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中村剛也

パワーよりも技術を優先させ始めている中村剛也選手

昨オフに栗山巧選手が3年契約を結んだのに続き、今オフは中村剛也選手が新たに2年契約を結んだ。体力的衰えが加速していくベテラン選手と複数年契約を結ぶのはリスクも高いわけだが、この二人に関しては、渡辺久信GMもその心配は不要だと踏んだのだろう。

これで中村選手、栗山選手共に、少なくとも40歳までは現役を続けることになった。一昔前であればこの年齢で複数年契約など考えられないことではあったが、しかしこの二人を見ていると、技術的衰えを感じることがまるでない。

こと中村剛也選手に関して言えば、確かにホームランの数は年々減ってきている。2019年は30本打ったが、昨季は怪我もあり9本、今季は18本に終わっている。

しかし打率はどうだろうか。2019年はキャリアハイの.286をマークし、今季も.284と自己三番目に高いシーズン打率をマークしている。そして38歳という年齢で4番を打ち続け、打線全体が振るわない中で打点は74まで増やした。

ホームランの減少に関しては、恐らくは年齢に伴いバットスウィングのスピードが僅かに落ち、ボールに与えられるバックスピンが減ってしまったからなのだろう。

逆に近年打率が上がってきているのは、スウィングスピードの低下を実感した中村選手自身が、パワーよりもテクニックを重視したバッティングをしたからだと想う。

そして何より38歳という年齢で打席に立ち続け、得点圏打率は.317という数字を記録している。ちなみに満塁での成績は8打数4安打、1本塁打、11打点で打率は.500だった。一方山川穂高選手の今季の満塁での打率は.230だった。

中村剛也選手は2022年は30本塁打打ちたいと言いつつも、チームが勝つバッティングを優先できる打者なのだ。ホームランを狙うべき打席と、そうではない打席をしっかりと分けて考えている。

必ずしもホームランを打たなくても良い場面では、投手が失投した時以外はコンパクトなバッティングを見せることが多い。これは恐らく、ベテランの域に入って来てから特に強く意識し始めたことだと想う。

主砲としてのあるべき姿を見せる中村剛也選手

山川選手のコメントを聞いていると、まず個人成績の話が耳に入ってくる。恐らくは自分がホームラン王になればまた優勝できると考えているのかもしれない。しかしもしそうだとすれば、筆者はその考え方では真の4番打者にはなれないと思っている。

一方中村選手のコメントを聞くと、インタビュアーなどからホームラン数の話を振られればもちろんそれに対しこだわりも見せるのだが、しかし全体的にコメントを聞いていると、チームのことを最優先に考えたコメントを残すことが非常に多い。

中村選手は常々、自身と栗山選手がチームの中心にいるようではいけない、という主旨の話をしている。確かにその通りで、38歳のベテランコンビが打線の軸を担っているようでは、チームを勢いづかせ、軌道に乗せることはできない。

山川選手も中村選手の考え方をもっと見習うべきだろう。ホームランバッターとしてホームラン数にこだわることは決して悪いことではないのだが、メディアを通して聞こえてくる山川選手のコメントは、個人成績が最優先になってしまっているように聞こえるのだ。

しかしそれはメディアの伝え方が悪いわけではない。現に中村選手の場合は、チームを優先にしたコメントがメディアを通して伝わってくる。

それでも山川選手からは個人成績の話ばかりが伝わってくるということは、実際山川選手に話を聞いている記者の方々も、山川選手がそこに主眼をを置いて話していると感じたからだと思う。

中村剛也選手からは、清原和博選手が築き上げた系譜がまだ残っているように感じられる。つまり個人成績を犠牲にしてでもチームの勝利を最優先にする4番打者としての在り方だ。

清原和博選手がFA移籍した後の主な4番打者は鈴木健選手、カブレラ選手、中村選手、山川選手となるわけだが、カブレラ選手は別として、鈴木健選手と中村選手からは清原選手のDNAを感じることができる。

だがこの顔ぶれの中で唯一清原選手と同じ背番号を背負っている山川選手から、そのDNAを感じることができないのだ。しかしそれは筆者だけの話なのかもしれない。

現役選手が伝えることができ、コーチでは伝えられないことがある。このDNAなどはまさにそうだと思うのだが、中村選手には現役のうちに、このDNAを若き選手たちに伝えてあげて欲しい。

そしてそれは山川選手だけに対してではなく、呉念庭選手やブランドン選手など、今季得点圏で勝負強さを見せてくれた将来の4番打者候補たちにも伝承していって欲しい。

10年後はおそらく、中村選手や栗山選手らがライオンズの監督コーチとしてチームを率いているのだと思う。その時に絶対的4番打者を確立させるためにも、来季39歳となる彼らはそろそろその辺りのことも少しずつ意識していくのも良いのではないだろうか。

もちろん選手としてさらに高みを目指してもらい、今のチームを日本一に導くことが最優先ではあるが。

ブライアン・オグレディ

筆者はまだあまり魅力を感じていないオグレディ選手

ライオンズでは今季所属した5人の外国人選手すべての契約を終了することになった。外国人選手の総入れ替えはリスクがやや高いと言えるのだが、しかし彼らの数字を見るとそれも当然かなということになるのだろう。

現在報道では、パドレスからFAになっているブライアン・オグレディ選手の調査を行なっていると伝えられている。だが筆者個人としては、この選手を獲得する高い必要性はあまり感じていない。必要性があるとすれば、外野と一塁の複数を守れるという点だろうか。

一応メジャーでプレーしている経験はあるが、メジャーでの実績はほとんどないに等しい。だがこれはそれほど問題ではないと思う。メジャー経験がなくても、日本のプロ野球で上手くハマる選手は大勢いる。

オグレディ選手に対し筆者が最も注目したいのは得点圏打率だ。今季は主にマイナーリーグのエルパソでプレーをしたのだが、マイナーでの打率.281に対し、得点圏打率が.264となっている。マイナーリーグでこの程度の数字しか挙げていない選手を獲得する意味はあるのだろうか。

これが仮に打率.281で、得点圏打率が.350であったなら話は変わってくる。しかし今季山川穂高選手の得点圏打率が.172とチャンスではまったく打てていない状況で、マイナーでの得点圏打率.264のオグレディ選手を獲得しても、弱体化した打線を強化することは難しいのではないだろうか。

そしてオグレディ選手は左打ちなのだが、3番を打つ森友哉捕手が左打ちということを考えると、オグレディ選手を4番に入れることはできれば避けたい。3・4番を共に左打ちにしてしまうと、相手チームが左打者殺しの投手を投入しやすくなるためだ。

ただしオグレディ選手は、マイナーリーグでは左投手相手に.317という打率を残しており、対右の.270と比べても、左投手を得意としているようだ。

山川選手の起爆剤になれる外国人打者の存在が必要

オグレディ選手は右膝を曲げ、上半身を突っ込ませて打つことがやや多い。この癖がある外国人選手は、日本の変化球に苦労することが多く、あまり良い打率は残せないのではないだろうか、というのが筆者の個人的意見だ。

オグレディ選手に関してはまだ調査中という段階であるため、実際に獲得となるのかはまだ分からない。だがここで具体的に名前が挙がるということは、獲得に至る可能性は高いのだろう。

内外野を守れて、そこそこ走れる左打ちという意味では、スパンジェンバーグ選手とタイプは似ている。同じタイプの選手をこうして探してくるということは、このタイプの選手がもしかしたら辻発彦監督が求めている外国人選手像なのかもしれない。

だがやはり筆者は「4番山川」ありきで考えるのではなく、4番を打てる右の大砲を獲得すべきだと思う。そして得点力の向上を目指すのであれば、やはり打率よりも得点圏打率の方が高い選手をピックアップすべきだ。

例えば2021年の中村剛也選手の打率は.284だったが、得点圏打率は.317だった。ライオンズはこういう数字のバランスを持った外国人打者を獲得すべきではないだろうか。ユーティリティ性前提では、また中途半端な成績しか残せない外国人打者を招いてしまうことになる。

これもあくまでも筆者の個人的な意見であるわけだが、一塁やDH専任であってもまずは打てる外国人選手を探すべきだろう。その結果山川選手を三塁中村選手のバックアップに回すことになったとしても。

本塁打王を2回獲得したのはもう過去の話だ。そして2回目の本塁打王を獲得した時も山川選手の打率は低空飛行で、近年は当たれば飛ぶが、なかなか当たらないというバッティングが続いてしまっている。この山川選手を発奮させるためにも、起爆剤にするためにも、山川選手のポジションにぶつけるような外国人選手を獲得すべきだと筆者は考えている。

ライオンズ打線はやはり山川選手の復調なくして考えることはできない。だが今までのように「4番山川」前提で考えてしまうと、また同じ失敗を繰り返してしまうのではないだろうか。それならば山川選手は6〜7番前提でスタートさせ、そこから実力で4番を再奪取させるというやり方の方が、山川選手自身にとってもプラスになるように思える。

こうして考えていくと、やはりオグレディ選手では役不足のように感じられるのだ。もちろん日本に来てみたら大変貌を遂げるという可能性もあるわけだが、そのような選手は稀だ。

ライオンズの例年の傾向では、外国人選手の獲得時期は比較的遅い。そのためまだ確定には至らないと思うのだが、どんな選手を獲得するにしても、少なくとも現状のライオンズを踏まえれば外国人打者にそれほどユーティリティ性を求める必要はない、というのが筆者個人の意見なのだが、読者の皆さんはどうお考えだろうか。

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1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
西武 0 0 4 0 2 0 0 0 0 6 12 0
ソフトバンク 0 0 0 0 0 2 0 0 0 2 5 0

【継投】
髙橋光成増田達至

【ホームラン】
中村剛也(1号)

観衆:9,404人、試合時間:2時間48分

球速にはこだわらず、絶妙な制球力を見せてくれた髙橋光成投手

今季ホークスとの初戦、先発マウンドに登ったのは開幕投手を務めている髙橋光成投手だった。PayPayドームは投げやすいと本人も話しているように、素晴らしいピッチングを見せてくれた。立ち上がりこそ二者連続で3-2となり、初回から球数が気になる状態ではあったが、3人目以降は今日のストライクゾーンにアジャストできたかのように良いボールを連発し、8回を投げて110球、被安打4、奪三振8、失点2という本当に素晴らしいピッチングを披露してくれた。

決して甘いボールがなかった訳ではないのだが、しかし自信を持ってボールを投げられている影響なのだろう、ホークス打線が髙橋投手に対しなかなか合わせていくことができなかった。そうこうしているうちに4者連続三振などでどんどんアウトカウントを増やしていった。そしてそのエースのピッチングに応えるように打線も奮起し、3回には中村剛也選手のスリーランホームランなどで一気に4点を先制。この先制点により、髙橋投手もさらに楽に投げられるようなった。

実はシーズンオフ、髙橋投手は球速に対するこだわりを見せていた。そのため筆者はそれを心配する記事を書いたわけだが、その心配は杞憂に過ぎなかったようだ。もちろん今夜も150kmを超える速球を投げ込んでいたわけだが、この球速は髙橋投手にとっては普通の速度だと言える。本当に力みなく、球速よりも制球力と変化によってホークス打線を翻弄していった。

数年前までは荒れ球が代名詞だったとも言える髙橋投手だが、今季の制球力は非常に良い。今日の試合でも絶妙なところにストレートと変化球を決めており、連続で見逃し三振を奪うシーンも見せてくれた。バッターが手も足も出なかったという意味では、見逃し三振こそが最高の奪三振だだと言える。

6回に関しては一死から連続四球を出し、その二人を生還させてしまったわけだが、髙橋投手自身この6回を勝負どころと踏まえていたはずだ。この6回を三者凡退で抑えられれば、7回は走者がない状態でクリーンナップとの勝負に集中できると考えたはずだ。だがその6回で少し大事に行き過ぎてしまい、5回までに見せていた大胆さと絶妙な制球力が少し見えなくなってしまった。その結果2点を失ってしまった。だがそこからバタバタと崩れることなく、しっかりと立て直したところはさすがは開幕投手だ。

今日も好投している涌井秀章投手が去って以来、ライオンズには絶対的エースの存在がなかった。だがここに来て、ようやく宿敵相手に白星を挙げられる投手が育ってきた。その髙橋投手だが、何と今日ホークスから勝ち星を挙げてホークス戦自身7連勝となった。ライオンズでホークス相手に7連勝を記録したのは、1999〜2000年の石井貴投手以来だと言う。

良いピッチングを続けている限り髪を伸ばし続けると話している髙橋投手だが、このまま肩まで届くくらい髪を伸ばし続けてもらいたい。吉田拓郎さんの歌のように。

山川穂高選手の不在を感じさせない中村剛也選手の存在感

一方打つ方では主砲山川穂高選手を欠いているわけだが、その不在の穴がまったく感じられない破壊力を見せてくれた。以前もそうであったように、山川選手不在時に4番に座る中村剛也選手の存在感と集中力が物凄い。甘い球を見逃すことはないし、空振りをした時もしっかりと自分のスウィングをして空振りをしている。

2打席目ではスリーランホームランで今季6試合目で7打点目を挙げたわけだが、3打席目のレフトフライもホームランになっていたとしても不思議ではないバッティングだった。2打席目同様に初球の甘いボールを振っていったのだが、僅かにバットがボールの下に入り過ぎてしまった。その分打球が上がり過ぎてしまいレフトフライで終わってしまったのだが、もしバットがあと1mmボールの上に入っていたら、3打席目もホームランになっていただろう。おそらく中村選手自身もそのようなミスショットだと感じていたはずだ。打った瞬間に非常に悔しそうな表情を見せている。

それにしても中村剛也選手は凄い。今季20年目で38歳となるシーズンなのだが、4番としてまったく不足のない活躍を見せてくれている。栗山巧選手こそキャンプ中に追い込み過ぎた影響が出てしまったのか、現在は下半身の張りで登録抹消となっているが、しかし張りが出るまではオープン戦から開幕戦までしっかりとヒットを打ち続けていた。

チームが優勝するためには、必ずベテランの力が必要になる。このふたりが元気なプレーを見せ続けていれば、若い選手たちが力を抜くわけにはいかない。その相乗効果も期待できるのが、中村・栗山両ベテラン選手の活躍というわけだ。

まだ1軍レベルのスピードに付いて行けていない若林楽人選手

さて、そろそろプロ初ヒットを打たせてあげたい若林楽人選手だが、1軍レベルのプロのスピードにまだ付いて行けていないのかな、という印象だ。今夜の打席でもやはり150km前後のストレートに完全に振り遅れてしまっているし、コンタクトした際でもバットが押し戻されてしまっているように見える。

ただ、細身ではあるが芯が細い選手ではない。例えばライオンズで言えばかつての小関竜也選手や赤田将吾選手のように、プロのスピードに慣れれば打率3割弱を打てる打者にはすぐにでもなれるのではないだろうか。そのためにも外国人打者が試合に出られるようになるまでの間は、もう少し我慢して1軍の打席を経験させてあげて欲しいなと個人的には思っている。

外野手の層がやや薄いチーム事情もあり、多少打てなくても若林選手がすぐに2軍降格させられるということはないと思うのだが、しかしそのチャンスもレフトも守れるスパンジェンバーグ選手が1軍に合流するまでということにはなるだろう。だからこそそれまでの間に1球でも多く1軍レベルのボールを体感できる機会を与えてあげて欲しい。

3連戦を少し楽な戦いにしてくれる初戦の勝利

さて、今夜勝ったことでライオンズとしては土日であと1つ勝てれば良いという気持ちで試合に挑めるようになった。もちろん現実問題としては3連戦3連勝してもらいたいわけだが、ホークス戦はそこまで甘い戦いではない。だがそこでホークスアレルギーを再発させてしまうよりは、まずは土日であと1勝というリラックスしたムードで残り2試合を戦ってもらいたい。そうすれば自ずと良い結果もついてくるはずだ。

そしてチームをリラックスさせるためにも重要なのが、明日浜屋将太投手がどれだけリズム良くボールを投げられるか、ということだろう。死球を恐れず、どんどんインサイドを攻めて凡打の山を築き上げてもらいたい。

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中村剛也選手の代わりに開幕サードを守るのは誰なのか?

今季はキャンプイン早々、中村剛也選手は左ふくらはぎを痛めて別メニューを強いられてしまった。2月末までにはB班に再合流する見込みではあるようだが、別メニューではバットは振れているものの、走ったり守ったりというメニューはまだこなしていないようだ。

対外試合やオープン戦も始まってくるこの時期にまだ守備に就けていないということは、中村選手の開幕スタメンはおろか、開幕1軍も厳しい状況だと言えるだろう。本来であればここで三塁はスパンジェンバーグ選手だと言いたいところだが、残念ながらスパンジェンバーグ選手の来日目処もまだ立っていない。現時点で来日している外国人選手はギャレット投手だけだ。

ただ、来日さえ果たせればスパンジェンバーグ選手の体調は万全だと思われるため、もしかしたら開幕スタメンに間に合うこともあるかもしれない。だが開幕戦は3月26日で、二週間の隔離期間をギリギリでもクリアさせるなら、3月10日あたりまでには来日している必要がある。このあたりまでに来日が叶わなければ、開幕メンバーに名を連ねることは難しいだろう。

では中村選手もスパンジェンバーグ選手も間に合わなかった場合、一体誰が開幕戦で三塁を守るのだろうか?昨年までの流れで見ていけば、オープン戦の結果次第では呉念庭選手や、山野辺翔選手らが候補になってくるだろうか。ルーキー渡部健人選手は右肩に不安があるため、現状では代役だったとしても開幕1軍は難しいと思われる。

その他の名前を挙げるならばオープン戦で元気の良さを見せてくれているタイシンガー・ブランドン大河選手なども代役サードの候補に上がってくるかもしれないし、佐藤龍世選手だって汚名返上の機会を虎視眈々と狙っているはずだ。

この春、ライオンズのサードは中村選手の怪我とスパンジェンバーグ選手の不在により、例年以上に熾烈を極めていくだろう。

中村選手にクリーンナップを打たせているようではいけない!

さて、話を中村剛也選手に戻そう。本人も語っているように、中村選手がクリーンナップを打っているようではライオンズの先は思いやられる。38歳という年齢の中村選手と栗山巧選手は、交互でDHに入るくらいの状況になっていなければならない。いつまでも38歳のふたりに負担をかけるわけにもいかないのだ。

栗山選手は非常に怪我が少ない選手であるわけだが、それでも年齢的なことを考えれば休ませながら、調子が良い状態の時に起用していくという形になっていくはずだ。怪我が増えてきた中村選手にしても同様だ。

そして左ふくらはぎが完治し不安がなくなっても、中村選手にシーズンを通してサードを任せることはできない。もちろん目先を見ればスパンジェンバーグ選手がいるため大きな不安はないわけだが、将来的なことを考えると、中村選手の後継となる和製三塁手を着実に育てていく必要はあるだろう。

それにしても怪我をしたのが左ふくらはぎで本当に良かった。これが仮に右ふらはぎだったらバッティングも満足にできなかったはずだ。そういう意味ではひとまずバットを振ることはできているため、代打の切り札として中村選手を控えさせておくという開幕はありだと思う。

もちろん中村選手としてはそれは不本意であるわけだが、しかし試合終盤の勝負どころで中村選手が代打で登場してくれば、相手バッテリーから見てこれほど嫌なことはない。そしてそれが満塁の場面であれば尚更だ。

筆者が考える中村剛也選手の穴を埋める存在

とにかく現状の安全策を考えるならば、開幕サードには中村選手とスパンジェンバーグ選手はいないものと考えておく方が無難だ。そしてもちろん辻発彦監督もそう考えているはずだ。

ザッと開幕スタメンを予想するならば、現段階で有力なのは1番センター金子侑司選手、2番ショート源田壮亮選手、3番キャッチャー森友哉捕手、4番ファースト山川穂高選手、5番セカンド外崎修汰選手、6番DH栗山巧選手、7番ライト木村文紀選手、そして8番と9番にレフトと代役サードの選手が入っていく、というのが現段階では最もオーソドクスなオーダーになるのではないだろうか。

開幕戦は純和製オーダーになる可能性も高いわけだが、しかしライオンズの場合はキャッチャーがクリーンナップを打つことができるため、外国人選手が不在でも中村選手が間に合わなくても、打線が見劣りすることがない。8〜9番に実績の乏しい選手を置いたとしても、開幕からしばらくの間であれば、このオーダーで十分戦っていくことができるだろう。

現段階でライオンズのチーム総合力を高く評価している評論家は少ないようだが、しかし筆者は決してホークスに見劣りするようなチームではないと思っている。投手陣も例年になく充実しているし、山賊打線も昨季の不調を例外にすれば健在だと言える。

今季ライオンズが絶対に果たさなければならないのは打倒ホークスという宿願だ。ホークスを倒さなければ日本シリーズに駒を進めることさえできない。2018年と2019年は投手力の差で敗れてしまったが、今季のライオンズ先発陣は今までとは比べ物にならないほどの成長を見せている。

今季の若き先発投手たちが実力通りのパフォーマンスを見せてくれれば、中村選手や外国人選手たちの不在が気になることもないだろう。今までチームを引っ張り続けてきた中村選手が開幕に間に合わないのなら、今度は若き先発投手陣が中村選手の穴を埋める番だ。

中村選手の穴を埋めるのは若き三塁手たちではなく、若き先発投手陣であると断言し、今日はこのコラムを書き終えたいと思う。

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「おかわり三世」と呼び声高いルーキー渡部健人選手だが、筆者の目にはすぐに1軍で活躍できる技術はまだないように映っている。バッティングフォームを見ていると山川穂高選手同様に手先が器用そうだなという印象を受ける。だが気になる点は、下半身よりも先に上半身が動き終えてしまうフォームだ。

筆者は仕事柄プロ野球選手のフォーム映像を細かく分析していくことも多いのだが、時々仕事の合間を縫って渡部選手やタイシンガー・ブランドン大河選手の映像を見ることもある。

ブランド選手は平良海馬投手からヒット性の当たりを打ったようだが、やはり1軍で結果を残すレベルにはまだ至っていない。まずスウィングがまだ荒く、軸のスタビリティも低く、ウェイトシフトで打っていることにより頭の位置を大きく移動させながらのスウィングになっていて、これでは1軍のボールを正確にミートしていくことはできないだろう。

渡部選手にしても合同自主トレからの疲れもあるのかもしれないが、フリーバッティングでも完全に手で打ちに行っているように見えた。フリーバッティングの相手は本田圭佑投手だったが、フリーバッティングという打ちやすいボールを投げてくれる練習にも関わらず、1本もホームランを打つことはできなかった。

サードに穴が見え始めている今年のライオンズ

現在ブランドン選手はA班、渡部選手はB班でキャンプを過ごしているわけだが、ふたりとも今年いきなり1軍でブレイクする可能性は高くはないだろう。だがここから打撃コーチの指導のもと、プロで通用する確かな技術を身につけていけば、近い将来このふたりが山賊打線の一員になっている可能性もある。

ライオンズの主軸打者では、中村剛也選手が近年故障しがちだ。今年もキャンプイン早々ふくらはぎに違和感を覚え別メニューになっている。つまりライオンズとしては中村選手の後釜になる三塁手を急ピッチで育てなければならない時期に来ているということだ。

今季に関しては中村選手の代わりにサードに入るのはスパンジェンバーグ選手が多くなるのだろう。だが後々は山川選手がサードに回っても良いと思うし、渡部選手やブランドン選手もそこに食い込んでいかなければならない。

故障が増えてきた中村選手を見て、若手選手はこれをチャンスだと思わなければならない。もちろん今年いきなり渡部選手とブランド選手が1軍のサードでレギュラーを張ることはないだろうが、山川選手に関してはサードに挑戦しても良いように思える。

山川選手がサードに回れば、メヒア選手をファーストで起用することができ、オーダーのバリエーションを増やすこともできる。メヒア選手は基本的にはファーストしか守れないため、山川選手がファーストに入ってしまうと、DHが空いていなければメヒア選手は代打要員ということになってしまう。

本塁打王になったことがあり、体もまだまだ動くメヒア選手を代打要員として置いておくのはもったいない。DHには基本的には栗山巧選手が入るため、やはりメヒア選手をもう一度輝かせるためにも、山川選手がサードを守るというオプションもあって良いと思う。

今後熾烈を極めるであろうライオンズの正三塁手争い

とにかく、中村剛也選手が今後1年間フルで試合に出続けることは難しくなる。本音を言えばもう一度2019年のような活躍を見せて欲しいわけだが、しかし年々怪我が増えていることと年齢を考えれば、休ませながらの起用になっていくことは間違いないだろう。

そうなった時、やはりサードをスパンジェンバーグ選手だけに任せてしまうのは少し怖い気もする。外国人選手の場合、活躍しても長年日本でプレーし続けてくれる選手もいれば、日本での活躍をきっかけにメジャー復帰を希望する選手もいる。

スパンジェンバーグ選手は今のところはライオンズ愛を見せてくれているが、しかしもし今季3割30本打つようなことがあれば、メジャーのスカウトマンたちがそれを見過ごすことはしないだろう。

将来的なそのような状況も見据えながら、ライオンズは今新たな三塁手を急ピッチで育てなければならない時期に差し掛かってきている。そしてその候補として今、ブランドン選手がA班でアピールを続けている。

現時点では渡部選手はブランドン選手に大きく遅れをとっているわけだが、ふたりとも焦る必要はない。焦って怪我をしても仕方がないのだから、今は焦らずじっくりプロレベルの体づくりをし、プロレベルの技術を身につけていけば良いと思う。

ふたりとも大卒ルーキーであるため、理想としてはもちろん一年目に1軍デビューを果たし、そこからきっかけを掴んでいってくれれば良いと思うのだが、しかし中村剛也選手だってそう簡単に三塁を明け渡す気はないだろう。

こうしてサードに絞って今年のライオンズを見ているだけでも、渡辺久信GMの補強策は本当に理に適っていて、的確なチーム強化をされているなぁという印象を受ける。

ブランドン選手と渡部選手が加入したことにより、中村選手も大ベテランとして最後の一花をしっかりと咲かせていかなければレギュラーとしてプレーすることはできない。そのような状況を作った渡辺GMの手腕は、本当に流石だなと筆者は頷くばかりなのであった。

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埼玉西武ライオンズのリーグ3連覇のカギを握る男、山川穂高選手は間違いなくその一人として数えられる選手だ。2019年昨季は4番として開幕を迎えるも、シーズン途中でその座は剥奪されてしまった。そして元の持ち主である中村剛也選手の元に戻された。その中村剛也選手は軽度の脚の張りでやや調整が遅れているようだが、しかし2020年の開幕戦、誰が4番の座を射止めるのかはまだ予測できない。

チャンスに滅法弱かった2019年の山川穂高選手

今季の山川選手は広角打法にこだわりを見せている。ステップする際の足の上げ方もやや小さくし、よりタイミングを取りやすいフォームへとマイナーチェンジしたようだ。そしてこの打ち方を2020年は一貫して続けることを明言している。2019年の山川選手の打率は.256だった。ホームランが43本で2年連続キングだったとは言え、.256という数字は主軸としては低過ぎる。

そして打率以上に気になるのが.261という得点圏打率だ。この数字はチャンスに弱いということを表している。一方の中村選手の得点圏打率は.350で、昨季は満塁で圧倒的な強さを見せつけた。山川選手が不動の4番打者になるためには、この得点圏打率を改善する必要がある。昨季120という打点は素晴らしい数字ではあるが、もし得点圏打率が.300程度まで上がっていれば、140打点くらいにはなっていたのではないだろうか。

28歳の山川穂高選手と、36歳になる中村剛也選手

だがこの芳しくない得点圏打率は、山川選手が一流選手だと認められた証であるとも言える。つまり他球団が山川選手を打ち取るために徹底的に研究してきた結果がこの得点圏打率であり、2年連続で本塁打王になった後の2020年は、さらに相手チームのマークは厳しくなるはずだ。そこをどう跳ね返せるかが山川選手がただ長距離砲で終わってしまうのか、それとも真の4番打者へと進化するかの分かれ道となる。

エース対決で勝てる投手をエースと呼び、チャンスでエース級からヒットを打てる打者を4番打者と呼ぶ。長年ライオンズの4番を担ってきた中村剛也選手も36歳となる。そして山川選手は28歳と、野球選手としてはもっと旬な時期にいる。その若き大砲が、36歳の大ベテランに4番を譲るようではいけないし、それではチームも本当の意味で強くなることはできない。山川選手はやはり、中村選手に6~7番を打たせてあげられる数字を叩き出さなければならない。

首位打者、本塁打王、打点王によるクリーンナップ

今年のライオンズはここ数年の中では最も戦力が整っているように見える。先発陣もある程度揃い、ブルペン陣も充実している。層の厚さという意味ではまだ決して厚いとは言えないが、しかし怪我人が続出するような事態にさえならなければ、シーズンを通して安定的な戦いを見せてくれるのではないだろうか。そして山川穂高選手がその中心としてチームを牽引できれば、自ずと3連覇も見えてくるはずだ。

中村剛也選手のように、仮に打率が.286でも得点圏打率が.350であれば十分4番としての重責は担える。山川選手の場合は4番の再奪取を目指すのであれば、得点圏打率.300でも最低限の数字だとしか言えない。だがそんなことは山川選手自身が最もわかっていることであり、筆者が外野からとやかく言う必要もない。だが2020年、筆者は山川選手に関してはホームランの数よりも得点圏打率に注目しながら応援していきたいと思っている。

3番を打つ森友哉捕手の得点圏打率は.411とずば抜けていた。その後を打つであろう山川選手の得点圏打率が.300を超し、仮に5番を満塁男である中村選手が打つようになれば、まさに破壊力抜群の和製クリーンナップが完成する。辻発彦監督はクリーンナップを打線に2つ作るという考え方を持っているため、山川選手と中村選手が並ぶかどうかはまだ何とも言えないが、しかし3番首位打者、4番本塁打王、5番打点王という打線は相手投手から見えれば脅威でしかないはずだ。そんな夢のようなクリーンナップを形成できるのは12球団で唯一ライオンズだけであるからこそ、筆者は開幕戦でそれを見てみたいという希望を抱いている。