

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今後ライオンズが新たな黄金時代を築き上げていくためには、森友哉捕手がもう一段階も二段階も上のレベルの捕手になっていかなければならない。森捕手の進化なくして、黄金時代の再来もないだろう。

では森捕手はどのような点で進化していくべきなのか?まず挙げなければならないのは守備力だろう。森捕手は2019年は9失策で捕手としてはリーグワーストだった。2020年は7個まで減らしたわけだが、しかし出場試合数で換算すると2019年は15試合に1個、2020年は14.9試合に1個という割合で、実質的には改善されていない。ちなみに2020年のホークス甲斐捕手は34.7試合に1個の割合で、森捕手の半分以下という少なさだった。

しかしこの守備力に関しては、森捕手も自主トレから春季キャンプにかけて徹底的にトレーニングしているようなので、今後は目に見えて改善されていくはずだ。

そして打撃に関しては、2019年はMVPを獲得するほどの大活躍だったわけだが、2020年はすべてにおいて数字を大幅に落としてしまった。しかしこれは対戦相手からのマークが厳しくなったことが大きく影響したと思われる。他球団からしてもさすがに優勝して首位打者を獲得した打者を、翌年ノーマークすることはない。他球団に徹底マークされたことにより数字を落としてしまったというのが2020年だった。

だが2021年は森捕手もその辺りはしっかりと対策してくるはずだ。2020年のデータはライオンズ側にも明確に出ているはずであり、そのデータは森捕手の頭にもすでに入っているはずだ。昨季はどのような攻められ方をして、どのように打ち取られたのか。そのプロセスと結果を上回る対策をすでにしているはずであり、バッティングに関しても今季は2020年のような数字にはならず、再び不動の3番打者としてチームを牽引してくれるだろう。

森友哉捕手が捕手としてさらに進化するために求められるもの

さて、ここまではあくまでも一般的なことを書いてきた。しかしここからは筆者独自の考えを書いていきたい。一体どうすれば森捕手は正捕手としてさらに進化できるのか?その答えは、投手を育てられる捕手になれるかどうかだ。

投手を育てる捕手、と書くだけではあまりにも曖昧であるわけだが、具体的には森捕手から投手に対しどれだけ要求を出せるか、ということだ。しかし要求とは決して配球のサインに関する話ではない。

例えば今井達也投手は何年間もなかなか殻を打ち破れずにいる。その今井投手に対し、正捕手の森捕手から見て勝てる投手になるためには一体何が必要なのか、ということを具体的かつ理論的に伝えられる捕手になれるかどうか、ということだ。

昨季の今井投手はカウントを不利にして失点を重ねてしまう場面が目立ったわけだが、制球力に関しては今井投手自身が磨いていかなければならない。森捕手が今井投手に伝えていかなければならないのは、例えば「こういう変化球があるともっと組み立てが楽になる」「ストレートの球速があと1〜2種類増えるとカウントを不利にする前に追い込みやすい」などの、具体的な捕手目線からの意見だ。

高校野球であれば投手のワンマンチームでも勝つことはできるが、プロ野球ではそのような野球は通用しない。どんなに素晴らしいピッチャーだったとしても、バッテリー間のコンビネーションが上手くいかなければ試合を組み立てることはできない。

捕手の役割は、投手に気持ち良く投げさせることだけではない。投手の自我を受け入れつつも、捕手としてどのようなボールがあると試合が組み立てやすくなるのか、ということをどんどん投手に伝えて意見交換していかなければならない。

ここで重要なのは捕手の意見を投手に押し付けるということではなく、あくまでも捕手目線でチームの勝利を優先させながら、理論的に意見を伝えることにより、投手が納得した上で森捕手の意見を受け入れやすくするというコミュニケーション能力だ。

そして適切なコミュニケーション能力には語彙力も必要となる。言葉を知らなければ適切なコミュニケーションを取ることも難しくなるため、森捕手は野球のトレーニングだけではなく、コミュニケーション能力を高めるためのさらなる努力も必要になってくるかもしれない。

森友哉捕手は捕手のままでも三冠王を目指せる

多くの野球評論家が、森捕手は打撃を活かすためにコンバートすべきだと言う。しかし筆者はそうは思わない。森捕手は捕手のまま主力打者の座を担い続けるべきだ。かつての野村克也捕手のように。

昨季までの森捕手のバッティングは、ボールの面をバットの面で叩いて弾丸ライナーを打っていくというスタイルだった。だが今季はこのスタイルを少し変えていくようだ。具体的にはバットにボールを乗せる感覚でボールにバックスピンをかけ、マグナス力によって飛距離をアップさせていくスタイルを目指しているらしい。つまりは中村剛也選手と同じスタイルだ。

森捕手は2019年の23本塁打が自己最多となるわけだが、打球にバックスピンをかけられる打ち方にシフトチェンジしていければ、これまでは大きな外野フライに終わっていた打球が次々のスタンドインしていくようになるだろう。すると40本塁打という数字も見えてくるかもしれない。

さらに付け加えると、打球にバックスピンをかけられる打ち方というのは、変化球が沈んでボールがバットの下に入った時、トップスピンをかけやすくなる。すると球足の速いゴロがあっという間に内野手の間を抜けていくようになる。

身長が高くない森友哉捕手の利点

身長が高くなく、さらに重心が非常に低いフォームで打つ森捕手のストライクゾーンの上下の幅に非常に狭い。投手としてはストライクゾーンが狭くなると非常に辛くなり、ボールが先行し出すとどうしても真ん中に集まりやすくなる。

そのような状況を作ることのできる森捕手は、他の打者以上に甘いボールだけを待ちやすい状況で打席に立つことができる。その結果安定したミート力を維持することができ、2019年に首位打者を獲った時のようにヒットを量産しやすくなる。

そこにさらにボールにスピンをかけられる技術が加われば、打率を残しながらも長打力をアップさせられるようになり、近い将来、三冠王を目指せるような数字を残すこともできるのではないだろうか。

近年ライオンズでは山川穂高選手が三冠王という言葉を使ったことがあるわけだが、筆者個人としては山川選手よりも、森捕手の方が三冠王に近いのではないかと考えている。

野村克也捕手は30歳になるシーズンに三冠王に輝いた。そして森捕手は今季まだ26歳で、これからいよいよ全盛期に突入していくような年齢であり、捕手としても打者としても今後さらに進化していくことができる。

だからこそ筆者は今思うのである。森友哉捕手は捕手として近い将来三冠王になるような選手になるだろう、と。

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近年のライオンズは、先発投手陣がなかなか揃わないということが続いている。この状況を鑑みると先発投手の補強が必要そうにも思えるが、筆者はそれ以上にベテラン捕手の存在が必要だと考えている。

いわゆるピッチャーを育てられるキャッチャーの存在が、近年のライオンズにはいないのだ。1軍で活躍する捕手と言えば森友哉捕手、岡田雅利捕手、柘植世那捕手あたりの名前になってくるわけだが、3人とも百戦錬磨というわけではなく、捕手としての経験値は決して高いとは言えない。

例えばライオンズがまだ常勝球団だった頃には伊東勤捕手と、FAで加入した中嶋聡捕手の2人の存在があった。伊東捕手に関しては言うまでもなくまさに百戦錬磨で、黄金時代のライオンズを知る名捕手だったわけだが、中嶋捕手にしても阪急とオリックスで曲者投手たちをリードしてきた、経験値抜群の捕手だった。

その中嶋捕手も2021年からはオリックスの正式な監督に就任されたわけだが、ライオンズ時代は松坂大輔投手ら、勢いのあるピッチャーをリードするのを得意としていた。巧みな配球で相手を翻弄する伊東捕手と、投手の勢いをそのまま試合に活かせる中嶋捕手、このベテラン捕手2人の存在があったからこそ、ライオンズは黄金時代の終焉後も大崩れすることなくAクラスを維持し続けることができた。

ライオンズは出血覚悟で百戦錬磨の捕手を補強すべき

チームの頭脳とも呼べる捕手をトレードで輩出したい球団も少ないわけだが、しかしライオンズとしては多少の出血を覚悟してでも百戦錬磨のベテラン捕手を補強すべきではないだろうか。

例えばファイターズの鶴岡慎也捕手はコーチ兼任の現役捕手で、2020年は18試合にしか出場していない。打席に立ったのも僅か17回だけだった。そして今季推定3,000万円というリーズナブルな年俸も魅力的だ。

森・岡田・柘植3捕手を起用しながら育てていくということも重要だが、鶴岡捕手のような百戦錬磨の捕手を連れてきて、その横で経験を伝えてもらいながら育成速度を速めていくことも必要だと思う。

ライオンズで捕手としての能力が高かった細川亨捕手や野田浩輔捕手などはまさに、伊東勤捕手と中嶋聡捕手の横で育った捕手たちだ。仮に鶴岡捕手をトレードで獲得したとしても、鶴岡捕手が試合に出続けることはできない。だが年に20〜30試合、試合の大勢が決まった場面で登場し、その経験値の高さを若手捕手たちに見せてくれるだけでも十分だと思う。

今ライオンズに必要なのは投手を育てられる捕手の存在

森捕手にしろ岡田捕手にしろ、まだまだ投手を育てられる捕手とは見られていない。森捕手などはまさに捕手としての経験値がまだまだ高くはなく、自分の捕手としての未熟さに悔し涙を見せることさえあるほどだ。この悔し涙を優勝への糧としていくためにも、抜群の経験値を持った百戦錬磨のベテラン捕手の存在がライオンズには必要だと思う。そしてそのようなベテラン捕手から様々なことを学ぶことにより、森捕手も投手を育てられる捕手へと成長していくことができるだろう。

ライオンズは今季から野田浩輔コーチが1軍バッテリー部門を担当することになったが、しかし野田コーチはあくまでもコーチだ。コーチに教わることと、現役捕手から学べることは大きく異なる。やはり森捕手は、現役ベテラン捕手の様を見ながら自らの捕手としての能力を高めていくべきだと筆者は感じている。

かつてホークスでは工藤公康投手が城島健司捕手を育て、城島捕手は投手を育てられる強打の捕手へと成長していった。だが今のライオンズには捕手を育てられる投手の存在もない。

捕手を育てられる投手、もしくは百戦錬磨のベテラン捕手の存在があれば森捕手をはじめとしたライオンズの捕手陣の急速なレベルアップに繋がり、そしてそのレベルアップが投手陣の底上げに繋がっていくはずだと筆者は確信している。

そのためにもライオンズは森友哉捕手を起用し続けることだけにより育てようとするのではなく、他球団からベテラン捕手を獲得するなり、ジャイアンツから炭谷銀仁朗捕手を取り戻すなりして、森捕手をあらゆる方向から育てていく環境を作ってあげることが必要だと思う。