タグ「ブランドン」が付けられているもの

高木渉

チームより個を優先している山川穂高選手

筆者はかねてより、早く次世代の四番打者を育成した方がいいという旨の記事を書いてきた。現時点においての四番打者はもちろん山川穂高選手なのだが、山川選手はチームを勝たせられる四番打者ではないと思うのだ。そして年齢的にもこれからは下り坂という年代へと入っていく。つまりここから山川選手が飛躍的にレベルアップすることは考えにくい。

確かにホームランを打てるというのは素晴らしい能力ではあるが、打率を残すことはできず、得点圏での打率も四番打者としては相応しくはない数字だ。そして打点に関しても、ここまで39本塁打の割には86打点に留まっている。もちろん86打点も素晴らしい数字ではあるのだが、四番打者ということになれば話は別だ。

ただしライオンズは長年1番打者を固定することができず、それにより山川選手の前に多くのチャンスを作れないという事情もある。東京ヤクルトスワローズの村上宗隆選手と比較をすると、得点圏での打席は村上選手の175打席に対し、山川選手は131打席となっている。ここに出場試合数という要素を加えると、村上選手は1試合あたり1.3打席の得点圏での打席があり、山川選手は1試合で平均1打席となっている。このような事情もあり、山川選手の打点が思うようには伸びていないのだが、しかし得点圏打率は村上選手の.353に対し、山川選手は.283となっている。

.283という数字は、四番打者の得点圏打率としては非常に低い数字であり、通算打率だったとしても四番打者としては物足りない数字だ。つまり山川選手は調子が良い時に当たればスタンドまで運ぶパワーはあるのだが、調子が落ち始めると本当に打てなくなってしまうという、好不調の波が非常に大きいのが特徴なのだ。

四番打者というのは、自分自身の調子が悪くてもチームを勝たせられる打撃をしなければならない。だが山川選手は「自分が打てばチームは勝つ」と公言しており、チームバッティングよりも自らのホームラン数を優先した発言を繰り返して来た。筆者個人としては、この考え方では真の四番打者にはなれないと思っている。

もちろんアレックス・カブレラ選手のように、.300以上の打率を残しながら50本前後のホームランを打っていれば話は別だ。だが山川選手は1軍に定着して以降、年間を通して安定した打率を残したシーズンはない。必ず調子が良い時期と大不振に陥る時期があり、過去には幾度となく四番の座を中村剛也選手に返上している。

チーム内で抑えが利いていない山川穂高選手

山川選手と中村剛也選手の違いは、個人を優先しているかチームを優先しているかにある。山川選手は全打席でホームラン狙いを公言しているが、中村選手の場合は無理にホームランを打たなくても良い場面では犠牲フライを狙ったり、軽打をする姿を頻繁に見せてくれる。この姿勢はまさに無冠の帝王とも呼ばれた清原和博選手の系譜に繋がる。

清原和博選手は主要打撃タイトルこそ取れなかったが、しかしチームバッティングを徹底したことにより、ホームランを打たなくてもチームを勝たせることができる四番打者だった。もし清原選手がライオンズ時代にチームより個を優先していたら、何度もホームラン王に輝いていただろう。

しかしその清原選手も黄金時代の先輩選手たちが次々とライオンズを去っていってしまうと、徐々にチームで孤立し始めてしまった。東尾修監督が就任した頃にはまさにそれが顕著となり、チーム内でも浮いた存在となってしまったのだ。東尾監督もそれを危惧していたのだが、最終的には清原選手もライオンズを去ってしまうことになる。

例えば石毛宏典選手や秋山幸二選手がいた頃というのは、彼らが抑えになることで清原選手もチームバッティングを優先せざるを得なかった。だが抑えとなっていた先輩が次々とチームを去り、抑えが利かなくなると、清原選手は徐々に個に走るようになってしまった。ただ、それでも東尾修監督の存在があることで、清原選手も完全に個を優先する選手に堕ちてしまうことはなかったのだが。

では山川選手の場合はどうなのだろうか?中村剛也選手、栗山巧選手という抑えになってくれそうな先輩選手はいるわけだが、このふたりは言葉でチームを引っ張るタイプではなく、背中で引っ張るタイプだ。石毛宏典選手のように言うべきことは言う、というタイプの選手ではない。

また、中村選手にとっての江藤智選手、デーブ大久保コーチのような存在、清原選手にとっての石毛宏典選手や土井正博コーチ、伊原春樹コーチのような存在が、山川選手にはいないように見えるのは筆者だけだろうか。

中村選手はデーブ大久保コーチの責任下で「ホームランを打てるんだからいくら三振してもいい」と伸び伸び打たせてもらうことで才能を伸ばし、そしてベンチでは江藤智選手によって四番道を教え込まれた。

清原選手にしても技術は土井コーチに叩き込まれ、そして少し調子に乗った姿を見せると伊原コーチから雷を落とされていた。そして石毛宏典選手という天性のリーダーがいたことで、どんな状況でも「チームのために打つ」という姿勢を貫いた。

しかし山川選手にはそのような存在の先輩やコーチがいないように筆者の目には映っているのだ。技術に関しては山川選手は自己流を貫くタイプだし、山川選手を抑えられるような先輩の存在の姿も感じられない。もしそのような存在があれば、山川選手も個を優先するような発言などしないはずだ。

山川選手の「自分が打てばチームは勝てる」という発言は、裏を返せば「自分が打てなきゃチームは勝てない」という意味になる。だが四番打者はこれではいけない。自分自身が不調であっても犠牲フライ、進塁打、盗塁の補助、軽打などによってチームを勝利に導かなければならない。だが山川選手はそのような姿を見せたことはない。山川選手は常々公言しているように、全打席でホームランを狙っているのだ。

全打席でホームランを狙うという山川選手の言葉を聞き、落合博満氏でさえも「自分にはできない」というコメントをされていた。だがこの言葉はかなりオブラートに包まれており、実際には「自分ならやらない」が落合博満氏としては本音ではなかっただろうか。

ライオンズの次世代四番打者は一体誰?!

ライオンズはこの先1〜2年で次世代の四番打者を登場させなければならないわけだが、その際には今のうちからメンタル教育もしておくべきだ。ホームランを打てばいい、というのが四番打者ではなく、調子が良かろうが悪かろうがチームの勝利のために尽くすという考え方を教え込まなければならない。

山川選手のバッティングを見ていると、まるでメジャーリーガーの考え方なのだ。だがメジャーリーガーのレベルはパ・リーグとは次元が違う。メジャー球団の1〜9番打者は、誰もが日本では4番を打てるレベルの打者たちだ。そんな打者たちの上に立っているのがメジャーで3〜4番を打つ打者たちであり、次元が異なるそのようなレベルであれば、山川選手のような考え方でも通用するだろう。

例えばヤンキースのジャッジ選手は今季ここまで打率は.314で60本塁打をマークし、打点は128という数字だ。しかし山川選手はメジャーリーグよりも個々のレベルは遥かに低いパ・リーグであっても、これに近い数字を残すことはできていない。だからこそ筆者は山川選手にはもう少しチームバッティングというものを考えてもらいたいのだ。山川選手が行っているのは野球ではなくてベースボールであるため、ベースボールではなく野球をしている他の選手たちとなかなかプレーで繋がることができず、現在のライオンズ打線は線としてほとんど機能していないのだ。

次世代の四番候補としては今後やってくるであろう外国人選手の除けば、ブランドン選手、高木渉選手あたりが候補になってくるのではないだろうか。大砲という意味では渡部健人選手もホームランを打つことはできるが、如何せん打率がファームでも1割台と低過ぎる。

個人的には次世代の四番打者としてブランド選手に期待を寄せている。ブランドン選手は若林楽人選手と仲が良く、共に1軍にいた際にはお互いに協力し、切磋琢磨して腕を磨いていった。この関係はまさに中村剛也選手と栗山巧選手の関係によく似ており、このようなチームメイト同士の連携によって打線を繋げていくことができる。

筆者個人としては、若林選手に2番を打たせて野球を学ばせ、そして中村選手が引退を迎える前にブランドン選手に3番、もしくは5〜6番を打たせて、中村選手から四番道を学ぶことができる環境を作ってあげて欲しい。

そして育成出身の高木渉選手に関しても、かつて伊東勤監督が中島裕之選手を7番に固定して上手く育成したように、1軍の下位打線を打たせて場数を踏ませ、1軍レベルのボールにもっと慣れるためのチャンスを与えてもらいたい。そうすれば1軍でも徐々に結果を残していけるだけのレベルにある選手だと筆者は考えている。

筆者が考える2023年のライオンズ打線

本来であれば平石洋介打撃コーチが山川選手に四番打者としての考え方を叩き込まなければならないわけだが、すでに打者として完成しつつある山川選手、そしてライオンズ一年目の平石コーチということを考えると、平石コーチもまだチームに馴染むことが必要な段階で、なかなか山川選手ら主力に強いことを言えるきっかけを掴めなかったのではないだろうか。

だが次世代のブランドン選手、高木選手、渡部選手となれば話は別だ。今オフ以降では、平石コーチもどんどん彼らに四番道を叩き込んでいけると思う。平石コーチ自身はもちろん現役時代には四番打者ではなかった。しかしイーグルスの監督・コーチ、ホークスのコーチとして数々の四番打者の指導を任されてきた。その経験を来季以降はもっと活かしてもらいたい。

山川選手のように個を優先するようなコメントをしてしまう四番打者ではなく、常にチームの勝利を優先したコメントをし、チームバッティングが必要な場面ではチームバッティングに徹することができる四番打者を育成してもらいたい。そうすれば繋がらない時はまったく繋がらない現状の山賊打線のようなことにはならず、誰かが調子が悪くても他の誰かが繋いでカバーしてくれる、まさに線として、輪として繋がっていく打線を作っていけるはずだ。

例えば筆者ならこんな打順を組んで繋がりを生み出していきたい。
※ 近藤選手をFAで獲得した前提
1番 近藤健介選手 or 金子侑司選手(左)
2番 若林楽人選手(中)
3番 ブランドン選手(三)
4番 新外国人選手(DH)
5番 森友哉捕手(捕)
6番 山川穂高選手(一)
7番 外崎修汰選手(二)
8番 高木渉選手(右)
9番 源田壮亮主将(遊)
ここに左右の代打として栗山選手と中村選手が控えていれば、打線としては繋がりも厚みも出していけると思う。山川選手に関しても四番打者としての重責は負わせずに、6番で打率.250くらいで40本塁打くらいを自由に打ってもらえばいいのではないだろうか。

今季は愛斗選手や呉念庭選手に多くのチャンスが与えられてきたわけだが、ポジションを勝ち取ったというわけではなく、他にいないから起用されていた、という印象の方が強い成績となっている。

そして上述の打線のポイントは2番3番コンビだ。コンビネーションを取れるこのふたりを並べることにより、打線の繋がりを良くする狙いがある。

そして源田主将に関しては2番という制約の多い打順ではなく、9番を打たせることによってキャリア初の3割を打たせてあげられるのではないだろうか。逆に若林選手は2番という打順で野球を学ばせ、栗山選手のようなクレバーな選手になってもらいたい。

そして外崎選手のセカンドに関しては、ここは呉念庭選手らがどんどんプレッシャーをかけていけば良いと思う。そうすれば外崎選手のお尻にも火が着くし、呉念庭選手らにとっても下から突き上げる存在となることで、さらなるレベルアップの必要性をもっと感じてもらえると思う。

辻発彦監督にはもう少し威厳が必要だった

とにかくライオンズ打線には近年はまったく繋がりがない。これは辻発彦監督が主力選手には好きにプレーをさせていたツケだと思う。

辻監督はもう少し参謀タイプの知将になるのかなと思っていたが、選手とはとてもフレンドリーであまり威厳を感じられない監督だった。やはり監督には威厳は必要だと思う。選手にイジられるような軽い存在であってはならない。威厳があるからこそ選手たちも「この監督に付いて行けば勝てる!」と思うようになり、監督の意図も選手に伝わりやすくなる。そして監督の意図をしっかりと選手たちが理解できるようになると、それは大人のチームと呼ばれるようになり、安定して勝てるようになる。

選手に対し寛容になるのは必要なことだ。しかし寛容であっても、笑顔を見せても、監督としての威厳を失ってはいけない。そしてそれと同時に、監督をイジるべきではないということが分からない若手選手もライオンズには少なからずいる。このようなチームには締まりが生まれず、どこか歯車が一つ狂っただけでガタガタと崩れていってしまうケースが多い。

選手の調子が良い時、歯車が噛み合った時に勝てるのは当たり前のことだ。そんなのは万年最下位チームであっても同じことであり、しかしそれでは日本一になることなどできはしない。ライオンズが日本一になるためには調子が良い時、歯車が噛み合った時は当たり前のように勝ち、調子が落ちたり歯車が多少崩れたりしても、チームが一丸となって戦い、その苦しい時期を全員野球で乗り切ることができるチームに生まれ変わる必要がある。

例えばスワローズにしても、ホークスにしても、今季はライオンズ以上のコロナ禍に見舞われた。しかし一丸となれる大人のチームであるため、それでもスワローズは優勝し、ホークスもバファローズとの熾烈な優勝争いを演じている。

ライオンズベンチには、どこか緊張感が足りていないように筆者はもう何年も感じ続けている。だが仮に来季は松井稼頭央新監督ということになるのであれば、松井監督にはもっと緊張感のある中で選手たちにはプレーさせてもらいたい。東尾野球、伊原野球、星野野球、メジャーリーグを経験してきた松井稼頭央現ヘッドコーチであれば、きっとチームの作り方を間違えずに上手くマネジメントしてくれると思う。

もちろんそんなマネジメントを辻監督にも求めていたわけだが、しかし辻監督はそのマネジメントには失敗しているように筆者には見えている。辻監督は良い人であり良い監督であったと思うが、結論としては名将ではなかったと思う。

辻発彦監督は名将なのか?それとも日本一にはなれない監督なのか?!

3位を確定するためにはもう1敗も許されないライオンズ

2位バファローズとのゲーム差は4となっており、バファローズの残り試合は3試合、ライオンズは4試合だ。ということは仮にバファローズが3連敗し、ライオンズが4連勝したとしてもゲーム差は3.5しか縮まらず、ライオンズが2位になることは不可能だ。

ライオンズは現在イーグルスとの3位争いをしているわけだが、4位イーグルスとの差は0.5で、イーグルスの残り試合はライオンズよりも1つ多い5試合。

ライオンズが残り4試合すべてに勝つと勝率は.521となり、イーグルスが残り5試合すべてに勝つと勝率は同じく.521となる。この場合は当該球団同士の対戦成績により順位が決まるため、現時点で14勝9敗とイーグルスに勝ち越しているライオンズがCS進出となる。ただしライオンズとイーグルスの直接対決が1試合残っているため、最終的に五分になることは考えにくいが、ライオンズが残り4試合で1敗でもしてしまえば、残り試合が少ないライオンズの方が圧倒的不利になる。

つまり3位確定までのマジックナンバーを点灯させることができない現状では、ライオンズはとにかく4戦4勝するしかなく、次の1敗が致命傷となってしまうのだ。

もちろんライオンズにCSに出てもらいたいわけだが、この最後の4試合は本当に厳しい戦いとなるだろう。何せ相手は優勝争い中のホークスが2試合、そしてイーグルスとの直接対決が1試合なのだから(最終戦はファイターズ戦)。

だがそんな苦しい残り4試合であっても、何とか最後の最後でチームを一つにし、個々で相手にぶつかっていくのではなく、一丸となってホークスとイーグルスに獅子の牙を剥いていって欲しい。そうすれば4戦4勝という結果も自ずと見えてくるはずだ!

ブランドン

ブランドン選手と渡部健人選手のフォームの相違点

ライオンズはそろそろ次世代の4番打者を育成していく必要がある。メディアの上ではその急先鋒は今季ファームで二冠に輝いた渡部健人選手であるようだが、筆者はそうは考えていない。

筆者が次世代の4番打者として推したいのはブランドン選手だ。しかし現時点でのブランドン選手の数字を見ていくと、ファームでも得点圏打率は.234とチャンスでは振るわず、2軍コーチが自信を持って1軍に推薦できる数字ではなかった。にも関わらず筆者がブランドン選手を次世代の4番打者として推したい理由は、そのバッティングフォームにある。

ブランドン選手のバッティングフォームは、まだ完成度は高くないとは言え、ステイバックであると言える。ステイバックで打っているバッターは真横から見ると、インパクト時の体の形が直角三角形に見えるのが特徴なのだが、ブランドン選手はそうなっていることが多いのだ。

一方渡部健人選手はステイバックであるとは言い難く、真横から見ると二等辺三角形に見えるスウィングが多い。それはファームでホームランを打っている際のフォームでも同様だ。

ステイバックに関して詳しく説明すると膨大な時間がかかってしまうため割愛するが、もしご興味があれば筆者監修のオンデマンド野球塾のステイバック特集ページでご確認いただければ幸いです。

ブランドン選手のステイバックはまだ完成形ではないのだが、これから習熟度を上げていければ、メジャーリーガーのような完成度の高いステイバックでホームランを連発していくこともできるだろう。

ステイバックで打てるようになると、正確性を失うことなく長打力をアップさせることができる。つまり柳田悠岐選手のように、高い打率でホームランも量産できるバッターになれる可能性を、ブランドン選手は秘めているのだ。

そしてもう一点ブランドン選手と渡部健人選手とで大きく異なるのはテイクバックだ。渡部選手はグリップをあらかじめ深いところに置いておき、そこから上半身のパワーで振っていく。一方ブランドン選手は頭とグリップの距離を遠ざけながらラギングバック(いわゆる割れのこと)を上手く活用してスウィング速度を上げている。

渡部選手のようなテイクバックだと、少しでもタイミングを外されるとそこから対応し直すことができなくなる。だがブランドン選手のようなテイクバックができると、多少タイミングを外されてもそこから対応し直すことができるのだ。専門的に話すと難しくなってしまうため簡潔に言うと、泳ぎにくくなる、ということだ。

ブランドン選手のようにステイバック打法でラギングバックを上手く使えると、打つポイントを自然と体の近くに持って来れるようになり、バッティングの正確性を飛躍的に向上させることができる。

ではなぜ今季のブランドン選手はそれでも1軍ではレギュラー並みの活躍ができなかったのか?その理由はまず、ステイバックの完成度がまだプロレベルではないという点と、1軍レベルの配球に付いて行けなかったという主に2点を挙げることができる。

ステイバックに関しては、この先また1〜2年かけて習熟度を上げていけば良いと思うし、1軍レベルの配球に関しても、1軍の試合でしっかりとノートを使って各バッテリーの配球を学んでいけば、すぐに数字は上がり始めるだろう。

ブランドン選手に重なるカブレラ選手のイメージ

ファームでの成績を見ると渡部選手は90試合で打率.228(得点圏.310)、19本塁打で、ブランドン選手は66試合で打率.273(得点圏.234)、10本塁打と、打率と本塁打数の両方を見るとほとんど互角だったと言える。

だが実際のパフォーマンスで見ていくと、ブランドン選手は1軍レベルの球速や変化球にもルーキーイヤーからある程度は付いて行けてたのに対し、渡部選手はそれに付いていくことができなかった。それがブランドン選手が1軍で32試合、渡部選手が6試合という差になって表れた。

もしブランドン選手の熱中症による登録抹消や、若林楽人選手の前十字靭帯の大怪我がなければ、もしかしたらこの2人が今季のライオンズ打線を牽引していた可能性だってあっただろう。そして今季に関してはこれが「たられば」になってしまうわけだが、来季に関してはそうはならないと多くのライオンズファンが確信しているはずだ。

筆者が思い描くブランドン選手の将来像はアレックス・カブレラ選手のような姿だ。中村剛也選手のようにアオダモのバットをしならせ、ボールにバックスピンをかけて打つホームランではなく、メープルやハードメープルを金属バットのように振り抜き、無回転に近い弾丸ライナーのホームランを打つイメージだ。

今季ブランドン選手がどのようなバットを使っていたのかは分からない。だが打者としてのタイプを見るとアオダモやバーチ、ホワイトアッシュではなく、メープルやハードメイプルが合っているように見える。

ちなみにアレックス・カブレラ選手ももちろんステイバックで打っていたため、高い打率でホームランを量産することができた。そして当時まだ日本にはほとんど入って来ていなかったステイバックという技術を、カブレラ選手のフォームの中でブラッシュアップしていったのが金森栄治コーチだった。ちなみに金森コーチは来季2022年はイーグルスの育成打撃コーチを務めるようだ。

金森コーチは2001〜2002年、つまり今から20年前にライオンズの打撃コーチを務めていたのだが、2002年オフに金森コーチがライオンズを去ることになった時、金森コーチを慕っていたカブレラ選手がその退団に大反対をしたというエピソードが残っている。

渡部選手よりも四球が多く、長打率が高いブランドン選手

ブランドン選手はカブレラ選手のようなスラッガーになれる資質を持っていると筆者は見ている。もちろんカブレラ選手のように55本もホームランを打つことは並大抵のことではないわけだが、しかし3割40本というラインを越えていくことはできるバッターだと思う。

その根拠が上述したステイバックとテイクバックの形にあるわけだが、来季のブランドン選手はもしかしたら開幕サードの座を射止めるのではないだろうか。中村剛也選手をDHに追いやるだけの能力がブランドン選手には備わっていると思う。

1年目はただ我武者羅にプレーをしていたブランドン選手だったと思うが、2年目はプロの水にも慣れ、もっと泰然と落ち着いたプレーを見せられるようになるのではないだろうか。

そして今季は一時消極的なスウィングを見せたこともあったブランドン選手だが、これは選球眼の良さが仇となってしまった結果だと言える。ブランドン選手はボールをよく見ることができるバッターで、ファームでは247打席立ち22四球(8.9%)だった。ちなみに渡部選手はファームで347打席立ち27四球(7.7%)だった。

消極的になっていた時のブランドン選手はファーストストライクを見逃したりミスショットし、カウントを悪くしてからウィニングショットで簡単い打ち取られるケースが多かった。だが来季は同じ失敗はしないだろう。ファーストストライクを積極的に振っていき、空振りをした時でさえ、バッテリーを恐れさせるような見事な空振りを見せてくれるはずだ。

ブランドン選手本人は現在は打率にこだわっているようだが、しかし来季は1軍でたくさんのホームランを見せてくれるはずだ。今季ファームでの長打率を見ても、渡部選手の.466に対し、ブランドン選手は.481だった。ブランドン選手にはこの長打率を、高い打率を維持しながら.600、.700というカブレラ選手のレベルに少しずつ近付けていってもらいたい。

そう遠くはないであろうドラフト6位が1位を上回る日

ライオンズには体重と長打力を直結させて考えているバッターが二人いる。山川穂高選手と渡部健人選手だ。中村剛也選手は違う。編成部の潮崎哲也ディレクターが「だんご三兄弟」と呼ぶこの三人だが、中村選手に関しては筋の通った技術が身に付いている打者で、仮に細身だったとしてもホームランを打つことができただろう。

ブランドン選手には体重ではなく、中村選手やカブレラ選手のように技術でホームランを打つバッターになってもらいたい。そしてカブレラ選手にとっての金森コーチのように、中村選手にとっての熊澤コーチのように、ブランドン選手も確かな理論を持っているコーチの指導を仰いで欲しい。

ステイバックに関しては栗山巧選手や中村剛也選手に教わることもできるだろう。この二人のベテランは熊澤コーチやデーブ大久保コーチという理論派コーチたちの指導を受けているため、バッティングフォームを分解して見ていってもそのフォームが本当に理に適っていて美しい。ブランドン選手も将来的には、このベテラン二人のフォームのような、アートレベルのアーチストになっていってもらいたい。

さて、今回の記事では渡部選手よりもブランドン選手の方が上である、という流れで書いて来たが、しかしこれは渡部選手がブランドン選手に及ばないという意味ではない。ブランドン選手という同期が1軍で活躍することで、渡部選手も1軍で活躍するためには何が必要なのかを知るようになるはずだ。

そしてこの同期二人がライバル関係となり、1軍で競演するようになれば、近い将来訪れる打線の世代交代もスムーズに進んでいくはずだ。渡辺久信GMも、きっとそこまで将来をイメージしながら2020年は野手を多めにドラフト指名したのだろう。

いずれにしても2月1日には、ブランドン選手は一回りも二回りもレベルアップして春季キャンプに臨むはずだ。2020年のドラフト6位のブランドン選手が、同1位の渡部選手を凌ぐ活躍を見せるというのも、プロ野球の醍醐味だと思う。

ブランドン選手にはドラフト1位だった渡部選手よりも多くの生涯年俸を稼ぐ選手になってもらいたい。そして渡部千sにゅにも追い抜かれないように頑張ってもらいたい。このオフの契約更改では渡部選手は現状維持の推定1,600万円、ブランドン選手は200万円アップの推定900万円だった。1年後にこれが逆転していたとしたら、ドラフト戦略というのは本当に面白いものだと、我々ファンは改めて実感することになるのだろう。

20210330.jpg

1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
西武 2 2 0 0 3 0 0 2 2 11 15 1
日本ハム 0 0 0 2 1 0 0 1 0 4 8 0

【継投】
松本航〜伊藤翔〜佐野泰雄〜宮川哲〜吉川光夫

【ホームラン】
山川穂高(1号)、ブランドン(1号)

観衆:20,569人

途中から変化球に頼りすぎてしまった松本航投手

ファイターズとの初戦、札幌ドームの先発マウンドに登ったのは松本航投手だった。初回の立ち上がりから3回にかけてのピッチングは素晴らしかったと思う。森友哉捕手の好リードにも支えられ、打者に的を絞らせないピッチングを続けていた。ストレートがかなり走っていたように見えたのだが、森捕手も同意見だったと思う。だからこそ立ち上がりはどんどんストレートで攻めていったのだろう。

だが点を取られる4回以降になると、ポイントとなるボールで変化球を選ぶケースが増えていった。恐らく1〜3回まではストレート勝負で、4〜6回は逆に変化球勝負という形にし、松本投手ひとりで先発とリリーフをこなす形にしたかったのだと思う。だがその変化球をファイターズ打線に狙われてしまった。

5回に浴びた連打も、フォークボールが良い高さに行っていたように見えた。あとボール1個分低くても良さそうには見えたが、しかしそれでも良いフォークボールを投げていたと思う。だがそのフォークボールを狙われて連打を浴びてしまったのは、勝負どころで変化球が来ることをファイターズ打線に読まれてしまったからだろう。

そして変化球で崩れ始めると、ストレートも序盤のように良いところに決まらないことが増え始めて、結果的には5回0/3でマウンドを伊藤翔投手に譲ってしまった。今季初登板で力みもあったと思うのだが、序盤が良かっただけに、その勢いのまま行っても良かったのかな、というのは結果論でしかない。

だがとにかく3-7とリードを守ったままマウンドを降りたというのは、最低限の役割は果たしたと言えるのかもしれない。とは言え松本投手は裏ローテの一番手を任されている投手なのだから、QSをクリアして喜んでいるようではいけない。つまり6回3失点だったとしても、松本投手に求められていることを思えば合格点ではないということだ。しかし次回のマウンドではその辺りを修正して、今日以上のピッチングを見せてくれるはずだから期待したい。

見事な火消し役を務めて見せた伊藤翔投手

そして無死二塁一塁というピンチで松本投手のマウンドを引き継いだのは伊藤翔投手だった。松本投手が出してしまったこの2人の走者をすぐにワイルドピッチで三塁二塁に進めてしまったのだが、しかし後続を見事に断って見せた。三人目の打者から3つ目のアウトを三振で奪った際のガッツポーツが印象的だった。

今はブルペン要員としての役割を与えられている伊藤投手だが、このようなナイスピッチングを続けていれば、そう遠くない未来に先発マウンドに立つチャンスが訪れるはずだ。

ホームランを打った直後に左足を痛めてしまった山川穂高選手

バッティングの方では山川穂高選手が心配だ。初回に今季1号となるツーランホームランをライトスタンドに放り込んだのだが、一塁ベースを踏んだ際に左足に痛みが走ったらしく、歩いてホームインした後は守備には就かず、そのままベンチに下がってしまった。

試合中の情報ではベンチ裏でアイシングをしている程度とのことだが、とにかく長引く怪我にならないことを祈るばかりだ。山川選手は、今季はどんなに調子が悪くても40本塁打を打つと明言している。こんなところで休んでしまっては、40本塁打どころか30本塁打さえも危うくなってしまう。そしてチームとしても主砲を欠いた状態で戦うことほど辛いことはない。そうならないためにも、今はとにかく大きな怪我ではないことを祈るしかない。

北海道の地で闘志を燃やすブランドン選手

だが、仮に山川選手がしばらく試合に出られないということになっても、ライオンズにはすでにオプションが用意されている。ブランドン選手が一塁の守備を練習しているはずで、もしもの時はブランドン選手がファーストに入るはずだ。

そのブランドン選手、今日は指名打者としてスタメンに名を連ねたのだが、2回の1打席目で見事なツーランホームランを放ってみせた。打ったのは高めに抜けたチェンジアップだったと思うのだが、その甘い球を1球を仕留めたのは見事だと言う他ない。

しかもブランドン選手はホームランを打った次の打席で送りバントを命じられ、しっかりと走者を送ってみせた。右足を大きく引いた基本に忠実なバントフォームで、プロ初ヒット・初ホームラン・初打点だけではなく、初犠打と初犠飛も決めてみせた。大学時代を過ごした北海道での試合に闘志を燃やしていたブランドン選手だったわけだが、その闘志が結果に繋がって本当に良かったと思う。

ファイターズに連勝して福岡に乗り込みたいライオンズ

ここまでの4試合、ホークスがまったく負けてくれず4戦4勝で首位を守っている。ライオンズはここまで3勝1敗で来ているわけだが、ここで1ゲーム差以上離されるわけにはいかない。万が一でも2ゲーム差、3ゲーム差となってしまったら、シーズン序盤であってもそこからホークスを追撃することは非常に難しい。

金曜日からは福岡の地でホークスとの3連戦を控えている。この3連戦を窮屈な戦いにしないためにも、差は1ゲーム以下、できれば同率にした状態で福岡に乗り込みたい。そしてそのために重要さが増してきたのが明日の5試合目だ。先発マウンドには今井達也投手が登る。明日はホークス戦に向けてチームに勇気を与えるピッチングを今井投手には期待したい!

news-logo2.png

2021年03月10日(水) ドラゴンズvsライオンズオープン戦

1 2 3 4 5 6 7 8 9 R
西武 3 0 7 0 1 3 0 0 0 14
中日 1 0 0 0 0 1 0 0 0 2

継投

今井達也〜上間永遠

ホームラン

若林楽人(1号)、ブランドン(1号)

ルーキーコンビの若林選手・ブランドン選手がアベックホームラン

3月9日、10日と行われた中日戦。ライオンズは山賊打線が爆発して2連勝したわけだが、見た感じではライオンズ打線が素晴らしかったというよりは、ドラゴンズの投手陣があまりにも出来が悪かったように筆者の目には映った。10日に関してはドラゴンズは開幕投手の福谷投手が先発マウンドに登ったわけだが、3回を投げて被安打12、失点10という内容だった。確かに完全に打ち崩したライオンズ打線も素晴らしかったわけだが、しかしこの2試合の打線の爆発が本物であると言い切るには時期尚早だろう。

さて、10日のこの試合でまず注目をしたいのはやはりルーキーコンビだろうか。若林楽人選手ブランドン選手が共にオープン戦1号ホームランを放っている。ドラフト制後、西武のルーキーコンビがオープン戦でアベックホームランを放つのは初めての出来事だったらしい。

若林楽人選手のオープン戦1号ホームラン

まず若林選手のホームランだが、これは完全に福谷投手の失投だ。初球のカーブがど真ん中に入ってきて、まさに「打ってください」と言わんばかりの甘いボールだった。しかし甘いボールだったとはいえ、ルーキーがそれを見逃さずにしっかりと仕留めたことは見事だったと思う。

若林選手は打率こそまだ.105とプロの水に慣れ切ってはいないのだが、しかし守備での貢献度を考えると、打率を1割増として見ても良いのではないだろうか。先日のマリーンズ戦でも正確な送球で二塁打を阻止しているし、球際、フェンス側での強さも発揮している。

若林選手は決してホームランバッターではなく、今日のホームランによって今後もホームランを期待することは酷だと思うのだが、シュアなバッティングは今後の期待感を大きく持たせてくれる。基本的にはレフトの穴を埋められるように頑張っているというのが若林選手の現状であるわけだが、しかし打率.250程度打つことができれば、金子侑司選手からセンターのポジションを奪う可能性だって今後は出てくるだろう。

守備力に関してはもうすでに合格点をもらっていると思う。あとは1軍の打席でどれだけ積極的に自分のスウィングをしていけるかどうかで、開幕1軍、いや、開幕スタメンというポジションも見えてくるだろう。若林選手にはルーキーだからといって遠慮することなく、どんどんポジションを奪いに行ってもらいたい。そして若林選手がこれだけ躍動してくると、金子選手も木村文紀選手もおちおちしていられなくなる。

ブランドン選手のオープン戦1号ホームラン

続いてブランドン選手の一発だが、これも若林選手同様初球打ちだった。打ったのは福投手のど真ん中に入ってきたカットボールだ。134kmという大した球速が出ていないこのレベルのカットボールが真ん中に入ってくれば、打たれるのも当然だ。この1球もやはり失投だったわけだが、しかしその失投を見逃さなかったブランドン選手のバッティングは見事だった。

ブランドン選手は開幕サードを目指して奮闘している。まだまだ打撃にも守備にも荒さがある選手ではあるが、一発の魅力は大きい。しかもそれだけではなく、この試合ではセンター前ヒットも2本放っており、結果的には4打数3安打5打点という暴れぶりだった。

一時期はホームランを打ってもその後消極的に簡単にアウトになってしまうことから、辻発彦監督も苦言を呈すことが多かった。しかし監督のその言葉を素直に受け止めたのだろう。ここ数試合の出場場面を見ていると、ヒットを打っている時はもちろん、アウトになっている時でも積極的なスウィングが増えてきているように見える。

この試合2打席目でのセンター前ヒットも、2球目に顔の近くに来た145kmのストレートを臆せず振りにいってファールにしている。そして続く3球目、真ん中に入ってきたストレートをセンターへと弾き返した。そして9回の5打席目では2球目の真ん中低めのスライダーを再びセンターへと弾き返した。積極的にボールに食らいついていこうという姿勢を強く感じさせてくれた今日のブランドン選手だったと思う。

開幕サードの座は佐藤龍世選手も虎視眈々と狙っているわけだが、しかし現時点でのアピール度はブランドン選手の方がずっと上だと言わざるを得ない。佐藤選手も昨年の汚名返上と行きたい今シーズンではあるが、現時点では多少の活躍だけでは開幕スタメンの座を勝ち取ることはできないだろう。それくらいブランドン選手が非常に良い活躍を見せてくれいている。

開幕ローテーション入りへの期待がかかる上間永遠投手

話は変わって先発した今井達也投手と二番手の上間永遠投手のピッチングも見事だった。今井投手に関してはこれくらいやってもらわなければ困るわけだが、上間投手に関してはここまで期待以上の活躍を見せてくれている。

徳島インディゴソックスからライオンズ入りして2年目の投手であるわけだが、制球力も安定しているし球種も豊富だ。今季は開幕路ローテーションにニール投手が加われない不安も大きかったわけだが、意外とこの上間投手がその穴をサラリと埋めてくれるかもしれない。

球数を見ても今日は4イニングスを投げて61球と、理想的な球数でまとめている。球数を必要以上に増やさず、1イニング当たり15球で抑えられるピッチャーというのは大崩れすることが少ない。逆に球数が増えがちなピッチャーは、昨季は安定感に欠いた今井投手にようにビッグイニングを作ってしまうケースが多い。そういう意味では上間投手はここまで、長いイニングを投げるピッチャーとしては理想的な投球を続けている。

ここまでの流れでは開幕ローテーションに当確していると思われるのは開幕投手の髙橋光成投手、裏ローテの一番手だと思われる松本航投手、そして今日好投した今井投手ということになると思うのだが、もし上間投手があと1〜2試合投げても大崩れしなかったなら、上間投手の名が開幕ローテーションに加わる可能性も非常に高いのではないだろうか。

今季も投手陣に関する下馬評がまぁまぁ低いライオンズであるわけだが、筆者個人としては今年何度も書いてきた通り、今季の投手陣は非常に良い形で仕上がってきていると見ている。選手個々のネームバリューだけを見ればホークスには劣ってしまうわけだが、しかしある程度完成してしまっているホークス投手陣に対し、ライオンズの先発投手陣はまだまだ発展途上にある投手たちばかりだ。つまり現状のホークス投手陣を、ライオンズの投手陣が上回るのも時間の問題であるというのが、筆者の率直な意見だ。

news-logo2.png

2月後半の実戦に入ってからすでに2本塁打を放っているブランドン選手。しかしまだまだ開幕スタメンに近付いたと言うことはできない。そして仮にこれから始まるオープン戦であと3本ホームランを打ったとしても、開幕スタメンを確約されることはないだろう。

今季のライオンズはまず、正三塁手の中村剛也選手が左ふくらはぎを痛めて出遅れている。先日ようやく2軍に合流したわけだが、開幕戦に間に合うかどうかは不透明な状況だ。そして中村選手同様にサードに入ることができるコーリー・スパンジェンバーグ選手も、コロナウィルスの影響でいつ来日できるのかが不透明な状況だ。そのため現時点では、ライオンズの開幕スタメンサードにはポッカリと穴が空いてしまっている。

その座を目指して現在ブランドン選手らが鎬を削っており、現状ではブランドン選手が一番目立っている状況となっている。だが開幕スタメンサードとなると、ブランドン選手もまだまだ厳しい状況にある。今のレベルのままで3月のオープン戦を過ごしたとしても、辻発彦監督は簡単にはブランドン選手の名を開幕戦のオーダー表に書き込むことはないだろう。

確かにここまでの2ホームランは見事だ。特に2本目のライト方向へのホームランは強振することなく、コースに逆らわずに上手くライトスタンドまで運んで行った。まるでかつての清原和博選手のホームランを見ているようだった。だが問題は2ホームラン共に、ホームランを打った後の打席だった。両試合共にホームランを打った後は簡単に三振をしてしまっている。これでは辻監督の言葉通り、プロでやっていくことは難しい。

今ブランドン選手に求められているのは内容のある凡打

今ブランドン選手に求められているのは打率.300という数字ではなく、凡打になった時の内容だ。内容のある凡打であれば次の打席に繋げることもできる。だが内容のない三振ばかりでは、次の打席に対する布石を打つこともできない。

例えば栗山巧選手のように抜群の選球眼を持った選手が見逃し三振をした場合は「栗山がボールだと思って見逃したのなら仕方ないな」と思うこともできる。だがブランドン選手のように内容が求められているルーキーの場合だと「もっとボールに食らい付いていけ!」と思われてしまうだけだ。

例えば外角低めへの良いスライダーを、スライダーを狙ったタイミングで空振り三振したのであれば、これはコーチが外角低めのスライダーを打てるようにするためのアドバイスをすれば済む話だ。だが消極的に見逃されたボールをストライクだと判定されての三振では、コーチ陣にも打つ手がない。そしてそのような内容のない打席が続いてしまえば、当然1軍に居続けることもできなくなる。

ホームランを打った2打席を除くと、ブランドン選手のバッティングの内容はまだまだ1軍レベルではない。もし2ホームラン打っていなければ、オープン戦を前にして2軍に送られていただろう。だが2ホームランしているために、首脳陣も「もう少し様子を見てみよう」という形に留まっている。

開幕スタメンに向けて今ブランドン選手がしなければならないこと

今ブランドン選手がしなければならないのは、頭脳面での強化だ。例えばバッティング技術というものは、ここから開幕までの間に大きく向上させることはできない。だがスコアラーの力を借りて、相手投手の配球パターンを頭に叩き込むことはすぐにでもできる。配球パターンがある程度頭に入っていれば、まったくの予想外となるボールが来ることはまずなくなり、意表をつかれて簡単にストライクを見逃してしまうことも減るはずだ。

他球団からすると、ブランドン選手はまだまだ要注意人物ではない。つまり森友哉捕手山川穂高選手のように相手チームから徹底的にマークされることはまだない。だからこそブランドン選手自身が相手投手をもっと徹底研究すれば、打てるチャンスは森・山川両選手以上に多くなる。

当たり前だが、ブランドン選手が開幕までに森・山川両選手の技術レベルに至ることはできない。だが相手投手の研究ならば、森・山川両選手と同じレベルで行うことができる。意表をつかれずに何とか1軍レベルのボールに食らいついていくためにも、ブランドン選手はもっともっと相手投手の情報を頭に詰め込まなければならない。これこそが、ブランドン選手が開幕スタメンを手にするために、今最も力を入れなければならないことだ。

いつもストレートを打つタミングで、ストレートが上手く来てくれた時だけ打てるという状態では、開幕スタメンどころか1軍に残ることさえできない。しかし多くの一流打者たちのように、変化球を待ちながらストレートにも合わせていく、という待ち方ができればもっと率が上がるようになり、凡打の質を高めていくこともできる。

そして凡打の質が上がっていけば、ヒットになる打球を打つ確率も自ずと高くなる。少なくとも内容のない見逃しストライクはなくなっていき、三振をしたとしても内容のある三振になっていくだろう。では内容のある三振とは?

例えば上述したように、スライダーを狙ったタイミングでスライダーで空振り三振したとする。すると次の打席でバッテリーは、勝負球にスライダーを選びにくくなるのだ。すると自ずとストレートが来る確率が高まって行き、ブランドン選手のようにストレートに滅法強いバッターの場合、有利な状況で打席に立てるようになる。これが内容のある三振の一例だ。

このような同じ三振をするにしても、内容のある三振が増えていけば辻監督からの評価ももっと高くなっていくはずだ。現状では「ブランドンを使うしかない」という状況だが、凡打の質が良くなっていけば「よし、開幕サードはブランドンで行こう!」というように辻監督の考えも変わっていくだろう。そのためにも今ブランドン選手に必要なのは頭脳面でのレベルアップなのである。