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期待したいのは内海哲也兼任コーチと先発左腕4人衆のシナジー

ローテーションに左腕が不可欠な理由

菊池雄星投手がメジャーリーグに移籍して以来、ライオンズの先発左腕不足は深刻だ。今季は浜屋将太投手、佐々木健投手、ダーモディ投手内海哲也投手らに期待が寄せられていたが、この4人で今季挙げた勝利は僅かに2勝だった。

浜屋投手と内海投手が1勝ずつだったわけだが、大ベテランの内海投手を除けば、3人で僅かに1勝だったということが最下位転落の一つの大きな原因だったと言えるだろう。

ではなぜ先発ローテーションに左腕が必要なのか?まず単純に先発左腕の絶対数が少ないため、左腕を打つ練習がしにくく、それにより右投手よりは打ちにくいという考え方がある。

もう一点は、ローテーションに左腕を挟むことにより、相手打線に目を慣れさせないという効果がある。今季ライオンズで先発した左腕で、最も先発登板が多かったのは浜屋投手の8試合だった。ちなみに一番多いのは高橋光成投手の26試合だ。

左腕が先発する試合がこれだけ少ないということは、ローテーションはほとんど右投手ばかりで回ることになる。相手チームからするとこの状況はとても嬉しい。3連戦の先発が3人とも右投手であれば、打者は右投手に対ししっかりと目を慣らすことができる。すると1戦目よりも2戦目、2戦目よりも3戦目で対応しやすくなり、一般的に最も力が劣る三番手投手が相手打線の餌食になりやすいし、この状況がチーム防御率の向上を妨げている。

しかしここで3連戦の2戦目に左腕が入ってくると、相手打線は右投手にも左投手にも目を慣らすことができなくなる。すると一番手よりは多少力が劣る二番手、三番手の投手であっても、試合を組み立てやすくなる。このような効果を得るためにも、ローテーションに左腕を2人入れることが理想なのだ。つまり表ローテに1人、裏ローテにもう1人だ。

ちなみにこれはサブマリンでも効果がある。左腕に加え與座海人投手がローテーションに食い込むことができれば、これも打者に目を慣れさせないためには効果が大きい。例えば黄金時代のローテーションに左腕の工藤公康投手と、アンダーハンドスローの松沼博久投手がいたように。

左腕を集めるだけではなく、左腕を育てる環境も整った

今季のドラフト以外での新戦力の補強に関しては、どちらかと言えば失敗だった。ダーモディ投手、吉川光夫投手は共に戦力になることができなかった。途中日本ハムから加入した公文克彦投手はリリーバーとしてまずまずの数字を残してくれたが、ライオンズでは最後の2ヵ月で14試合にしか投げられなかった。だが11回1/3を投げて失点は僅かに1点とナイスリリーフを見せてくれたため、来季には大きな期待を寄せられそうだ。小川龍也投手が意外と早く戦力外になったのも、この公文投手の活躍が無関係ではなかったはずだ。

さて、話を先発左腕に戻すと、このオフはまずドラフトで隅田知一郎投手と佐藤隼輔投手という二人の先発タイプの左腕を獲得した。そしてさらにはハングリー精神に燃えたぎるエンス投手も獲得した。兼任コーチの内海投手を除けば、浜屋投手と佐々木投手に加え、5人の先発ができる左腕が集まったことになる。

ドラフトで隅田投手と佐藤投手を指名したことにより、浜屋投手と佐々木投手の尻にも火が着いたのではないだろうか。この二人の更なる飛躍も来季は期待できそうな気がする。

しかしもちろん、ただ先発左腕を5人集めるだけでは仕方がない。彼らを如何にして競争させ、如何にして伸ばしていくかが課題だ。そこで登場するのが内海哲也兼任コーチというわけだ。内海兼任コーチは来季は1・2軍の垣根なく、臨機応変に若手投手たちの指導に当たるようだ。

渡辺久信GMの手腕は本当に鮮やかだ。補強の成否は当然出てくるとしても、補強の仕方が理に適っていて、ファンが見ていても納得できる補強策を当ててくることが多い。今回も左腕を集めるだけではなく、その左腕を上手く育て上げる状況まで作るという念の入れようだった。

期待したいのは内海兼任コーチと左腕四人衆とのシナジー

ところで、筆者には一つ解せないことがある。それは清川栄治コーチの存在だ。もちろん左腕を育成したいという意味も込めての清川コーチの続投なのだろうが、これまで清川コーチのコーチングスキルによる実績が、ライオンズファンまでほとんど届いて来ないのだ。もちろん筆者が気付いていないだけなのかもしれないが、監督コーチを育成しようとしている今、ファームに60歳の清川コーチを配置し続ける必要性があまり感じられない。

清川コーチは以前、なかなか開花しない中崎雄太投手を大きなクロスステップによるサイドハンドスローに転向させたのだが、その後中崎投手は肩か肘を悪化させてしまうという出来事があった。この一件以来、なぜ清川コーチが2014年以降ライオンズでコーチを続けているのかが筆者にはどうしても解せないのだ。

恐らくは筆者が知らない何かコーチとしての功績があるのだろうが、もしどなたかご存知であればそれを筆者にご指南にただければ幸いです。

清川コーチよりも若手を育てるのに適任のコーチは他にもいると思う。例えば菊池雄星投手を開花させた理論派の土肥義弘コーチなどは、選手に寄り添って対話をしながらコーチングできる有能なコーチだったと思う。

だが土肥コーチに関しては2020年、ライオンズとパートナーシップを結んでいるニューヨークメッツに編成部門スタッフとして研修派遣されたところを見ると、今後は渡辺久信GMの補佐的存在になっていくのかもしれない。確かな理論を持つ良いコーチだと思っていただけに、筆者個人としてはもう少し土肥コーチにはユニフォームを着ていてもらいたかった。

だが来季は内海哲也兼任コーチの存在がある。内海兼任コーチには、もちろんまずは選手として戦力になってもらいたいわけだが、しかし百戦錬磨の経験値をライオンズの若き左腕たちにどんどん注入してもらいたいというのも本音だ。来季は内海兼任コーチの選手・コーチとしての活躍により、ライオンズの若き先発左腕たちは大いに飛躍していくだろう。

近年は左腕不足に苦しみ続けたライオンズだが、来季は逆に他球団も羨む左腕王国になっているのではないだろうか。そしてそれを可能にするのは浜屋投手・佐々木投手・隅田投手・佐藤投手という若き先発左腕4人衆と、内海哲也兼任コーチとのシナジー効果に筆者は大きな期待を寄せている。

内海哲也

メンターとしての役割が評価された内海哲也投手

今季も先発サウスポー不足に泣かされたライオンズだったが、ドラフト会議では将来を嘱望されるサウスポー投手たちを獲得することができた。反面ベテラン左腕たちには厳しい秋となってしまった。

内海哲也投手に関しては1軍では2試合で1勝という成績に終わったものの、野球に取り組む姿勢や、若手選手たちへの積極的な助言が渡辺久信GMの高評価に繋がり、2022年の来季はコーチ兼任での現役続行となった。

今季は内海投手の助言を受けた渡邉勇太朗投手が4勝4敗、防御率3.44という来季に繋がる結果を残すことができた。内海投手自身が挙げた1勝という数字以上に、このようにチームに与える好影響が大きかったわけだ。

ちなみに内海投手はファームでは14試合に投げて5勝2敗、3.26という成績を残している。今季期待されていた先発左腕たちが軒並み低空飛行を続けていた中で、もう少し1軍で投げさせてあげても良かったのではないか、という印象だった。

先発左腕として優勝に貢献してくれた榎田大樹投手は戦力外

続いて、優勝した2018年は11勝を挙げて大きな貢献をした榎田大樹投手だが、今季はファームで13試合に投げて1勝1敗、1.83とうい成績だったのだが、1軍に上がることは一度もなかった。11勝を挙げた後は年々成績が下がっており、1軍で先発となると状況的にはかなり厳しかったのだろう。ファームでも長いイニングを任されることはなかった。

数字的にも、今季35歳という年齢的にも、榎田投手に1軍で先発をさせるなら若手左腕を先発マウンドに上げた方がチーム力の底上げに繋がるという考え方は、至極当然だったと思う。

榎田投手はおそらくはトライアウトに参加すると思うのだが、体が元気であれば獲得する球団も出てくるかもしれない。だが近年の数字と年齢を踏まえると、よほどアピールできなければ、例えトライアウトでヒットを打たれなかったとしても来季NPBに残れるかどうかは微妙なところかもしれない。

30歳とまだ若い小川龍也投手も戦力外

先発投手ではないものの、小川龍也投手も連覇をした2年はリリーバーとして貢献してくれたのだが、この秋やはり戦力外通告を受けてしまった。手術明けの今季は奮わなかったものの、昨季2020年は38試合に投げて防御率2.10と、数字的にはまずまずの成績を残した。

しかし左投手であるにもかかわらず左打者への四球が多く、WHIPも1.40と走者を背負うことが多かった。接戦を物にしていくためには、WHIPの数値が良くないリリーバーを起用することはできない。

渡辺GMは情に流されることなく小川投手を戦力外としたわけだが、30歳と年齢的には比較的若いため、筆者は今オフのリリースはないのではないかとも思っていたのだが、比較的早い時期での戦力外通告だったことを考えると、もうシーズン後半に入った時点で渡辺GMの腹は決まっていたのかもしれない。

僅か1年で戦力外となってしまった吉川光夫投手

今季はベテラン左腕として先発・リリーフとフル回転を期待されてライオンズ入りした吉川光夫投手も戦力外となった。開幕はリリーバーとして迎えたわけだが、4試合目の登板で1イニング8失点という失態を見せてしまった。その2日後は1イニングを無失点で抑えたのだが、その直後に2軍に降格すると、その後1軍から声がかかることはなかった。

吉川投手にはもう少し経験を生かしたピッチングを披露してもらいたかったわけだが、30代に突入してからの数字は年々悪化するばかりとなってしまった。今季のWHIPは3.23という数字で、1イニングに平均3人以上走者を出されてしまっては、さすがに1軍で投げさせることは難しい。

ちなみにファームでも19試合で0勝6敗、5.69という成績だったため、僅か1年での戦力外通告も不思議ではなかった。吉川投手も、もう少し若手に経験を伝えるなどの貢献のしかたもあったと思うのだが、しかしチームに馴染む前にシーズンを終えてしまったような印象で、内海投手のようなメンターとしての役割もほとんど務められなかったようだ。

まだまだ老け込むには早すぎる来季40歳の内海哲也投手

コロナウィルスの影響もあり、この2シーズンは先発投手がなかなか球数を増やせない状況が続いている。ライオンズもかなり早い継投策を見せることが多かったわけだが、そう考えると内海投手にはもう少し1軍での登板機会を与えてあげても良かったように思える。

ただ、こればかりは巡り合わせもあるため何とも言えないところだ。仮にファームで内海投手の状態がすごく良かったとしても、1軍にローテーションの谷間が出てこない限りは登板機会には恵まれない。

内海投手は来季は40歳を迎えるわけだが、しかし40代でも活躍し続けた投手は何人もいる。工藤公康投手、山本昌投手ら。内海投手は現在135勝と、彼らのように名球会入りは現実的ではないわけだが、しかし1軍で15試合ほどの先発機会を与えられれば、5〜6勝は挙げてくれるのではないだろうか。

それこそショートスターターとして、2〜3イニングスだけを任せるという起用法だって良いと思う。内海投手の経験値は2軍に置いておくだけではもったいない。ライオンズは1軍にも育ち盛りの先発投手たちがいる。彼らがさらに飛躍していくためにも、ぜひ内海投手をもう少し長く1軍に置いてあげて欲しい。

来季は西武3年目となる内海投手であるわけだが、渡辺GMには内海投手を簡単にリリースしないように期待したい。渡辺GMは選手やコーチの人望をすごく大切にする人物だ。だからこそFA補償で内海投手を獲得し、今オフは平石洋介コーチの招聘も実現させた。

エースを生み出すために必要な内海投手の1軍での存在感

優勝するためには若手とベテランのバランスが非常に重要だ。打撃陣に関しては栗山巧選手中村剛也選手という絶対的な存在がある。だが投手陣に関しては影響力のあるベテランが1軍には不在だ。

年齢的には増田達至投手が来季33歳とベテランの域に入っていくわけだが、しかし増田投手はまだまだ主戦投手を務めるべき立場であり、来季に関しては復調すべく、自分のことだけで手一杯にもなってしまうだろう。

そんな中内海投手が1軍で投手陣をまとめてくれるのが理想的だ。例えば2008年の江藤智選手のように。この時は、江藤選手のサポートにより中村剛也選手が一流の打者へと進化していった。

ライオンズの先発陣には現状では一流と呼べる選手はまだいない。ここから一流のエースピッチャーを誕生させていくためにも、内海投手には1軍で存在感を示してもらい、コーチにはできない役割を果たしてもらいたい。

内海投手の存在を1軍でもっと生かせるようになれば、チーム防御率最下位という指定席からも来季は抜け出せるのではないだろうか。松坂大輔投手が引退した今、エース道を後進に伝えられるのは内海哲也投手だけなのだ。

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まだ年齢を言い訳にはできない39歳になる内海哲也投手

2019年からライオンズに加入した内海哲也投手。ライオンズ2年目となった昨シーズン終盤にライオンズでの初勝利を挙げて、本人もようやくチームの一員になれたと実感したようだ。その内海投手だが、過去2年間のライオンズでのピッチングは決して満足いくものではなかった。

ライオンズに移籍して早々に左前腕痛が再発してしまい、2019年は1軍に昇格することさえ叶わなかった。だが2021年、今年は体の状態が非常に良さそうだ。内海投手自身も今季に対して久しぶりのコンディションの良さを感じているようだ。

内海投手は今季39歳になるわけだが、2学年上のホークス和田毅投手が1軍で活躍し続けている姿を見るならば、年齢を言い訳にすることはできない。39歳には、39歳なりのピッチングがあるわけで、どうやら今季はその円熟味を帯びたピッチングを見せてくれることになりそうだ。

2021年の内海投手の生命線になりそうな球種

内海投手はライオンズに加入した2019年から本格的にカットボールを投げ始めたのだが、このボールの精度が上がってきているようだ。全盛期からすでに多彩な変化球を投げていた内海投手だが、ここにカットボールが加わって来れば投球の幅がさらに広がることになる。

全盛期はさまざまな球種を駆使して最多奪三振のタイトルも獲ったことがあるわけだが、しかし39歳となっていく今、全盛期のように多くの球数を使って三振を狙っていくわけにはいかない。とにかく少ない球数でより多くのアウトを取っていかなければ、ベテラン投手では結果を残すことはできない。

そう考えた時、1球で内野ゴロを打たせることができるカットボールは大きな武器となるはずだ。特に右打者の内角に食い込んでいく左投手のカットボールは、強振してくるバッターが多いパ・リーグでは非常に有効なボールになるだろう。

セ・リーグの場合はしっかりと見極めてくるバッターが多いため、内海投手の現在の球威で右打者の内角へ食い込ませていこうとしても、追い込まれるまではバッターも見逃すことが多く、ストライクからボールゾーンに食い込ませてもボールカウントを増やしてしまうケースが多くなる。

だがパ・リーグのバッターはストライクゾーンのボールに関しては早いカウントから積極的に振ってくる。追い込まれるまではボールをしっかり見るセ・リーグの打者に対し、追い込まれるまではどんどん強振してくるのがパ・リーグのバッターだ。

早いカウントから振ってくるパ・リーグのバッターの傾向を上手く利用していくためにも、右打者の内角の打てそうに見えるところにカットボールを投げて、微妙に芯を外させるピッチングは、今季の内海投手の生命線になっていくのではないだろうか。

今季ライオンズ浮上の限りを握るダークホースになり得る内海哲也投手

内海投手はもともとツーシームは投げていた。ここにカットボールが加わって来れば、打者からすると同じ球速で食い込んでくるのか、逃げていくのかが予想できなくなる。球数を減らしてより長いイニングを投げると考えた時、内海投手の場合はもうフォーシームストレートは投げずに、ツーシームとカットボールのコンビネーションだけでもいいのではないだろうか。

全盛期の内海投手なら通用していたフォーシームも、39歳となる今はもう勝負球として使うのは難しい。下手にストレート勝負を挑んでも返り討ちに遭うだけだろう。それならば「フォーシームは投げない」とは口にすることなく、フォーシームは投げないという戦略が今後は効果的になっていくはずだ。

140kmそこそこのボールを手元で動かしてバットの芯を外し球数を減らすというテクニックは、今内海投手と松坂大輔投手に最も求められている技術だ。そして内海投手も松坂投手もツーシームとカットボールの両方を投げることができる。体の状態さえ良ければ、このふたつのムーヴィング・ファスト・ボールを使って内海投手は10勝近く挙げてくれるのではないだろうか。

首脳陣が内海投手に求めている星勘定はそれほど多くはないはずだが、しかしその内海投手が10勝近く勝ったとしたら、昨季は5割しか勝つことができなかったライオンズの勝率はかなり上がっていくことになるだろう。

そういう意味では今季のライオンズ浮上の鍵を握るダークホースは、内海哲也投手だと言えるのかもしれない。