タグ「ホークス戦」が付けられているもの

20210404.jpg

1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
西武 0 1 1 0 0 2 0 0 0 4 9 0
ソフトバンク 0 0 0 1 0 1 0 0 0 2 9 0

【継投】
平井克典(2勝)〜H佐野泰雄〜H平良海馬〜H宮川哲〜Sギャレット(1S)

【ホームラン】
呉念庭(2号)、渡部健人(1号)

観衆:9,902人、試合時間:3時間42分

抜群の安定感を見せている先発投手陣

ライオンズが本当に強い。栗山巧選手山川穂高選手外崎修汰選手という4〜6番のレギュラー3人を欠いているという状況の中、今日の勝利でチームは5連勝となった。そして見事なスウィープでホークスを蹴散らしてみせた。ライオンズが福岡の地でホークスをスウィープしたのは、17年振りの出来事のようだ。

野球評論家のライオンズの下馬評のほとんどは低いものだった。だが昨年までと異なり、今季はとにかく先発投手陣が安定している。今日2勝目を挙げた平井克典投手然り、ここまで大崩れした先発投手がいないというのが、6勝1敗1分という好成績に繋がっている。

これこそが昨季まで辻発彦監督がずっと 目指してきた野球スタイルだと言える。先制し、投手力でリードを守り抜く野球。監督が目指す野球の型にチームがしっかりとハマっているため、常に良い形で自分たちの野球ができているというのが今季ここまでのライオンズなのではないだろうか。

この調子で先発投手陣が踏ん張り続けてくれれば、シーズンを通してもチームが大崩れすることはないだろう。また、これだけ先発投手陣が安定していると、ファームで調整している他の先発陣も起用しやすくなる。起用しやすくなるというのは、起用すべきタイミングを計りやすいということだ。ある日突然何らかのトラブルによって1軍での先発を告げられるのではなく、例えば1軍のローテーションの谷間などに合わせてファームのローテーションを組めるようになるため、ファームでやっている流れをそのままに1軍での登板日を迎えられるようになる。すると2軍から上がってきたピッチャーも、比較的落ち着いて投げられるケースが増える。

現在1軍は西口文也コーチと豊田清コーチが投手陣を任されているわけだが、このコンビが非常に上手く行っているのだろう。東尾チルドレンとして叩き上げられたこの一流投手ふたりが投手陣を率いることで、投手陣全体にまとまりを感じるようになってきた。つまり投手陣全体が、それぞれの役割において向くべき方向を分かってきた、ということだ。

例えば平良海馬投手にしても、本人としては昨季から先発を志願しているのだが、今季は先発テストが行われることもなく平良投手はリリーフに専念している。このように自我を抑え、自らの役割に専念している選手たちの姿は、東尾監督時代の投手陣と重なって見える。東尾監督時代の投手陣は大人の集団だった。豊田清投手も本来の先発というポジションから守護神を任されたのだが、その経験が今、平良投手に対するコーチングに生かされているのかもしれない。

「ようやくピッチャーをちゃんと育てられるコーチが登場してきた」、これが西口・豊田両コーチに対する筆者の正直な感想だ。

呉念庭選手が呼び込んだ和田毅投手の失投

投手陣がリズム良く試合を作って行ければ、打撃陣もそれに答えてくれる。ここまでは呉念庭選手の活躍が本当に素晴らしい。今日も1打席目で2号ホームランを放ったのだが、筆者は2球目のスウィングを見て、この打席は良い内容の結果が出るはずだと確信した。初球ボールで2球目はファールとなったのだが、本当ならこの2球目を仕留めておきたかった。なぜならほぼ真ん中のストレートだったからだ。だがこれをファールにしてしまう。だがこのファールになったミスショットが、本当に良いフォームになっていたのだ。崩されてのファールではなく、自分自身のスウィングをした上でのファールだった。だからこそ筆者はこの打席は行けると確信した。

普通ならもう甘いボールは来ないだろうな、と思うところなのだが、しかし呉選手の2球目のスウィングが和田毅投手の脳裏にも焼き付いたのだろう。3球目も、2球とほとんど同じような甘いストレートがど真ん中に入ってきた。和田投手も2球目のスウィングを見て「3球目は絶対に甘くできない」と考えたはずだ。少しでも甘く入れば次は絶対に仕留められてしまう、という状況での3球目が、和田投手の制球力を狂わせた。

142kmの甘いストレートを振り抜くと、打球はライトスタンドへと吸い込まれていった。まるでフリーバッティングを見ているかのような完璧なバッティングだった。もし仮に2球目で呉選手が自分のスウィングができていなければ、和田投手の手元が狂うこともなかっただろう。そうすればこの見事なホームランも生まれていなかったはずだ。

呉選手のスウィングは若手選手たちにはもっと見習って欲しい。空振りをした時も、ミスショットをした時も、しっかりと自分のスウィングを貫くことで甘いボールを呼び込めるようになる。呉選手が投手心理を理解していたかどうかは分からないが、しかし和田投手からすると、2球目の呉選手のスウィングを見たことにより3球目の手元も狂ってしまったというのが投手心理だったはずだ。そして呉選手の日々の活躍は、脱線事故という悲しいニュースに包まれている台湾にもきっと勇気を与えてくれるはずだ。

今日はルーキー2人がプロ初ヒットをマーク!

さて、今日は死球で骨折してしまった外崎修汰選手に代わり、ファームで4本塁打を放っていた渡部健人選手が初昇格し、いきなりスタメンに抜擢された。オープン戦では中途半端なバッティングしか見せることができなかった渡部選手だったが、ファームではそこから開き直り、しっかりと振り抜くバッティングを取り戻していたようだ。

初スタメンの結果としては1安打3三振だったわけだが、そのプロ初ヒットがレフトスタンドへのホームランとなった。打ったのはカーブだったと思うのだが、このカーブが曲がり切らずに非常に甘いコースに入ってしまった。これもやはり和田投手の失投だったと言える。和田投手としてはボール1〜2個分ずつ外角へ、そして低めへカーブを落としたかったはずなのだが、ボールが抜け切らなかったのだろう、かなり甘い高さへのカーブになってしまった。だがこの失投をミスショットすることなく豪快にスタンドまで運んだのは、さすがはドラフト1位選手だ。ナイスバッティングだった。

プロ初ヒットと言えば、若林楽人選手にもようやく1本飛び出した。この試合の2盗塁を合わせて盗塁はここまで4つ決めている若林選手だったが、代走から途中出場したこの試合の初打席で飛び出したレフト前ヒットが、若林選手にとっては記念すべき初ヒットとなった。ルーキーとしてオープン戦からずっと頑張っていただけに、早く1本打たせてあげたいと願っていたのだが、ようやくその1本が飛び出してくれて本当によかった。これで若林選手自身、来週からはもっと楽な気持ちで打席に立てるのではないだろうか。

若獅子たちの躍動がチームの危機を救ってくれた

ライオンズはここまで得点が40、失点が20とその差はダブルスコアとなっている。投手陣がしっかりと抑え、打撃陣がそれに応えてくれているという形だ。怪我人が続出していることが本当に気がかりではあるが、しかしその穴を埋めるためにグラウンドに立っている若獅子たちが本当によく躍動している。熱中症のブランドン選手を含めると4選手を欠いているわけだが、その穴を感じさせない若獅子たちの活躍だ。

ライオンズはようやく外国人選手たちも来日を果たし、打者2人は4月中の1軍合流、投手2人は5月中での1軍合流が見込まれている。とにかく外国人選手が5人揃うまでは、若獅子たちの活躍によって戦っていくより他ない。だがこの状況が不安には感じられないほど、若い選手たちがしっかりと内容のある野球を見せてくれている。このような戦い方を続けていければ、このままスタートダッシュを続けることもできるだろうし、もしかしたら外国人選手たちが入り込む余地すらなくなるかもしれない。しかし本当にそうなったとしたら、今年こそは間違いなくメットライフドームで日本シリーズを見られるはずだ。

20210403.jpg 20210403.jpg

1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
西武 3 0 1 0 1 0 2 0 0 7 8 0
ソフトバンク 1 0 0 0 0 0 0 0 3 4 7 0

【継投】
浜屋将太〜佐野泰雄〜ギャレット〜宮川哲〜井上広輝〜S増田達至

観衆:9,880人、試合時間:3時間33分

柳田選手のフォームを完全に壊した浜屋将太投手のストレート

宿敵ホークスとの今季2戦目、先発マウンドに登ったのは2年目のサウスポー浜屋将太投手だった。初回、リズムも何もないままいきなり先頭打者の川島選手にホームランを浴びてしまうのだが、2番今宮選手にも続けてあわやホームランというフェンスギリギリのライトフライを打たれたことで、目が覚めたように見えた。

結果的には5イニングスで99球を投げ被安打3、奪三振6、四球3、失点1という内容で、十分合格点を挙げられる内容だったと思う。本来であれば先発として最低でもあと1イニングは投げる必要があったが、昨日髙橋光成投手の好投のおかげでブルペンを休ませることができ、5回を終えた段階で1-5とリードが広がっていたこともあり、辻発彦監督も早めの継投策を敷いてきた。

さて、話を浜屋投手に戻すと、先週と今日の登板で最も大きな変化が見えたのがストレートの使い方だった。浜屋投手は球速がそれほど速いわけではないため、どうしても変化球に頼りがちになるという傾向がある。だがやはりピッチングの基本はストレートであり、質の良いストレートを投げられる状態でなければ、変化球の質を上げることもできない。

前回の登板では変化球でかわすようなピッチングがまだ多かったのだが、それをこの一週間でしっかりと見直してきたのだろう。今日は145kmを超えるストレートをどんどん投げ込んでいた。

特にしびれたのは柳田選手との1〜2打席目での対決だった。まずホームランと大飛球を打たれた直後の初回、ストレートを挟みながら上手く変化球を見せていき、5球目はアウトハイに146kmのストレートを投げ込んだ。すると完全に変化球待ちだった柳田選手は完全に振り遅れたスウィングで空振り三振に倒れた。

3回裏の対決は、浜屋投手が先頭打者を四球で歩かせながらも牽制で刺したのだが、続く打者にも四球を出してしまい一死一塁という状況で柳田選手を打席に迎えた。この打席では徹底したアウトロー攻めで、スライダーとストレートで3-2というフルカウントになった。そして6球目に浜屋投手が投じたのはアウトローいっぱいの143kmのストレートだった。ここもはやり柳田選手は変化球を待っていたようだ。1打席目同様に完全に振り遅れての空振り三振となった。

2打席連続で同じような形で空振り三振をしてしまった悔しさからだったのだろう、柳田選手はダグアウトに戻るとバッティンググローブを叩きつける仕草を見せた。完全に冷静さを失っている。柳田選手を長期間封じ込めておくためには、この後の土日の攻め方が非常に重要だ。これだけ冷静さを欠き打ちたがっているのだから、もう柳田選手に対し絶対にストライクを投げては行けない。

とにかくボールが続いて四球になっても良いという意識で投げていく必要がある。今、柳田選手はとにかく打ち気に逸っているため、好調時には手を出さないようなボールにも手を出してくるはずだ。このような状態の時は、とにかく普段手を出さないようなところを振らせて、バッティングフォームを徹底的に壊していくことが重要だ。

この土日は柳田選手にストライクはいらない!

この土日を使って柳田選手のフォームをじっくりと壊すことができれば、当分柳田選手の状態が上がってくることはないはずだ。そして柳田選手がなかなか打てないという状態が続けば、ホークスの勝利もますます遠ざかっていくことになる。そのような状況に持っていけるように、ライオンズとしてはこの土日は、とにかく四球を出したとしても普段柳田選手が手を出さないところに投げ続けることが重要だ。かと言って完全なボール球では意味がないため、ストライクとコールしてもらえたらラッキー、というあたりを狙っていく必要がある。

浜屋投手が柳田選手のフォームを崩した影響は、6回からすぐに見られるようになった。6回は佐野泰雄投手がマウンドに登り、1〜4球目は浜屋投手同様にアウトローを丁寧に狙っていった。4球目こそやや甘くなってしまったのだが、冷静さを失っている柳田選手はこのわずかに甘かった141kmのストレートをファールにしてしまう。いつもの柳田選手であればホームランを打っていたとしても不思議ではないような、外角真ん中の高さのボールだった。

5〜7球目に関しては、森友哉捕手も受けていて、柳田選手の目付けが完全にアウトローに行っていると感じたのだろう、一点インハイ攻めを続けてきた。3球目以降はすべてストレートを選択したのだが、柳田選手が140kmそこそこのストレートにまったく対応することができず、最後はインハイやや中寄りの145kmのストレートにバットが空を切ってしまう。柳田選手の3打席連続空振り三振は、西武戦でしか柳田選手を見ない筆者の記憶にはあまり残っていないのだが、実際のところはどうなのだろうか。

明日の予告先発は平井克典投手になるわけだが、平井投手も柳田選手に対しては全打席四球でも良いくらいの気持ちで投げるべきだ。そうすれば冷静さを欠いている柳田選手が勝手にボール球に手を出してくれるようになり、ますますフォームを崩していくことができる。

そして一度崩れたフォームを好調時のフォームに戻すことは容易ではない。映像分析がいくらハイテク化されてきたとは言え、その差を一瞬で修正できるほど生身の人間のフォームは単純ではない。

状態が上がっていなかった柳田選手のフォームをさらに壊したという意味で、今日の浜屋投手のピッチングはチームにとって本当に大きなプラスをもたらす内容だったと思う。5回1失点という数字的な内容よりも、柳田選手のフォームを狂わせたという結果が何よりの収穫だ。そして浜屋投手は柳田選手から2打席連続空振り三振を奪ったことを自信にし、今後はもう少し勝負球で「ストレート選択」を増やしていっても良いと思う。そうして少しずつ進化して行けば、将来的にはこの若きサウスポーが背番号47番を背負う日が、いつかやってくるかもしれない。

配球の意図を徹底しきれなかった若き井上広輝投手

さて、五番手として最終回のマウンドに登ったのは井上広輝投手だった。しかし残念ながら井上投手は、ここまで上述してきたような柳田選手に対する攻め方を徹底することができなかった。1〜4球目までは良かったと思う。この4球でカウントを3-1としてしまうのだが、ここで経験値の浅い井上投手は四球を嫌がったのだろうか、森捕手が構えたミットとは随分と違うアウトハイの甘いコースにストレートを投げてしまった。149kmと力はあったものの、いくら不調とはいえ、それだけで抑えられるほど柳田選手のスウィングは甘くはない。

経験がまだ浅い井上投手だっただけに、ここは森捕手がもう少し配球の意図を徹底させても良かったのかなと見ていて思った。ただし森捕手の配球は良かったと思う。最後のこの打席、柳田選手はその149kmのストレートをスタンドインさせていくのだが、井上投手がボールをストライクゾーン側にずらしてしまうのではなく、ボールゾーン側にずらせていれば、柳田選手に復調のきっかけを与えることはなかっただろう。

だが井上投手はなかなか良いピッチャーだと思う。ダイナミックでしなやかなピッチングフォームは、まさに渡辺久信投手を彷彿させる。今日は最終回に登板して3点を失ってしまったが、将来的にはこのピッチャーはきっとローテーションに食い込んでくるはずだ。

呉念庭選手、猛打賞&5打点の大暴れ!

さて、一方の打撃陣の方では呉念庭選手の活躍が目覚ましい。今日の試合では4打数3安打5打点という大暴れで、山川穂高選手の不在がまったく感じられない。明日以降、死球を受けた患部の状態次第では、外崎修汰選手の代わりに5番に上がる可能性もあるのではないだろうか。

呉選手は数年前に一度レギュラーを取り掛けた時期もあったのだが、しかしその時は残念ながらチャンスを活かすことができなかった。だが今季は違う。まず数年前と比べると今季はよくバットを振れている。バットをしっかりと振り抜いているために、ジャストミートしていなくても打球が内野手の頭を超えていく。このあたりの振り方に関しては、若林選手や岸選手に今最も足りていない部分だと言えるだろう。

呉選手には今後も目先の結果に一喜一憂することなく、とにかくしっかりと自分のスウィングをし続けることで好調を維持してもらいたい。ここに来て外崎選手の死球もあり、主力に怪我人が続出しているライオンズだが、これをチャンスだと目の色を変えて、まだレギュラーになり切れていない選手たちには一気にレギュラーを掴みに行って欲しい!

20210402.jpg 20210402.jpg

1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
西武 0 0 4 0 2 0 0 0 0 6 12 0
ソフトバンク 0 0 0 0 0 2 0 0 0 2 5 0

【継投】
髙橋光成増田達至

【ホームラン】
中村剛也(1号)

観衆:9,404人、試合時間:2時間48分

球速にはこだわらず、絶妙な制球力を見せてくれた髙橋光成投手

今季ホークスとの初戦、先発マウンドに登ったのは開幕投手を務めている髙橋光成投手だった。PayPayドームは投げやすいと本人も話しているように、素晴らしいピッチングを見せてくれた。立ち上がりこそ二者連続で3-2となり、初回から球数が気になる状態ではあったが、3人目以降は今日のストライクゾーンにアジャストできたかのように良いボールを連発し、8回を投げて110球、被安打4、奪三振8、失点2という本当に素晴らしいピッチングを披露してくれた。

決して甘いボールがなかった訳ではないのだが、しかし自信を持ってボールを投げられている影響なのだろう、ホークス打線が髙橋投手に対しなかなか合わせていくことができなかった。そうこうしているうちに4者連続三振などでどんどんアウトカウントを増やしていった。そしてそのエースのピッチングに応えるように打線も奮起し、3回には中村剛也選手のスリーランホームランなどで一気に4点を先制。この先制点により、髙橋投手もさらに楽に投げられるようなった。

実はシーズンオフ、髙橋投手は球速に対するこだわりを見せていた。そのため筆者はそれを心配する記事を書いたわけだが、その心配は杞憂に過ぎなかったようだ。もちろん今夜も150kmを超える速球を投げ込んでいたわけだが、この球速は髙橋投手にとっては普通の速度だと言える。本当に力みなく、球速よりも制球力と変化によってホークス打線を翻弄していった。

数年前までは荒れ球が代名詞だったとも言える髙橋投手だが、今季の制球力は非常に良い。今日の試合でも絶妙なところにストレートと変化球を決めており、連続で見逃し三振を奪うシーンも見せてくれた。バッターが手も足も出なかったという意味では、見逃し三振こそが最高の奪三振だだと言える。

6回に関しては一死から連続四球を出し、その二人を生還させてしまったわけだが、髙橋投手自身この6回を勝負どころと踏まえていたはずだ。この6回を三者凡退で抑えられれば、7回は走者がない状態でクリーンナップとの勝負に集中できると考えたはずだ。だがその6回で少し大事に行き過ぎてしまい、5回までに見せていた大胆さと絶妙な制球力が少し見えなくなってしまった。その結果2点を失ってしまった。だがそこからバタバタと崩れることなく、しっかりと立て直したところはさすがは開幕投手だ。

今日も好投している涌井秀章投手が去って以来、ライオンズには絶対的エースの存在がなかった。だがここに来て、ようやく宿敵相手に白星を挙げられる投手が育ってきた。その髙橋投手だが、何と今日ホークスから勝ち星を挙げてホークス戦自身7連勝となった。ライオンズでホークス相手に7連勝を記録したのは、1999〜2000年の石井貴投手以来だと言う。

良いピッチングを続けている限り髪を伸ばし続けると話している髙橋投手だが、このまま肩まで届くくらい髪を伸ばし続けてもらいたい。吉田拓郎さんの歌のように。

山川穂高選手の不在を感じさせない中村剛也選手の存在感

一方打つ方では主砲山川穂高選手を欠いているわけだが、その不在の穴がまったく感じられない破壊力を見せてくれた。以前もそうであったように、山川選手不在時に4番に座る中村剛也選手の存在感と集中力が物凄い。甘い球を見逃すことはないし、空振りをした時もしっかりと自分のスウィングをして空振りをしている。

2打席目ではスリーランホームランで今季6試合目で7打点目を挙げたわけだが、3打席目のレフトフライもホームランになっていたとしても不思議ではないバッティングだった。2打席目同様に初球の甘いボールを振っていったのだが、僅かにバットがボールの下に入り過ぎてしまった。その分打球が上がり過ぎてしまいレフトフライで終わってしまったのだが、もしバットがあと1mmボールの上に入っていたら、3打席目もホームランになっていただろう。おそらく中村選手自身もそのようなミスショットだと感じていたはずだ。打った瞬間に非常に悔しそうな表情を見せている。

それにしても中村剛也選手は凄い。今季20年目で38歳となるシーズンなのだが、4番としてまったく不足のない活躍を見せてくれている。栗山巧選手こそキャンプ中に追い込み過ぎた影響が出てしまったのか、現在は下半身の張りで登録抹消となっているが、しかし張りが出るまではオープン戦から開幕戦までしっかりとヒットを打ち続けていた。

チームが優勝するためには、必ずベテランの力が必要になる。このふたりが元気なプレーを見せ続けていれば、若い選手たちが力を抜くわけにはいかない。その相乗効果も期待できるのが、中村・栗山両ベテラン選手の活躍というわけだ。

まだ1軍レベルのスピードに付いて行けていない若林楽人選手

さて、そろそろプロ初ヒットを打たせてあげたい若林楽人選手だが、1軍レベルのプロのスピードにまだ付いて行けていないのかな、という印象だ。今夜の打席でもやはり150km前後のストレートに完全に振り遅れてしまっているし、コンタクトした際でもバットが押し戻されてしまっているように見える。

ただ、細身ではあるが芯が細い選手ではない。例えばライオンズで言えばかつての小関竜也選手や赤田将吾選手のように、プロのスピードに慣れれば打率3割弱を打てる打者にはすぐにでもなれるのではないだろうか。そのためにも外国人打者が試合に出られるようになるまでの間は、もう少し我慢して1軍の打席を経験させてあげて欲しいなと個人的には思っている。

外野手の層がやや薄いチーム事情もあり、多少打てなくても若林選手がすぐに2軍降格させられるということはないと思うのだが、しかしそのチャンスもレフトも守れるスパンジェンバーグ選手が1軍に合流するまでということにはなるだろう。だからこそそれまでの間に1球でも多く1軍レベルのボールを体感できる機会を与えてあげて欲しい。

3連戦を少し楽な戦いにしてくれる初戦の勝利

さて、今夜勝ったことでライオンズとしては土日であと1つ勝てれば良いという気持ちで試合に挑めるようになった。もちろん現実問題としては3連戦3連勝してもらいたいわけだが、ホークス戦はそこまで甘い戦いではない。だがそこでホークスアレルギーを再発させてしまうよりは、まずは土日であと1勝というリラックスしたムードで残り2試合を戦ってもらいたい。そうすれば自ずと良い結果もついてくるはずだ。

そしてチームをリラックスさせるためにも重要なのが、明日浜屋将太投手がどれだけリズム良くボールを投げられるか、ということだろう。死球を恐れず、どんどんインサイドを攻めて凡打の山を築き上げてもらいたい。

ホークス戦

2021年2月23日、宮崎で行われたホークス対ライオンズの練習試合。結果的には3-2で敗れてしまったわけだが、収穫のある練習試合だったように思える。まず注目すべきは先発した松本航投手と二番手としてマウンドに登った今井達也投手の仕上がり具合だろう。

変化球を低めに投げ切れなかった松本航投手

松本投手は3イニングスを投げて46球、被安打5、奪三振1、失点2という内容で、決して悪くはなかったが、まだ仕上がってもいないのかな、という内容のピッチングだった。タイミングを外したい緩いボールが高めに入ることも多く、打者の目線の上下を大きくできなかった分被安打が増えてしまったという印象だ。

緩い変化球をもう1個分ずつ低く投げ切ることができれば、力のあるストレートと緩い変化球をそれぞれもっと活かせるようになり、被安打をもう少し減らすことができるだろう。だが3イニングスを投げて四死球がなかったというのは良かったと思う。そして球数も46球という理想な数字でまとめられたのも、これはシーズンに向けて良い調整ができているという一つの目安となるだろう。

いよいよ覚醒か?!素晴らしい投球を見せてくれた今井達也投手

二番手でマウンドに登った今井達也投手の仕上がりは順調そうだ。同じく3イニングスを投げて42球、被安打0、奪三振3、四死球1、失点0というほぼ完璧に近い内容だった。昨季は四球で崩れるパターンも多かった今井投手だが、この試合のピッチングを見る限りでは、昨季感じられていたような迷いが見えなくなったように思う。

昨季はバッターと対戦する前に、どこか自分自身とだけ戦ってしまい一人相撲になってしまう場面もあったわけだが、この試合のピッチングを見る限りでは自信を持って投げているように見えた。昨季のピッチングだけを見れば裏ローテの一番手は松本航投手が有力かとも思われたが、これだけのピッチングを見せられると、辻発彦監督も今井投手の存在を無視するわけにはいかないだろう。

バッティングの内容としては決して良くはなかったブランドン大河選手

バッティングの方では初打席でレフトにツーランホームランを放ったタイシンガー・ブランドン大河選手が注目されているが、筆者個人としてはまだそれほど高い評価はしていない。と言うと失礼に当たるわけだが、安心して開幕サードを任せられるだけの内容ではなかったように見える。

ホームランを打ったボールは内角高めの甘いボールで、力一杯引っ張るにはもってこいのコースだった。もちろんその甘いボールをしっかりと仕留めたブランドン選手は見事だったわけだが、しかし全体の内容としてはまだまだだったと思う。2打席目はピッチャーに打たされた感じの浅いセンターフライで、3〜4打席目は共に三振に倒れている。

「打率は低いけど意外性の一発がある」という打者としてはすでに木村文紀選手の存在があり、9人の打者を一本の線として繋いでいくためにはこのタイプの打者を打線に2人入れるのは避けたいところだ。

そう考えるとブランドン選手の役割は今はたまに打つ長打ではなく、簡単には三振をせず、アウトになったとしても相手投手に球数を投げさせられる粘り強さだ。そのような粘り強さが見えてきて、アウトになったとしてもチームに貢献できるバッティングの内容になってくれば、ルーキーとして開幕サードの座を手にすることもできるかもしれない。だが現段階ではブランドン選手に開幕サードの座を確約するには時期尚早だろう。とは言え大きな期待を抱かせてくれるルーキーであることに違いはない!

ライオンズの場合はまだ試合の勝ち負けよりも投打の内容が重要な時期

ライオンズは毎年、他球団と比べるとこの時期の実戦が少ないわけで、この時期の勝ち負けはそれほど気にする必要はないだろう。ライオンズというチームは伝統的に開幕戦にピークを持っていくというキャンプからオープン戦の過ごし方をする。

そういう意味でもライオンズがオープン戦で好成績を残すことは少ないわけだが、だからこそ重要なのは勝ち負けよりも内容ということになる。ブランドン選手にしても、仮に3〜4打席目で2三振することなく、何かチームに勇気を与える内容のあるアウトへのなり方をしていれば、例え同じ4打数1安打だったとしても、辻監督の評価はもっと上がっていたかもしれない。

ただ、中村剛也選手が開幕に間に合うかどうかが微妙で、スパンジェンバーグ選手の来日目処も立っていない。このような状況もあるため、もう少しプロレベルの野球に慣れさせるという意味でも、ブランドン選手は多少結果が伴わなくてもしばらくは練習試合やオープン戦での起用が続くだろう。

しかし外野に挑戦するなど、なりふり構わず出場機会を狙っている山野辺翔選手の存在もあるため、守備も打撃も荒いままの状態が続けば、山野辺選手が開幕戦でサードの守備に就く可能性もあるはずだ。

いずれにしてもサードとレフトに関してはしばらくはサバイバルが続きそうだ。この熾烈なポジション争いの中でブランドン選手がなお頭一歩リードし続けることができれば、開幕戦は代役などではなく、歴とした正三塁手としてブランドン選手の名がオーダー表に認められることになるだろう。