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以前西武球団から記事の非公開化を依頼された筆者

山川穂高選手を名指しし改善を求めた松井稼頭央監督のチーム改革

松井稼頭央監督の言葉を聞いていると、近年ライオンズに足りていなかったことがよく見えてくるし、筆者がこの場に書き残してきた、ライオンズに対する数々の厳しい内容の記事も間違っていなかったと確信することができる。やはり近年のライオンズは、CSやペナントレースで負けるべくして負けていたと言って過言ではない。

ところで、各紙スポーツ紙が必要以上にチームや選手に対して厳しい記事を書くことはない。例えば有名どころでいえば日刊スポーツ、SANSPO、スポニチなど多数のスポーツ紙が存在しているわけだが、必要以上に厳しい記事を記事を書いてしまうと球場を出禁にされたり、球団から情報を最速で受け取れなくなる可能性があるため、基本的には球団が提供した情報内からしか記事は書かないし、そこには確実に忖度が存在している。

実は筆者は以前Baseball Times(BT)でライオンズに関するコラムを連載していた際、球団が公式には認めていないある真実について書いたことがあった。しかしそれは今流行りの暴露など悪意ある内容ではなく、当時のライオンズについての真実を冷静な文脈で書き記したもので、ライオンズ愛あるが故の記事であり、その記事は当時他の筆者の連載記事と比較し、桁外れのアクセス数を記録していたようだ。

だが西武球団からその記事に対してNGが入ってしまい、残念ながらその記事は公開間もなくお蔵入りとなってしまった。ただしその記事に書かれていた内容に対して西武球団から否定は入らなかった。

筆者はこのような経験をしているため、真実だからと言ってあまり必要以上書くことには気をつけている。そのため筆者が知る選手に関する情報も、差し障りのないもの以外は公になっていること以外は書かないようにしている。だがプレースタイルに関してはその限りではないと考えているため、特に主砲山川穂高選手に対しては厳しい記事を多数書いてきた。

読者の中には「この筆者は山川選手が嫌いなのかな?」と思われた方もいたかもしれない。だがそうではない。ライオンズの主砲として心から応援しているからこその記事だった。それをよく理解していただきメッセージをくださる読者もいらっしゃったことは書き手冥利に尽きる。

さて、ここまでは何となく言い訳がましく書いてきたわけだが、すべては筆者が多くの記事で山川選手に対し指摘してきたことを、松井稼頭央監督が正式に口にしてくれたことを伝えるための前置きだった。

主砲山川穂高選手にも容赦しない松井稼頭央監督のチーム改革

松井稼頭央監督は山川穂高選手に対し、気を抜くべきではない段階では決して気を抜かないことや、チームプレーを重視することを指摘し続ける旨を宣告した。これはまさに筆者がこのサイト内で山川選手に対し指摘し続けていたことだ。

松井稼頭央監督はそのようなことを山川選手に対しても「しつこく言い続ける」と仰っている。その話題の中で出てきた個人名が山川選手の名だけであることから、松井稼頭央ヘッドコーチが如何に主砲に対して物足りなさを感じていたかがよく分かる。

山川選手はライオンズの主砲で、チームの顔でもある。その山川選手に対し松井稼頭央監督は「走り切る」「最後までやり切る」ことを求めている。つまりこれは、山川選手がこれまでグラウンド上で気を抜いたプレーを度々見せていたということに他ならない。

ライオンズには、とにかく最後までしっかりとプレーし切るという伝統があった。栗山巧選手中村剛也選手まではその伝統が続いていたのだが、世代が山川選手へと移り変わっていくと、いつの間にかその良き伝統が薄れていってしまった。

ライオンズにあった良き伝統を再興させようとしている松井稼頭央監督

栗山巧選手と中村剛也選手はまったく異なる個性を持っている。中村剛也選手に関しては非常にマイペースに見えるし、時として抜いているように見えることもあるのだが、実際にはそうではない。中村選手の場合、その時々で自分がやるべきことと、自分の体に必要なことがしっかりと分かっているのだ。そのためやる時はやるし、やるべきではない時には周囲からはペースが落ちているように見えることもある。つまりこれはオンオフにメリハリがあるということだ。

一方の栗山選手はとにかく練習の虫だ。誰よりも早く練習場に現れ、誰よりも遅くまでバットを振り続けている。本人は否定するが、本当にストイックという言葉がよく似合う選手だ。ユニフォームを着ている限り決して気を抜くことがなく、だからこそマウンドから遠いレフトを守りながらもかつては主将を任されていた。

栗山選手と中村選手はまさに他の選手にとってお手本となる存在であり、松井稼頭央監督は山川選手に対してもそのような姿を見せるよう求めている。そして松井稼頭央監督と一心同体とも言える平石洋介ヘッドコーチも「今までのライオンズとガラッと変えていかないと来季も苦戦する」と仰っている。

秋季練習から秋季キャンプにかけての松井監督・平石コーチの言葉を聞いていると、これまでのライオンズを引き継いでいくのではなく、しばらく勝てていないライオンズを根本から変えようとしていることがよく分かる。

ウォームアップ一つを取っても、全体でのウォームアップでその日初めて体を温めるのではなく、全体でウォームアップする際にはもうしっかりと体が出来上がっていて、ウォームアップの段階からキビキビと動いている姿をファンに見せられるよう、毎日準備しておくことも同時に求めている。

一部では、今季ヘッドコーチを務めていた松井稼頭央監督は、ある程度の指揮を任されていたと囁かれていることもあったが、筆者はそうは思っていなかったし、松井監督や平石コーチもそれを完全に否定している。だがどうやら松井監督と平石コーチは今季1軍ベンチ中で、ライオンズがなぜしばらく勝てていないのかという原因を一年かけて洗い出していたようだ。

そのため監督就任と同時に、松井監督の口からは次々と具体的な改革案が飛び出してくる。山川選手に対する物足りなさや、チームプレーが足りていなかったチーム状況もまさにそうで、松井監督は今、ライオンズがしばらく勝てていなかった原因をしらみ潰しにしていっているように見える。

森友哉捕手の残留に対してもプラスに働くであろう松井稼頭央監督のチーム改革

森友哉捕手に関しても当然そんな松井稼頭央監督の新たなやり方を目の当たりにしているはずだ。近くで山川選手が松井監督に何かを言われている姿も見ているだろう。そして筆者は思うのである、森捕手がそこに来季への手応えを感じているのではないだろうかと。

大阪出身で、かつてオリックスジュニアとしてプレーしていた森捕手が、大阪の球団でプレーする希望を持っていることは周知の事実だ。だが同時に抱えているのもライオンズ愛であり、今森捕手は松井監督のやり方を目の当たりにし、この監督について行けば優勝できると感じて始めているのではないだろうか。

プロ野球選手にとって最も重要なのは、やはり所属球団が優勝できるか否かだ。仮に大阪でのプレーを希望していたとしても、オリックスがかつてのように最下位の常連のままであれば、森捕手もFA移籍先としてオリックスに魅力を感じることはなかっただろう。

だがこの2年のオリックスはリーグ二連覇を達成し、今季は26年振りの日本一も達成している。しかもそのバファローズを率いるのはかつての名捕手中嶋聡監督だ。そのためこのチームが現在森捕手にとって非常に魅力的に映っていることはよく理解できる。

しかしライオンズには森捕手が慕う岡田雅利捕手もいるし、自宅もご近所同士という仲の良い山川穂高選手の存在もある。しかも今オフは以前共に自主トレをしていた佐藤龍世選手もライオンズに出戻った。良きチームメイトに恵まれ、そしてチームは今松井稼頭央監督の下ガラッと変わろうとしている。

森捕手は今、ライオンズが勝てる集団に変わろうとしているのをひしひしと感じているはずだ。これはFA交渉でどんな好条件を提示されるよりも、残留への好材料となるはずだ。

かつて多くの選手がFA移籍先としてジャイアンツを選んだ理由

例えばかつてはFA宣言をする多くの選手が移籍先にジャイアンツを選んでいた。これは単純にジャイアンツというチームが日本一に非常に近い場所にいたからだ。また、ジャイアンツに所属していたという履歴が引退後のバリューとなるため、それを求めてジャイアンツへの移籍を選んだ選手も少なからずいた。

だが高橋由伸監督から第三次原政権にかけての7年間では、リーグ優勝は二度経験しているが、日本一にはなっていない。ジャイアンツが最後に日本一になったのは2012年が最後で、しかもそれ以降でセ・リーグ球団が日本一になれたのも昨季のスワローズのみだ。

一昔前のジャイアンツは頻繁に優勝していたわけだが、今の選手たちの目にジャイアンツは優勝できるチームという風には映っていない。そのため近年のジャイアンツはFA戦線でもあまり奮わないし、FA補強自体も成功率が非常に低くなっている。

このように選手が優勝することを求めているという前提で考えれば、今松井稼頭央監督の下でガラリと変わろうとしているライオンズは、森捕手の目にも非常に魅力的に映っているはずだし、気持ちも少なからず残留に対して傾いているはずだ。

2023年への助走期間だった2022年のライオンズ

そしてそのようなチーム改革も、平石洋介コーチという後ろ盾なくして実現は難しかったと思う。同じPL学園出身で、イーグルスでも同じユニフォームを着ている松井監督と平石コーチは、まさに監督とヘッドコーチという関係としてそれぞれが適任だった。

さらに今季は辻発彦監督の下、松井監督と平石コーチは一年間かけてじっくりとライオンズというチームを見ることができた。現在のライオンズの強みと弱点を内側から見ることができ、これはまさに2023年シーズンへのこれ以上にない準備期間だったと思う。

また、奥村剛球団社長も今季もし優勝していたとしても辻監督は勇退する予定だったという趣旨のコメントもしているため、フロントとしても今季は2023年への準備期間だという認識だったのだろう。もちろん表向きにも実質的にもライオンズは優勝を目指していたわけだが、フロントしては2022年は、分かりやすくなるよう大変失礼な言葉を使うならば、優勝してくれれば儲けものというくらいの意識があったのかもしれない。

そのため補強に関しても決して満足できるような内容ではなかった。外国人選手に関してはエンス投手は10勝を挙げて大きく勝利に貢献してくれたが、打つ方に関しては全滅だった。オグレディ選手に関しても残留の可能性はあるが、仮に残留したとしても今季推定8,000万円という年俸が1億円の大台に乗ることはないだろう。

恐らく今オフはもっとホームランを打てる外国人選手の獲得を目指すはずだ。これは一年ほど前にもこの場で書いたことではあるが、外国人選手にユーティリティー性を求める必要はない。外国人選手はある程度安定感のある守備力さえあればポジションは固定して、打つことにより多くの集中力を使わせるべきだ。

もしくはDHでバッティングだけに専念させるくらいの起用法も必要だと思う。そして理想を言えば平時は栗山選手と中村選手は、年齢的にも代打の切り札として起用していきたいため、外国人選手のためにDHを使い切ってしまっていいと思う。

松井監督と平石コーチがチームを改革し、渡辺久信GMが本当に打てる外国人打者を連れてくることができれば、来季ライオンズが優勝する可能性は非常に高くなるだろう。そして森捕手自身も、自らが残留すればその可能性がより高まることを今実感しているはずだ。

森捕手が残留に向けて気持ちが傾いていくようなチーム改革をしている松井稼頭央監督は、ファンの予想を上回る名将となる可能性が高い。筆者が個人的にここまで新監督に対し期待を膨らませるのは、2007年オフに渡辺久信監督が就任した時以来だ。だから来季はライオンズは優勝するとは言わないが、しかし筆者個人にとっては、来季のライオンズは安定して勝てるチームに生まれ変わることを確信できた秋となった。

山川穂高選手が真の四番打者となりアンチを黙らせるのに必要な「C」マーク

アンチがほとんどいない中村剛也選手に対し、多くのアンチを抱える山川穂高選手

山川穂高選手の真価が問われるのはまさに来季、2023年シーズンだと思う。山川選手はまさに辻発彦監督の起用によって開花した選手だった。だが来季ライオンズの指揮を執るのは松井稼頭央新監督であり、山川選手にしても森友哉捕手にしても、来季も3・4番を前提に考えられているという保証はない。

松井稼頭央2軍監督が1軍ヘッドコーチに転身した一年前、松井ヘッドコーチは早々に山川選手に対し一年間四番を打てる準備をしておくようにと求めた。しかしこれは辻監督が手塩にかけて育てた山川選手を蔑ろにするわけにはいかないという忖度もあったはずだ。だがシーズンが始まると山川選手は早々に怪我をして離脱してしまっう。それでも最終的には41本塁打、90打点で二冠に輝いたのはさすがと言うべきだろう。

山川選手はネット上にかなりのアンチを抱える選手の一人だ。かく言う筆者も山川選手には厳しい内容の記事を書くことが多い。だが誹謗中傷は決して書かない。筆者は、山川選手がライオンズの四番にこだわりを持っているため、ライオンズの真の四番打者を見る目で見ているだけだ。だがネット上には山川選手に対する心ない誹謗中傷で溢れていると言う。筆者はこれを有名税だとは決して思わない。

山川選手にアンチが多い理由として考えられることとすれば、スポーツ紙に切り取られている山川選手のコメントの多くが、個を重視しているように聞こえるものばかりだからだと思う。

一方中村剛也選手にはアンチが非常に少ない。これはやはり中村選手が個を優先しているように聞こえるコメントを残すことが絶対にないからだろう。口数は非常に少ない選手ではあるが、時々「打てて良かったです」以外のコメントを残す時は、だいたい「チームが勝てて良かったです」という趣旨の言葉が多い。山川選手のように「自分が打てば勝てる」「三冠王を狙いたい」というような個ありきの言葉を残すことがまったくないのだ。

そのためライオンズのチーム内でも、球団内でも、ライオンズに携わる様々な方の中でも、ファンの間でも、中村選手を嫌う者はほとんどいない。筆者個人はファンであるのと同時に「ライオンズに携わる様々な人間」のうちの一人であるわけだが、幾度か中村剛也選手とお話をさせていただいても、口数は少ないながらも本当に好感を持てる人物なのだ。そして何よりも一時期、奥様の誕生には必ずホームランを打つという姿が筆者の脳裏に焼き付いて離れない。

山川選手はこのままではライオンズの真の四番打者になることはできないだろう。このままではただたくさんホームランを打てる選手、という枠の中で選手人生を歩むことになってしまう。だがそれでは本当にもったいない。これほどホームランを打てる打者などそうはいないのだから、山川選手には今季の二冠になど囚われることなく、チームを優勝に導ける真の四番打者になってもらいたい。

だがこれだけの実績を持っている選手がここから内面的に変わっていくことは容易くはないだろう。一度手にした栄冠を簡単に脱ぎ捨てられる者などそうはいない。だがもし山川選手にそれができるのであれば、山川選手はただホームランをたくさん打てるだけの選手ではなく、ライオンズを日本一に導ける真の四番打者へと進化していけるはずだ。

松井稼頭央選手が松坂フィーバーに嫉妬せずに済んだ理由

そこで筆者がふと思い出しのが、1998年オフの松井稼頭央選手のことだった。この年の松井稼頭央選手は日本シリーズでは敗れはしたものの、MVPを獲得する大活躍を見せていた。だがその輝かしいMVPが霞んでしまう出来事がこのオフのライオンズには起こっていた。もちろん読者の皆さんも覚えていると思うが、このオフ、東尾修監督の懸命な説得により横浜高校の松坂大輔投手がライオンズ入りを決意した。

松井稼頭央選手としてはMVPを獲得したにも関わらず、話題をすべて高卒ルーキーに持っていかれてしまうことはさすがに面白くはない。春季キャンプが始まっても注目されるのはMVPの松井稼頭央選手ではなく、高校の卒業式もまだ迎えていない松坂大輔投手ばかりだった。この状況に気を揉んで何とかしようと苦心したのが東尾修監督だった。

東尾修監督は、松井稼頭央選手にはまださらに一段も二段も進化して欲しいと考えていた。だが可能性は低いとしても、万が一でも松井稼頭央選手が松坂フィーバーに嫉妬でもしてしまったら大事となる。そこで東尾監督は春季キャンプ中に松井選手を呼び出し、練習を終えた後の松坂投手の面倒を見るように言い付けたのだった。

地位が人を育てるとはよく言われることだが、それはまさに東尾監督がその時狙ったことだった。松井選手に松坂投手の面倒を見させることにより、松坂投手が嫉妬の対象ではなく、松井選手にとっての可愛い後輩になるよう仕向けたのだった。南郷に行けば松井選手も毎年お世話になっている各所に挨拶回りをしに行っていたわけだが、そこに松坂投手を同行させたりもしていたようだ。

こうして松坂投手はMVP選手の嫉妬の対象になることなく、後に松松コンビが誕生していくことになる。松坂投手の兄貴分としてはデニー友利投手や石井貴投手の名が挙がるが、実は入団直後のキャンプで松坂投手をグラウンド以外の場で面倒を見ていたのは松井稼頭央選手だったのである。

松井選手は元々素晴らしい人柄を持っている選手ではあったが、この東尾監督の計らいにより、松井稼頭央選手は人格者として球界を牽引していくスター選手となっていった。

山川穂高選手が真の四番打者になるために必要なのはキャプテンマーク

こうして振り返ってみると、山川選手も自主トレでは森捕手と仲良くやっているではないかという意見も出てくるとは思う。だがこれは松井選手と松坂投手の関係とはまったく異なる。山川選手と森捕手の関係はどちらかと言えば仲の良いチームメイト、仲の良い友だちといった部類だ。ここには松井選手と松坂投手の間にあるようなある種の師弟関係は存在していない。

山川選手が今後真の四番打者になっていくためには、人格者としての一面も見せなければならないと思う。だが山川選手と当時の松井稼頭央選手のキャラクターはまったく異なる。松井選手は非常にクールな性格だが、山川選手はどちらかと言えばオールスターゲームで馬のマスクを被っていたようにおちゃらけることが多い。そのため山川選手が松井選手になることはできない。

それならば山川選手を来季は主将に任命するのはどうだろうか?上述したように地位は時として人を育てる。山川選手に主将という地位を任せることで、山川選手はもはや個を優先することはできなくなる。主将の役割はチームを勝たせて和すことにあるため、山川選手も「自分がホームランを打てばチームは勝てる」という個ありきの発言をしなくなり、アンチもそれほど騒がなくなるのではないだろうか。

そして個を主張し過ぎることなくチームを牽引し、日本一に導くことができれば、その時山川選手もただたくさんホームランを打てる打者ではなく、ライオンズの真の四番打者の顔をしているはずだ。そしてその時は同時に、アンチにしても筆者にしても、きっと手のひらを返すような称賛を山川選手に送っているはずだ。

2020年からは源田壮亮選手がキャプテンマークを付けてきた。だが源田主将の3年間でライオンズはリーグ優勝を果たすことはできず、2021年に関して言えば最下位に転落してしまった。もちろんこれは源田主将の責任ではないわけだが、しかしキャプテンとして源田主将は何らかの責任を感じていたと思う。

だからここは一度源田主将のユニフォームからキャプテンマークを外し、もっと伸び伸びとプレーさせてあげてはどうだろうか。そうすれば源田選手もキャリア初の3割をマークできるかもしれない。

逆に山川選手にキャプテンマークを付けさせてチームの顔として言動させることにより、松井稼頭央新監督には山川選手を真の四番打者へと進化させてあげて欲しい。

山川選手はライオンズの四番であるため、筆者は他の選手よりも山川選手に対しては多くを求めている。ただ打てるだけでは真の四番打者とは呼べない。だからこそいつも山川選手に対しては厳しい記事を書いているのだが、しかし筆者は魚屋に行って野菜を買うようなことはしない。

山川選手がただホームランを打てるだけの選手で終わってしまうのか、それともチームを優勝に導くことができる真の四番打者になれるのかどうかは、まさに監督が変わるこのタイミングにかかっている。もし山川選手自身がこのタイミングで今までとは違った自分を見せることの必要性を感じたならば、きっと来季の山川選手はチームを日本一に導く真の四番打者になるだろう。

だがこのタイミングでも「今までとやることは変わらない」というスタンスを貫くならば、山川選手はただホームランをたくさん打てる凄い打者という枠の中だけで残りの野球人生を歩んでいくことになる。

14年間も日本シリーズから遠ざかっているライオンズ

四番の真価はホームラン数では決まらない。四番の真価はその活躍によりチームを日本一に導けるかどうかだ。だが山川選手はまだ日本シリーズに出場した経験を持たない。山川選手が入団したのは2014年で、ライオンズが前回日本シリーズで戦ったのは2008年だ。パ・リーグには6球団しかないのにも関わらず、ライオンズは14年間も日本シリーズから遠ざかっている。

実は西武ライオンズ史に於いて、ライオンズがここまで長期に渡り日本シリーズから遠ざかったことはなかった。森祇晶監督勇退後、東尾修監督は僅か3年でチームを日本シリーズに導き、その後は2002年に伊原春樹監督、2004年はシーズン2位から伊東勤監督、そして2008年には渡辺久信監督がNo Limit打線でライオンズを日本シリーズに導いている。だがそれ以降14年、ライオンズは日本シリーズから遠ざかってしまっている。

その間幾度となく日本シリーズを戦ってきたホークスに対し、ライオンズナインで日本シリーズ経験があるのは中村剛也選手と栗山巧選手のみだ。この経験値の差がCSでライオンズがホークスにまったく勝てないという現実を生み出してしまっている。

だがその経験値以上の違いとして、ホークスには絶対的エースと真の四番打者がいるのに対し、今のライオンズには絶対的エースも真の四番打者もいない。だからライオンズは短期決戦でホークスに太刀打ちすることができない。しかし山川選手が真の四番打者へと進化してくれれば、来季のCSではまた違った戦いを見せられるようになり、2008年以来の日本シリーズに進出することもできるだろう。

そしてそのきっかけとして、キャプテンマークを山川選手に付けさせることが山川選手にとっても、チームにとってもベストであると筆者は考えている。

高木渉

チームより個を優先している山川穂高選手

筆者はかねてより、早く次世代の四番打者を育成した方がいいという旨の記事を書いてきた。現時点においての四番打者はもちろん山川穂高選手なのだが、山川選手はチームを勝たせられる四番打者ではないと思うのだ。そして年齢的にもこれからは下り坂という年代へと入っていく。つまりここから山川選手が飛躍的にレベルアップすることは考えにくい。

確かにホームランを打てるというのは素晴らしい能力ではあるが、打率を残すことはできず、得点圏での打率も四番打者としては相応しくはない数字だ。そして打点に関しても、ここまで39本塁打の割には86打点に留まっている。もちろん86打点も素晴らしい数字ではあるのだが、四番打者ということになれば話は別だ。

ただしライオンズは長年1番打者を固定することができず、それにより山川選手の前に多くのチャンスを作れないという事情もある。東京ヤクルトスワローズの村上宗隆選手と比較をすると、得点圏での打席は村上選手の175打席に対し、山川選手は131打席となっている。ここに出場試合数という要素を加えると、村上選手は1試合あたり1.3打席の得点圏での打席があり、山川選手は1試合で平均1打席となっている。このような事情もあり、山川選手の打点が思うようには伸びていないのだが、しかし得点圏打率は村上選手の.353に対し、山川選手は.283となっている。

.283という数字は、四番打者の得点圏打率としては非常に低い数字であり、通算打率だったとしても四番打者としては物足りない数字だ。つまり山川選手は調子が良い時に当たればスタンドまで運ぶパワーはあるのだが、調子が落ち始めると本当に打てなくなってしまうという、好不調の波が非常に大きいのが特徴なのだ。

四番打者というのは、自分自身の調子が悪くてもチームを勝たせられる打撃をしなければならない。だが山川選手は「自分が打てばチームは勝つ」と公言しており、チームバッティングよりも自らのホームラン数を優先した発言を繰り返して来た。筆者個人としては、この考え方では真の四番打者にはなれないと思っている。

もちろんアレックス・カブレラ選手のように、.300以上の打率を残しながら50本前後のホームランを打っていれば話は別だ。だが山川選手は1軍に定着して以降、年間を通して安定した打率を残したシーズンはない。必ず調子が良い時期と大不振に陥る時期があり、過去には幾度となく四番の座を中村剛也選手に返上している。

チーム内で抑えが利いていない山川穂高選手

山川選手と中村剛也選手の違いは、個人を優先しているかチームを優先しているかにある。山川選手は全打席でホームラン狙いを公言しているが、中村選手の場合は無理にホームランを打たなくても良い場面では犠牲フライを狙ったり、軽打をする姿を頻繁に見せてくれる。この姿勢はまさに無冠の帝王とも呼ばれた清原和博選手の系譜に繋がる。

清原和博選手は主要打撃タイトルこそ取れなかったが、しかしチームバッティングを徹底したことにより、ホームランを打たなくてもチームを勝たせることができる四番打者だった。もし清原選手がライオンズ時代にチームより個を優先していたら、何度もホームラン王に輝いていただろう。

しかしその清原選手も黄金時代の先輩選手たちが次々とライオンズを去っていってしまうと、徐々にチームで孤立し始めてしまった。東尾修監督が就任した頃にはまさにそれが顕著となり、チーム内でも浮いた存在となってしまったのだ。東尾監督もそれを危惧していたのだが、最終的には清原選手もライオンズを去ってしまうことになる。

例えば石毛宏典選手や秋山幸二選手がいた頃というのは、彼らが抑えになることで清原選手もチームバッティングを優先せざるを得なかった。だが抑えとなっていた先輩が次々とチームを去り、抑えが利かなくなると、清原選手は徐々に個に走るようになってしまった。ただ、それでも東尾修監督の存在があることで、清原選手も完全に個を優先する選手に堕ちてしまうことはなかったのだが。

では山川選手の場合はどうなのだろうか?中村剛也選手、栗山巧選手という抑えになってくれそうな先輩選手はいるわけだが、このふたりは言葉でチームを引っ張るタイプではなく、背中で引っ張るタイプだ。石毛宏典選手のように言うべきことは言う、というタイプの選手ではない。

また、中村選手にとっての江藤智選手、デーブ大久保コーチのような存在、清原選手にとっての石毛宏典選手や土井正博コーチ、伊原春樹コーチのような存在が、山川選手にはいないように見えるのは筆者だけだろうか。

中村選手はデーブ大久保コーチの責任下で「ホームランを打てるんだからいくら三振してもいい」と伸び伸び打たせてもらうことで才能を伸ばし、そしてベンチでは江藤智選手によって四番道を教え込まれた。

清原選手にしても技術は土井コーチに叩き込まれ、そして少し調子に乗った姿を見せると伊原コーチから雷を落とされていた。そして石毛宏典選手という天性のリーダーがいたことで、どんな状況でも「チームのために打つ」という姿勢を貫いた。

しかし山川選手にはそのような存在の先輩やコーチがいないように筆者の目には映っているのだ。技術に関しては山川選手は自己流を貫くタイプだし、山川選手を抑えられるような先輩の存在の姿も感じられない。もしそのような存在があれば、山川選手も個を優先するような発言などしないはずだ。

山川選手の「自分が打てばチームは勝てる」という発言は、裏を返せば「自分が打てなきゃチームは勝てない」という意味になる。だが四番打者はこれではいけない。自分自身が不調であっても犠牲フライ、進塁打、盗塁の補助、軽打などによってチームを勝利に導かなければならない。だが山川選手はそのような姿を見せたことはない。山川選手は常々公言しているように、全打席でホームランを狙っているのだ。

全打席でホームランを狙うという山川選手の言葉を聞き、落合博満氏でさえも「自分にはできない」というコメントをされていた。だがこの言葉はかなりオブラートに包まれており、実際には「自分ならやらない」が落合博満氏としては本音ではなかっただろうか。

ライオンズの次世代四番打者は一体誰?!

ライオンズはこの先1〜2年で次世代の四番打者を登場させなければならないわけだが、その際には今のうちからメンタル教育もしておくべきだ。ホームランを打てばいい、というのが四番打者ではなく、調子が良かろうが悪かろうがチームの勝利のために尽くすという考え方を教え込まなければならない。

山川選手のバッティングを見ていると、まるでメジャーリーガーの考え方なのだ。だがメジャーリーガーのレベルはパ・リーグとは次元が違う。メジャー球団の1〜9番打者は、誰もが日本では4番を打てるレベルの打者たちだ。そんな打者たちの上に立っているのがメジャーで3〜4番を打つ打者たちであり、次元が異なるそのようなレベルであれば、山川選手のような考え方でも通用するだろう。

例えばヤンキースのジャッジ選手は今季ここまで打率は.314で60本塁打をマークし、打点は128という数字だ。しかし山川選手はメジャーリーグよりも個々のレベルは遥かに低いパ・リーグであっても、これに近い数字を残すことはできていない。だからこそ筆者は山川選手にはもう少しチームバッティングというものを考えてもらいたいのだ。山川選手が行っているのは野球ではなくてベースボールであるため、ベースボールではなく野球をしている他の選手たちとなかなかプレーで繋がることができず、現在のライオンズ打線は線としてほとんど機能していないのだ。

次世代の四番候補としては今後やってくるであろう外国人選手の除けば、ブランドン選手、高木渉選手あたりが候補になってくるのではないだろうか。大砲という意味では渡部健人選手もホームランを打つことはできるが、如何せん打率がファームでも1割台と低過ぎる。

個人的には次世代の四番打者としてブランド選手に期待を寄せている。ブランドン選手は若林楽人選手と仲が良く、共に1軍にいた際にはお互いに協力し、切磋琢磨して腕を磨いていった。この関係はまさに中村剛也選手と栗山巧選手の関係によく似ており、このようなチームメイト同士の連携によって打線を繋げていくことができる。

筆者個人としては、若林選手に2番を打たせて野球を学ばせ、そして中村選手が引退を迎える前にブランドン選手に3番、もしくは5〜6番を打たせて、中村選手から四番道を学ぶことができる環境を作ってあげて欲しい。

そして育成出身の高木渉選手に関しても、かつて伊東勤監督が中島裕之選手を7番に固定して上手く育成したように、1軍の下位打線を打たせて場数を踏ませ、1軍レベルのボールにもっと慣れるためのチャンスを与えてもらいたい。そうすれば1軍でも徐々に結果を残していけるだけのレベルにある選手だと筆者は考えている。

筆者が考える2023年のライオンズ打線

本来であれば平石洋介打撃コーチが山川選手に四番打者としての考え方を叩き込まなければならないわけだが、すでに打者として完成しつつある山川選手、そしてライオンズ一年目の平石コーチということを考えると、平石コーチもまだチームに馴染むことが必要な段階で、なかなか山川選手ら主力に強いことを言えるきっかけを掴めなかったのではないだろうか。

だが次世代のブランドン選手、高木選手、渡部選手となれば話は別だ。今オフ以降では、平石コーチもどんどん彼らに四番道を叩き込んでいけると思う。平石コーチ自身はもちろん現役時代には四番打者ではなかった。しかしイーグルスの監督・コーチ、ホークスのコーチとして数々の四番打者の指導を任されてきた。その経験を来季以降はもっと活かしてもらいたい。

山川選手のように個を優先するようなコメントをしてしまう四番打者ではなく、常にチームの勝利を優先したコメントをし、チームバッティングが必要な場面ではチームバッティングに徹することができる四番打者を育成してもらいたい。そうすれば繋がらない時はまったく繋がらない現状の山賊打線のようなことにはならず、誰かが調子が悪くても他の誰かが繋いでカバーしてくれる、まさに線として、輪として繋がっていく打線を作っていけるはずだ。

例えば筆者ならこんな打順を組んで繋がりを生み出していきたい。
※ 近藤選手をFAで獲得した前提
1番 近藤健介選手 or 金子侑司選手(左)
2番 若林楽人選手(中)
3番 ブランドン選手(三)
4番 新外国人選手(DH)
5番 森友哉捕手(捕)
6番 山川穂高選手(一)
7番 外崎修汰選手(二)
8番 高木渉選手(右)
9番 源田壮亮主将(遊)
ここに左右の代打として栗山選手と中村選手が控えていれば、打線としては繋がりも厚みも出していけると思う。山川選手に関しても四番打者としての重責は負わせずに、6番で打率.250くらいで40本塁打くらいを自由に打ってもらえばいいのではないだろうか。

今季は愛斗選手や呉念庭選手に多くのチャンスが与えられてきたわけだが、ポジションを勝ち取ったというわけではなく、他にいないから起用されていた、という印象の方が強い成績となっている。

そして上述の打線のポイントは2番3番コンビだ。コンビネーションを取れるこのふたりを並べることにより、打線の繋がりを良くする狙いがある。

そして源田主将に関しては2番という制約の多い打順ではなく、9番を打たせることによってキャリア初の3割を打たせてあげられるのではないだろうか。逆に若林選手は2番という打順で野球を学ばせ、栗山選手のようなクレバーな選手になってもらいたい。

そして外崎選手のセカンドに関しては、ここは呉念庭選手らがどんどんプレッシャーをかけていけば良いと思う。そうすれば外崎選手のお尻にも火が着くし、呉念庭選手らにとっても下から突き上げる存在となることで、さらなるレベルアップの必要性をもっと感じてもらえると思う。

辻発彦監督にはもう少し威厳が必要だった

とにかくライオンズ打線には近年はまったく繋がりがない。これは辻発彦監督が主力選手には好きにプレーをさせていたツケだと思う。

辻監督はもう少し参謀タイプの知将になるのかなと思っていたが、選手とはとてもフレンドリーであまり威厳を感じられない監督だった。やはり監督には威厳は必要だと思う。選手にイジられるような軽い存在であってはならない。威厳があるからこそ選手たちも「この監督に付いて行けば勝てる!」と思うようになり、監督の意図も選手に伝わりやすくなる。そして監督の意図をしっかりと選手たちが理解できるようになると、それは大人のチームと呼ばれるようになり、安定して勝てるようになる。

選手に対し寛容になるのは必要なことだ。しかし寛容であっても、笑顔を見せても、監督としての威厳を失ってはいけない。そしてそれと同時に、監督をイジるべきではないということが分からない若手選手もライオンズには少なからずいる。このようなチームには締まりが生まれず、どこか歯車が一つ狂っただけでガタガタと崩れていってしまうケースが多い。

選手の調子が良い時、歯車が噛み合った時に勝てるのは当たり前のことだ。そんなのは万年最下位チームであっても同じことであり、しかしそれでは日本一になることなどできはしない。ライオンズが日本一になるためには調子が良い時、歯車が噛み合った時は当たり前のように勝ち、調子が落ちたり歯車が多少崩れたりしても、チームが一丸となって戦い、その苦しい時期を全員野球で乗り切ることができるチームに生まれ変わる必要がある。

例えばスワローズにしても、ホークスにしても、今季はライオンズ以上のコロナ禍に見舞われた。しかし一丸となれる大人のチームであるため、それでもスワローズは優勝し、ホークスもバファローズとの熾烈な優勝争いを演じている。

ライオンズベンチには、どこか緊張感が足りていないように筆者はもう何年も感じ続けている。だが仮に来季は松井稼頭央新監督ということになるのであれば、松井監督にはもっと緊張感のある中で選手たちにはプレーさせてもらいたい。東尾野球、伊原野球、星野野球、メジャーリーグを経験してきた松井稼頭央現ヘッドコーチであれば、きっとチームの作り方を間違えずに上手くマネジメントしてくれると思う。

もちろんそんなマネジメントを辻監督にも求めていたわけだが、しかし辻監督はそのマネジメントには失敗しているように筆者には見えている。辻監督は良い人であり良い監督であったと思うが、結論としては名将ではなかったと思う。

辻発彦監督は名将なのか?それとも日本一にはなれない監督なのか?!

3位を確定するためにはもう1敗も許されないライオンズ

2位バファローズとのゲーム差は4となっており、バファローズの残り試合は3試合、ライオンズは4試合だ。ということは仮にバファローズが3連敗し、ライオンズが4連勝したとしてもゲーム差は3.5しか縮まらず、ライオンズが2位になることは不可能だ。

ライオンズは現在イーグルスとの3位争いをしているわけだが、4位イーグルスとの差は0.5で、イーグルスの残り試合はライオンズよりも1つ多い5試合。

ライオンズが残り4試合すべてに勝つと勝率は.521となり、イーグルスが残り5試合すべてに勝つと勝率は同じく.521となる。この場合は当該球団同士の対戦成績により順位が決まるため、現時点で14勝9敗とイーグルスに勝ち越しているライオンズがCS進出となる。ただしライオンズとイーグルスの直接対決が1試合残っているため、最終的に五分になることは考えにくいが、ライオンズが残り4試合で1敗でもしてしまえば、残り試合が少ないライオンズの方が圧倒的不利になる。

つまり3位確定までのマジックナンバーを点灯させることができない現状では、ライオンズはとにかく4戦4勝するしかなく、次の1敗が致命傷となってしまうのだ。

もちろんライオンズにCSに出てもらいたいわけだが、この最後の4試合は本当に厳しい戦いとなるだろう。何せ相手は優勝争い中のホークスが2試合、そしてイーグルスとの直接対決が1試合なのだから(最終戦はファイターズ戦)。

だがそんな苦しい残り4試合であっても、何とか最後の最後でチームを一つにし、個々で相手にぶつかっていくのではなく、一丸となってホークスとイーグルスに獅子の牙を剥いていって欲しい。そうすれば4戦4勝という結果も自ずと見えてくるはずだ!

源田壮亮

2023年は源田壮亮主将をキャプテン職から解放してあげるべきだ

2020年からライオンズのキャンテンを務めているのはご存知源田壮亮主将だ。だが筆者は来季2023年は源田主将をキャプテン職から解放してあげるべきだと考えている。かと言って決して源田主将にキャプテンシーがないということではない。

だが源田主将がチームを1つにまとめられているかと言えば、決してそんなこともないと思う。例えばかつての石毛宏典選手のように力強い言動でチームを牽引することは源田主将にはできない。

石毛選手は年上の選手にも言うべきことは言う選手だった。だが果たして源田主将はどうなのだろうか?年上の山川穂高選手にも言うべきことがあれば言うことができるのだろうか?筆者の印象では、これは少し難しいような気がする。

もちろん源田主将にはキャプテンシーはあると思うが、しかしほとんどまとまっていない現状のチームを1つにまとめるのは、源田主将には荷が重すぎると思う。あまり気を遣いすぎれば成績にも響いてしまうだろう。

それならば来季はキャプテン制を廃止し、一人一人の選手がもっと個々で責任や役割を考えながらプレーしていくようにすべきだ。そしてそれに着いて来られない選手はどんどん篩い落とせば良いと思う。

プロフェッショナルからも尊敬される秋山翔吾選手

秋山翔吾選手が抜けて以来、ライオンズが1つにまとまっているなと感じられたことはない。少なくとも筆者には。ライオンズの他の選手たちも、日本代表として活躍していた秋山選手に言われればしっかりと考えるしかなくなる。秋山選手はメジャー移籍直前の2019年のみでキャプテンを務めたわけだが人柄、野球に対する姿勢、成績のどれをとっても一流だった。

プロ野球選手が憧れる存在の一人、それが秋山翔吾選手だった。しかし山川選手などはどうだろうか。2019年、山川選手と森友哉捕手はコンディション不良を理由に日本代表を辞退した。だがコンディション不良だったにもかかわらず、ガンガン練習をしている姿をSNSに公開していた。

仮に「動けないというほどのコンディション不良」ではなかったにしても、コンディション不良で代表を辞退しているのだから、日本代表が戦っている最中にSNSでそのような元気な姿を見せるのはどうかと思う。そこは治療を受けている姿や、マッサージを受けている姿を見せるべきではなかったろうか。

日本代表の選手たちからすれば、「あれ?山川と森はコンディション不良じゃなかったの?ガンガン練習できてるじゃん!」ということになってしまう。実際ライオンズのチームメイトとして、二人のその行動が理由で代表チームにおいてやや肩身の狭い思いをしたのが秋山翔吾選手だったと伝えられている。

秋山翔吾選手を尊敬するプロ野球選手や野球人は大勢いるが、果たして山川選手や森選手を尊敬するプロ野球選手はどれくらいいるのだろうか?ちょっと気になるところではある。

チームが一つにまとまっていないように見える近年のライオンズ

今のライオンズの選手たちは「自分が活躍すれば勝てる」と考えているように見える選手ばかりだ。山川選手などはまさにそうで、実際に「自分が打てばチームは勝てるはず」という自分本位な言葉を公言している。だが野球というスポーツはそうではない。

メジャーリーガーのような圧倒的な力を持った選手は別としても、日本人選手の場合は打線をしっかりと線として描いていかなければ勝つことは難しい。かつての流線型打線のように。例えば一昔前、ジャイアンツは他球団の四番打者ばかりをFAで集めてきて戦ったわけだが、注ぎ込んだ資金の割には思うように勝つことはできなかった。

今のライオンズも同じ状態だ。個々がそれぞれで勝手に頑張っている状態で、2008年に見られたようなチームの輪がまったく見えてこない。その時当事者だった栗山巧選手中村剛也選手はまさにその差を今感じているのではないだろうか。

主将経験のある栗山選手や松井稼頭央コーチなどは、源田選手を少し気の毒とも思っているかもしれない。これだけバラバラに見えるチームを1つにまとめ上げるのは、石毛宏典選手でも一苦労なはずだ。いや、しかし石毛選手であれば仮に自分が年下であっても中心選手である山川選手らに物申しただろう。

レイムダックを感じた辻発彦監督の言葉

ライオンズはこれで終盤6連敗となり、優勝どころかCS進出にも黄信号が灯っている。だが今のチーム状態では、むしろスッキリと負けてしまった方が来季のためになるのではないだろうか。

辻発彦監督でさえも連敗を喫している中で「明日・明後日勝てば良い」という根拠の乏しいコメントを残している。だがこの連敗の中で、もう明日・明後日勝てばそれで良いという状況ではない。筆者はこの辻監督の言葉を聞いた時、もう辻監督はレイムダック状態なのではないかとさえ感じたほどだ。

一般的な認識では、今季優勝できなければ辻監督は退任し、松井稼頭央新監督誕生という流れになっている。辻監督自身それは十分分かっているはずだ。そんな中で8月末は首位に立っていたのに、9月に入ると一気に転落し、貯金も残すところあと1つとなってしまった。

残り7試合でこの背水からチームを甦らせることは事実上不可能に近い。そして残り7つすべて勝ったとしても、ホークスとバファローズが9月のライオンズのように自滅しない限り、ライオンズが上位に浮上することはできない。もうそのような段階となる残り試合数なのだ。

森祇晶監督以降、東尾修監督、伊原春樹監督、伊東勤監督、渡辺久信監督、田邊徳雄監督、辻発彦監督と続いてきたが、森監督以降でリーグ優勝して日本一になったのは渡辺久信監督だけだった。伊東監督も日本一にはなったが、レギュラーシーズンはリーグ優勝したホークスから4.5ゲーム差の2位だった。

選手時代は日本シリーズでプレーすることに慣れ切っているようにも見えた辻監督だが、今季はもうリーグ優勝の可能性はほとんど残っておらず、日本シリーズに進出するためには3位に浮上して下克上により順位をひっくり返すしか手段はない。

だが2018〜2019年とリーグ連覇を成し遂げながらも、CSではホームグラウンドでありながらホークスに手も足も出ず簡単に敗れ去った過去を思い返すと、下剋上もまた非常に難しいと言わざるを得ない。

今のライオンズに必要なのは若き力よりも涌井秀章

だからこそ今季を中途半端に終えてしまうのではなく、選手たちが「自分たちは弱かった」と実感し、これからの考えや野球に対する姿勢を見直さざるを得ないような終わり方を迎えた方が、来季のプラスになるのではないだろうか。

そしてもしもBクラスならBクラスで今季を終え、レギュラーもポジションも打順も、一度すべて白紙に戻すべきだ。一度チームをしっかりと解体し、更地からまったく別のチームを作っていくくらいの気持ちで取り組まなければ、来季以降も監督が変わったとしても選手たちはダラダラと同じことを続けてしまうだろう。

仮に今季も負けて終えてしまったとしたら、秋季キャンプではすべて横一線からスタートさせるべきだ。それこそかねてより先発転向を希望していた平良海馬投手にも、秋季キャンプの時点からじっくりと先発調整をさせてあげるべきだと思う。

そして筆者には一つ要望がある。涌井秀章投手をライオンズに連れ戻して欲しいのだ。ライオンズには今、絶対的エースの存在がいない。一応髙橋光成投手がエースではあるが、しかしエース対決になるとなかなか勝ち切れない。

ライオンズ時代の涌井秀章投手は、エース対決でも簡単に負けることは絶対にない投手だった。先に点を与えたり、先にマウンドを降りることを絶対に良しとはしない投手だった。

2011年CSファイナルシリーズ第3戦、筆者は涌井投手と杉内俊哉投手の壮絶な投手戦を決して忘れることはないだろう。あの時見せた涌井秀章投手の闘志溢れる姿こそが、偽りのない絶対的エースの姿だった。

渡辺久信GMにはかつての教え子である涌井投手を連れ戻し、涌井投手のエース道をライオンズの若手投手たちに注入してもらいたいのだ。今の涌井投手であればそのようなこともできるし、内海哲也投手がユニフォームを脱いでしまう今季、生きたお手本がライオンズからは姿を消してしまう。

ここで投手陣の成長を止めないためにも百戦錬磨の涌井秀章投手を連れ戻し、マウンドでの立ち姿を見せることによって若き投手陣のさらなる成長を促してもらいたいのだ。

今季イーグルスの優勝の可能性も低くなってきている今、仮にイーグルスが3位以下でシーズンを終えたとすれば石井一久監督兼GMの退任も濃厚となる。そうなれば涌井投手がイーグルスに席を置く理由もかなり薄まり、楽天球団次第ではライオンズ再加入への障害もなくなる。

さらに言えば将来的に松坂大輔氏がライオンズで入閣した際、涌井投手にはその時は指導者として松坂コーチ(もしくは松坂監督)と共にライオンズ投手陣を叩き上げてもらいたいという夢まで筆者は抱いている。

6年間の辻野球は一体どこを目指していたのだろうか?

さて、今日はチームのまとまりについてかなりの文字数を割いたわけだが、筆者が最も尊敬している野球人三原脩監督はこう言っている。「アマは和して勝ち、プロは勝って和す」と。

ライオンズは長年勝てずにいる。つまり2008年を最後に日本一にはなっていない。だからライオンズはが和すことができないのだ。来季こそはしっかりと必要なピースを埋め(特に外国人選手の大砲)、選手個々が考え方を改め、個ではなくチームで戦えるように生まれ変わらなければならない。

調子が良ければ勝つけど、調子が良くなければピタッと勝てなくなるというライオンズの姿はもう見飽きた。調子が悪くてもチームが一丸となって戦い勝っていく大人のチームが見たいのだ。

何もいきなり黄金時代のように毎年日本一になってもらいたいとは思わない。だがせめて3年に1回以上はリーグ優勝し、6年に1回以上は日本一になり、そして優勝できなくても常に優勝争いに加わわれるチームになってもらいたい。だが今のままではそれは無理だろう。

そして何よりも今残念に感じているのは、2017年以降、一度も「辻発彦らしい」野球をライオンズが見せてくれなかったことだ。今季もここまでエラー数は12球団中10位で、ライオンズ内では守備が上手い選手と上手くない選手の差が非常に大きい。辻監督がそこを立て直し、かつては自身が見せた伝説の走塁のような緻密な野球をと期待していたのだが、2017から今季ここまで、どちらかと言えば大味な野球が多かったように思える。

もし辻監督が、せめて黄金時代の半分くらいの厳しさをチームに注入していれば、また違った結果になっていたのかもしれない。

ライオンズはまだ7試合残っているが、この6連敗はファン心理としては引導を渡されたようなもので、首元には秋風さえ感じられるようになったシルバーウィークとなってしまった。

外崎修汰

チーム防御率が改善しても投打が噛み合わない皮肉

ペナントレースも佳境に突入している中、ライオンズはここに来て5連敗を喫している。8月末には首位に立っていたライオンズだが、今や順位は4位となり、5位マリーンズとの差も2ゲーム差まで差し迫ってきた。

今季ライオンズが勝ち切れていないのはやはり打線が奮わないことが大きな原因となっている。チーム防御率は12球団中2位という素晴らしい数字が出ているが、チーム打率は12球団中最下位となっている。

昨年までの打線は今季よりはましだったが、チーム防御率は悪かった。しかし今季はチーム防御率が改善し、今度は打線が湿り続けるという皮肉な結果になっている。

97〜98年の連覇時の打線はどうだったのか?

やはり大黒柱が安定しないチームは、安定した戦いをすることはできない。絶対的エース、守護神、名捕手、真の四番、リードオフマン。やはりこのあたりがしっかりしてこないチームは不安定な戦いが続く。

例えば2年連続で日本シリーズに進出した最後となっている1997〜1998年のことを思い出してみたい。まず絶対的エースとして西口文也投手の存在があり、1997年は守護神を固定できなかったものの前半戦は石井貴投手、後半は森慎二投手が守護神役を務めた。

そして正捕手には伊東勤捕手という牙城があり、四番には勝負強い繋ぎ役として鈴木健選手が打線を牽引し、マルちゃんことマルティネス選手が2年連続で30本塁打以上打っている。

1997〜1998年の連覇時の打線は、今季と比べると小粒の印象も否めないが、しかし打線としてはしっかりと機能していた。1番松井稼頭央選手、2番大友進選手、3番高木大成選手の俊足トリオは他球団の脅威となり、この3人で塁上を引っ掻き回しながら鈴木健選手とマルちゃんが打点をあげていくというスタイルが確立されていた。

ちなみに1997年の四番打者であった鈴木健選手は19本塁打で94打点を挙げたが、今季ここまでの山川穂高選手は39本塁打で84打点にとどまっている。この数字を見るだけでも、山川選手が勝負どころで打てていないことがよく分かる。

もちろん39本塁打というのは素晴らしい記録であるわけなのだが、しかし筆者個人は、この39本塁打は39本塁打という価値には至っていないと感じている。39本塁打も打てば、四番打者であれば軽く100打点は越えていて欲しいというのが筆者の望むところだ。

打線が線として機能しないシーズンが続く山賊打線

秋山翔吾選手を欠いて以来、ライオンズは1番打者さえ固定できずにいる。今季ライオンズの1番には13人が座っているのだが、1番打者の総合打率は.200少々という非常に寂しいものとなっている。

筆者個人としては、リードオフマンを確立できるまでは1番打者は源田壮亮主将一本で良いと思う。今季は出塁率は.322と安定しているし、条件が整えば盗塁数を伸ばすこともできる。実際ルーキーイヤーからは3年連続で30盗塁以上記録しているし、昨季は盗塁王のタイトルも獲得した。

源田主将を1番に固定した上で、2番打者として若手選手を英才教育したら良いと思う。若き日の栗山巧選手のように。2番という打順は野球を深く学べる打順で、栗山選手も2番を打つことで野球に益々精通していった。

1番片岡易之選手が出塁すると、栗山選手とアイコンタクトをしていつ走るのかを確認し合っていた。このふたりは抜群のコンビネーションでまず1〜2番だけでしっかりと線を描き、その線を3番中島裕之選手・4番ブラゼル選手や中村剛也選手へと繋げていった。前回日本一になった2008年もやはり、このように打線がしっかりと機能していた。

近年山賊打線と呼ばれているライオンズ打線だが、2年連続リーグ優勝をした2018〜2019年であっても、打線の機能性というと、それほど高くはなかったと筆者は見ていた。3番森友哉捕手や4番山川選手がガンガン打てばもちろん点は入るのだが、この二人が調子を落とすとチームの得点力は格段と下がってしまう。そしてその傾向は今なお続いている。

筆者はなぜいつも山川選手に厳しいことばかり書くのか?

山川選手は全打席ホームランを狙っていると公言している。これは本人がハッキリと言っているので間違いはないだろう。だがその姿勢は果たして四番打者として相応しいのだろうか。

例えばエンゼルスの大谷翔平選手とマイク・トラウト選手のコンビは、二人ともホームランは狙わずに打席に立っていると話している。「良いスウィングをすれば自ずとヒットやホームランにつながっていく」という考えで打席に立っている。だからこの二人はフォームが崩れることも少なくと、好不調の波も小さい。

一方の山川選手はホームランが出なくなると打率が急降下していく。これは「ヒットはホームランの打ち損ない」と考えている選手によくある傾向だ。そして森友哉捕手に関してもフォームを崩したスウィングを見せることが多い。

さて、ここでアレックス・カブレラ選手や、ホセ・フェルナンデス選手のことも思い出してみよう。彼らもホームランバッターでたくさんホームランを打ってきたわけだが、彼らの口癖は「ハードスウィング」だった。これは良いフォームでバットをボールに強くぶつけていく、というニュアンスの言葉なのだが、この二人であってもホームラン狙いのバッティングはしていなかったのだ。

山川選手にもそろそろ気がついて欲しい。四番打者はホームラン数が多ければ良いってものじゃないことを。もし山川選手が今後もホームラン狙いのバッティングを続けたいのであれば、四番打者としてではなく、6番や7番でやるべきだろう。そして4番には、チームバッティングをしながらもホームラン数を伸ばせる打者を座らせるべきだ。

ライオンズ打線が打線として機能していないのは、筆者は山川選手の思考に原因があると考えている。もし山川選手が常にホームラン狙いではなく、状況に応じたバッティングができるようになれば、他球団の四番打者たちのようにもっと尊敬される真の四番打者に進化することができるだろう。

筆者の記事を読んでくださる方は「この筆者はいつも山川選手に厳しい」と思っているかもしれない。しかしそれは山川選手が嫌いだからではない。山川選手が四番打者だからだ。もし山川選手が5〜6番を打っているのであれば、筆者も39本塁打を手放しで賞賛していたと思う。

だが山川選手自身4番にこだわりを持っており、実際に4番を打っている。だからこそ筆者は山川選手には自身の調子が悪くてもチームを勝利に導ける真の四番打者になってもらいたいと願っているのだ。

安定感を求められる年齢に差し掛かっている外崎修汰選手

そして腰痛で登録抹消となっていた外崎修汰選手も最短10日間で1軍に戻ってきた。外崎選手も辻発彦監督から期待を寄せられている選手ではあるが、バッティングの安定感というとかなり乏しい。

守備に関しては素晴らしいと思う。源田主将との二遊間でのコンビネーションも抜群だ。あとはバッティング安定感が鍵となるわけだが、筆者は外崎選手こそ2番打者として野球を学ばせたらどうかと思っていた。

だがその外崎選手も今年30歳で、今から育成という話ができる選手ではなくなってしまった。30歳であれば結果だけが求められることになる。

辻監督からは絶大な信頼を得ていたが、しかし将来監督が変われば今の打率ではレギュラーは白紙となってしまうだろう。流石に3年連続で打率2割台前半では、いくら守備力があってもレギュラーと呼ぶのは難しい。

外崎選手にしても30歳になるという年齢で、ここから大幅に飛躍することはあまり期待できない。現状では2019年がキャリアイヤーとなっており、それ以降の成績は下降線を辿り怪我も増えている。

将来チームの組閣が変わりトレード要員にされないためにも、外崎選手は守備だけではなく、バッティングでも安定感を見せなければいけない。もはや「光るものがある」という言葉に甘えてはいられない年齢だ。

とにかく30歳前後の選手に求められるのは安定感であるため、森捕手・山川選手・外崎選手の3人はそこにもう少しこだわりを見せるべきだろう。そうすれば山賊打線ももう少し繋がりを見せるようになり、こんなに頻繁に完封負け(今季ここまで18回)を見せられることも減るのではないだろうか。

山川穂高

筆者はまだ素晴らしい選手だとは思えない山川穂高選手

筆者は西武ファンとしてもちろん山川穂高選手のことは応援している。だが野球の専門家として見た時、筆者は山川選手のことを素晴らしい選手だとは思っていない。いや、もちろん本塁打王に二度も輝いた点に関しては超一流だと思う。だが一人の野球選手として見た場合、筆者は山川選手が本当に素晴らしい選手だとはまだ思えないのだ。

まずはこれは以前にも書いたことなのだが、山川選手はシーズンを通して高い打率を残したことがないにも関わらず、将来的には三冠王を目指すと過去に公言している。だがそれを公言した途端長い不振に陥り、打率に関しては2019年以降低空飛行を続けている。

そして相手チームの素晴らしい投手に関しては「彼はいつメジャーに行くんですか?」というような趣旨の発言を幾度かしているのだ。筆者はこの発言が最も気に入らなかった。もちろん山川選手としては冗談のつもりなのだろうが、ライオンズを代表する選手の発言としてはまったく冗談になっていない。

また、山川選手が本塁打王になった年はライオンズは共にリーグ優勝をしているため、山川選手は「自分が打てばチームは優勝する」という発言も幾度がしている。これに関してももちろんそうなのだろうが、山川選手は本当にチャンスに弱いというのが現実だ。

この記事を書いている日、ライオンズは6−1でまたもやホークスに敗れたわけだが、山川選手は先頭打者としては2安打放ったが得点には結び付かず、走者一塁で迎えた場面では三振に倒れている。

シーズン序盤の山川選手はよく打っていたわけだが、それでも筆者は山川選手の打率は落ちていくだろうと考えていた。その理由は、山川選手は調子が良かったから打てていたという状態だったからだ。

そう言うと誤解を招きそうだが、調子が良い時に打てるのは誰でもそうなのだ。だが四番打者であれば、調子が悪くてもチームを勝利に導くバッティングをしなければならない。重要なのは山川選手がホームランを打てば勝てる、ということではなく、山川選手がホームランを打たなくても勝たなければならない、ということだ。

山川穂高選手と村上宗隆選手を比較

同じホームランバッターとして、今季は東京ヤクルトスワローズの村上宗隆選手が山川選手とは次元の違う活躍を見せている。今季ここまで、村上選手は満塁時に14打数、6安打、4本塁打、21打点、打率.429という四番らしい活躍を見せている。一方の山川選手は満塁時は7打数、0安打、1打点という数字だ。

今季ここまでのトータルの得点圏打率を見ても、村上選手の.369に対し、山川選手は.296となっている。そして怪我を繰り返している山川選手に対し、死球を受けてもホームランを連発する村上選手。三冠王という重みのある言葉を口にした山川選手ということを踏まえると、あまりにも数字が物足りない。

ここまで本塁打39本というのは本当に素晴らしい数字なのだが、39本も打ちながら打点は84に止まっている。とは言えこれはパ・リーグでは現時点においてはトップとなる打点数なのだが、2位の浅村栄斗選手は26本塁打で82打点となっている。さらに村上選手の数字も紹介しておくと、55本塁打の時点で132打点となっている。

筆者は常々言っていることではあるが、ライオンズは早く次の四番打者を育てなければならない。今年31歳になる山川選手の数字が、これから年々さらに飛躍していくことはほぼないはずだ。そう考えるといつまでも山川選手の四番に拘っていては、次期監督に変わった際にチームのリビルディングが上手くいかなくなってしまう。

かと言って村上選手のような打者を誕生させることなどできない。いや、不可能ではないが可能性は限りなく低い。となると昨オフにも書いたわけだが、ライオンズは中距離打者ではなく、長距離砲をアメリカから連れてくるべきだった。しかし新入団した外国人打者たちはいずれも低空飛行を続けている。

ライオンズに必要だったのは中距離打者ではなく、ドミング・マルチネス選手、アレックス・カブレラ選手、スコット・マクレーン選手、エルネスト・メヒア選手のように、高い確率でホームランを打てる外国人選手だったのだ。

ライオンズは今年も変わらず一番打者に苦労しているが、同時に五番打者を固定することもできていない。打線として非常に重要な先頭打者とクリーンナップを固定できずにいるのだから、今季の得点力の低さも不思議ではない。

秋山翔吾選手はなぜライオンズを選ばなかったのか?!

秋山翔吾選手がライオンズではなくカープを選んだのは、山川選手と森友哉捕手の野球に対する姿勢と相容れないことが理由だということは、筆者の周囲にいるライオンズをよく知るスポオーツライターや記者の間ではよく知られていることだった。

その詳細がすでに報じられているかどうかが分からないため、筆者がここで詳しく書くことは避けたいのだが、秋山選手は、山川選手と森捕手と一緒にプレーをするのは避けたいと考えたようだ。

秋山選手はどこに出しても恥ずかしくないくらい、野球に対して真摯に向き合っている真のアスリートであり、尊敬すべき野球選手だと言える。筆者自身、秋山選手の練習風景を彼のライオンズ時代によく見かけたのだが、本当にストイックに練習に取り組んでいた。その姿は栗山巧選手と重なることも多かった。

筆者は山川選手の人柄は実際のところはよく知らない。SNSもフォローしていないし、パ・リーグTVで見られる山川選手のことしか知らない。だが山川選手のことをよく知るライオンズ周辺で仕事をする知人たちと話していると、山川選手のことを一人の野球人としてリスペクトしている者は少ない。

繰り返すが、筆者は山川選手と個人的に話をしたことはない。他のライオンズの選手とは何人もと仕事で話をしたことがあるのだが、山川選手に関しては成績以上のことは本当によく知らない。そのため正確なことを書くことはできないのだが、誰からも尊敬されている選手だという話を耳にしたことはまだない。

一方の森友哉捕手は、これはスポーツ紙にも幾度か書かれていたと思うが、今季ミットを投げつけて怪我をした後、森友哉捕手の野球に対する姿勢が今までとは違うと感じている関係者が多いようだ。野球に対し、今まで以上に真摯に向き合うようになったと口にするスポーツライターの方と少し前にお話をさせてもらった。

なかなか出てこない絶対的エースと真の四番打者

ライオンズは、三番・四番を打っているこのふたりが変わらなければ変わらないだろう。ライオンズは昨季、1979年以来の最下位という屈辱を味わったわけだが、あまりチームとしては変わっていないように感じる。チーム防御率が飛躍的に良くなったことが今の順位の原動力となっているわけだが、もしチーム防御率が平均的な3点台だったとしたら、首位争いに加わることもできなかっただろう。

そして現在のライオンズには絶対的エースと、真の四番の存在がない。この両輪が機能しなければ、チームが優勝することは難しい。だが山川選手の存在を脅かすような選手は一向に出てこないし、出てこないから四番は山川選手一択という状況になっている。

さすがにもう年齢的に、中村剛也選手に四番を任せることは酷だ。五番でさえも酷だと思うのだが、しかし他に打てる打者はいないし、外国人打者もあまり機能していないため、中村選手に任せる他ないという状況だ。

ライオンズはまだまだ優勝を狙えるチームではないと思う。本当に常勝軍団を再建していくためには、まずはエース対決で勝てる絶対的エースと、数字に関わらずチームを勝利に導ける真の四番打者が必要だ。

だが真のエースは涌井秀章投手以来出ておらず、真の四番打者も中村剛也選手の若い頃やカブレラ選手以来出ていない。ただ、カブレラ選手に関しては数字は圧倒的だったが、チームを牽引するタイプの選手ではなかった。

そういう意味では中村選手が現役のうちに次世代の四番打者を育て始めなければならないし、ファームではかつての絶対的エースだった西口文也監督の下で次世代の絶対的エースを育成して欲しい。そしてその候補が現在は怪我がやや多いが、今井達也投手なのではないかと筆者は考えている。ライオンズは少しでも早く今井投手を一本立ちさせなければならない。

真のエースと四番を育成することができれば、ホークス相手にここまで負けが込むこともなくなるだろう。大事な首位攻防3連戦で、まさか3戦全敗するとは思わなかった。だがこれが今のライオンズの実力なのだ。それを認めない限り、ライオンズが生まれ変わることはまだないだろう。

山川穂高

柳田悠岐選手から差をつけられるばかりの山川穂高選手

今オフの契約更改でホークス柳田悠岐選手の年俸は1,000万円アップし、推定6億2,000万円となった。そしてこの時の会見で柳田選手が口にしたのは「不甲斐ない成績だった。これが今の実力」という言葉だった。ちなみに柳田選手の今季の成績は打率.300、本塁打28、打点80、得点圏打率.298で、一方山川穂高選手は打率.232、本塁打24、打点66、得点圏打率.172だった。

柳田選手のこの数字が不甲斐ないものとなってしまうのならば、山川選手の数字は一体どう表現したら良いのだろう。確かに年俸の額はまったく違う。柳田選手の6億2,000万円に対し、山川選手の来季年俸は推定1億3,000万円だ。6億という柳田選手の年俸を鑑みれば、確かに今季の成績は不甲斐ないということになってしまうのかもしれない。

だが山川選手が自ら掲げた来季のテーマは12球団ナンバー1の4番打者になることだ。ということはこの柳田選手を上回る必要があるということになる。年俸の額はさておき、打率・本塁打・打点・得点圏打率などすべてで柳田選手を上回れなければ、12球団ナンバー1の4番打者にはなれない。

近年の山川選手のビッグマウスには筆者は少し聞き疲れて来たのだが、志が高いこと自体は良いことだと思う。だがもう少し謙虚な言動を見せた方が良いのでは、と思うこともしばしばあるのが筆者個人の正直な意見だ。

パ・リーグ他球団に攻略法を確立された山川穂高選手

ではなぜ山川選手は近年まったく打てなくなってしまったのか?いや、24本塁打も打っているため「まったく」という表現は相応しくはないわけだが、しかし4番打者としての働きという意味では「まったく」と言えるのではないだろうか。

そしてその答えは数字を見れば明らかだ。2年連続ホームラン王となった打者を、パ・リーグ5球団が放っておくはずがない。山川選手は相手チームのスコアラーに完全に丸裸にされてしまっている状態なのだ。山川選手を打ち取りやすいパターンがパ・リーグ5球団で確立されてしまっている。

その証拠にセ・リーグ6球団それぞれとの対戦打率で、山川選手の今季の通算打率.232を下回ったのはDeNA戦だけだった。残りセ・リーグ5球団の対戦打率はいずれも通算打率を上回っている。

広島戦.364、中日戦.333、巨人戦.273、ヤクルト戦.250、阪神戦.250、DeNA戦.100

一方パ・リーグ5球団それぞれの対戦打率は、日本ハムと楽天戦以外は今季の通算打率を下回っている。

楽天戦.258、日本ハム戦.245、ソフトバンク戦.222、ロッテ戦.206、オリックス戦.203

楽天戦と日本ハム戦だけは今季の通算打率.232を上回っているとは言え、.258と.245という低水準な数字となっており、自信を持って「上回っている」とは言えない程度の数字だ。

対戦数が少ない場合は、基本的に野球というスポーツは圧倒的に打者よりも投手が有利となる。にも関わらず対戦数の少ないセ・リーグ相手では、5球団の対戦打率が通算打率を上回っている。これはつまり、セ・リーグ各球団がまだ山川選手のウィークポイントを見つけられていないことを意味する。

逆にパ・リーグでは山川選手のウィークポイントが洗い出されていて、投手がデータに沿ってしっかりとボールをコントロールできさえすれば、山川選手を抑えることはもはや難しいことではなくなっているのだ。

一方の柳田悠岐選手は今季の通算打率.300に対し、各球団との対戦打率は以下のようになっている。

西武戦.371、ロッテ戦.356、日本ハム戦.284、楽天戦.272、オリックス戦.267

巨人戦、.273、DeNA戦.273、阪神戦.273、中日戦.250、広島戦.200、ヤクルト戦.091

西武戦では.371という圧倒的な対戦打率を残してはいるのだが、この打率を西武投手陣はそれほど気にする必要はない。なぜなら被本塁打は3本で、打点も9に抑えているからだ。この数値は高く評価できると思う。

柳田選手の場合も、パ・リーグ5球団は徹底的にマークしているはずだ。にも関わらず西武・ロッテ戦ではしっかりとヒットを打ち、他の3球団からもそこそこの打率を残せている。つまり徹底的にマークされているのに、柳田選手はその上を行っているということだ。ここが山川選手との最も大きな違いと言えるだろう。

緩急に翻弄されている山川穂高選手

では山川選手は来季はどうすれば良いのか?一般的には改善法としては長所を伸ばすか、弱点を克服するかという二点に絞られるわけだが、長所を伸ばしたところで相手投手が得意ゾーンに投げてくれる可能性は非常に低い。ということは、弱点を克服しなければ打てるようにはならない、ということだ。

来季も相手チームは徹底的に山川選手のウィークポイントを突いてくるはずだ。すると山川選手が打てるボールは、追い込まれる前の失投ということになる。つまり投手がコントロールミスをして、山川選手の得意ゾーンに投げてしまうというケースだ。

ちなみに追い込まれてしまうと、得意ゾーンに来てもミスショットをしたり、追い込まれている分スウィングが弱くなったりしてヒットになる確率は、追い込まれる前よりも大幅に低下してしまう。全盛期のイチロー選手でさえも、追い込まれたあとの打率は2割台だった。

山川選手はとにかく泳がされることが多い。これは体重移動をして打っている打者の最大の弱点で、緩急に非常に弱いのが特徴だ。つまり山川選手を抑えるためには、遅い変化球を見せてから速いボールを投げるか、速いボールを投げてから遅いボールを投げるかをすればいいのだ。

未だにウェイトシフト(体重移動で飛ばす打ち方)で打っている山川選手はスウィング中の頭の移動が非常に大きいため、バッテリーからすると緩急を使いやすい打者ということになる。

言い方を変えると、豊富な球種で緩急を上手く使ってくる先発タイプの投手よりも、少ない球種で力で押して来ようとするリリーフタイプの方が、山川選手にとっては打ちやすいということになる。

現に山川選手が終盤でホームランを連発した際の相手投手は試合終盤のリリーバーばかりで、先発投手は日本ハムのアーリン投手くらいだったと思う。だがこのアーリン投手は山川選手がホームランを打った試合では4回6失点と大不調だった。

こうして見ていくと来季山川選手が打てるようになるためのポイントは、どれだけ逆方向を意識したバッティングができるのか、ということではないだろうか。プロでもアマチュアでも引っ張るばかりの打ち方では緩急に対応することはできない。

近年の山川選手は「緩急さえつけておけば、打たれてもそれほど大怪我することのない打者」という枠に入れられてしまっている。この相手投手からの見られ方を変えるためには、やはりアーリン投手からホームランを打った時のように、しっかりと逆方向を意識して振り抜くということに尽きるのではないだろうか。

例えばかつての中島裕之選手のように反対方向に引っ張ることができる打者というのは、投手からすると緩急を活かしにくくなるため非常に投げにくい。山川選手もそのような姿を数多く見せて相手投手の頭にその残像を残せるようになれば、相手投手も緩い変化球を投げにくくなり、緩急ではなくコースで勝負しようとする場面が増えてくる。

すると山川選手からすればコースさえ絞ってしまえば緩急によってスウィングを崩されることが少なくなり、打率.280前後で30〜35本塁打程度の数字は残していけるのではないだろうか。

だがそれでも残念ながら柳田選手の数字を上回ることはまだできない。しかしいつかは、柳田選手の力が衰える前に、山川選手には是が非でも柳田選手の数字をすべて上回って欲しい、というのが筆者のみならず西武ファンの総意だと思う。

山川穂高選手はなぜ打てないのか?

少しビッグマウスが過ぎるように思う山川穂高選手

松井稼頭央ヘッドコーチは山川穂高選手に対し、2022年は4番を打つつもりで準備をするようにと伝えた。これは至極当然とも言えるヘッドコーチの言葉だと思う。やはり山川選手が打ってくれないようではチームとしては困ってしまう。

だが山川選手は打率を残せるバッターではない。山川選手本人は、来季は12球団ナンバー1の4番打者になって下がった分の年俸を取り返すと公言したが、「将来的には三冠王」という言葉を使って以来、山川選手はややビッグマウスが過ぎるように筆者には感じられるのだが、読者の皆さんはいかがだろうか。

もちろんホームラン王や三冠王を目指すことは素晴らしいことであり、その高みを目指してこそのプロ野球選手だとは思う。だが山川選手の言葉には、あまり強い現実味を覚えることができないのだ。三冠王にしても、12球団ナンバー1の4番にしても、現状の山川選手の成績で簡単に口にして良い重さの言葉ではないと思う。

これが柳田悠岐選手のように、打率もホームラン数もリーグトップレベルなのであれば、三冠王を目指すと公言してもファンとして「不可能ではない」と夢を抱ける。だが今の山川選手が柳田選手や吉田正尚選手を上回れるとは思えない。「12球団ナンバー1の4番」という言葉を使って良いのは、やはり一年間4番を打ち続けた打者なのではないだろうか。

もちろん筆者だって山川選手には12球団ナンバー1の4番打者になってもらいたい。だが野球の動作改善の専門家である筆者にもし言わせてもらえるのならば、山川選手は来季も12球団ナンバー1の4番打者になることはできないだろう。

今季吉田正尚選手の得点圏打率は.400、柳田悠岐選手は今季は.298と数字を落としたが、昨季の得点圏打率は.369で、2018年には.389という得点圏打率もマークしている。一方山川選手の今季の得点圏打率は.172、2020年は.287、2019年は.261と、チャンスで精彩を欠くシーズンが3年も続いている。

山川選手は柳田選手や吉田選手を上回ることを考えるのではなく、まずは中村剛也選手を上回ることだけに集中すべきではないだろうか。柳田選手や吉田選手を越えようと思うのは、ライオンズの4番に定着した後でも遅くはない。

なぜ山川穂高選手は打てないのか?

山川選手はホームラン王になったあと、打率を上げるためにポイントを体の近くに持っていこうとした。これは柳田選手や吉田選手が実践しているステイバックという技術の一環になるわけだが、山川選手はここで大きな間違いを犯しているのだ。

ステイバックとは体重移動はせず、軸脚に体重を乗せ切って体全体で直角三角形を描きながら打つ技術で、その結果ポイントが体の近くに来るようになり、強烈なスウィング速度を維持しつつも、バッティングの正確性を飛躍的に向上させられるようになる。ちなみにステイバックの詳細については筆者が監修しているオンデマンド野球塾のバッティングコーナーにある「ステイバック特集ページ」で、詳しく解説しているので、もしご興味があればご覧になってみてください。

ポイントを体に近付けるのはステイバック特有の打ち方なのだが、山川選手は体重移動をしたままポイントを体に近付けようとしていたのだ。これがそもそもの間違いの始まりだった。

山川選手の打撃フォームにはとにかく無駄な動作が多い。例えば左足の上げ方だけを見ても、左膝を大きく曲げて、サッカーボールを蹴るような動作を入れている。これだけ左脚を大きく動かしていけば、体重を軸脚に乗せ続けようとしてもそれは難しく、その結果ステイバックで打つこともできなくなり、その状態でポイントを体に近付けようとしてもただ差し込まれるだけになってしまう。

山川選手のフォームをよく観察していただきたいのだが、頭が上下前後と色々な方向に動いているのだ。これは体重移動をしていて、フォームに無駄な動作が多い打者の大きな特徴だ。そしてこれだけ頭を大きく動かしては、打てるものも打てなくなってしまう。

今季終盤、山川選手はポイントを投手寄りに戻すことによって少し復調したようだが、これは当然の結果だろう。体重移動をしている限り、ポイントを近付けようとしてもバイオメカニクス的にはチグハグなフォームになってしまう。体重移動をするのなら、ポイントは投手寄りに置かなければ野球動作の科学的には筋が通らないのだ。

現代野球では体重移動をするウェイトシフトでは何年も続けて好成績を残し続けることはできない。毎年のようにタイトル争いに加わっている打者のほとんどが、今は皆ステイバックで打っている。

例えばジャイアンツの坂本勇人選手も駆け出しの頃はウェイトシフトだったのだが、当時の打撃コーチにウェイトシフトを教え込まれた後は、長打力を維持しつつも毎年のように安定した高打率を残せるようになった。熊澤とおるコーチの指導を受けていた浅村栄斗選手も同様だ。

つまり山川選手が12球団ナンバー1の4番打者になるためには、ムーヴィングファストボールやカッターが主流の現代野球においては、ステイバックの習得が不可欠ということになるのだ。だが山川選手はステイバックではなく、今なおポイントを前に置くウェイトシフト(体重移動をする打ち方)で打とうとしている。これでは山川選手が柳田選手や吉田選手を上回れることは、少なくとも来年に関しては可能性は低いだろう。

確かに今季の終盤では調子が良さそうにホームランを打っていたが、しかし調子が悪くなった時にも打てるかどうかが4番打者に問われる資質だ。動作改善の専門家である筆者の意見としては、山川選手は調子が良ければ打てるだろうが、調子が少しでも落ちればパタっと打てなくなりそうだ、というのが正直なところだ。

いや、もちろん打ってもらいたいのだ。山川選手には誰よりも打ってもらいたいのだが、専門家として冷静に見ていくと、悲しいかなこのような意見になってしまうのである。

中村剛也選手、栗山巧選手に技術を叩き込んだ名コーチとは?!

筆者が思うに、山川選手の最大の弱点はその器用さではないだろうか。器用さゆえに手先で上手くバットを扱うことができてしまう。そのためタイミングも下半身で取る形にはなっておらず、グリップを軽く揺らす動作でタイミングを計っているように見える。

この動作は中村剛也選手と類似していると思われた西武ファンの方もいるかもしれない。確かにグリップの動きだけを見れば中村選手と山川選手はよく似ている。だが決定的に違うのは、中村選手は実際には左足でタイミングを計っているという点だ。いや、もっと正確に言うならば、左足でタイミングを計りながら、グリップを揺らすことによって上半身のタイミングを下半身に合わせに行っているのだ。

山川選手は、中村選手のフォームを参考にしてきただけありフォームが中村選手によく似ている。だがメカニクスやモーションといった細かいところを見ていくと、実は山川選手のフォームと中村選手のフォームはまったくの別物なのだ。ちなみに筆者は雑誌で、デーブ大久保コーチに並んで中村剛也選手のバッティングメカニクスを徹底解説させてもらったことがあるのだが、中村選手は本当に理に適った打ち方をしているのだ。

なお中村剛也選手はデーブ大久保コーチの指導によって開花したと思われがちだが、実際中村選手(と栗山巧選手)に細かい動作指導をされていたのは熊澤とおるコーチだ。これに関しては以前、デーブ大久保コーチがそう仰っていた。

熊澤とおるコーチは、筆者がプロコーチとして尊敬している数少ないコーチの一人で、卓越された打撃理論は松井稼頭央選手も信頼し、MLB時代は熊澤コーチが松井選手のパーソナルコーチを務めていた。また、石井貴投手も肩を痛めると、理論派の熊澤コーチに助言を求めたと言う。そんな名コーチである熊澤コーチが、筆者が監修する『よくわかる!投球障害予防改善法-徹底解説ビデオ』を推薦してくださっているのだから、本当に感謝の思いしかない!

さて、改めて山川選手に話を戻すと、やはり山川選手に今必要なのはパーソナルコーチだと思うのだ。客観的かつ理論的に山川選手のフォームを見てくれるパーソナルコーチの存在があれば、こうも長く不振が続くこともなかったはずだ。Going My Wayで突き進むのも悪いことではないが、しかし不振が続いている以上、そろそろパーソナルコーチの力を借りるべき時だとは言えないだろうか。

山川選手の得点圏打率が.300を超えたのは78試合しか出場していない駆け出しだった頃の2017年(.353)と、初めてホームラン王となった翌2018年(.310)のみだ。その他のシーズンの得点圏打率はどれも4番打者に相応しい数字ではなかった。

とにかく山川選手が12球団ナンバー1の4番打者になるための技術的な課題は山積み状態だ。とてもじゃないが、3〜4ヵ月後の開幕戦にそれらすべてが克服されていると思えない。だから来年慌てて12球団ナンバー1の4番打者になろうとして、また力み不振を続けてしまうくらいならば、まずはリラックスしてライオンズの4番打者としての定着を目指すべきだと思う。

果たして山川選手の姿はライオンズの4番打者として相応しい姿なのだろうか?!

さて、最後になったが、筆者は山川選手の契約更改後の会見に違和感を抱いた。もしそう感じたのが筆者だけならば大変申し訳ないのだが、会見に、色は薄めとは言えサングラス(色入り眼鏡?)をかけて臨むのは果たしてありなのだろうか。屋外で太陽が眩しいのなら話は別だが、契約更改後の室内での会見でサングラスを外さないことに、筆者は違和感を覚えてしまった。

もちろんそれを格好良いと思うファンの方も多いのだろうから、これが悪いことだと言うことは筆者にはできない。しかしこの姿をメディアを通して様々な形でファンの元に届けられる。せめてネクタイくらいはもっとしっかりとした形で絞めてもよかったのではないだろうか。

筆者個人としてはややだらしなく感じてしまい、4番打者としての威厳を山川選手から感じることができなかった。もちろんファッションは人それぞれであるのだが、山川選手はもう少し子どものファンも見ているということを意識した装いも必要な気もする。

12球団で最もちびっこファンの多いライオンズの主砲なのだから、親御さんや教師が「山川選手を見習いなさい」と言われるような姿こそが、ライオンズの4番打者としての相応しい在り方ではないかと、筆者は個人的にはそんなふうに考えてしまったのである。

山川穂高

チャンスではまったく打てていない山川穂高選手

松井稼頭央ヘッドコーチは、山川穂高選手に対し、来季も4番打者としてしっかり準備をするようにと指示を出したようだ。もちろん復調してもらわなければならない山川選手に対しては、ごく自然な指令だったと思う。

だがチームを優勝に導くための戦術をヘッドコーチとして辻発彦監督に提案していくためには、「4番山川」以外のオプションもしっかりと準備しているはずだ。もちろんそこは外国人選手に頼ることにもなると思うのだが、現時点ではブライアン・オグレディ選手と、テーラー・ジョーンズ選手の獲得調査が進められているようだ。

さて、山川選手だが来季は前でボールを捌く打ち方に戻すようだ。今季の終盤はその打ち方に戻して3試合連続ホームランをマークし、復調の気配を見せていた。だがこの3本はいずれもソロホームランだった。もちろん打線の巡り合わせもあるわけだが、山川選手は得点圏で打っているホームランが多くはない。2021年今季の得点圏打率は.172で、得点圏で打っているホームランは全24本中7本(29%)という数字にとどまっている。

一方中村剛也選手の2021年の得点圏打率は.317で、得点圏で打ったホームランは全18本中7本(39%)となっている。

筆者が気になるのは、山川選手がホームラン数にこだわっているように見える点だ。もちろんホームランを打てるというのは非常に大きな魅力であるわけだが、4番打者に求められるのはホームラン数以上に、回ってきたチャンスでどれだけ走者を生還させられるかという点だ。

例えば黄金時代の4番打者だった清原和博選手はホームラン王になった経験はないが、チームを優勝に導く勝負強いバッティングを見せ続けてくれた。もし清原選手がホームラン王という称号にこだわりを見せていたら、ライオンズの黄金時代はあそこまで輝かしいものにはなっていなかっただろう。

そして清原和博選手が4番としての仕事に徹してくれたため、3番秋山幸二選手と5番デストラーデ選手が伸び伸びと打てる状況にあった。この二人のタイトルは、清原和博選手のサポートあってこそだったと言えるだろう。

チャンスで、清原選手が体を左打席側に傾けながら反対方向に打つ姿は、未だ筆者の脳裏に色濃く残っている。やはり4番打者というのは、自分を犠牲にしてでもチームを勝利に導くバッティングができることが重要ではないだろうか。

個人成績を優先しているように見える今の山川穂高選手

話を山川選手のフォームに戻すと、この1〜2年の山川選手はポイントを体の近くに置いて打っていた。いわゆるステイバック打法になるわけだが、しかし山川選手はこれが上手くいかなかった。

その理由は単純だ。ステイバックというのは軸足に体重を乗せて、軸の鋭い回転で体の近くで強烈にバットを振っていく打ち方なのだが、山川選手は体重移動をしながらポイントを体の近くに置いていた。つまり技術的にチグハグだったのだ。

このチグハグさに関しては、野球動作を科学的に学んでいる筆者のようなプロコーチや専門家であればすぐに気がつくところだと思う。そしてこの動作によりスウィング中の頭も大きく移動してしまい、目線もブレることによってミート力も低下していた。その結果泳ぐようなスウィングを幾度となく見せていた。

体重移動をするウェイトシフト打法でポイントを前に置くと、当たれば飛ぶがなかなか当たらない、という打者になりやすい。つまりホームランを打てても打率は残せないというタイプだ。しかし果たして4番打者がこれで良いのだろうか。

昭和であれば打率.270で30本塁打打てれば凄いと賞賛された。だが現代野球では打率.330で30〜40本打てる打者が何人もいる。山川選手はこの秋、12球団で一番の4番打者になると公言しているが、そうなるためには打率.330程度でホームラン王争いに加わる必要がある。

だが筆者は個人的にはこの考え方は好きではない。野球はチームスポーツであるため、まずは優勝するために自分が求められていることを優先し、個人成績は二の次にすべきだ。日本一になった結果、タイトルも獲れたというのがベストだ。

山川選手が打てば優勝できる、と言うこともできるが、しかし山川選手がホームラン王になった2年はリーグ優勝はできたが、日本シリーズに進出することはできなかった。ライオンズの使命はリーグ優勝ではなく、日本一であるはずだ。

現状の山川選手の考え方を踏まえ、復調したと前提しても、山川選手には6番あたりを打ってもらうのがチームのためではないだろうか。左右の外国人打者が上手く機能すれば、3番森友哉捕手(左)、4番ジョーンズ選手(右)、5番オグレディ選手(左)、6番山川選手(右)というジグザグオーダーを組むことができる。すると相手チームも継投策を取りにくくなる。

やはり山川選手には4番の座を与えるのではなく、4番の座を奪わせるようにした方が良いと筆者には思える。そして山川選手が4番の座を奪取するために必要なのはホームラン数ではなく、やはり低すぎる.172という得点圏打率を何とかすることだろう。チャンスに打てないのでは4番打者としては失格だ。

山川選手にはライオンズの主砲として、やはり12球団ナンバー1の4番打者になってもらいたい。かつて同じ背番号を背負った清原和博選手や、4番ではなかったものの中島宏之選手や浅村栄斗選手のように、チャンスで打てるバッターになってもらいたい。

4番打者の役割は、とにかく走者を生還させることだ。チャンスならば反対方向を意識して確実に走者を生還させ、走者がいなければ一発で得点が入るホームランを狙っていけば良いと思う。このような打者になれた時こそが、山川選手が12球団ナンバー1の4番打者として、他11人の4番打者に賞賛される時ではないだろうか。

ブライアン・オグレディ

筆者はまだあまり魅力を感じていないオグレディ選手

ライオンズでは今季所属した5人の外国人選手すべての契約を終了することになった。外国人選手の総入れ替えはリスクがやや高いと言えるのだが、しかし彼らの数字を見るとそれも当然かなということになるのだろう。

現在報道では、パドレスからFAになっているブライアン・オグレディ選手の調査を行なっていると伝えられている。だが筆者個人としては、この選手を獲得する高い必要性はあまり感じていない。必要性があるとすれば、外野と一塁の複数を守れるという点だろうか。

一応メジャーでプレーしている経験はあるが、メジャーでの実績はほとんどないに等しい。だがこれはそれほど問題ではないと思う。メジャー経験がなくても、日本のプロ野球で上手くハマる選手は大勢いる。

オグレディ選手に対し筆者が最も注目したいのは得点圏打率だ。今季は主にマイナーリーグのエルパソでプレーをしたのだが、マイナーでの打率.281に対し、得点圏打率が.264となっている。マイナーリーグでこの程度の数字しか挙げていない選手を獲得する意味はあるのだろうか。

これが仮に打率.281で、得点圏打率が.350であったなら話は変わってくる。しかし今季山川穂高選手の得点圏打率が.172とチャンスではまったく打てていない状況で、マイナーでの得点圏打率.264のオグレディ選手を獲得しても、弱体化した打線を強化することは難しいのではないだろうか。

そしてオグレディ選手は左打ちなのだが、3番を打つ森友哉捕手が左打ちということを考えると、オグレディ選手を4番に入れることはできれば避けたい。3・4番を共に左打ちにしてしまうと、相手チームが左打者殺しの投手を投入しやすくなるためだ。

ただしオグレディ選手は、マイナーリーグでは左投手相手に.317という打率を残しており、対右の.270と比べても、左投手を得意としているようだ。

山川選手の起爆剤になれる外国人打者の存在が必要

オグレディ選手は右膝を曲げ、上半身を突っ込ませて打つことがやや多い。この癖がある外国人選手は、日本の変化球に苦労することが多く、あまり良い打率は残せないのではないだろうか、というのが筆者の個人的意見だ。

オグレディ選手に関してはまだ調査中という段階であるため、実際に獲得となるのかはまだ分からない。だがここで具体的に名前が挙がるということは、獲得に至る可能性は高いのだろう。

内外野を守れて、そこそこ走れる左打ちという意味では、スパンジェンバーグ選手とタイプは似ている。同じタイプの選手をこうして探してくるということは、このタイプの選手がもしかしたら辻発彦監督が求めている外国人選手像なのかもしれない。

だがやはり筆者は「4番山川」ありきで考えるのではなく、4番を打てる右の大砲を獲得すべきだと思う。そして得点力の向上を目指すのであれば、やはり打率よりも得点圏打率の方が高い選手をピックアップすべきだ。

例えば2021年の中村剛也選手の打率は.284だったが、得点圏打率は.317だった。ライオンズはこういう数字のバランスを持った外国人打者を獲得すべきではないだろうか。ユーティリティ性前提では、また中途半端な成績しか残せない外国人打者を招いてしまうことになる。

これもあくまでも筆者の個人的な意見であるわけだが、一塁やDH専任であってもまずは打てる外国人選手を探すべきだろう。その結果山川選手を三塁中村選手のバックアップに回すことになったとしても。

本塁打王を2回獲得したのはもう過去の話だ。そして2回目の本塁打王を獲得した時も山川選手の打率は低空飛行で、近年は当たれば飛ぶが、なかなか当たらないというバッティングが続いてしまっている。この山川選手を発奮させるためにも、起爆剤にするためにも、山川選手のポジションにぶつけるような外国人選手を獲得すべきだと筆者は考えている。

ライオンズ打線はやはり山川選手の復調なくして考えることはできない。だが今までのように「4番山川」前提で考えてしまうと、また同じ失敗を繰り返してしまうのではないだろうか。それならば山川選手は6〜7番前提でスタートさせ、そこから実力で4番を再奪取させるというやり方の方が、山川選手自身にとってもプラスになるように思える。

こうして考えていくと、やはりオグレディ選手では役不足のように感じられるのだ。もちろん日本に来てみたら大変貌を遂げるという可能性もあるわけだが、そのような選手は稀だ。

ライオンズの例年の傾向では、外国人選手の獲得時期は比較的遅い。そのためまだ確定には至らないと思うのだが、どんな選手を獲得するにしても、少なくとも現状のライオンズを踏まえれば外国人打者にそれほどユーティリティ性を求める必要はない、というのが筆者個人の意見なのだが、読者の皆さんはどうお考えだろうか。

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2年連続で下半身を怪我してしまった山川穂高選手

2021年3月30日のファイターズ戦、山川穂高選手は初回にツーランホームランを放ってみせた。しかし一塁ベースを踏んだ辺りで急に崩れ落ちるように走るのを止めてしまった。左太腿裏に激痛が走ったらしい。試合中はアイシングをするだけで病院には行かずに様子を見たようだが、しかしその後診断を受けると肉離れであることが判明した。

筆者は渡部健人選手に対し「怪我を防ぐためにも減量は必要」だとこの場で何度か書いてきたが、しかし山川選手は渡部選手に対し「減量は必要ない」と言い切っていた。その山川選手が開幕早々に下半身を怪我してしまったのだから、山川選手の言葉には説得力がなくなってしまう。

4番打者というのは、チームを勝利に導くことができる一打を放ち、そして4番打者として試合に出続けなければならない。4番として試合に出続けられていない時点で、もうすでに真の4番打者として呼ぶことはできなくなってしまう。そういう意味では山川選手は2年連続で下半身を怪我して戦列を離れてしまい、真の4番打者と呼ぶには難しい状態となっている。

清原和博選手は真の4番打者だった

西武ライオンズの真の4番打者として筆者が真っ先に名前を挙げたいのは、やはり清原和博選手だ。ライオンズ時代の清原選手はとにかく試合に出続けた。ライオンズに在籍していた11年間は、右肩を脱臼してしまった1995年以外はほとんどフル出場に近い状態で試合に出続けた。そして実際に全試合出場を果たしているシーズンも3回ある。

残念ながらライオンズを移籍してしまったのちは増量により膝を痛めることが多くなり、100試合出場にも満たないシーズンばかりとなってしまうのだが、しかし増量する前のライオンズ時代はとにかく試合に出続け、チャンスで打ち続けた真の4番打者と呼べるスラッガーだった。

山川選手はその清原選手の背番号を受け継いでいるのだ。それならば清原選手を上回るような選手になっていかなければならない。過去の記録というのは栄光としてではなく、次世代の選手たちが上回るために残されている。清原選手が525本塁打を打ったのならば、山川選手には526本塁打打って欲しい。だがここまで下半身を頻繁に怪我してしまう状況が続くと、その記録に対する期待も薄らいでしまう。

山川選手が抜けても打線は機能する!

報道を読む限りでは最短の10日で戻って来られる可能性もあるようだが、しかしシーズンの序盤ということもあり、辻発彦監督も無理をさせることはしないだろう。メヒア選手スパンジェンバーグ選手が来日して試合に出場できるようになるまでは、若手選手の奮闘により乗り切るより他ない。

ただ、ライオンズの場合はこれまでもダブルクリーンナップとも呼べる打線を組んできたため、山川選手が抜けても打線が機能しなくなるほど手薄になることはない。例えば先日は好調の源田壮亮主将が3番に座るオーダーを組んだが、この3番あたりに佐藤龍世選手やブランドン選手が入って来られれば良いのではないだろうか。

相手チームからすればホームランがほとんど出ない源田選手が3番にいるよりも、長打力のあるブランドン選手が3番にいた方が投げにくくなると思う。また、木村文紀選手を一時的にクリーンナップに据えるというオーダーも魅力的だと思う。

体重が減ってもホームランは打てる!

最も優れた野球選手は、怪我をせずに試合に出続けられる選手だと筆者は考えている。だからこそ仕事で選手たちをコーチングする際も、筆者は常に怪我をしないフォーム・体づくりを徹底させている。だが山川選手の場合は、2年連続で言葉だけが一人歩きしてしまっている。昨季は三冠王という言葉を使い、今季はどんなに悪くても40本塁打以上と言い切っている。だが結果的には2年連続で下半身を怪我してしまい、チームにダメージを与えてしまった。

中村剛也選手も比較的下半身の怪我が多い選手だ。体重の比率と下半身の怪我を短絡的に結びつけることはできないが、しかし増量を行った選手や体重の比率が高い選手が下半身を怪我するケースは間違いなく多い。そういう意味でも筆者は山川選手の「(渡部選手は)減量する必要はない」という言葉に対しては否定的立場だ。

ちなみに渡部選手のキャンプイン前の体重は身長176cmに対し118kgだった。118kgと言えば、身長198cmのメヒア選手と同じ体重だ。身長はメヒア選手の方が22cm高いのに体重は同じ。この数字を見るだけでも、渡部選手の体重がどれほどであるかがよく分かる。それでも山川選手は減量の必要はないと言い切る。

山川選手は体重が減ればホームランも減ると語っているが、確かにそういう理屈もある。ウェイトシフトで打っている場合はそういうことも起こるだろう。だがステイバックという技術さえ身につけられれば、体重に関係なくホームランを量産することができる。ちなみに昨季のホームラン王である浅村栄斗選手の体重は身長182cmに対し90kgだ。山川選手や中村選手よりも長身であるにもかかわらず10kg以上軽いのだが、ホームラン王を獲得している。この浅村選手は、ライオンズ時代に個人コーチである熊澤コーチ(筆者が尊敬するパーソナルコーチ)の指導もと、ステイバックを身につけた選手だ。そしてステイバックを身につけた途端、浅村選手の駄棒は一気に花開いていった。また、まだ若手だった中村剛也選手に技術を叩き込んだのもライオンズで打撃コーチを務めていた頃の熊澤コーチだった。

2年連続で下半身を怪我してしまった事実と体重との因果関係を、山川選手自身が今後どう捉えていくのかは分からない。あくまでも無関係であるという姿勢を貫くのか、それともこの事実を受け止めて体づくりを見直すのか。だが山川選手が本当に真の4番打者へと進化していきたいのならば、いずれにせよ怪我をしない選手になっていく必要がある。これは年間ホームラン数よりもずっと重要な要素だ。

とにかく山川選手には最短の10日間で完治させ戦列に復帰し、ホームランを量産する元気な姿をまた見せて欲しいというのが筆者だけではなく、ファンの総意だと思う。この怪我が長引かないことを祈りながら、しばらくの間は若獅子たちが躍動する姿を一ファンとして見守っていきたい。

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1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
西武 0 0 0 1 0 4 0 0 1 6 9 1
阪神 0 0 0 0 2 0 0 0 0 2 7 1

【継投】
浜屋将太〜平良海馬〜増田達至〜佐野泰雄〜宮川哲

【本塁打】
山川穂高(2号)

前回から改善を見せ、良い経験も詰めた浜屋-柘植バッテリー

この試合先発マウンドに登ったのは、前回は自分の持ち味を活かすことができず辻発彦監督からも厳しいコメントを出されていた浜屋将太投手だった。球威があるわけではない浜屋投手の場合、生命線になるのはコントロールと配球だ。前回の登板ではそれが共に上手くいかなかったわけだが、今日のマウンドではそこそこ改善を見せることができたのではないだろうか。

結果的には5回を投げて2失点だったわけで、これは先発ローテーションの5〜6枚目を目指している浜屋投手のレベルなら及第点と言える結果だったと思う。もちろん本音はもっと上を目指して欲しいわけだが、これまでの実績を踏まえるならば、西口文也投手コーチも十分及第点を与えることができたのではないだろうか。

しかし5回に打たれたソロホームラン2本は余分だった。近本選手には外角を見せた後の内角を完全に狙われてしまい、思い切り引っ張られてライトスタンドに運ばれてしまった。左対左だったことを考えれば、もう少し厳しく行っても良いのではないかとも思ったが、カウントが2−1だったこともあり、3-1にしたくないという気持ちがボールを僅かに甘くしてしまったのかもしれない。カウントを不利にした時のストライクの取り方は、今後も浜屋投手の課題になりそうだ。

マルテ選手に打たれたホームランも同じだと言える。3ボールからストライクを取りに行った外角高めの甘いストレートを左中間の深いところまで運ばれてしまった。すでに二死まで行っていて走者もいなかったのだから、ここはレギュラーシーズンを想定するならば四球を出しても良い場面だったとも思える。チームが直後に逆転してくれたため大怪我にはならなかったが、このマルテ選手のホームランで2-1と逆転されてしまったことを考えるならば、四球覚悟でもっと攻めに行き、四球を出したら出したで次の大山選手との勝負を選んでも良かったように見えた。

だがこのような駆け引きに関しては、まだまだ若い浜屋投手はこれから経験を積み身につけていくことなのだろう。バッテリーを組んでいたのも経験値がまだ高くはない柘植世那捕手だったため、このマルテ選手に打たれたホームランに関しては、浜屋投手にとっても柘植捕手にとってもシーズンへと繋がる良い経験になったと思う。

グランドスラムで4番の大仕事を果たした山川穂高選手

打つ方では足首の怪我も完治し、ようやく4番という指定席に戻ってきた山川穂高選手が大仕事をやってのけた。山川選手が真の4番打者になるためには得点圏打率を上げることが重要であると筆者はこれまで書いてきたわけだが、この試合ではリードを許していた一死満塁という大チャンスで、見事なホームランをレフトスタンドへと放り込んだ。

この満塁ホームランでライオンズは2-5とリードを取り戻したわけだが、タイガースバッテリーの攻め方は、明らかにダブルプレーを欲しがっているというものだった。初球から、ホームランを打たれた3球目まで、山川選手の内角をえぐるツーシームを連投してきた。

もし山川選手が初球を振りに行っていたら、もしかしたらバッテリーの術中にはまっていたかもしれない。だが3球同じ球を見せられて山川選手が黙っているわけがない。2球目よりも僅かに甘く入った138kmのツーシームを、レフトスタンドへと放り込んだ。この3球は決して甘いボールがあったわけではないのだが、やはり3球同じ球を続ければ山川選手のレベルであれば簡単に打ち返すことができる。打った山川選手は見事だったわけだが、しかし見え見えの配球を相手チームの主砲に見せたタイガースバッテリーの配球ミスだったとも見えた場面だった。

ちなみに山川選手は満塁ホームランを打った次の打席では、外角の決して甘くはないフォークボールを上手く捌いてセンター前ヒットを打っている。このセンター前ヒットも非常に評価できるのではないだろうか。ホームランを打った直後に、またホームランを狙いに行ってフォームを崩す選手も多い中、ホームランを打っても決して浮かれることなく冷静に、ボールに逆らわない良いバッティングを見せてくれた。

このセンター前ヒットを打った時点で山川選手は打率を2割台から一気に.310まで上げてきたわけだが、このような冷静なバッティングは、まさに4番の姿だったと言える。シーズンに入ってからもこのような冷静なバッティングを見せてくれれば、山川選手自身が将来的に意識している三冠王という称号にも、また少し近づけるのではないだろうか。

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「おかわり三世」と呼び声高いルーキー渡部健人選手だが、筆者の目にはすぐに1軍で活躍できる技術はまだないように映っている。バッティングフォームを見ていると山川穂高選手同様に手先が器用そうだなという印象を受ける。だが気になる点は、下半身よりも先に上半身が動き終えてしまうフォームだ。

筆者は仕事柄プロ野球選手のフォーム映像を細かく分析していくことも多いのだが、時々仕事の合間を縫って渡部選手やタイシンガー・ブランドン大河選手の映像を見ることもある。

ブランド選手は平良海馬投手からヒット性の当たりを打ったようだが、やはり1軍で結果を残すレベルにはまだ至っていない。まずスウィングがまだ荒く、軸のスタビリティも低く、ウェイトシフトで打っていることにより頭の位置を大きく移動させながらのスウィングになっていて、これでは1軍のボールを正確にミートしていくことはできないだろう。

渡部選手にしても合同自主トレからの疲れもあるのかもしれないが、フリーバッティングでも完全に手で打ちに行っているように見えた。フリーバッティングの相手は本田圭佑投手だったが、フリーバッティングという打ちやすいボールを投げてくれる練習にも関わらず、1本もホームランを打つことはできなかった。

サードに穴が見え始めている今年のライオンズ

現在ブランドン選手はA班、渡部選手はB班でキャンプを過ごしているわけだが、ふたりとも今年いきなり1軍でブレイクする可能性は高くはないだろう。だがここから打撃コーチの指導のもと、プロで通用する確かな技術を身につけていけば、近い将来このふたりが山賊打線の一員になっている可能性もある。

ライオンズの主軸打者では、中村剛也選手が近年故障しがちだ。今年もキャンプイン早々ふくらはぎに違和感を覚え別メニューになっている。つまりライオンズとしては中村選手の後釜になる三塁手を急ピッチで育てなければならない時期に来ているということだ。

今季に関しては中村選手の代わりにサードに入るのはスパンジェンバーグ選手が多くなるのだろう。だが後々は山川選手がサードに回っても良いと思うし、渡部選手やブランドン選手もそこに食い込んでいかなければならない。

故障が増えてきた中村選手を見て、若手選手はこれをチャンスだと思わなければならない。もちろん今年いきなり渡部選手とブランド選手が1軍のサードでレギュラーを張ることはないだろうが、山川選手に関してはサードに挑戦しても良いように思える。

山川選手がサードに回れば、メヒア選手をファーストで起用することができ、オーダーのバリエーションを増やすこともできる。メヒア選手は基本的にはファーストしか守れないため、山川選手がファーストに入ってしまうと、DHが空いていなければメヒア選手は代打要員ということになってしまう。

本塁打王になったことがあり、体もまだまだ動くメヒア選手を代打要員として置いておくのはもったいない。DHには基本的には栗山巧選手が入るため、やはりメヒア選手をもう一度輝かせるためにも、山川選手がサードを守るというオプションもあって良いと思う。

今後熾烈を極めるであろうライオンズの正三塁手争い

とにかく、中村剛也選手が今後1年間フルで試合に出続けることは難しくなる。本音を言えばもう一度2019年のような活躍を見せて欲しいわけだが、しかし年々怪我が増えていることと年齢を考えれば、休ませながらの起用になっていくことは間違いないだろう。

そうなった時、やはりサードをスパンジェンバーグ選手だけに任せてしまうのは少し怖い気もする。外国人選手の場合、活躍しても長年日本でプレーし続けてくれる選手もいれば、日本での活躍をきっかけにメジャー復帰を希望する選手もいる。

スパンジェンバーグ選手は今のところはライオンズ愛を見せてくれているが、しかしもし今季3割30本打つようなことがあれば、メジャーのスカウトマンたちがそれを見過ごすことはしないだろう。

将来的なそのような状況も見据えながら、ライオンズは今新たな三塁手を急ピッチで育てなければならない時期に差し掛かってきている。そしてその候補として今、ブランドン選手がA班でアピールを続けている。

現時点では渡部選手はブランドン選手に大きく遅れをとっているわけだが、ふたりとも焦る必要はない。焦って怪我をしても仕方がないのだから、今は焦らずじっくりプロレベルの体づくりをし、プロレベルの技術を身につけていけば良いと思う。

ふたりとも大卒ルーキーであるため、理想としてはもちろん一年目に1軍デビューを果たし、そこからきっかけを掴んでいってくれれば良いと思うのだが、しかし中村剛也選手だってそう簡単に三塁を明け渡す気はないだろう。

こうしてサードに絞って今年のライオンズを見ているだけでも、渡辺久信GMの補強策は本当に理に適っていて、的確なチーム強化をされているなぁという印象を受ける。

ブランドン選手と渡部選手が加入したことにより、中村選手も大ベテランとして最後の一花をしっかりと咲かせていかなければレギュラーとしてプレーすることはできない。そのような状況を作った渡辺GMの手腕は、本当に流石だなと筆者は頷くばかりなのであった。

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得点圏打率があまりにも低かった山川穂高選手

シーズン終了を間近に控え、山川穂高選手が右足首痛の治療に専念するため登録を抹消された。これで3年連続ホームランキングという夢は完全に潰えてしまったわけだが、しかしなぜ山川選手は今季、ここまでの低成績に苦しむことになったのだろうか。確かに24本塁打という数字だけを見れば、決して悪い成績ではないとも言えるわけだが、しかし得点圏打率は.287で、打率も.205と、4番打者としてはあまりにも物足りない数字となってしまった。

筆者個人としては、山川選手はまだまだ真の4番打者ではないと思っている。やはり真の4番打者に必要なのは得点圏打率の高さだ。例えば昨季、2019年の中村剛也選手の得点圏打率は驚異的とも言える.350という数字で、特に満塁には滅法強かった。そして今季終盤になり4番を打つことが増えた栗山巧選手の得点圏打率は.333。ホームランこそ期待することはできないが、チャンスに強いという意味では栗山選手も立派に4番の役割を果たしている。

今季に関しては、山川選手はシーズン途中から右足首を痛めていたようだが、それも成績に大きな影を落としてしまったのだろう。だがシーズン終了10日前というタイミングでの登録抹消は、もう少し早くても良かったような気もする。早く治して、早く復帰して、最終戦にグラウンドに立てていた方が、山川選手自身の気持ちも違っていたような気もする。だが仮にも4番を打っていた打者を、そう簡単に登録抹消にすることはできないという事情もよく理解することができる。

スカウトマンの精密なデータ分析が山川選手を抑え込んだ

今季は「三冠王打法」に取り組み、今季とは言わないが、将来的には三冠王を目指すためのマイナーチェンジに山川選手は取り組んでいた。これはどんなに成績が下降しても変えないと言い切っていたわけだが、しかし山川選手の成績が向上することは、今季に関しては最後まで見ることはできなかった。しかし筆者は、このマイナーチェンジが成績下降を招いたとは思わない。これは森友哉選手にも同じことが言えるわけだが、ホームランキング、リーディングヒッターのふたりを、他球団がノーマークにするはずはないのだ。

近年のスコアラーのスカウティング能力は、10年前とは比べられないほど精密になっている。もちろんそこにはトラックマンなどのハイテク機器の存在も大きかったわけだが、そのような機器を使いながら、本当に精密なスカウティングリポートを作り上げている。つまりピッチャーに、狙ったところに投げ切る技術さえあれば、ホームランキングもリーディングヒッターもしっかりと抑えることができる、ということになる。

山川選手が今季取り組むべきことは、バッティングフォームのマイナーチェンジではなかったと思う。もちろんそれが必要なかった、というわけではない。しかしそれ以上に必要だったのは、自分自身のデータ分析だったと思う。山川選手自身当然そのようなデータ分析は十分にしたとは思う。だがその分析内容が敵と比べ十分ではなかったから、相手投手にしっかりと抑え込まれてしまった、というのが現実だと言えるのではないだろうか。

ホークス戦はチャンスに強かった山川選手

今季レギュラーシーズンで山川選手が打席に立つことはもうない。だがライオンズが残り試合で2位に浮上することができれば、ホークスとのクライマックスシリーズに出場することはできる。足首痛がどれほど深刻なものだったのかはわからないが、しかし山川選手にはここでシーズンを終えてしまうのではなく、クライマックスシリーズを見据えてしっかりと治療に専念してもらいたい。なぜなら山川選手は、ライオンズには必要不可欠なスラッガーだからだ。

少なくとも10日間は治療に専念するようなので、山川選手はこの期間を使ってもう一度対ホークスのデータを洗い直してみると良いのではないだろうか。ホークス戦に関しての得点圏打率は.385と非常に高いのだが、打率は.210に止まっている。ライオンズがもしクライマックスシリーズに進出することができれば、対ホークスのこの得点圏打率はチームにとって大きなアドバンテージとはるはずだ。

そして上位打線でチャンスメイクをすることができなかった時、4番の山川選手がそこで二塁打を打ってチャンスメイクすることができれば、後続のチャンスに強い栗山選手に繋げていくこともできる。山川選手は山賊打線の中心であるため、やはり森・山川両選手の3・4番コンビが機能していかなければ、ライオンズに勝機は見えてはこないだろう。

昨季は中村選手、今季は栗山選手。山川選手は37歳のこのふたりに4番を任せているようではいけない。だからこそこの10日間を有意義に使い、ホークスとのクライマックスシリーズで4番を打つ前提で調整をしてもらえたら、ファンとしては有終を期待することもできるというものだ。ライオンズはV2を達成しながら2年連続でクライマックスシリーズで敗退し、日本シリーズに駒を進めることができなかった。今季は逆に山川選手の復活により、2位から日本シリーズに進出しようではないか!

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埼玉西武ライオンズのリーグ3連覇のカギを握る男、山川穂高選手は間違いなくその一人として数えられる選手だ。2019年昨季は4番として開幕を迎えるも、シーズン途中でその座は剥奪されてしまった。そして元の持ち主である中村剛也選手の元に戻された。その中村剛也選手は軽度の脚の張りでやや調整が遅れているようだが、しかし2020年の開幕戦、誰が4番の座を射止めるのかはまだ予測できない。

チャンスに滅法弱かった2019年の山川穂高選手

今季の山川選手は広角打法にこだわりを見せている。ステップする際の足の上げ方もやや小さくし、よりタイミングを取りやすいフォームへとマイナーチェンジしたようだ。そしてこの打ち方を2020年は一貫して続けることを明言している。2019年の山川選手の打率は.256だった。ホームランが43本で2年連続キングだったとは言え、.256という数字は主軸としては低過ぎる。

そして打率以上に気になるのが.261という得点圏打率だ。この数字はチャンスに弱いということを表している。一方の中村選手の得点圏打率は.350で、昨季は満塁で圧倒的な強さを見せつけた。山川選手が不動の4番打者になるためには、この得点圏打率を改善する必要がある。昨季120という打点は素晴らしい数字ではあるが、もし得点圏打率が.300程度まで上がっていれば、140打点くらいにはなっていたのではないだろうか。

28歳の山川穂高選手と、36歳になる中村剛也選手

だがこの芳しくない得点圏打率は、山川選手が一流選手だと認められた証であるとも言える。つまり他球団が山川選手を打ち取るために徹底的に研究してきた結果がこの得点圏打率であり、2年連続で本塁打王になった後の2020年は、さらに相手チームのマークは厳しくなるはずだ。そこをどう跳ね返せるかが山川選手がただ長距離砲で終わってしまうのか、それとも真の4番打者へと進化するかの分かれ道となる。

エース対決で勝てる投手をエースと呼び、チャンスでエース級からヒットを打てる打者を4番打者と呼ぶ。長年ライオンズの4番を担ってきた中村剛也選手も36歳となる。そして山川選手は28歳と、野球選手としてはもっと旬な時期にいる。その若き大砲が、36歳の大ベテランに4番を譲るようではいけないし、それではチームも本当の意味で強くなることはできない。山川選手はやはり、中村選手に6~7番を打たせてあげられる数字を叩き出さなければならない。

首位打者、本塁打王、打点王によるクリーンナップ

今年のライオンズはここ数年の中では最も戦力が整っているように見える。先発陣もある程度揃い、ブルペン陣も充実している。層の厚さという意味ではまだ決して厚いとは言えないが、しかし怪我人が続出するような事態にさえならなければ、シーズンを通して安定的な戦いを見せてくれるのではないだろうか。そして山川穂高選手がその中心としてチームを牽引できれば、自ずと3連覇も見えてくるはずだ。

中村剛也選手のように、仮に打率が.286でも得点圏打率が.350であれば十分4番としての重責は担える。山川選手の場合は4番の再奪取を目指すのであれば、得点圏打率.300でも最低限の数字だとしか言えない。だがそんなことは山川選手自身が最もわかっていることであり、筆者が外野からとやかく言う必要もない。だが2020年、筆者は山川選手に関してはホームランの数よりも得点圏打率に注目しながら応援していきたいと思っている。

3番を打つ森友哉捕手の得点圏打率は.411とずば抜けていた。その後を打つであろう山川選手の得点圏打率が.300を超し、仮に5番を満塁男である中村選手が打つようになれば、まさに破壊力抜群の和製クリーンナップが完成する。辻発彦監督はクリーンナップを打線に2つ作るという考え方を持っているため、山川選手と中村選手が並ぶかどうかはまだ何とも言えないが、しかし3番首位打者、4番本塁打王、5番打点王という打線は相手投手から見えれば脅威でしかないはずだ。そんな夢のようなクリーンナップを形成できるのは12球団で唯一ライオンズだけであるからこそ、筆者は開幕戦でそれを見てみたいという希望を抱いている。