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西武打線vs山本由伸

来季開幕直後は山本由伸投手との対戦が続くライオンズ

どうやら2022年の5月まで、ライオンズの週末はバファローズ戦が多くなるようだ。これはつまり週末は頻繁に山本由伸投手と対戦しなければならないことを意味している。しょっちゅう沢村賞投手と対戦しなければならないと考えるだけでも、来季の開幕後しばらくはライオンズにとってタフなゲームが続くことがよく分かる。

一見するとこれは「ライオンズ打線」にとって苦しいことだと思いがちだ。だが週末にバファローズ戦が続くことにより最も辛くなるのは打線ではなく、髙橋光成投手だ。仮に今季チーム最多勝利の高橋投手が2年連続で開幕投手を務めるのであれば、髙橋投手は頻繁に山本由伸投手と投げ合わなければならなくなる。

現状の実力差で言えば、山本投手の方が圧倒的に上だと言えるだろう。防御率を見ると髙橋投手は9回を投げれば4点近く点を取られるわけだが、山本投手は2点取られることがない。高橋投手が今オフによほどレベルアップするか、山本投手が調子を落とさない限りは、対戦が続けば髙橋投手が星を落とすことが多くなってしまうだろう。

今季は11勝を挙げた高橋投手だったわけだが、山本投手との対戦が続けば来季は二桁勝てるかも微妙になってくる。高橋投手としては、防御率2.00未満の数字を維持しなければ、山本投手と互角に投げ合うことはできない。これまで4点前後の防御率しか記録したことがない高橋投手にとっては、仮に来季も開幕投手になるとすれば非常にタフなシーズンとなるだろう。

今山本由伸投手と互角に渡り合えるのは今井達也投手

だが来季の開幕も高橋投手になるとは限らない。今井達也投手松本航投手だって開幕投手の座を狙ってくるはずだ。

今井投手の場合、オープン戦で与四球率が向上すれば開幕投手のチャンスは十分にあるだろう。今井投手は与四球の多さからWHIPの数値が1.40と芳しくない数字になっているのだが、今季5.63だった与四球率を3点台まで向上させられれば自ずと失点も減っていき、今季3.30だった防御率も簡単に2点台になって行くだろう。

それにしてもWHIPが1.40で防御率が3.30とは、今井投手がいかにして粘りのピッチングを見せていたかがよく分かる。通常これだけのWHIPであれば、防御率は4点前後でも不思議はない。
※ WHIPとは、1イニングに平均何人の走者を出しているのかという数値

WHIPに関しては高橋投手は1.26、松本投手が1.34だ。WHIPに関しては二人とも今井投手よりも良い数値を残しているのだが、しかし防御率に関しては高橋投手が3.78で、松本投手が3.79と、今井投手よりもかなり下回る数字となっている。

こうして考えて行くと与四球率さえ向上させられれば、来季の開幕投手は今井投手を据えるのが現状ではベストなのではないだろうか。与四球率の数字の悪さに関しては今井投手自身よく分かっており、インタビューでもこの数字を改善することを来季のテーマとして語っている。

2022年の開幕投手に今一番相応しいのは今井達也投手

非打率に関しても実は3人の中では今井投手が最も良い.220という数字を残している。そしてバファローズ戦の防御率が一番良いのも唯一2点台の2.91である今井投手だ。バファローズ戦は2勝5敗ではあるのだが、2.91という対戦防御率を見る限り崩れて負けているというわけではなく、援護が少なく敗戦投手になっていることが多かった。

こうした数字を見ていく限り、バファローズ戦が多くなる来季序盤の週末は、今井投手を開幕投手に据えて乗り切るのが最善ではないだろうか。そして今井投手を毎週末山本投手と投げ合わせれば、今井投手自身の殻を破るチャンスにもなって行くだろう。ライバルが強敵であるほど自分自身も向上していける。

今季の開幕投手は高橋投手が務めたわけだが、数字を追って行くとまだ高橋投手をエースと呼ぶことはできない。二桁勝利もまだ二度だけで、10勝、11勝止まりで防御率も芳しくはない。つまり高橋投手もまだまだ発展途上という段階で、三本柱の絶対的支というわけではない。

つまり表ローテの一番手をいつ今井投手に奪われても不思議ではないというのが現状だ。そして上述したように、バファローズ戦での数字を見る限りでは現時点で最も山本投手と五分近くで戦えそうなのが今井投手だ。

ライオンズの三本柱の中で、今後最もエースらしい数字を出していきそうなのも今井投手だと筆者は見ている。もちろん3人ともこれからますます伸びて行くわけだが、その中でも筆者は特に今井投手のピッチャーとしての資質に注目している。

ダルビッシュ投手を参考にしたというフォームも、徐々に自分のものになりつつある。こうしてフォームが固まってくれば、来季は自ずと与四球率も向上して行くはずだ。

もちろんオープン戦を見てみない限りは正確なことは何も語れないわけだが、しかし現状の数値や成長具合で見て行くのならば、2022年の開幕投手は今井投手が最も相応しいと筆者は考えている。

昨年8勝だった山本投手が最下位のチームを優勝に導いたように、来季は今季8勝だった今井投手がライオンズを底辺から天辺に引き上げてくれるはずだ(今井投手と山本投手は同学年の高卒プロ入り投手)。そして今井投手のポテンシャルであればそれが十分に可能であると、筆者はすでに確信しているのである。

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1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
西武 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 5 2
日本ハム 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 7 1

【継投】
今井達也〜伊藤翔〜吉川光夫〜Hギャレット〜H平良海馬〜増田達至

【ホームラン】
呉念庭(1号)

観衆:12,083人、試合時間:3時間38分

5回、奪三振8、四死球7という今季初登板の今井達也投手

開幕5戦目の先発マウンドに登ったのは今井達也投手だった。結果としては5イニングスで117球を投げて被安打2、奪三振8、四死球7、失点0という内容で、引き分けのため勝ち負けこそ付かなかったが、とりあえず5回無失点というある程度の結果は見せてくれた。

立ち上がりから二者連続で四球を出したり、5回には四死球で満塁のピンチを作ったりと、かなりヒヤヒヤさせられる内容ではあったが、今季初登板ということを考えれば、この試合はこれで良かったのではないだろうか。制球を気にするあまりにこじんまりとしたピッチング内容になってしまうよりは、三振か四球かという思い切った結果の方が、少なくとも今井投手の「らしさ」を出すことはできると思う。

球質としては、低めのボールはシュート回転が多く、高めのボールは僅かにスライダー回転しているようにも見えた。これはやはり今日が今井投手の開幕日ということで、力みがあったせいだろう。この力みのせいでリリースポイントが前後にずれてしまい、ストレートにわずかな横回転が加わっているように見えた。

しかし今井投手のこれまでの実績や経験値を踏まえて考えればまだ、開幕日に力むなという方が酷だろう。この試合ではとりあえず無失点に抑え、しかも5回で8奪三振を取ったという結果に自信を持てば良いと思う。6四球出してしまったことよりも、まずは8三振奪ったことを自信としていった方が、2戦目以降のピッチングにも繋がっていくはずだ。

今井投手にも効果的だと思われるデニー友利投手を覚醒させた手法

ピッチングを見ていれば専門家じゃなくても分かるように、現状の今井投手にはまだ、制球力で勝負できるだけの制球力はない。そのため今は、例えば若き日の石井一久投手のように、制球力に安定感はないけど三振の奪り方を心得ている、という道をまずは歩いていけば良いのではないだろうか。

確かに球数は5イニングスで117球と非常に多くなり、どうしてもリリーバーに頼らざるを得なくなってしまうが、しかし先発五番手という今の立場を考えれば、無理をして常時完投を目指す必要はない。今はまだリリーバー達の力を借りながら、少しずつ完投できる投手に進化していけば良いのではないだろうか。今下手に完投を意識して、球数を減らすためにコースを狙い過ぎてしまうと、球威という魅力が大幅に低下してしまう。

今井投手のストレートは、中田翔選手でさえも空振りしてしまうほどの球威があるのだ。今はこの球威を殺してしまうようなアプローチは避けるべきだ。制球力が不安定ならば、それを逆手に取れば良い。

例えばかつて制球難でベイスターズの2軍で燻っていたデニー友利投手は、ライオンズに移籍してからはブルペンには欠かせない名セットアッパーとして活躍した。だがライオンズに来て急に制球力が安定したわけではない。当時の東尾監督は「ど真ん中を狙って投げていれば、自然と良いコースにボールが散らばってくれる」とデニー投手に話し、制球力の悪さを逆に利用する形でデニー投手を1軍の主戦投手へと成長させた。

今井投手もそれで良いのではないだろうか。制球力が安定している日は別として、この試合のように四球を連発してしまうような日は、その制球力の悪さを逆に利用してしまえば良い。森友哉捕手もそのあたりのことを意識しながらリードしていけば、苦しい状況でも必要以上に配球に悩まずに済むはずだ。

スライダーを投げる際の2種類のキャッチャーミットの場所

例えばスライダーの要求のしかたには2つのパターンがあり、どちらのパターンが良いのかはピッチャーによって異なる。1つ目はスライダーが曲がった先にキャッチャーミットを構える受け方、そして2つ目はスライダーが曲がるポイントにキャッチャーミットを構える受け方だ。今井投手のように制球がアバウトなピッチャーの場合は、後者の受け方に変えてあげることで四球を減らせるケースが多い。

つまり森捕手はキャッチャーミットをど真ん中に構えて、今井投手はスライダーの握りでストレートをど真ん中に決めるつもりで投げるのだ。そうすると程よく真ん中から外角低めにスライダーが決まりやすくなり、下手に始めから外角低めを意識して投げるよりも、バッターが手を出してくれやすいコースにスライダーを曲げていきやすくなる。

今井投手と森捕手は、あらかじめこの2つのスライダーの投げ方を相談しておくべきだろう。制球力が安定している時は、もちろん始めから外角低めを狙ってスライダーを投げ切れた方が配球の質を高めることはできる。だが制球力がどうにも安定しない時にこれをやっても無駄に四球を増やすばかりだ。今日の試合のように四球で走者を溜めても切り抜けられれば良いのだが、いつもこの試合のように行くとは限らない。

制球力が不安定の日の対処法としてこのような引き出しを持っておけば、今井投手も昨季のように独り相撲で試合を壊してしまうことも減るだろう。今井投手にはやはり、師と仰ぐダルビッシュ投手の次元へと少しでも近づいていってほしい。そしてそこを目指せるだけのポテンシャルは十分に持っているのだ。あとは経験を積み、もっと自分のボールに自信を持ち、上手くいかない日の対処法をあらかじめ増やしておくことができれば、先発の五番手に甘んじているようなレベルのピッチャーではない。

一週間後はメットライフドームにイーグルスを迎えての先発マウンドとなることが濃厚だ。今井投手としてもやはり、札幌ドームよりもメットライフドームで投げられた方がリラックスできるはずだし、良いピッチングを見せやすいはずだ。今日の内容は今日の内容として自信を持ち、まずはその自信を次戦に繋げられるように筆者は、今井投手にはさらなる期待を寄せていきたい。

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1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
阪神 1 2 0 0 1 1 0 0 0 5 5 1
西武 0 0 0 0 0 1 0 0 1 2 10 1

【継投】
今井達也〜井上広輝〜吉川光夫〜宮川哲〜増田達至

【ホームラン】
ブランドン(2号)

今井達也投手vs佐藤輝明選手1打席目

メットライフドームで行われた今日のタイガース戦、先発マウンドに登ったのは開幕5戦目の先発が濃厚となっている今井達也投手だった。オープン戦最後のマウンドとなるため、何としてもシーズンにつながる良いピッチングを見せたいところだったが、立ち上がりに初回、2回と連続して点を失ってしまった。しかし3回以降は立ち直り、四球を出しながらも3〜4回に関しては要所を抑えることはできた。だが5回には9番打者に被弾してしまう。

さて、今日は注目のタイガースのルーキー佐藤輝明選手と今井投手の対戦を振り返ってみたい。まず右中間にホームランを打たれた1打席目だが、西武バッテリーとしては初球のカーブが高めに抜けてボールになってしまったのが痛かった。この1球により配球を組み立て直さなければならなくなり、それをしようとしている間に甘いボールを持っていかれた、という形の結果になってしまった。

2球目のシンカー系のボールは外角低めいっぱいの非常に良いコースに決まり空振りを取ることができた。これでカウントは1-1という平行カウントになるのだが、西武バッテリーとしては最終的には外角低めで勝負をしに行きたかったのだと思う。その伏線として3球目は外角にストレートを投げていくのだが、これがやや甘くなり、真ん中とまでは行かないが失投となってしまい、右中間スタンドに運ばれてしまった。

これがもし、初球のカーブがしっかりと低めに決まっていたら違う結果になっていたと思うのだが、バッテリー側からすると、この初球の入り方を失敗してしまったことにより、好打者を上手く攻め切ることができなかった。

今井達也投手vs佐藤輝明選手2打席目

セカンドゴロに打ち取った2打席目は、初球と2球目で外角にストレートを見せてカウントを1-1とした。そして3球目はまたシンカー系のボールを投げたわけだが、これがど真ん中に入ってしまう。ややタイミングが外れた分セカンドゴロで済んだのだが、2打席連発となっていても不思議ではないほど甘いボールだった。

これまでのオープン戦を見ていくと、佐藤選手は内角も上手く捌けるという姿を見せている。そのためバッテリーとしては内角を攻めにくくもなるのだが、しかし今日の西武バッテリーのように真ん中〜外角一辺倒の配球では好打者を抑えることはできない。

右投手が左打者の内角にストレートを投げようとすると、力んでシュート回転して甘く入ってしまうことも多い。だがストレートではなく、カッターを内角の真ん中よりも低めのエリアに投げることができれば、そこは左打者の泣きどころとなる。好打者を抑えるためには、西武投手陣がどれだけ内角に食い込んでいくボールを投げられるかが鍵となってくるのだろう。

ちなみに9番板山選手に打たれたホームランは、ストレートが真ん中やや高めの非常に甘いコースに入った失投だった。今日の今井投手は、調子が悪いなりにしっかりと試合を組み立てることはできた、という点では昨年以上に成長した姿を見せられたと思う。確かに4失点(自責3)というのは多いわけだが、昨季のようにズルズルと引きずりビッグイニングを作ることはなくなったため、裏ローテの2番手として投げてもらうには十分の状態ではあると思う。

ただし今井投手が目指すレベルはそのような低いところではないはずだ。本来であれば開幕投手争いにも加わっていなければならない投手なのだから、開幕こそ先発5番手として迎えるにしても、交流戦明けには上位チームに合わせて先発を回してもらえる立場になっていなければならない。

オープン戦で試される好打者への配球

今日の今井投手は結果的には5イニングスを投げて球数97球、被安打3、失点4、自責3という内容だった。決して素晴らしい内容というわけではなかったが、先発としてしっかりと試合を作ったという点では評価できると思う。あとは開幕5戦目までにここまでの疲労をしっかりと抜き、もう一度コンディションを整えていけば、開幕5戦目のファイターズ戦は万全の状態でマウンドに登ることができるだろう。

ちなみに最後に付け加えておくと、オープン戦というのは相手チームの要注意人物にわざと打たせるケースが多々ある。ライオンズがタイガースの佐藤選手にそれをしたかどうかは定かではないが、しかし得意なコースをハッキリさせるために、わざと佐藤選手が手を出しやすいところに投げさせた、ということも考えられる。

「この人が打てばチームやスタンドが盛り上がる」という選手が相手チームにいる場合、とにかくその選手を乗せないということが重要だ。オープ戦で手を出しやすいコース、得意なコースをしっかりと見極めることができれば、レギュラーシーズンではそのコースに投げることは全投手で避けていくようになり、オープン戦以上に死球を厭わず内角に投げ込まれるようになる。

そういう意味ではタイガースの佐藤選手がレギュラーシーズンでも同じペースで打てるとは思えないが、しかしそのような対策が練られているということは、佐藤選手がそれだけ素晴らしいバッターであるという証だ。筆者が次佐藤選手を目にするのは交流戦になるわけだが、それまでに佐藤選手がどれだけ活躍していくのか、というところは少し気になる。

だがそれ以上に気になるのはここから開幕に向けてコンディションを整えた今井投手が、札幌ドームでのファイターズ戦でどれだけ力強いピッチングを魅せてくれるのかということだ。それこそ今井投手が師事するダルビッシュ有投手のような、圧倒的なピッチングパフォーマンスを披露してもらいたい。そしてそれを札幌ドームで見せることができれば、オフに今井投手にアドバイスを送ってくれたダルビッシュ投手にとっても嬉しいニュースとなるはずだ。

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オープン戦が始まり、ライオンズの若き先発陣を見ていて思うことがある。それはボール以上に、自らのメンタルを上手くコントロールできていないように見える、という点だ。かつてヤンキース往年の名捕手ヨギ・ベラは言った。「野球は90%がメンタルで決まり、残りの半分がフィジカルだ」と。この言葉は未だに野球界で語り継がれているアフォリズムのひとつだ。

10年ほど前だろうか。実はライオンズにもメンタルトレーナーが在籍していたことがあった。筆者自身、そのメンタルトレーナーがライオンズを去ったのちにその方と数回お話をさせていただく機会があった。果たして現時点でライオンズにメンタルトレーナーは在籍しているのだろうか。もし在籍しているのであれば、あまり効果が表れていないように感じられるし、在籍していないのであればすぐにでも雇うべきだ。

ちなみにメジャーリーグの場合は各球団にメンタルコンサルタントという役職の専門家が在籍している。つまりアメリカでは、日本以上にメンタルを重視した野球をしているということだ。しかし日本は未だに「根性論」が根強く残っている割には、メンタルトレーニングを疎かにしているケースがほとんどだ。これはプロでもアマチュアでも同様だろう。

今ライオンズに必要な補強はメンタルコンサルタントかもしれない

今季ローテーションの軸として期待されている松本航投手今井達也投手浜屋将太投手らは皆素晴らしい能力を持っている。普通に実力を発揮できれば全員が二桁勝利を目指せるようなレベルだ。だがその肝心の実力を発揮できる確率がなかなか上がって来ない。3人とも調子が良い時は素晴らしいのだが、その良さがなかなか続かない。

これはもちろんフィジカルの疲労度なども影響してくるわけだが、それ以上にメンタルが影響していると考えられる。オープン戦での上記3投手を見ていると、「ローテーションに加わらなければならない」「結果を残さなければならない」「試合を組み立てなければならない」というように、「〜しなければならない」と考えながら投げているようにしか筆者の目には映らない。だがこの考え方はスポーツメンタルを強化するためにはタブーとなる。

そしてもう一つ思うのが、3人とも集中力が欠けているように見えるのだ。と言ってももちろん、小さな子どものように注意力が散漫になっているという類のものではない。あくまでもスポーツメンタルという意味に於いて集中力を欠いているように見えるのだ。

ではプロ野球選手に必要な集中力とは?ここではハービー・ドーフマン氏の言葉を引用したい。ドーフマン氏は現在は辣腕エージェントであるスコット・ボラス氏のクライアントらをサポートしているメンタルコンサルタントで、それ以前はアスレティックスやマーリンズでメンタルコンサルタントを務めていた。その彼曰く「選手がメンタルな鍛錬を築くことができるようサポートし、次の1球に集中するタスク限定型のアプローチに取り組ませる」ことが、彼が選手たちの集中力を高めるために行なっていることだと言う。

そしてさらに、エンゼルスなどでメンタルコンサルタントを務めているケン・ラビザ氏も「マイナーリーグにも、余計なことに気を紛らわされずにプレーできれば、メジャーでプレーできる選手は大勢いる。故にメンタルスキルトレーニングの最重要テーマは、日々、タスクを限定し如何に1球1球に集中してプレーすべきかを学ぶこと」と語っている。

だがライオンズの若き先発陣はどうだろうか。マウンド捌きを見ていると、あれもこれもやろうとしていてバッターとの勝負の前に、自分自身との勝負に手こずっているように筆者の目には映っている。野球はプロセスが非常に重要なスポーツだ。だがこのプロセスとは、目指している明確な結果があるからこそプロセスとして機能していく。だがライオンズの若き先発陣は時々、目指したい結果の形が有耶無耶な状態で、プロセスだけを良くしようとしているように見えるのだ。言い換えれば、目的地がないのに地図を眺めていても仕方がない、ということだ。

メンタル強化すれば二桁勝利できる投手が豊富なライオンズ

野球のフィジカルスキルに関しては、チームの投手コーチに相談をすればほとんどのことは解決法を見出せるはずだ。だがメンタルに関しては監督やコーチは専門外であり、メンタルスキルトレーニングの方法を選手たちに指導することはできない。そのため若き選手たちは、タスク限定型の取り組み方が必要であるという結論まで辿り着けずにいる。

オープン戦に入ってからまだローテーションが内定するようなピッチングを見せられていない投手たちに足りないのは、フィジカルでの技術ではないと思う。もちろんフィジカルももっともっと上のレベルを目指せると思うが、しかし開幕までにいきなりそこに辿り着くことは難しい。だがメンタルスキルであれば、今まではメンタルスキルの基礎が身に付いていなかった分、開幕までの期間で基礎を身につけるだけでもパフォーマンスが変わっていくはずだ。なぜならば、野球は90%がメンタルのスポーツだからだ。

ライオンズの若き先発陣は、すでに二桁勝利を目指せるだけのフィジカルは備わっている。あとはタスク限定型の取り組み方をマウンドでできるようになれば、実際すぐにでも二桁勝利を挙げられるようになるだろう。そしてメンタルという意味では現在、髙橋光成投手が一歩リードしている。髙橋投手は昨年から上手くメンタルを制御できるようになり、調子が悪くても冷静さを失わず、どうすればアウトカウントを増やせるのかと、ある程度タスクを限定できるようになってきていると思う。だからこそ開幕投手に選ばれたのだ。

理想を言えば髙橋投手、松本投手、今井投手、浜屋投手の若き先発カルテットで50勝以上を挙げることだろう。そして残りの30勝を他の先発陣やリリーバーで稼いでいくことができれば、ホークスとも互角以上の戦いができるはずだ。だがそのためにも若き先発陣はフィジカル以上に、今はメンタルを一段も二段もレベルアップさせていく必要があると、筆者はオープン戦を見ながら感じたのである。

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そろそろ本気で開幕投手を狙いたい今井達也投手

今井達也投手の今季にかける思いは今まで以上に強いように感じられる。ライオンズファンの多くが知っているように、昨季から今井投手はダルビッシュ有投手のフォームを参考にして動作改良を行なってきた。昨季はそのフォームがまだ馴染まずに制球を乱してしまう場面も多かったわけだが、今季はそのような場面は大幅に減るのではないだろうか。

今井投手とダルビッシュ投手に接点はなかった。しかし昨年のオフ、今井投手は知人を介してSNSからダルビッシュ投手にコンタクトを取ったようだ。そしてフォームを参考にしているダルビッシュ投手から直接アドバイスをもらったと言う。どのようなアドバイスをもらったのかは筆者には分からない。少なくともメディアで伝えられていることがすべてではないことだけは確かだろう。

今井投手も今季は高卒6年目のシーズンで24歳となる。年数と年齢を見るならば、そろそろ開幕投手争いに加われるレベルになっていなければならない。ちなみに涌井秀章投手は高卒4年目で初の開幕投手となりその後5年連続、松坂大輔投手に関しては高卒2年目で初の開幕投手となり、その後6年連続で開幕戦に投げている。大卒の西口文也投手は3年目から3年連続で開幕投手を務め、この3年間は開幕戦の自責点を0で並べている。

今井投手が今後エースの系譜を辿っていくのならば、そろそろ開幕投手を任されるレベルになり、その役目を数年間守り続けられるレベルにまで進化していく必要がある。そしてそのために今井投手自身が必要だと痛感したのがフォーム改善だったのだろう。

自身の球速に耐えられなかった昨季までの土台

プロ入り直後の今井投手は、スリークォーター気味のオーバーハンドスローで投げていた。ハムストリングスのバネを目一杯使った大谷翔平投手と似たタイプのメカニクスで投げていた。だが2019年頃から腕の振りが少しずつコンパクトになっていき、2020年はロースリークォーターと言っても良いくらいの角度で投げるようになっている。

プロ入り後に球速がアップしたのはこのように腕を少しずつ下ろしてきたことも影響しているはずだ。スピードガン的な球速に関しては、ロースリークォーターやサイドハンドスローが一番数値を出すことができる。

だがコンパクトになってきた腕の振りとアンバランスだったのが下半身の動作の暴れ具合だった。滅茶滅茶、というわけではもちろんないのだが、土台よりも先に上半身の動作改善をしたからだろうか、投球フォームで上下のバランスや、キネティックチェーンが上手く繋がっていないようなフォームになっていた。

そのフォームのばらつきによって制球を大きく乱していたのが昨季だったのだろう。四球で自滅してしまうパターンが少なくなかった。だが今季に関しては、上手くいっていなかった上下のバランスが良くなっているように見える。そして筋肉を増やすことによって、より速いボールを投げられる衝撃に耐えられるスタビリティを得られたようにも見える。

今井投手の最速はフェニックスリーグでは157km、1軍では155kmとなっているようだが、体の使い方の巧みさからこの球速を出すことができていたが、この球速に耐えられる土台がまだできていなかった。その土台が今季はある程度作れてきているように筆者の目には映っている。ただ、もちろんまだ本格的な今季のピッチングを見たわけではないので正確なことは言えない。

筋出力を抑えながら出せるようになった今までの球速

今井投手自身のコメントでは、昨季までよりも抑えた筋出力によって、昨季までと同じ球速を出せているのが今季ここまでの状態であるようだ。これは非常に良い傾向だと思う。

筆者も仕事で多くのプロアマ投手のパーソナルコーチングを行なっているのだが、球速アップを目指す選手に対して必ず伝えるのが、まず今よりも1〜2割力を抜いて、今と同じ球速を投げられるようにする、ということだ。球速アップを目指す際、この考え方を蔑ろにしてしまうと根本的なところでメカニクスが狂ってしまい、フォームを崩し、最速がアップしたとしても勝てる投手になれないケースが多くなる。

だが現段階の今井投手は球速を外付けしていくのではなく、根本的なメカニクスを見直すことによって球速をアップさせてきている。そのメカニクスの1つが上述した腕を振る高さであったり、あとはスピンさせる軸の角度ということになる。

今井投手とダルビッシュ投手では異なるスケール効果の大きさ

さて、実は今井投手はひとつ注意しなければならない点がある。それは腕をコンパクトに振ることは、ダルビッシュ投手よりも今井投手の方がやや難しくなる、という点だ。これも昨季の制球のばらつきに影響していたはずだ。

身長に対する腕の長さの割合が、ダルビッシュ投手よりも今井投手の方が長い。専門的に言うとこれはスケール効果が大きくなることを意味し、今井投手はダルビッシュ投手のフォームを模倣することはできるわけだが、まったく同じメカニクスで投げることはできない、ということだ。

つまり今井投手がダルビッシュ投手のフォームを上手く取り入れていくためには、ただ真似をするだけではいけないということで、それを生かすためには今井投手自身が、ダルビッシュ投手のフォームに自分自身の体型に合わせたアジャストをしていく必要がある。そして恐らくだが、そのアジャストに対する試行錯誤を繰り返していたのが昨年だったのではないだろうか。

そして今季はダルビッシュ投手本人から助言をもらったこともあり、今井投手自身悩みを吹っ切ることができたのではないだろうか。投球理論に関しては、当然経験の差からダルビッシュ投手の方が圧倒的に多くのものを持っている。その引き出しからヒントをもらったことにより、今季は今井投手もきっと何かを掴むことができたのだと思う。

昨季までの今井投手は、どこか結果だけを追い求めているような印象があったのだが、今季はプロセスを重視しているようにも見える。結果ばかりを求めても、プロセスが上手くいかなければ良い結果も伴わない。だがプロセスがしっかりしていれば、結果は自ずと付いてくる。

もちろん開幕してみなければどうなるかは分からないわけだが、今季の今井投手は今のところの姿を見る限りでは、最多勝争いに加わってくるような活躍を見せてくれるのではないだろうか。そして今季こそは覚醒してくれるのだろうという筆者の願いは、今まさに揺るぎないものとなってきている。