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栗山巧選手、猛打賞

好投したが詰めが甘いと評された松本航投手

残り5試合という中の1試合目でライオンズは勝つことができた。打線は先発全員安打の16安打で6点を取り、栗山巧選手も猛打賞、投げては先発松本航投手が6回2/3を2失点に抑えて7勝目を挙げた。欲を言えば16安打で15残塁は多過ぎると言ったところだろうか。

松本投手の7回のピッチングに関しては辻発彦監督は「詰めが甘い」と評したが、この試合の重要性を理解しているような気迫溢れるピッチングだった。初回は僅か7球で2三振奪ったのだが、この姿を見て筆者は「今日の松本投手は大丈夫だ」と確信した。

だがいつも以上に集中力が求められるこの日のマウンドでは、スタミナの消耗も激しかったのだろう。6回までは文句のつけようのないピッチングだったのだが、7回に入り100球を越えてくるとボールが少しずつ甘くなっていった。特に簡単に二死を取った後。

昨季は135球を投げてプロ初完投初完封をマークしており、本来であれば100球程度でバテるレベルの投手ではない。だが絶対に負けられない試合の重圧が松本投手の肩には重くのしかかり、7回に入ると二死を取った直後に連打されてしまった。

辻監督が詰めが甘かったと言ったのは、筆者の考えでは松本投手は7回までと告げられていたからではないだろうか。松本投手の7回の崩れ方を見ても、二死まで行って、そこで「あと一人」と考え少しだけ油断してしまったのかもしれない。恐らく辻監督はそういう意味で詰めが甘かったと評したのだろう。

そしてリリーフ陣も8回までは出番はないと見ていたのか、松本投手を継いだ森脇投手、公文投手がそれぞれ打者1人に1本ずつヒットを許し、水上投手が慌てて準備をして出てきたように筆者の目には映っていた。来季以降松本投手が10勝投手になるためには、ここで7回をしっかり締められるようになる必要があるのかもしれない。

FA権を取得した森友哉捕手の行方やいかに

さて、ここで少しFAに関する話をしておきたい。まず西武球団としての重要課題としては、FA権を獲得した森友哉捕手の慰留となる。西武球団は金子侑司選手クラスでも2019年には4年契約を結んでいるため、森捕手もこの流れからすると年俸変動制の4年契約が提示されるのではないだろうか。

近年の森捕手は隔年で3割を打っており、今季は3割を打てないシーズンに当たるため、来季は3割を打ちまた首位打者争いに加わってくれるのかもしれない。この森捕手の動向に関しては、FA流出の可能性は高くはないと言われているし、筆者もそう見ている。

まず森捕手の兄貴分であり相談役でもある岡田雅利捕手が昨季、FA権を行使した上でライオンズに残留している。この時岡田捕手を強く慰留したのが森捕手だったため、その一年後に森捕手があっさりとFAでライオンズを去ることは考えにくい。

そして森捕手はそれほど社交性のあるタイプではなく、仲が良い選手とは仲が良いのだが、そうではない知らない選手にはそれほど近付きたがらない性格をしている。そのため知らない人たちと一緒にプレーをしなければならない日本代表でのプレーが肌に合わなかったとも言われている。

このような事情もあるため、少なくとも森捕手があっさりとFA退団することはないだろう。あるとすれば阪神球団が大金を積んだ上で、藤浪晋太郎投手を説得役にした場合ではないだろうか。この場合に関しては森捕手もかなり悩むかもしれない。とは言え西武球団も森捕手を簡単に手放すわけはなく、FA流出の可能性は高くはないと見て良いだろう。

威圧感をまったく感じさせなかった新外国人選手たち

さて、現有戦力の慰留も渡辺久信GMにとっては重責であるわけだが、同時に戦力補強も積極的に行う必要がある。ここ数年打線がほとんど機能していないため、打線のテコ入れは避けては通れない。打線そのものも一度解体し、再度組み直していくべきだ。

打率も低く、チャンスにも強くない山川穂高選手も5〜6番からやり直させるべきだと思うし森捕手にしても3番ありきという考え方は不健全だ。まずこの二人の3〜4番は一度解体した方が打線も作り直しやすいし、本人たちのためにもなると思う。

では3〜4番をどうするかと言えば、やはり今求められるのは3割30本以上打ててチャンスにも強い外国人長距離砲だ。今季はオグレディ選手とジャンセン選手を獲得したわけだが、二人とも期待通りの活躍をしているとは言えないし、契約更新となるかも不透明だ。

来日前に書いた筆者のオグレディ選手評

中途半端な中距離砲を何人も取っ替え引っ替えするよりは、オグレディ選手とジャンセン選手二人分+αの資金を使って、打率も本塁打数も残せるアレックス・カブレラ選手、打率は低かったがホームランを打てたスコット・マクレーン選手、そこそこの打率でホームランを打てたエルネスト・メヒア選手のような大型スラッガーを連れてくるべきだ。

打席に立っているだけで威圧感を与えるような打者じゃなければ、外国人選手を連れてくるメリットは小さい。オグレディ選手に関しても打席での威圧感を感じることがないため、投手も遠慮なく胸元を突いていける。渡辺GMには今オフは、相手投手が胸元を突きにくい威圧感抜群の外国人打者を獲得してもらいたい。人柄の良さを最優先にして外国人選手を選ぶべきではないと思うし、打てる上で人柄が良いというのがベストだ。人柄が良くても真面目でも打てなければ意味はない。

今オフ何としてでも獲得したいFA権保持選手

補強という意味では今オフ注目すべきはやはり、ファイターズの近藤健介選手だろう。近藤選手はFA権を取得し、今オフのFA市場の目玉とも言われている。ライオンズはこの打者を是が非でも獲得すべきだ。

ただし、もし辻監督が続投ということになれば西武球団は多くの資金を費やすことはしないだろう。だがもし松井稼頭央監督にバトンタッチということになれば、新チームを盛り上げるためにも西武球団はFA参戦する可能性がある。例えば渡辺久信新監督が誕生した時の石井一久投手のように。

ちなみに渡辺久信監督は6年間で1位、4位、2位、3位、2位、2位と安定して勝ち続け、監督1年目にはリーグ制覇と日本一を達成している。一方の辻監督は昨年までの5年間で2位、1位、1位、3位、6位という戦績だ。二度リーグ優勝を果たしてはいるが、CSでは手も足も出ずの敗退を喫しており、日本シリーズに進出したことはない。

渡辺久信監督が4年連続Aクラスでも退任したことを考えると、昨年は6位、今季も3位争いという現状では辻監督が勇退される可能性は高いのではないだろうか。

だが辻監督が退任となれば、新監督へのボーナスとしてFA参戦する可能性も出てくるため、これはこれで良い方向へと進んでいくと思う。しかも近藤健介選手はファイターズの選手であるため、獲得できなかったとしてもFA流出のような痛手はない。逆に獲得できれば大きな戦力となるし、来季のファイターズの戦力を削ぐこともできる。

ただ、近藤選手に関しては今現在、どれだけ新庄剛志監督の野球観を信頼しているかどうかが鍵となる。近藤選手自身が「来季のファイターズは新球場で勝てる」と考えていれば残留するだろうし、「新球場に変わってもチームは同じ」と考えたならば、ライオンズが獲得できるチャンスは広がる。

そして近藤選手はかなりライオンズに対し好印象を持っているようで、試合前にライオンズの選手たちと談笑している姿が頻繁に目撃されている。このような姿は他球団の選手でもたまに見かけることはあるが、近藤選手がライオンズの選手たちと談笑しているような高頻度となると珍しい。

そして近藤選手はライオンズのユニフォームを見ると仲が良い選手が多いためリラックスできるのかもしれない。今季パ・リーグ相手に対しての打率は軒並み2割台後半なのだが、ライオンズ戦のみ.381を打っているのだ。そしてベルーナドームでの打率は8試合で.400、得点圏打率は.667と打ちまくっている。

これだけベルーナドームに相性が良いことを踏まえれば、ライオンズが求めれば近藤選手がそれに応じてくれる可能性は低くはないと思う。そしてもし近藤選手を獲得できたならば、長年の課題だった1番打者問題が一気に解決する。

近藤選手は秋山翔吾選手同様、盗塁をするタイプのリードオフマンではないが、秋山選手同様一人でチャンスメイクすることができる中距離打者だ。

これだけライオンズにフィットする選手がFA権を獲得しながら、もしライオンズが近藤選手をスルーしたとなれば、これはよほどの資金難と見るべきかもしれない。

渡辺久信GMは当然もうすでに近藤選手の調査は済ませているはずだし、オーナー側にも近藤選手がいかにライオンズに必要な選手であるかをすでに耳打ちしているはずだ。

ただ稲葉篤紀GMも簡単には近藤選手を手放さないとは思う。1998年には一年間だけ同じユニフォームを着た渡辺久信GMと稲葉篤紀GM、今オフはこの二人のGMの熾烈な競争にも注目をしたいし、ましてや潤沢な資金を持つ他球団に横取りされるような事態だけは避けてもらいたい。

近藤健介選手、ベルーナドームで1000本安打達成

筆者は現行CS制度に関しては反対派

筆者は基本的にはCS制は反対派だ。6球団しかないのに、しかも極端な話をすると首位との差が10ゲームある3位のチームでさえも日本シリーズに行けてしまう制度など、筆者はどうしても好きにはなれない。

3連戦をスウィープすれば逆転できる3ゲーム差以内の2位と、1位のチームが1勝のアドバンテージを受けて戦うのなら公平性を感じることもできる。だが仮にパ・リーグもセ・リーグも3位のチームが日本シリーズに行ってしまったとしたらこれは興醒めだし、日本シリーズの権威も失われてしまう。

だが現状ではCS制度に変更はないため、日本シリーズに進出するためにはどうしてもこのCSを勝ち抜かなければならない。そしてそのための先発投手陣は少しずつ育ってきている。となるとあとは打線だ。

しっかりとチャンスで走者を返してくれる四番打者と、不動のリードオフマン。今オフはこの二つのポジションを軸に、誰もが納得する形で補強を進めてもらいたいと筆者は期待している。

もちろん西武球団には他球団のような潤沢な資金力はない。だがそんな状況であっても、昨年は交渉力で平石洋介コーチをホークスから連れて来たではないか。このようにしっかりと将来を見据えた説得を行えれば、資金力では負けてもFA戦線で勝つことはできる。そして筆者は今オフ、それを渡辺久信GMに証明してもらいたいと大きな期待を寄せているのである。

今オフの西武最大の大型補強とも言える平石洋介コーチの招聘

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1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
広島 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 7 1
西武 0 1 0 0 0 0 0 0 × 1 8 2

【継投】
松本航〜佐野泰雄〜平良海馬〜Sギャレット

修正力の高さを見せつけた松本航投手

新生メットライフドームのこけら落としとなった広島カープとのオープン戦、先発マウンドに登ったのは松本航投手だった。結果的には6回2/3を投げて被安打4、失点0という素晴らしい内容だった。これで松本投手の裏ローテ一番手としての開幕は確定となった。オープン戦では投げるたびに前試合での課題を修正してきて、その修正力の高さを見せつけてくれた。これだけのピッチングを見せられれば、裏ローテの一番手として投げても誰も文句は言わないだろう。

だが、松本投手の仕上がり具合はまだまだ100%ではないと思う。もっと仕上がってくれば、もっと手が付けられないようなピッチングを見せてくるはずだ。今日の試合を見ていて思ったのは、やはりカウントを悪くしてからストライクを取りにいったボールが甘かったという点だ。結果的にはカープ打線が打ち損なってくれたため失点には繋がらなかったが、振れているバッターが相手だったなら、ホームランを打たれていても不思議ではなかった。

しかしそのボールの甘さ以上に感じたのが、多少甘くなってもそう簡単に打てるボールではなさそうだ、ということだ。松本投手は今季が3年目となるわけだが、過去2年のピッチングと比較をすると、今季は一段も二段もレベルを上げてきているように見える。今日のようなピッチングを見せられると、控えめに言っても今季は二桁勝利を挙げてくれるだろうと確信できる。髙橋光成投手と共に、今季はエース級の活躍を見せてくれるはずだ。

2000本安打まであと74本にまで迫っている栗山巧選手

一方打つ方では栗山巧選手が5番指名打者として開幕を迎えることが濃厚となっている。ご存知の通り、栗山選手は2000本安打まであと74本というところまで来ている。休みながらでも普通に出場し続ければ、今季中に2000本安打を達成する可能性が高い。ちなみに昨季は試合数が少ない中でも101安打を放っている。

そして今日の試合でも3回打席に立ちレフトへのヒットと、ショートへの内野安打を記録している。これでオープン戦の打率は.296となり、栗山選手に関してはもういつ開幕しても良い状態まで仕上がってきている。

5番の栗山選手がこれだけ安定したパフォーマンスを見せている状況であるため、相手バッテリーも4番山川穂高選手に対し簡単にボール球を投げられなくなるだろう。歩かせてしまえば安定したバッティングを見せている栗山選手が控えていることで、ひとつの四球が大怪我に繋がってしまう危険性を孕むからだ。

1軍に上がってきたばかりの山川選手はまだまだ本調子ではないが、栗山選手が5番として良い働きを見せてくれているうちは、山川選手もストライクゾーンで勝負してもらえる確率が高くなり、本調子まで持ってくるまでにもそう時間はかからないのではないだろうか。

昨季までは打線の爆発力で勝てる試合が多かったわけだが、今季は投手力で勝てる試合が大幅に増えてきそうだ。今日のように8安打を出しながらも1点しか取れなかった試合でも、投手陣の好投によって勝てるようになってきた。筆者は個人的には手に汗握る、2時間少々で終わる投手戦が大好きだ。確かに野球の華はホームランなのかもしれないが、0-0のまま試合が進み、8回裏に1点を取って1-0で勝つような試合が筆者の好みだ。今季はそういう試合をたくさん見させてもらえそうなので、本当に開幕が待ち遠しいと思ってしまった今日の観戦後の感想だった。

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オープン戦が始まり、ライオンズの若き先発陣を見ていて思うことがある。それはボール以上に、自らのメンタルを上手くコントロールできていないように見える、という点だ。かつてヤンキース往年の名捕手ヨギ・ベラは言った。「野球は90%がメンタルで決まり、残りの半分がフィジカルだ」と。この言葉は未だに野球界で語り継がれているアフォリズムのひとつだ。

10年ほど前だろうか。実はライオンズにもメンタルトレーナーが在籍していたことがあった。筆者自身、そのメンタルトレーナーがライオンズを去ったのちにその方と数回お話をさせていただく機会があった。果たして現時点でライオンズにメンタルトレーナーは在籍しているのだろうか。もし在籍しているのであれば、あまり効果が表れていないように感じられるし、在籍していないのであればすぐにでも雇うべきだ。

ちなみにメジャーリーグの場合は各球団にメンタルコンサルタントという役職の専門家が在籍している。つまりアメリカでは、日本以上にメンタルを重視した野球をしているということだ。しかし日本は未だに「根性論」が根強く残っている割には、メンタルトレーニングを疎かにしているケースがほとんどだ。これはプロでもアマチュアでも同様だろう。

今ライオンズに必要な補強はメンタルコンサルタントかもしれない

今季ローテーションの軸として期待されている松本航投手今井達也投手浜屋将太投手らは皆素晴らしい能力を持っている。普通に実力を発揮できれば全員が二桁勝利を目指せるようなレベルだ。だがその肝心の実力を発揮できる確率がなかなか上がって来ない。3人とも調子が良い時は素晴らしいのだが、その良さがなかなか続かない。

これはもちろんフィジカルの疲労度なども影響してくるわけだが、それ以上にメンタルが影響していると考えられる。オープン戦での上記3投手を見ていると、「ローテーションに加わらなければならない」「結果を残さなければならない」「試合を組み立てなければならない」というように、「〜しなければならない」と考えながら投げているようにしか筆者の目には映らない。だがこの考え方はスポーツメンタルを強化するためにはタブーとなる。

そしてもう一つ思うのが、3人とも集中力が欠けているように見えるのだ。と言ってももちろん、小さな子どものように注意力が散漫になっているという類のものではない。あくまでもスポーツメンタルという意味に於いて集中力を欠いているように見えるのだ。

ではプロ野球選手に必要な集中力とは?ここではハービー・ドーフマン氏の言葉を引用したい。ドーフマン氏は現在は辣腕エージェントであるスコット・ボラス氏のクライアントらをサポートしているメンタルコンサルタントで、それ以前はアスレティックスやマーリンズでメンタルコンサルタントを務めていた。その彼曰く「選手がメンタルな鍛錬を築くことができるようサポートし、次の1球に集中するタスク限定型のアプローチに取り組ませる」ことが、彼が選手たちの集中力を高めるために行なっていることだと言う。

そしてさらに、エンゼルスなどでメンタルコンサルタントを務めているケン・ラビザ氏も「マイナーリーグにも、余計なことに気を紛らわされずにプレーできれば、メジャーでプレーできる選手は大勢いる。故にメンタルスキルトレーニングの最重要テーマは、日々、タスクを限定し如何に1球1球に集中してプレーすべきかを学ぶこと」と語っている。

だがライオンズの若き先発陣はどうだろうか。マウンド捌きを見ていると、あれもこれもやろうとしていてバッターとの勝負の前に、自分自身との勝負に手こずっているように筆者の目には映っている。野球はプロセスが非常に重要なスポーツだ。だがこのプロセスとは、目指している明確な結果があるからこそプロセスとして機能していく。だがライオンズの若き先発陣は時々、目指したい結果の形が有耶無耶な状態で、プロセスだけを良くしようとしているように見えるのだ。言い換えれば、目的地がないのに地図を眺めていても仕方がない、ということだ。

メンタル強化すれば二桁勝利できる投手が豊富なライオンズ

野球のフィジカルスキルに関しては、チームの投手コーチに相談をすればほとんどのことは解決法を見出せるはずだ。だがメンタルに関しては監督やコーチは専門外であり、メンタルスキルトレーニングの方法を選手たちに指導することはできない。そのため若き選手たちは、タスク限定型の取り組み方が必要であるという結論まで辿り着けずにいる。

オープン戦に入ってからまだローテーションが内定するようなピッチングを見せられていない投手たちに足りないのは、フィジカルでの技術ではないと思う。もちろんフィジカルももっともっと上のレベルを目指せると思うが、しかし開幕までにいきなりそこに辿り着くことは難しい。だがメンタルスキルであれば、今まではメンタルスキルの基礎が身に付いていなかった分、開幕までの期間で基礎を身につけるだけでもパフォーマンスが変わっていくはずだ。なぜならば、野球は90%がメンタルのスポーツだからだ。

ライオンズの若き先発陣は、すでに二桁勝利を目指せるだけのフィジカルは備わっている。あとはタスク限定型の取り組み方をマウンドでできるようになれば、実際すぐにでも二桁勝利を挙げられるようになるだろう。そしてメンタルという意味では現在、髙橋光成投手が一歩リードしている。髙橋投手は昨年から上手くメンタルを制御できるようになり、調子が悪くても冷静さを失わず、どうすればアウトカウントを増やせるのかと、ある程度タスクを限定できるようになってきていると思う。だからこそ開幕投手に選ばれたのだ。

理想を言えば髙橋投手、松本投手、今井投手、浜屋投手の若き先発カルテットで50勝以上を挙げることだろう。そして残りの30勝を他の先発陣やリリーバーで稼いでいくことができれば、ホークスとも互角以上の戦いができるはずだ。だがそのためにも若き先発陣はフィジカル以上に、今はメンタルを一段も二段もレベルアップさせていく必要があると、筆者はオープン戦を見ながら感じたのである。

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緩い変化球の精度をアップさせたい今季の松本航投手

今季最も飛躍が期待される選手の一人が松本航投手だと言えるだろう。1年目は7勝4敗と期待通りの活躍を見せてくれたが、2年目の昨季は6勝7敗とやや伸び悩んでしまった。まだ3年目であるわけだが、しかし過去の実績を踏まえるならば2年連続で負け越しが許されるレベルのピッチャーではない。

昨季の松本投手に関して特筆するとすれば、やはり被本塁打が19本とリーグワーストだったという点だろう。昨季は20試合の先発で19本塁打を浴びてしまい、ほぼ毎登板ごとに本塁打を打たれているという計算になる。一昔前はライオンズでは岸孝之投手が非常に被本塁打が多い投手だったわけだが、今は松本投手がそのような存在となってしまっている。

松本投手の球種は主にフォーシームストレート、ツーシーム、カッター、カーブ、チェンジアップというところだろうか。ストレートやムーヴィング・ファスト・ボールに関しての完成度は非常に高いと思う。右打者の外角低めいっぱいに決まるストレートなどは、映像を見ていても本当に惚れ惚れしてしまう。

しかしそれでも被本塁打が多いのは、カーブとチェンジアップが全体的にやや高いということが影響している。遅いボールはしっかりと低めに投げていかなければ、力のあるストレートを高めで使いにくくなる。そしてストレートを高めに見せることが難しくなれば、変化球を活かすこともできない。

松本投手の場合、このカーブとチェンジアップという遅いボールをあとボール1〜2個分ずつ低くしていければ、被本塁打だけではなく、WHIPの数値も向上させていくことができるはずだ。松本投手のWHIPは2年間の通算で1.48という数字で、これは毎イニング1.48人ずつ走者を出しているということを表している。

松本投手が今季、初の二桁勝利をマークするためにはこの数値をまずは1.2台まで向上させたい。そのためにも必要なのが遅い変化球をもう少し低めに投げるための技術だ。

15〜16勝を挙げられるポテンシャルを持つ松本航投手

だが変化球が高めに抜けることが多かったということは、誰に言われるまでもなく松本投手自身が一番よく分かっているはずだ。ということはそれに関してオフの間にしっかりと修正してきているのだろう。

松本投手の力のあるストレートに加え、110km台のカーブや130km台のチェンジが低めに決まる精度が高まっていけば、松本投手のポテンシャルを考えれば10勝という数字はただの通過点にしかならないはずだ。

投球術に関してはまだまだ未熟だし、まだどちらかと言えばボールの力でバッターを抑えに行くことが多い。だが捕手陣が松本投手を今まで以上に上手くリードしてあげられれば、今季15〜16勝という数字も現実的になってくるだろう。

絶対的エースの育成が急務のライオンズ

涌井秀章投手が去って以来、もう8年間もライオンズには絶対的エースの存在がない。つまりカードの頭で上位チームのエースと対戦をしても勝ち星を挙げられる投手のことだ。

涌井投手が去った後、岸孝之投手は2014年こそ13勝4敗と素晴らしい活躍をしたが、その後ライオンズの2年間では合わせて14勝しか挙げられなかった。菊池雄星投手にしてもホークス相手にまったく勝てないままライオンズを去っていった。

ライオンズはとにかく今、絶対的エースを育てていく必要がある。その候補となるのが髙橋光成投手今井達也投手、そして松本航投手の3本柱だ。この3人の誰かが今後絶対的エースになっていかなければならない。

現状一歩リードしているのは、開幕投手最有力と言われている髙橋投手だろう。昨季後半戦の髙橋投手は西口文也投手コーチの指導により、力まずに投げる技術を身につけた。その技術を身につけたことによりまさにエース級のピッチングを立て続けに見せてくれた。昨季は8勝8敗という成績に終わってしまったが、しかし昨季後半のようなピッチングを続けていれば、髙橋投手ひとりで少なくとも5つ以上の貯金を作ることができるだろう。

その髙橋投手に負けていてはいけないのが松本投手と今井投手だ。現状では表ローテの一番手が髙橋投手になっていくわけだが、裏ローテの一番手がどちらになっていくのか、というのは今後非常に楽しみなポイントでもある。

松本投手と今井投手でレベルの高い裏ローテ一番手争いを繰り広げることができれば、髙橋投手の開幕投手の座さえ約束されることはなく、髙橋投手にも相乗効果を波及させていくことができる。

つまり松本投手がもう一段階上のレベルの投手になるということは、髙橋投手と今井投手ももう一段上に行かざるを得なくなる状況を作るということだ。このようにレベルの高いチーム内競争ができてくれば、今季は先発陣が脆弱だと言われることもなくなるだろう。

今季こそは投手力によって優勝していくためにも、松本投手の成長は不可欠ということになる。だが筆者は、今季はその期待を上回る活躍を見せてくれるはずだと信じ、いま松本投手に熱視線を注いでいる。