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平良海馬 | 年度別成績・年俸推移・故障歴

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平良海馬投手が1億7,000万円の提示を保留したワケ

平良海馬

平良海馬投手は押しも押されぬ球界を代表するリリーバーへと成長した。クイックモーションで150km/hを超えるボールを投げられるだけでもバッターとしては苦しいわけだが、自らの投球内容を冷静に分析できるクレバーさも兼ね揃えている。

2022年オフ、渡辺久信GMは平良投手に対し7,000万円アップの推定年俸1億7,000万円を提示した。23歳という年齢を考えれば、この金額は十分過ぎる評価だと言えるだろう。しかし平良投手はこの提示に対しサインすることはなかった。とは言え金額に不満だったわけではなく、起用法に対する不満からの保留だった。

ライオンズでは2022年のオフ、同じくスミス投手が金額面では合意しながらも、先発起用を約束してもらえない起用法に対し不満を抱き退団となっている。平良投手の場合はもちろん退団の可能性はないわけだが、しかし金銭面ではなく起用法に対する不満での保留という意味ではスミス投手と状況は同じだ。

実は平良投手は以前より先発転向を希望していた。2020年のオープン戦では先発テストも受けているのだが、しかし残念ながらその試合では3回5失点と結果を出すことはできなかった。それ以来平良投手はひとまずリリーフ投手というポジションに収まり続けている。

渡辺久信GMとしては、2024年からであれば先発転向のチャンスを約束できるという提案をしたようだ。だが平良投手のそれに対するコメントは「(先発転向を直訴して以来)4年も先発をできないのはありえない」という趣旨のものだった。平良投手の気持ちも分かるが、しかしごね方としてはやや幼稚に見えてしまう。

平良投手は2020年に先発テストに失敗した時と今とでは、ピッチングの内容は変わっていると言い、先発投手として成功する自信を口にしている。恐らくこれは、一時期ストレートの被打率が悪かったことで変化球の割合を増やしたことを言っているのだろう。だが事実上先発経験がない状況で、先発に対する自信を口にするのは時期尚早だ。

それに加え平良投手には、先発投手としては是が非でも持っておきたい打者の目線を動かせる緩い変化球がない。そしてツーレーンピッチャーでもない。どちらかと言えばストレートのパワーと速い変化球、チェンジアップのコンビネーションで打ち取るタイプの投手であり、速いストレートがあるからこそスライダーやチェンジアップが生きてくるタイプだと言える。

しかし先発に転向すればリリーフ時のストレートのアヴェレージ(平均球速)を維持することはできない。そして先発として常にクイックモーションで投げ続けることも現実的ではない。そのためあくまでも筆者個人の感想としては、平良投手が何を根拠に先発に対する自信を深めているのかがはっきりと分からないのだ。もし上述した変化球の割合だけの話なのであれば、先発としての自信はすぐに打ち砕かれてしまうだろう。

そもそも、もし西口文也前1軍投手コーチと豊田清投手コーチが、平良投手に先発投手としての適合性を感じていれば、先発のチャンスも2020年オープ戦での1回だけには止まらなかったはずだ。投手コーチたちも、辻監督も松井稼頭央監督も、現時点では平良投手は先発よりもリリーフでいてもらった方が良いと考えていたし、考えている。

松井稼頭央監督元年に動かしたくない平良海馬投手のポジション

渡辺久信GMとしては、松井稼頭央監督の初年度に主力リリーバーを動かしたくないという思いは強いはずだ。そのため次の交渉の席でも、2023年から先発転向を許可する可能性は低いと思われる。そして今回提示された1億7,000万円という年俸は、平良投手のリリーフとしての貢献に対し提示された額であり、未知数の先発転向に対する期待額というわけではない。平良投手はそのあたりも踏まえなければならないだろう。

仮にもし平良投手が、年俸は1億円のままで良いから先発に挑戦させてくださいとでも言えば、これは非常に好感度が上がる。そのような言葉が出てくれば、渡辺久信GMだって平良投手の希望を無下にすることなどできはしないし、「そこまで言うのなら1.7億円に見合う結果を先発として出してみろ」と言いたくもなるだろう。

しかし今回の件での平良投手の態度は、自分の配属先希望が4年間通らなかったことを「ありえない」という言葉で結んでしまうという、非常に幼稚に感じてしまうものだった。もちろん社会経験のない23歳のプロ野球選手であれば、社会人としての上司との接し方を知らなくても当然なのかもしれない。だがメディアを通して上司である渡辺久信GMの提案について「ありえない」という言葉を使うことは、筆者個人としてはそれこそありえないと感じてしまい、平良投手に対する好感度は少なくとも筆者の中では大幅に低下してしまった。

2023年来季、平良投手が先発に挑戦できるのか否かはまだ分からない。だが渡辺久信GMが2024年からならOKと言ってくれているのであれば、あと一年はリリーフとして頑張り、2024年からの先発手形を受け取るのが最善だと思われる。

ちなみに平良投手は日本代表に関してはリリーフとして投げると公言している。来春はWBCが行われるわけだが、平良投手がWBCに選出された場合、果たして先発調整をしながらWBCではリリーフとして投げるつもりなのだろうか。だとすれば平良投手の考え方はプロとしては甘いのではないだろうか。先発調整をしながらリリーフとして本領を発揮できるほど、プロ野球のリリーフマウンドと世界の舞台は甘くはない。

もし平良投手が本気で先発転向を目指すのであれば、リリーバーとしての代表選出は辞退し、先発調整に集中すべきだと思う。ライオンズでは先発として投げたいが、代表ではリリーフとして投げるというのは、ちょっと虫が良すぎるように感じるのは果たして筆者だけだろうか。

だがいずれにせよ、平良投手には来季も変わらず活躍し続けてもらいたい。もちろん現状ではリリーバーとして2023年も投げることが、チームにとってもファンにとってもベストだと思うのだが、もし先発転向を許可されたとしても、先発投手として最低限二桁は勝ってチームに貯金をもたらすような活躍を期待したい!

7年間も最終回を守り続けた絶対的守護神増田達至投手

最終回を守り続けた絶対的守護神増田達至投手

2016年以降、ライオンズの守護神は長年増田達至投手が勤めてきた。途中怪我や不振もあり調子を落とした時期もあったが、そのような時期が長続きすることはなく、守護神として7年間ライオンズの最終回を守り続けている。だがこの増田投手のポジションも、そろそろ変えるべきだと筆者は考えている。

増田投手の魅力はなんと言っても質の良いストレートだ。その回転の質は本当に素晴らしく、調子が良い時はホップするのではないかと思えるほどだ。だがそのストレートの威力に今季あたりから明らかな翳りが見え始めているのだ。実際の数値としては公開されていないため何とも言えないのだが、数字を見るとその兆候を見て取ることができる。

今季の増田投手のWHIPは0.92で、防御率は2.45だった。セーブ数としては31個マークしており守護神の名に相応しい活躍を見せてくれたのだが、気になるのはこれだけWHIPの数字が良好なのに、防御率が2.45となっている点だ。
※ WHIPとは1イニングあたりに出す平均走者数のこと

昨季の増田投手の防御率は4.99だったのだが、WHIPも1.27とさほど良くなかったため、この防御率は不思議ではなかった。しかし今季のWHIPは0.92とスーパーエース級であるにもかかわらずリリーフに失敗する場面も多く見られ、防御率も2.45と増田投手としては物足りない数字だった。

合わせて平良海馬投手と水上由伸投手の数字も見ておくと、平良投手の今季の防御率は1.56でWHIPは0.94、水上投手は防御率1.77でWHIPは0.91だった。このふたりの数字と比較をすると、増田投手の数字の物足りなさが際立ってくる。いや、もちろん31セーブで防御率2.45なのだから、一般的に考えれば素晴らしい数字だと思う。だが増田投手にしてはやはり物足りなさを感じてしまうのだ。

明らかな球威の衰えが見え始めた増田達至投手

今季の増田投手はWHIPに関して言えば平良投手や水上投手と同レベルの数値だった。ではなぜ三人の中で増田投手だけが防御率が2点台中盤となってしまったのか。その理由は先にも挙げたように球威の衰えが原因になっていると思う。制球力や投球術に関しては今なお向上を続けている増田投手だが、奪三振率に関しては3年連続で数字を落としてしまっている。

2019年は9.56、2020年は7.71、2021年は6.75、そして今季は5.96というのが増田投手の奪三振率だ。この5.96という数字は今季で引退された内海哲也投手の6.00を下回っている。増田投手は、水上投手のように比較的打たせて取ることを得意としているというよりは、三振を取って行くことができる投手だ。その投手の奪三振率が引退年の内海投手の数字を下回っているのだから、これはやはり球威の衰えと見て間違いないだろう。

増田投手のこれまでの貢献を考えれば、よほど成績が低下しない限りは来季もこのまま守護神を前提として起用されていくのだと思う。それが増田投手に対する敬意だと思うのだが、しかし監督が代わったというタイミングもあり、筆者は増田投手の守護神にこだわる必要はないと考えている。

増田投手も成績が下降してから守護神の座を剥奪される形でセットアッパーに降格させられるよりも、球威に明らかな衰えが見え始めているこの時点で少し楽に投げられるセットアッパーにポジション替えしてあげた方が、増田投手の選手寿命を伸ばすせると思うのだ。

守護神として成績を上げられなくなれば、増田投手クラスであっても力みが生じるようになり、そこから再び肩を痛めるということにも繋がってしまう。そうなる前に楽なポジションで投げさせてあげるというのは、今豊田清コーチも悩んでいるポイントだと思う。

そして今季投げたイニング数は三人ともほとんど変わらないのに、被本塁打は増田投手が7、平良投手が2、水上投手が1となっている。3点差以内の緊迫した場面で投げる守護神としては、この被本塁打の数はやはり気になるところだ。必ず僅差での登板となる守護神がホームランを打たれてしまえば、そこで一気に試合をひっくり返されるケースが多くなるからだ。

守護神が試合をひっくり返されるということは、勝てるはずだったゲームを落としてしまうことを意味し、これは優勝を目指すチームとしては致命傷にもなりかねない。だからこそ筆者は増田投手は来季は7回あたりで、プレッシャーのやや少ない回に投げてもらうのが球威的にも年齢的にもベストだと考えているのだ。

平良海馬投手は今もまだ先発願望を持っているのだろうか?!

では守護神は誰が務めるのかということになれば、それはやはり三振を取れる平良海馬投手が適任だろう。守護神はやはり三振を取れることに越したことはない。水上投手の場合はある程度三振も取れるのだが、どちらかと言えば打たせて取ることを得意としており、ピンチで登板して併殺打で切り抜けてもらうという起用法をするためにも、水上投手は7〜8回に待機してもらうのが現時点ではベストだろう。

さて、ここで気になるのが平良投手が今でも先発願望を持っているのかという点だ。最近は平良投手の口から先発へのこだわりは聞かれなくなったが、だからと言って内に秘めていないとは限らない。ただし平良投手自身、ライオンズの先発ローテーションの6人がほぼ固まっていることは認識しているわけで、そこであえて危険を犯して先発転向を志願する可能性は低いように思える。

バックナンバー:平良海馬投手はリリーフに専念すべき?それとも先発に挑戦すべき?

平良投手は以前、西口文也投手コーチから先発のチャンスをもらっているのだが、結局はそれを活かすことはできず、その後はリリーフに専念したという経緯がある。いつかは先発として勝負したいという気持ちは持っているかもしれないが、平良投手が近い将来また先発転向を志願することは、先発陣の安定感と、増田投手の球威の衰えを踏まえれば可能性としては低いだろう。

それならばいつ増田投手がセットアッパーに転向しても良いように、平良投手は守護神を務める準備をしておいた方がチームにとっても、平良投手自身にとってもプラスになると思う。

250セーブという数字がまだ遠く感じられる増田達至投手の現在地

現在ライオンズの1軍でチーフ格として投手コーチを務めるのは豊田清コーチだ。豊田コーチはご存知の通り、かつてはライオンズの絶対的守護神として君臨していた名投手だ。

最終回のマウンドに登り投球練習を終えると、バックスクリーンに向き直り、胸に手を当てて集中力を高める姿を見せた。そしてファンもスタンドで立ち上がり、その豊田投手の姿に合わせて胸に手を当てて勝利を願うことが日々の恒例となっていた。

絶対的守護神として数々の修羅場や力の衰えをも経験してきた豊田清コーチであれば、来季以降の増田投手の最善の起用法もすでに頭の中で描いていると思う。その構想を筆者が読み取ることなどおこがましくてとてもできることではないが、しかし何らかのシミュレーションをしていることは確かだと思う。

それが成績を落としてからのことなのか、それとも成績を落とす前の事前策なのかは、来年のオープン戦の終盤になれば見えてくるだろう。

だが確実に言えることは、来季は開幕早々に35歳になる増田投手が、ここからさらなるキャリアイヤーを作ることは難しいということだ。仮に増田投手がこれまで大した成績を残していない選手であれば、遅咲きのキャリアイヤーを作ることも可能だが、しかし増田投手はこれまでまさに輝かしい成績を残し続けている。そんなレベルにある投手が来季さらに数字を上げることは現実的には考えにくい。

豊田投手コーチもそれについては考えているだろうし、そして平良海馬投手もそれを考えなければならない。先輩である増田投手に敬意を示しながらも、いつでも増田投手のポジションを奪いに行ける状態にしておくことが、今平良投手に求められていることではないだろうか。

将来的な記録を踏まえても平良海馬投手の守護神転向は今かもしれない

大学から社会人を経てプロ入りした増田投手とは異なり、平良投手は高卒で来季はまだ23歳だ。そう考えると、現在175セーブの増田投手は名球会までの250セーブに到達できる可能性はもはや年齢的にすごく高いとは言えない。250セーブをマークするためには来季から25セーブ以上を3年間続ける必要がある。

しかし3年後、37歳でこれまでの肩に脆さを見せていた増田投手が守護神で居続けられる可能性は低いと考えるのが現実的だ。だが来季23歳の平良投手が来季以降守護神を務めることになれば、よほどの事態がない限りは、平良投手が今の増田投手の年齢になった時に250セーブに到達している可能性は非常に高い。増田投手と平良投手の起用法に関しては、そのようなことも加味しながら考えていく必要もあると思う。

さらに言えば今季の状態であれば、相手打線からすれば増田投手よりも平良投手が出てくる方が嫌なイメージを持ったはずだ。我々ファンからしても、今季に関して言えば増田投手よりも平良投手の方が安定感があると感じていた。だとすればやはりここは平良投手を最終回に持っていくことが、ライオンズが勝てる可能性を高めることになるのではないだろうか。

もちろん筆者自身、増田投手を蔑ろにしたいと考えているわけではない。増田投手の選手寿命を伸ばすためにも過酷な守護神の座で起用し続けるのではなく、セットアッパーに転向した方が良いと思うのだ。

そして一方まだまだ成長段階にある若き平良海馬投手には、プレッシャーや過酷な状況を跳ね除けるだけのエネルギーが有り余っている。松井ライオンズが今後何年も安定して戦っていくためにも、守護神をより安定感があり、まだまだ選手寿命が長く残っている平良投手に早めにスイッチしておくことは決して損ではないはずだ。

だが増田投手と平良投手を競わせるということについては筆者は反対だ。これは増田投手に対する敬意に欠けると筆者には感じられるため、セットアッパーに転向してもらうのであれば、豊田清コーチが直接増田投手を前もって説得し、納得してもらうことが重要だ。そう、かつて東尾修監督が先発だった豊田清投手を守護神に転向させたあの時のように。

バックナンバー:西口文也コーチから豊田清コーチへ、渡辺GMの見事なまでの継投策

ストレートに力の翳りが見え始めている増田達至投手

平良海馬

埼玉西武ライオンズにも世代交代の波が押し寄せてきている。打線に関してはもちろんなわけだが、守護神に関してもそうだと言えるだろう。近年は増田達至投手が絶対的守護神として君臨し続けて来たわけだが、今季はシーズンを通して不調が続いてしまった。

増田投手は来季は34歳となるわけだが、勤続疲労が溜まって来ているのだろう。今季投げていたボールは、過去2年のボールとは異質なものだった。ストレートには力の翳りが見え、変化球にもキレがなかった。

もちろん来季はまた復調してくれるとは思うのだが、しかしその保証はないのがプロ野球という世界だ。豊田清投手コーチとしては、来季も増田投手が復調して来ないこともあらかじめ想定しておかなければならない。

だが幸運なことにライオンズは平良海馬投手の存在がある。仮に増田投手が復調できなかったとしても、守護神不在に悩まされることはない。一昔前はグラマン投手に守護神を任せなければならなかったほど、守護神不在に悩まされていたわけだが、今はそのような心配はない。

それでも心配は点はある。それは平良投手が先発を志望しているということだ。今季に関しては先発に対する思いは封印していたようだが、それでも先発に対する思いを断ち切ったのかどうかは筆者には分からない。

もし平良投手が今後も先発転向への意欲を持ちながらも、ライオンズが平良投手をリリーバーとしてしか起用しなかった場合、何年か後にはFAで先発ができる場を探すことだってあり得る。

もちろんそんなことはまだまだ先の話であるわけだが、渡辺久信GMの頭の中にまだその懸念はない、ということはありえないだろう。なぜならそこまで見据えて中長期的にチームビルディングを行うのが渡辺GMの手法だからだ。

年齢に関わらず俯瞰力を持っている平良海馬投手

今季、平良投手は見事な活躍を見せてくれた。開幕から39試合連続無失点というのは、2リーグ制後では最長であるらしい。20試合連続無失点でも十分に素晴らしいのに、39試合連続というのは筆舌に尽くし難い記録だと思う。この数字を塗り替えるとしたら、やはりまた平良投手になるのだろう。

だが平良投手は今オフに右足の手術を受けている。10月23日に手術を受けて、3ヵ月で実戦復帰できるとのことだったが、しかし今季と同じパフォーマンスを見せられるかどうかは、春になってみなければ分からない。回復が早まることもあれば、遅れることだってあるからだ。

しかしその術後の経過さえ問題なければ、来季の開幕守護神は順当に行けばやはり平良投手になるのだろう。もちろん平良投手が先発を志望しなければ、の話だが。

平良投手は伊良部秀輝投手と同じタイプの投手だと思う。もちろん性格などはまったく違うのだろうが、選手としてのタイプはとても良く似ている。剛腕を唸らせ剛球を投げるタイプかと思えば、実際にはメカニックを非常に重視しており、投球フォームに対しても他の選手以上に研究熱心だ。

ちなみに伊良部投手は非常に繊細な方だったと言う。一時は悪童とも呼ばれた選手だったが、しかし根は優しく、常に野球のことを考え、やはり誰よりもフォームに対し研究熱心な選手だった。あんなに若くして亡くなってしまったことが本当に惜しい野球人だったと思うし、筆者も個人的に尊敬している野球人の一人だった。

平良投手に関しても、70万円ほどするポータブルタイプのラプソードを自腹購入している。この機器の数値を見ながら、投球フォームの改良に努めているらしい。平良投手はきっと、自分で自分自身のコーチができるような、俯瞰力を持った選手なのだろう。

どうすれば平良海馬投手はライオンズ愛を貫く?

もしライオンズ投手陣の中で別に守護神を任せられる若手投手が出てくれば、平良投手も先発に挑戦する機会をまた与えてもらえるかもしれない。

宮川哲投手や水上由伸投手などは、今後守護神候補として名乗りを上げていってもいいと思う。今季は低迷してしまった宮川投手だったが、もう一段レベルアップできれば十分に守護神の座を狙っていくことができるだろう。

そしてもしまた平良投手が先発に挑戦できるのであれば、やはり先に名を挙げた伊良部投手のような豪快な先発ピッチャーになっていってもらいたい。

プロになった以上は、やはり一番やりたいポジションに挑戦するのがベストであると筆者は考えている。平良投手がもしまだ先発へのこだわりを持っているのであれば、状況さえ許せば首脳陣もチャンスを与えるべきだろう。

もちろん守護神を不在にしてしまうような状況にはできないわけだが、増田投手が完全復活したり、他の若手投手が目覚ましい飛躍を見せて来たなら、チャンスは与えてあげなければならないと思う。そうしなければ、本当にFAで先発をできる場を探してしまうことにもなるだろう。

だが可能な範囲でチャンスを与えてもらえれば、仮に先発転向が上手くいかなかったとしても平良投手の中には首脳陣や球団への感謝が生まれ、FA取得後もライオンズ愛を表明してくれるようにもなるはずだ。

2020年は開幕からノーヒットで27個のアウトを積み重ね、リリーバーとして1人で9イニングス以上をノーヒットに抑え続けた。その姿を覚えているファンであれば、平良投手が今度は先発投手として正真正銘のノーヒットノーランを達成する姿を見てみたい思っている方も多いのではないだろうか?もちろん筆者もその一人だ。

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近頃のプロ野球選手たちの一部では、バイオメカニクスに対する理解を深めている選手が増えてきている。中でもライオンズは選手個々はもちろん、球団としてもバイオメカニクスへの取り組みを強化し始めている。西武球団はマーケティング面においてすでに、NTTコミュニケーションズと協力関係にあり、メットライフドーム内の至る所でNTTコミュニケーションズが提供するIT技術が駆使されている。

だが西武球団とNTTコミュニケーションズとのパートナーシップはマーケティング面だけに留まらず、現在は動作解析ソフトという新たな分野でも協力関係にある。NTTコミュニケーションズが開発した動作解析ソフトは、すでに2021年の春季キャンプ中から使われているようで、実際に利用した平井克典投手も好感触を持ったようだ。

10年前はまるで手が届かなかった動作分析ソフト

筆者は野球のプロフェッショナルコーチとして仕事をし始めて今年で12年目になるのだが、10年くらい前に動作分析ソフトを提供する企業から営業を受けたことがある。筆者がパーソナルコーチを担当しているプロ野球選手やアマチュア選手に対して使える、動作分析ソフトのレンタル使用権に関する営業だったのだが、なんと月額は安くて数十万円、本格的に使う場合は100万円を越すような金額だった。もちろんパーソナルコーチングでそれだけの費用を捻出することはできないし、一応はその当時担当していたプロ野球選手にも聞いてみたのだが、その料金での利用に対して前向きな選手はいなかった。

その1〜2年後だろうか、iOSアプリでプロの現場でも利用できるレベルのアプリが登場してきた。それは月額1,000円もしない。もちろん月額数十万円のソフトと比べるとできることは限られるわけだが、しかし現場で実際に使いたい最低限の機能は備わっているため、このアプリに関しては筆者は今でもコーチング現場で使い続けている。

ちなみに近年よく耳にするトラックマンは、機器を購入したり数値を測定するだけであれば、頑張れば一般人でも払えるのではないか、というような金額なのだが、データ利用をするとなるととんでもない金額に跳ね上がる。とてもじゃないが個人で契約することは難しく、企業レベルじゃないとなかなか導入することはできない。ただ、ある大学では野球部の指導者が個人的に自腹でトラックマンを導入したという話を耳にしたため、もしかしたら料金は少しずつ下がってきているのかもしれない。もしくはデータ活用はせず、測定のみを行なっているのかもしれないが。

トラックマンとラプソード

ちなみにメットライフドームにもトラックマンが設置されている。バックネット裏のスコアボード付近に黒くて四角い物体が設置されていると思うのだが、それがトラックマン社製のレーダー測定器だ。だがこれがどのように活用されているのかは筆者には分からない。ただ数値を測定しているだけなのか、それともデータ活用がなされているのか。数年前に西武球団はIT戦略室を新設しているのだが、恐らくはそこでデータ活用されているのではないだろうか。

トラックマンはピッチャーが投げるボールや打球の球質をかなり正確に測定することができるのだが、バイオメカニクスという観点においては専門外だとも言える。だが今西武球団が運用し始めているNTTコミュニケーションズの動作解析ソフトは、映像から動作解析をしていくため、バイオメカニクスと球質の関係を相互で見ていくことができる。筆者も少しだけ実物を見たことがあるのだが、確かに選手側からするとトラックマンよりもずっと具体的に動作改善に活かせそうだと感じた。

ちなみにライオンズには平良海馬投手や髙橋光成投手のように、個人的にラプソードを所有している投手がいる。ラプソードもトラックマンのように球質をデータ化することができるのだが、トラックマンとの最大の違いは手軽に持ち運べるという点だ。

ラプソードの機器はDriveline Baseballでも使われている。Drivelineと言えばライオンズも若手投手を何人も送り込んでいるワシントン州のケント(シアトルの少し南)にあるバイオメカニクスの専門施設なのだが、そこに派遣されたチームメイトにラプソードの話を聞いたのかもしれない。ライオンズでは平良投手がまずはそれを個人的に購入し、その後平良投手に借りて使い始めた髙橋投手も自ら購入した。

ラプソードは手軽に持ち運べて、データをiPadで見ていくことができる。個人利用するには最適なサイズであるため、今後個人的にラプソードを利用するプロ野球選手は増えていくだろう。だがこのラプソードも基本的には球質などの数値を分析するのが得意な機器だ。もちろんエクステンション(ピッチャーズプレートとボールリリースまでの距離)やリリースアングルなどを計測することによって、それを動作改善に活かすことは可能なのだが、しかしあくまでもこれらは数値であり、厳密には動作そのものを分析した結果ではない。

テクノロジーの進化がパーソナルコーチを淘汰する?!

しかしNTTコミュニケーションズが開発したソフトは、上述した通り映像から動作分析を行っていく。そのため、自分自身が実際にどのようなフォームで投げているのかということをテクニカルに俯瞰視することができるのだ。ちなみに筆者のプロコーチとしての経験上、99%のピッチャーは頭で思い描いているフォームと、実際のフォームが一致していない。最も一致しているなと感じたのは杉内俊哉投手だ。

NTTコミュニケーションズのソフトと、ラプソードやトラックマンを併用することにより、実際にどのようなフォームになっていると、どういう球質のボールを投げることができるのか、ということをデータとして知ることができる。例えば調子が良い時と悪い時というのは必ずフォームに違いがあるのだが、以前であればその違いを筆者のようなプロコーチが経験を生かして短時間(短時間といっても映像を何時間も何時間も繰り返し見続ける)で見つけ出し、選手たちにデータを提供していた。だがこれらのソフトや機器があれば、そのような作業が一瞬で終わってしまい、筆者のようなパーソナルコーチが行っていた分析作業は必要がなくなる。

とは言えパーソナルコーチが不要になることはない。パーソナルコーチは、選手からいつ何を質問されても良いように、野球に必要な知識を常時頭の中でアップデートし続けておく必要がある。この作業ばかりは選手との会話や、フォームや試合を見る中で提供していかなければならず、まだしばらくの間は機械に仕事を奪われることはなさそうだ。しかし10年後どうなっているのかは分からず、少なくとも頭の中をアップデートし続けられないコーチはあっという間に淘汰されていくだろう。

今ライオンズに必要なのは経験豊富なコーディネイター

数年前までは、西武球団は老朽化が著しい球団として見られていた。それを理由にライオンズを去っていった選手もいると聞く。だが今ではトラックマンやNTTコミュニケーションズの動作分析ソフト、さらには個人で所有されているラプソードなど、まさに時代の最先端を走っているように見える。NTTコミュニケーションズのソフトとトラックマンのデータを活用できるコーチを育成、もしくは招聘することができれば、ライオンズでは入団した全員を一流選手に育て上げることも不可能ではなくなるかもしれない。

科学がすべてとは思わない。科学は非常に重要な要素であるわけだが、しかし実際にプレーするのは生身の人間だ。科学を取り込めば万事OKということはなく、重要なのは科学を上手く選手に落とし込めるコーチの存在だろう。そのようなコーチがライオンズにいるとはまだ思えない。西口文也コーチにしても、豊田清コーチにしても、バイオメカニクスを理解し切ってはいないはずだ。残念ながらバイオメカニクスというのは、プロ野球のコーチをしながら身につけられるような簡単なものではない。球団でコーチをしながら勉強をして身につけるにしても、5年10年という年月が必要になるはずだ。

そういう意味では、せっかくのトラックマンや動作分析ソフトをもっと選手にとってのプラス材料にすることができる専門家の存在がライオンズには必要だ。例えば西武球団はDriveline Baseballと繋がっているのだから、そこから専門家を派遣してもらうという手もある。Drivelineのコーディネイターたちはすでにラプソードや動作分析ソフトを使いこなしている。そのような専門家の力を借りれば、今シーズン中からでもデータを活かすことができるはずだ。

※ コーディネイター:バイオメカニクスの観点から選手の動作分析と動作改善を行なっていく専門家

そしてコーディネイターの力を借りてデータを上手く選手に落とし込めるようになれば、「ライオンズに入団すれば誰でも一流になれる」という印象をアマチュアから持たれる球団になっていくこともできる。そうすればドラフト戦略でも優位になり、ライオンズに入りたい、ライオンズに入れたいと思うアマチュア選手、親御さん、指導者も増えていくはずだ。そしてドラフト戦略が上手くいくシーズンが続いていけば、他球団のように補強に大金を注ぎ込まなくても、次々と良い選手を2軍から1軍に送り込めるようになる。そしてその状況こそが今、渡辺久信GMが見据えるライオンズの近未来なのではないだろうかと、筆者は密かに予想しているのである。

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高橋光成投手には球速を最優先にしないでもらいたい

2021年1月、高橋光成投手の自主トレは平良海馬投手と共に沖縄の宮古島で行われる。近年高橋投手は自主トレを菊池雄星投手と一緒に行っていたが、今年は菊池投手の元を巣立ち、後輩という立場から先輩という立場に自分を置いて自主トレを行うことにしたようだ。

後輩として合同自主トレに参加することと、先輩として合同自主トレを率いることとでは意味合いはかなり異なってくる。先輩という立場に自らを置いたということは、高橋投手自身に今後エースとなっていくための自覚が芽生えてきたということなのだろう。

だが筆者には一つ心配事がある。それは高橋・平良両投手共に球速アップに関するコメントをこのオフにしているという点だ。自主トレでは球速アップだけに主眼が置かれることがないようにと筆者は願っている。

球速は確かに遅いよりは速い方が良い。しかし球が速いだけで勝てるほどプロ野球は甘くないし、球が速くなくてもメンタルとボールを上手くコントロールできれば勝てる投手になれる。

そして何よりも重要なのは「制球>変化>球速」という公式を崩さないということだ。この公式を崩さなければ150km以上のボールを投げなくても勝ち続けることができる。しかしこれを「制球<変化<球速」としてしまうと、ただ球が速いだけの勝てない投手でプロ生活を終えることになってしまう。

今季もリリーフに専念する平良投手はまだしも、先発として長いイニングを投げなければならない高橋投手がこの公式を崩してしまえば、最多勝を狙える投手に進化することは難しいだろう。

ライオンズのエースとなるならば、やはり高橋投手には最多勝を獲ってもらわなければ困る。

先発転向の希望を持つ平良海馬投手

一方の平良海馬投手は165kmを目指すというようなコメントも残しているようだが、これは辻発彦監督の言葉通りナンセンスだ。もちろん野球が個人種目であれば165kmを投げられれば金メダルをもらえるかもしれない。しかし野球は常に相手がいるスポーツだ。

ライオンズのブルペンには増田達至投手や豊田清投手コーチという、しっかりと自らのボールを制御することによって好成績を残し続けている先輩とレジェンドの存在がある。平良投手は彼らの姿を追いかけるべきだろう。

今季も平良投手はリリーフに専念するわけだが、しかし平良投手自身は昨年に続き先発転向への希望を持っている。昨季は先発としてのテストも行われたようだが、今季に関しては最初からリリーフ専任として起用されることが西口文也投手コーチから通達されており、本人も納得済みのようだ。

将来的に先発に転向したいのであれば尚更、今のうちに球速以上に磨いておかなければならないことがある。球速は確かに、基本的には若いうちしか伸ばすことはできない。しかし若い今のうちに本当に磨いておかなければならないものを後回しにしてしまうと、30歳前後になってから苦労することになるだろう。

平良投手はまだまだ若い。今慌てて球速アップを目指さなくても、数年かけて今よりも速くすることが可能だ。だからこそ球速アップに主眼を置くのではなく、まずは制球と変化をもっともっと磨き、そのついでに球速もアップさせていく、くらいの気持ちで自主トレに挑んでもらいたい。そうすれば将来的には先発としても通用するピッチャーになることもできるはずだ。

もしかしたら将来的には、高橋投手と平良投手がローテーションの柱として回っていくこともあるのかもしれない。ふたりともまだまだ伸び盛りの選手なだけに、まずは怪我をしないための理論的なフォームの習得を目指し、球速以上に重要な勝てる投手になるためのスキルを、宮古島ではじっくりと磨いて来てもらいたい。

そして今季こそはこのふたりの力によって、ホークスをねじ伏せてもらいたい!